藤田嗣治「腕一本・巴里の横顔」

腕(ブラ)一本・巴里の横顔―藤田嗣春エッセイ選以前,図書館で読んでから,文庫化されないかなぁと思っていた「腕一本・巴里の横顔 藤田嗣治エッセイ選」が,ようやく講談社文芸文庫から出た。
戦前,画家藤田が26歳で渡仏し,パリで栄光を得るまでの苦しい生活や,裸婦像が絶賛を浴び華やかな栄光につつまれてからの日々を自ら描いた貴重な記録。
第一次大戦下のパリの様子,多くのモデルたちとの交流,ピカソとの思い出,一転して,戦争記録画に打ち込んだ日々。遠くパリにあって,日本や日本人に対する複雑な思いがあふれている。
これこそ岩波文庫で出して欲しいような本だが,文庫化してくれた講談社に感謝。しかし,この厚くもない文庫本が1365円。いつも行く本屋のおばちゃんもレジ打ったあと,「あれ,間違った….あってるねぇ」と値段を見直すほど高かった。

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