モーパン嬢(上)

モーパン嬢〈上〉ウチの近所の書店が改装・・・と思ったら,経営者が替わったとのこと。個人経営の書店から,フランチャイズ店になったのだが,一見,以前と替わらない店内の雰囲気。しかし,拙いことが2つ。岩波文庫が綺麗さっぱりなくなり,閉店時間が23時から21時に。これじゃ,行く意味がない,というか行けないだろ。
岩波文庫の新刊「モーパン嬢(上)」を読む。本編の恋物語の方は途中だが,最初に長々と書かれた序文が面白い。1834年,24歳のゴーチエが,ロマン主義,芸術至上主義を宣言し,胡散臭い道徳家たちを攻撃している。といっても,堅苦しいものではなく,当時の政治家や金持ち,批評家への皮肉たっぷりの当てこすりだ。。
「この地上に,われわれの暮らすこの世界に,絶対に有用な何かが存在するか?・・・美しいものは,何であれ,生活に欠くべからざるものではない。真に美しいものは,何の役にも立たないものに限られる。有益なものはすべて醜い。何らかの欲求の現れだからだ」
「何も創作しない批評家は卑怯だ。信徒の妻に手を出す神父のようなものだ。信徒は神父に同じ仕返しもできない。決闘もできない」