旅はゲストルーム

光文社知恵の森文庫の新刊「旅はゲストルーム」(浦 一也)を読む。建築家である著者が,
世界各地で訪れたホテルの客室を採寸し,詳細な平面図を書き上げてレポートしたもの。当然,
妹尾河童氏の同じような客室俯瞰図を思い浮かべるが,あちらは舞台装置屋,こちらは商業建築屋ということで,自ずから違いがある。
絵としては妹尾氏のディテールへのこだわりに面白さを感じるが,本書は「その部屋を設計した意図がよく分かるばかりでなく,
サービスの姿勢から民族性にいたるまでさまざまな勉強になる」という設計者の目でとらえているところに興味がわく。クリスマス,
お正月とホテルに泊まる人は,本書で蘊蓄話を仕入れていってはいかが。