昭和2年(1927年),最初に刊行された岩波文庫は,次の31点でした。そしてその後の行方は…. 夏目漱石 こころ1934;41;67;89年改版 プラトン ソクラテスの弁明・クリトン37;50;64改版 島崎藤村自選 藤村詩抄37;51;57;95改版 樋口一葉 にごりえ・たけくらべ61改版 ト…
続きを読むジオシティーズに移転してきました
長らくAsahi-netで運用してきたこのページをジオシティーズに移行することにしました。移転したいちばんの理由は,Asahi-netが自前のアクセスポイント以外からのftpができないので,普段netspaceやIIJで接続している私としては,メンテするのが面倒だったということです。それなら,Asa…
続きを読む読書子に寄す
文庫本を読んでいると,巻末にいたってその文庫の発刊の精神を記した「発刊の辞」に出会うことがあります。 まあ,だいてい社長が美辞麗句を書き連ねたものと決まっていて,高邁な理想に比べてその文庫のラインナップの惨めさばかりが目立つ結果となりますが,そんな「発刊の辞」の中で,もっとも有名なのが岩波文庫の「…
続きを読む"アメリカの悲劇"ドライサーの「シスター・キャリー」
アメリカ中西部の田舎からシカゴへやって来たキャリーは,華やかな都会生活の魅力にとりつかれたあげく,妻子ある酒場の支配人とニューヨークへ駆落ちする。そこで,キャリーは女優として売出し成功するが,男は没落し労働争議に巻込まれてゆく…。都市小説の先駆となったドライサー(1871-1945)の代表作。写真…
続きを読む岩波文庫の会・雑誌『文庫』
岩波文庫を語る際に,とくに書誌的な面で基本的な資料となるのが,かつて「岩波文庫の会」から刊行されていた雑誌『文庫』です。 「岩波文庫の会」は1951年3月,岩波書店が読者との交流をはかる目的で組織した岩波文庫のファンクラブで,最初,長野県で試験的に始められ,1951年10月には全国組織として正式に…
続きを読むレクラム文庫と岩波文庫
レクラム文庫(Reclams Universal-Bibliothek) 正式な名称は「Universal-Bibliothek」ですから,百科文庫,世界文庫(あるいは万有文庫) となるのでしょうが,我が国では普通,「レクラム文庫」と呼ばれています。ドイツの レクラム社が1867年にゲーテのファウ…
続きを読む1997年秋の復刊
Book Review 1997年 秋の復刊 11月は岩波文庫恒例「1997年秋の復刊」が発売されました。本来であれば,その発刊の精神からして,これは 岩波書店贖罪の日にならねばならぬハズですが,「待望の復刊」などと読者を有り難がらせるというのは怪しからんことです^^;;。 そこで,いまさら買うもの…
続きを読むいつになったら・・・未完結文庫本
文庫は文学全集じゃないのだから,廃刊にならないかぎり,未完結なのが当たり前です。そんな中,あえて「未完結文庫本」と呼ぶのは,(上)(中)(下),または(1)(2)(3)・・・・などと刊行が予定されていた書目が,何らかの理由で(上)のみ,あるいは(1)(2)のみで途絶し,未だ完結していないものがあるか…
続きを読む読売新聞日曜版インターネットばんざい
9/28と10/5の読売新聞日曜版に「文庫本大好き」が紹介されました。
続きを読む岩波文庫の食の本
世はグルメ本ブーム。代わりばえのしないグルメガイドなど捨てて,岩波文庫のちょっと変わった「食」の本はいかがですか?今夜のデートには間に合わないかもしれませんが,俄食通のネタにどうぞ。 まずは気楽なところで中華から。中国清代の詩人,袁枚の「随園食単」(絶版)で伝統的な中華料理の知識を得たら(食単とは料…
続きを読む岩波文庫の山の本
ウェストン「日本アルプスの登山と探検」(1997/6) 日本アルプスを世界に紹介して,日本アルプスの父といわれるイギリス人登山家ウェストン(1861-1940)の日本滞在中の登山記録。槍ヶ岳,乗鞍岳,立山,穂高岳,御岳などへの登山や周辺地域の民俗がユーモアにみちた文章でつづられた山岳文学の古典。日本…
続きを読む解放された世界-H.G.ウェルズの予言書
第一次世界大戦前夜,1913年に執筆,14年に刊行されたH.G.ウェルズの「解放された世界」は,のちの第2次世界大戦における原子爆弾の惨害を「予言」したものとして,しばしば引用されます。 オットー・ハーンによるアイソトープの観測と核分裂の発見は1938年ですから,執筆当時はまだ原子爆弾はもちろん,…
続きを読む頑張って更新しています^^;;
ずっとページの更新をさぼっておりましたが,以前,PCVANやNIFTYに書き込んだ読書記録などをもとに,最近の情報を(なるべく^^;;)加えて,ボチボチと話題を追加しております。面白い文庫本を読んだ,とか,こんな変な話があった,とくに古本屋で珍しい文庫本を見つけたなど,話題提供を歓迎いたします。出典…
続きを読むつゆのあとさき(永井荷風)
「つゆのあとさき」について荷風は,「教師をやめると気楽になって,遠慮気兼をする事がなくなったので,おのずから花柳小説のようなものを書きはじめた。カフェの女給は大正十年前後からにわかに勃興して一世を風靡し….しかし震災後早くも十年を過ぎた今日では盛りを越したようである。これがつゆのあとさきの出来た…
続きを読む失敗する蔵書目録の作り方
みなさんは家にパソコンがやってきてからこれまでに,「蔵書目録を作ろう」と思い,実際にフォームを作り,何冊かのデータを打ち込んで,そのままになってしまったという苦い経験はないでしょうか? かくいう私のハードディスクには,無念にも敗れ去ったデータベース・フォームの残骸が累々と積み重なり,目録墓場と化して…
続きを読むBook Review
Book Review September 1997 1 マクベス(シェイクスピア) 改版。—-マクベス早わかり—-17世紀スコットランドの勇敢な武将マクベスは,魔女の暗示にかかり王ダンカンを殺し,悪夢の世界へ引きずり込まれてゆく。シェイクスピア最盛期の作品。シェイクスピアの四大悲劇とは,こ…
続きを読む岩波文庫の発売日
出版社の発売日についていちばん詳しいのは,コミックの愛読者ではないかと思うが,岩波文庫についても,その発売日を知っておく必要がある。 その理由の第一は,もちろん早く新刊を読みたいということだが,それ以外に,一般の書店では岩波文庫の新刊入荷数が少なく,見つけ次第買わないとすぐになくなってしまうからでも…
続きを読む外国文学の復権
最近,外国文学が読まれないという。ミステリやSFなどは別として,いわゆるかつて「世界文学全集」に収録されていたようなスタンダードな名作がダメだという。そういうものばかり並んでいる岩波は「危機感」を感じているかもしれないが,名作が読まれないというのは,別に岩波の責任ではないし,今に始まったことでもない…
続きを読む中島 敦の南洋物
岩波文庫より出た中島 敦の「李陵・山月記」は,以前から持っているような気がしたので,改版ものかと思い手に入れるのが遅くなってしまいました。 この作品集の中で初めて読み面白いと思ったのは,南洋物である小品集「環礁」です。中島の作品に南洋物があるのは,昭和16年より南洋庁の国語編修書記となり,パラオ島に…
続きを読む文庫本と古書店
絶版文庫の古書価は,一般に,国文学,歴史,思想関係に高価なものが多く,外国文学関係に少ないといわれているが,最近では新しい外国文学全集が出ないことや,各社文庫の外国文学部門が縮小(切り捨て)されたことにより,相当な”名作”でも手に入らない状況となり,いきおい岩波や新潮,角川などの外国文学部門の品切れ…
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