光文社古典新訳文庫

ちいさな王子光文社が7日に創刊した「光文社古典新訳文庫」が書店に並んでいた。
このシリーズは,優れた海外文学作品をすべて新訳で紹介するもので,『活字離れを食い止めるためにも本当に面白い作品を読者に届けようと,翻訳者と話し合いを重ね,未邦訳のものも含めて作品を選択。タイトルにもこだわった』とのこと。
今月刊行の第1弾は,ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟1」(亀山郁夫訳),トゥルゲーネフ「初恋」(沼野恭子訳),サン=テグジュペリ「ちいさな王子」(野崎歓訳)など8点。安っぽくない造本とすべて新訳ということを考えれば,良心的な価格。
さっそく,「ちいさな王子」を読んでみた。これはもちろん,「星の王子さま」の野崎歓による新訳で,タイトルや翻訳の際のこだわりについては,著者自身が本書の中で解説している。もっとも,最近の新訳ラッシュの中,従来の「星の王子さま」を踏襲せず,原題の「小さな王子」に沿ったタイトルをつけているものとして,山崎庸一郎, 河原泰則,藤田尊潮各氏の訳がすでにあるが。
野崎さんは映画評論でも知られており,若い訳者(といっても私と同い歳だ)らしく,現代的で持って回ったところのないスッキリとした訳となっている。楽しく読むことができた。

コメント

  1. 「現代的で持って回ったところのないスッキリとした訳となっている」
    さすがは、「文庫本大好き」さんの寸評。
    それこそ、「現代的で持って回ったところのないスッキリとした」寸言です。
    野崎歓さんの訳とは信頼できるな。かれの評論・エッセイも凄いし。

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