今はなきパラフィン紙

昭和62年の創刊60周年を機に,岩波文庫も他社の文庫本と同じようなビニール引きのカバーが付くようになり,その際古いファンから,”ギラギラしたカバーなんて”と反対の声が寄せられたりもしました。岩波文庫のカバーは,背表紙の下半分が帯色になっているのみで,統一のとれたデザインですから,書棚に並べたときもす…

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文庫化の時期

文庫化のサイクルはどんどん短くなっている。少し待てば文庫本になりそうだと思うような本は,新刊の単行本が出ても,つい買うのを控えてしまう。果たして単行本が文庫化されるまでの期間は決まっているのだろうか。いくつかの出版社に聞いてみた。 河出文庫 文庫化のサイクルは基本的には単行本発刊の2年後。映画化,テ…

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スピンと栞

最近は栞ひも(スピン)の付いている文庫本を見なくなった。大手で残っているのは新潮文庫くらいなもの。車中読書がもっぱらの読書人にとって,あの栞ひもは大変便利なものだったが,コスト低減の大号令のもと,あっさりと廃止されてしまった。 で,代わりに挟まっている紙の栞。これが読んでいると邪魔でしょうがない。長…

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コレットの描く戦後のパリ

第一次大戦後の動乱の中にあるパリが,悲恋ものの舞台として格好の場であることは疑いないけれど,その裏社交界を描くコレットの「シェリ」と「シェリの最後」が,最近岩波文庫より続けて出ました。 年老いた高級娼婦とその若き美貌の愛人シェリとの愛欲の日々は,「青い麦」の作者たるコレットの自伝的要素が強いといわれ…

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雑誌『文庫』総目次

岩波文庫の会から発行された雑誌『文庫』(1951~1960)の総目次 1951年1956年 1952年1957年 1953年1958年 1954年1959年 1955年1960年 1951年 第1号 岩波文庫とレクラム 小泉信三 読書と家計 都留重人 岩波文庫略史1 読書案内 ゲーテの作品 ヒルテ…

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岩波文庫の荷風

もともと全集などこつこつ集める柄ではないのですが,荷風全集だけはずっと買い続けてきました。岩波文庫でも古いものがぼちぼち復刊されていますが,明治期の風俗(特に花柳界)がよく描かれているうえ,「あめりか物語」や「ふらんす物語」のような洋行ものには,往事の現地の日本人社会の様子など,興味深い記述が多く…

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1992年岩波文庫秋の復刊

図書「9月号」が届いたのでみてみると,恒例の秋の岩波文庫復刊一覧が載っていました。 今回の復刊では,まず珍しいところで末広鉄腸の「雪中梅」。この政治小説はなかなか古書店にも出てきませんでした。明治19年,政治家として活躍した末広鉄腸が著した,国会開設前の政界を舞台にした恋愛もの。当時の政界の様子がよ…

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