倉橋由美子訳「新訳 星の王子さま」

新訳 星の王子さま倉橋由美子訳「新訳 星の王子さま」を読みました。
待望の新訳ですね。全体の印象は,内藤訳に対して,引き締まった感じがして,一言で言えば大人っぽい雰囲気になっています。倉橋氏があとがきで述べている通りです。『世の中には,「童話」と称して大人が子供向きに書いた不思議な作品がありますが,これはその種の童話ではありません。そのことは作者も最初に断っているとおりで,子供にように見える王子さまが主人公だとしても,だから子供向きのお話だということにはならず,これはあくまでも大人が読むための小説なのです。私もそのつもりで読んで,そのつもりで訳しています』。以前話題となった内藤氏に対する謝辞も記載されていました。
倉橋氏の遺作となってしまいましたが,「大人のために書かれた悲しい物語」星の王子さまの世界が広がったことを嬉しく思います。これからも幾つかの訳がでる予定ですので,楽しみにしています。