雑誌「BOOKMAN」

 
直接,岩波に関係するものではありませんが,岩波文庫に関心がある人にとっては興味のある雑誌、「BOOKMAN」をご紹介します。

「本」に関する雑誌はいろいろありますが,新刊・古書をとりまぜて,ユニークな視点で特集を組んだ雑誌「BOOKMAN」が終刊になって20年あまり。古書店でもあまり見かけないこの「雑誌」は、しばしば文庫本,とくに岩波文庫を取り上げていました。

「BOOKMAN」は,瀬戸川猛資氏らの編集により1982年イデア出版局より創刊され,岩波文庫を特集した第1号はなかなか評判となりましたが(「本の雑誌」からは,あの調子で”ケッ!”と言われ,互いに罵倒合戦となりましたけれど….),売り上げは「次第に土俵際まで後退し」(瀬戸川氏),5号以降はトパーズプレスに移籍するなど,商売上は必ずしも順調ではなかったようです。

なかごろからは,刊行も次第に不定期となり,私のような版元直接予約定期!購読者でも、次が出るのか出ないのか皆目見当がつかず,古書店では「1~20冊(廃刊)揃い」などと勝手に廃刊扱いされる始末。
 
それでも荒俣 宏や呉智英など,優れた執筆者に恵まれて,ぼちぼちと刊行を続け,最後には珍しくも自ら「30号終刊宣言」を出し,予定通り足かけ10年に及ぶ苦難の歴史に幕を閉じました。そんなわけで長年つきあってきた読者としては、この雑誌の揃いがちょっと自慢であったりするわけです。

「BOOKMAN」の特集タイトル一覧を挙げますが,なかなか魅力的でしょう? とくに古書店関係のガイドは,徹底した調査をしていて,非常に役に立ちました。もし古書店などで見かけましたら,開いてみて下さい。このホームページでも、機会がありましたら,この雑誌の面白い記事をご紹介していきたいと思います。

「BOOKMAN」全30冊の歩み

特集 発行年 発行月日
1 なぜかいま,岩波文庫が読みたくなった! 1982 10/1
2 見えない図書館 1982 12/1
3 書棚から消えていった作家たち 1983 2/1
4 完全版・神田古書店カタログ 1983 4/1
5 新書ハンドブック 1983 7/1
6 おお探偵小説大全集 1983 9/1
7 ザ・ベストブック1983 1983 12/15
8 HOW TO 洋書 1984 3/20
9 一生の読書計画 1984 6/25
10 書斎の秘密 1984 10/20
11 ザ・ベストブック1984 1985 2/15
12 幻の探偵雑誌「宝石」を追う 1985 6/20
13 これが決闘文学だ 1985 11/1
14 ザ・ベストブック1985 1986 2/20
15 辞書はすばらしい 1986 6/10
16 SF珍本ベストテン 1986 10/1
17 読書術・秘中の秘 1986 12/30
18 みんな欲しかった中国名著カタログ 1987 4/10
19 本物のホラーを! 1987 7/10
20 ブックマンたちに捧げる特別号 1987 10/30
21 東京古本屋帝国ベスト店 1988 3/15
22 読書日記をつけましょう 1988 7/31
23 関東古本屋帝国ベスト店 1988 11/21
24 世の中,マンガ 1989 4/15
25 BM式必携文庫目録 1989 8/25
26 秘密のベストセラー 1989 12/25
27 本への”熱視線” 1990 4/30
28 よくわかる現代詩 1990 10/20
29 オール未発表企画 1991 3/20
30 「いい本」とは何か-最後のメッセージ 1991 6/10