岩波文庫の厚い本薄い本

5000冊に及ぶ岩波文庫の中で,最も厚い本と薄い本はなにか? これは,岩波文庫ファンならずとも,気になるところ….ではないかもしれませんが,調べてみました。 結果,厚い本は「青年の環」が圧勝! 5分冊合わせて4380ページは文字通り圧巻です。残念ながら,書店の棚の場所ふさぎと思われたか,あっと言…

続きを読む

岩波文庫戦時コレクション-慰問袋の中身

世に推薦図書はいろいろあるが,たいていはブックフェアなどのために出版社が毎年,自社のラインナップから代わりばえのしない作品を選んだり,あるいは読書感想文のために児童文学者(ってなんであんなに胡散臭いんだろう)が,聞いたこともない著者の本を選んだりして,あまり真面目に読んでいこう!という気にはならない…

続きを読む

創刊60周年を迎えた岩波新書

1997年は岩波文庫創刊70周年の年であったが,今年1998年は岩波新書が創刊60周年を迎える。 それに伴い,12月に「図書」の創刊60周年記念増刊号で,作家,研究者ら429人による「私が薦めるこの1冊」を特集。ここで一番多く推薦されたのは,「万葉秀歌」(斉藤茂吉),「新唐詩選」(吉川幸次郎・三好…

続きを読む

岩波文庫と委託制

かつて,「文庫の会」で,各地の書店について岩波文庫の状況を調べたことがあった。その結果,委託制(買切制)によって「書店の棚が充実していることは喜ばしい」という声がある一方,「店頭に岩波文庫の品物が少ない」という意見も多かった。 現在でもその事情は変わっていない。書店によっては近刊がほとんどなく,岩波…

続きを読む

1997年発行書目一覧

アイルランド 歴史と風土オフェイロン/橋本 槇矩 訳600円11/17 新編 悪魔の辞典ビアス/西川 正身 編訳600円1/16 アリストテレース詩学松本 仁助,岡 道男 訳660円1/16 ある出稼石工の回想マルタン・ナド/喜安 朗 訳760円12/16 アルハンブラ物語 上〔全2冊〕アーヴィン…

続きを読む

1997年版『書店の棚から消えた本』

岩波文庫の場合,この1年間にどれだけの本が絶版・品切になったのか?ということは新旧「解説目録」を比べてみればよくわかります。まあ,いちいちそれを調べてみよう,という暇な方は少ないかもしれませんので,かわりにやってみました….^^。 実際,岩波文庫の新陳代謝は意外に盛んで,1996年~97年に下記…

続きを読む

オフセットは必要悪か?

活版で印刷されていた古い文庫本が,最近のオフセット印刷されたものより読みやすいという話をきくことがあります。たしかに,活版は版面が黒々としてコントラストが高く,紙面の凸凹も好ましく^^,オフセットの薄くのっぺりした印刷より読みやすいと思うことがあります。 しかし文庫本のように頻繁に増刷を繰り返す場合…

続きを読む

岩波文庫の音楽の本

岩波文庫に収録されている音楽関係の本をまとめてみました。これ以外にも,オペラのリブレットやバレエの原作など,音楽にまつわる作品は多いと思いますが,それらはまた,別途取り上げてみたいと思います。 作曲家とその作品 ベートーヴェンの生涯ベートヴェン好きでロマン・ロランを読まない人はいないと思うが,苦難と…

続きを読む

岩波文庫の"自然科学書"

昭和2年以来,岩波文庫より刊行された自然科学書の全書目およびその現状(1997年11月現在)。ほとんど絶版となっており,そのなかでも動物哲学は古書価が高いことで知られている。 書名著者名発行年  古い医術についてヒポクラテス1963  天体の回転についてコペルニクス1953  星界の報告ガリレオ・ガ…

続きを読む

岩波書店のオンラインショップ

最近,岩波書店のホームページを見た方ならお気づきの通り, 10月からインターネットを利用したオンラインショップが始まった。 これは,画面に表示された在庫書目リストの希望書目にチェックマークをつけ, 専用フォームに連絡先等を入力して申し込むもので,老舗の岩波としては, 他の出版社に先駆けた,なかなか新…

続きを読む

岩波文庫の初版本?

文庫本の古書価は,なんで決まるのであろうか? もちろん,一番の要素はその本の中身であろうが,それ以外にもいくつかのポイントがありそうだ。 まず,考えられるのは,本の美醜(綺麗か汚いか)である。これは普通の古書であれば価格に大いに関係するが,文庫本に関しては,岩波文庫の専門店である山陽堂書店の言うよう…

続きを読む

文庫は蔵書となりうるか?

「有名人の書棚拝見」などを見ると,なかなか立派な書籍がならんでおり,文庫本ばかりの我が家の書棚など惨め!という感じがします。岩波文庫だらけの私の書棚を指して,「これからはもっとちゃんとした本を買わなきゃだめだな!」と言った人もいますし^^;;。どうも文庫本は「本」じゃないようです….。 文庫本が…

続きを読む

文庫本の処分

本を買うのに勇気がいる人は,特殊な恥ずかしい本を集めている人か,初版本など高価な本を集めている人であろう。 買うのには勇気がいらないが,どんな本でも売るときには勇気がいる。まあ,本を売るとか売らないとかいう以前に,売れるような本を持っているのかいな?という問題があるのだが,たとえ二束三文,あるいは古…

続きを読む

最初の岩波文庫

昭和2年(1927年),最初に刊行された岩波文庫は,次の31点でした。そしてその後の行方は…. 夏目漱石 こころ1934;41;67;89年改版 プラトン ソクラテスの弁明・クリトン37;50;64改版 島崎藤村自選 藤村詩抄37;51;57;95改版 樋口一葉 にごりえ・たけくらべ61改版 ト…

続きを読む

読書子に寄す

文庫本を読んでいると,巻末にいたってその文庫の発刊の精神を記した「発刊の辞」に出会うことがあります。 まあ,だいてい社長が美辞麗句を書き連ねたものと決まっていて,高邁な理想に比べてその文庫のラインナップの惨めさばかりが目立つ結果となりますが,そんな「発刊の辞」の中で,もっとも有名なのが岩波文庫の「…

続きを読む

岩波文庫の会・雑誌『文庫』

岩波文庫を語る際に,とくに書誌的な面で基本的な資料となるのが,かつて「岩波文庫の会」から刊行されていた雑誌『文庫』です。 「岩波文庫の会」は1951年3月,岩波書店が読者との交流をはかる目的で組織した岩波文庫のファンクラブで,最初,長野県で試験的に始められ,1951年10月には全国組織として正式に…

続きを読む

レクラム文庫と岩波文庫

レクラム文庫(Reclams Universal-Bibliothek) 正式な名称は「Universal-Bibliothek」ですから,百科文庫,世界文庫(あるいは万有文庫) となるのでしょうが,我が国では普通,「レクラム文庫」と呼ばれています。ドイツの レクラム社が1867年にゲーテのファウ…

続きを読む

いつになったら・・・未完結文庫本

文庫は文学全集じゃないのだから,廃刊にならないかぎり,未完結なのが当たり前です。そんな中,あえて「未完結文庫本」と呼ぶのは,(上)(中)(下),または(1)(2)(3)・・・・などと刊行が予定されていた書目が,何らかの理由で(上)のみ,あるいは(1)(2)のみで途絶し,未だ完結していないものがあるか…

続きを読む

岩波文庫の食の本

世はグルメ本ブーム。代わりばえのしないグルメガイドなど捨てて,岩波文庫のちょっと変わった「食」の本はいかがですか?今夜のデートには間に合わないかもしれませんが,俄食通のネタにどうぞ。 まずは気楽なところで中華から。中国清代の詩人,袁枚の「随園食単」(絶版)で伝統的な中華料理の知識を得たら(食単とは料…

続きを読む

岩波文庫の山の本

ウェストン「日本アルプスの登山と探検」(1997/6) 日本アルプスを世界に紹介して,日本アルプスの父といわれるイギリス人登山家ウェストン(1861-1940)の日本滞在中の登山記録。槍ヶ岳,乗鞍岳,立山,穂高岳,御岳などへの登山や周辺地域の民俗がユーモアにみちた文章でつづられた山岳文学の古典。日本…

続きを読む