インカ帝国史(シエサ・デ・レオン)

インカ帝国史モーツアルト生誕250年だから・・・という訳ではないのですが,ホグウッドとベームのモーツアルト交響曲全集を入手し,順番に聴いています。初めて聴く初期の曲もあったのですが,ホグウッドはなかなか活きのよい演奏で楽しめました。ベームは30年前,私が高校生のころ,ブルックナーの4番でレコード大賞をとったりしてよく聴いていました。久しぶりにまとめて聴くと,きわめてまっとうな楷書による演奏で,背筋が伸びる感じがしました。
そんな中,岩波文庫の新刊「インカ帝国史」(シエサ・デ・レオン)を読みました。
本書は,インカ帝国滅亡直後,スペインの植民地政策を巡って内乱が続く旧インカ領を踏査した著者が,広範な文献と各地の住民から生の声をききまとめた「ペルー記」の第2部にあたります(元本は1979年刊大航海時代叢書)。
ところで,インカ帝国っていつまで存在したのか知っていますか? エジプト文明並みの大昔・・・というのは酷いとしても,16世紀にスペインに滅ぼされるまで,続いていたのですね(この辺の歴史的経緯は解説にうまくまとめられています)。本書を読むと,遙か大昔に思えるインカ帝国の住民たちの生活が,生き生きと描かれていて楽しめるとともに,スペイン政府から派遣された著者が,ペルー滞在わずか3年半の間に,このような大部なものをまとめたことに驚かされます。