2003年1月

1月31日

競馬本批評が面白かったので,「マン券爆発! 乗峯栄一の賭け」(乗峯栄一)を読む。外れっぷりのよさはともかく,この人のコラムは,
話がとんでもない方向に行くので,その意外性で笑わされてしまう。
大阪スポーツニッポンで連載中のカリスマ的人気を誇る爆笑競馬コラムをまとめたものだが,関西競馬に縁のない人でも,充分楽しめる。

 

1月30日

角川文庫の新刊「酒と家庭は読書の敵だ。」(目黒考二)を読む。タイトル(単行本「活字浪漫」を改題)は,
読書生活指南みたいな感じだけれど,中身は文藝雑誌読みまくりや,競馬本批評など雑多。別に酒飲みの話でもない。
自分には縁のないジャンルばかりだなぁと思いつつ,大人の恋や子供の頃の懐かしい思い出など,しみじみとさせられる場面もあり,「本の雑誌」
に馴染んでいる人にはお薦め。

 

1月28~29日

息子がインフルエンザに罹る。たまには静かでいいわ!などというものの,39度以上の高熱で,さすがに元気なし。
今月は岩波文庫でヘッセの「青春彷徨」(別名:郷愁,ペーター・カーメンチント)が復刊されましたね。学生時代から親しんだ作品だし,
訳も読みやすいのですが,いかんせん初版以来40年以上経っているし,ヘッセがいまの若い人にうけているという話もきかないので,
なにか一工夫いりそうです。若い世代へのヘッセ復権のため,ヘッセと相性がよさそうな村上春樹氏など,なにか書いてくれないかしら….。

 

1月27日

岩波文庫の新刊「おらんだ正月」(森 銑三)は,杉田玄白,平賀源内,間宮林蔵など50名余りの江戸期の科学者たちの評伝。
もともと雑誌「子供の科学」に連載されたものなので,やさしく書かれており,楽しく読むことができました。初版は昭和13年。時節柄,
立志伝的な書き方とはなっていますが,日本の西洋科学の先達の苦労と情熱が感じられて,なかなか勉強になりました。もっとも,
著者自身は当時,本書の評判が高くなり,本業の専門的な史論ではなく,似たような評伝の執筆ばかり頼まれて弱っていたとのことです。

 

1月24~26日

岩波文庫の新刊「ギリシア・ローマ名言集」(柳沼重剛編)を読んだのですが,左綴じの読みにくさは別として,何かつまらないのですね。
まあ,大学の授業でこういう内容であったら,(たぶんこの短い文章には盛り込めないいろいろな蘊蓄話がでてくるでしょうから)
出ようと思うかもしれませんが,これだけ簡潔にまとめられてしまうと,あまりにもあっさりしすぎて興味が続かないのが残念。
中学生の頃から親しんだ「西洋語源物語」(渡辺紳一郎,旺文社文庫にもあり)の方が,ドラマが感じられて面白かったように思いました。

 

1月23日

遅くなりましたが,岩波文庫「巫女」(ラーゲルクヴィスト)に手を付けたら止まらなくなり,通勤電車の中で読了。ある若者が,
街を十字架を背負い曳かれていく男に出会う。その男が我が家の壁に頭をもたれて息をついているのをみたとき,嫌悪を感じた若者は,
立ち去るように言う。十字架の男は,若者に「おまえの魂は永遠に救われない」と告げて去っていく。そのときから,若者のこころの中は,
苦しみで満たされるようになり,妻や幼い子を失い,長い放浪の旅に出る。その旅の中で,神託により自らの運命を知ろうと,
とある神殿を訪れるが,だれも彼の運命を見ることはできない。
いまは街を見下ろす山のあばら家に住む老いた巫女に訊けば….と教える人がいて,そのもとへ向かった男に,
巫女は自らの数奇な運命を語るのだが….。神殿に秘められた謎と策略,神殿を汚した巫女を追う狂気の群集,忽然と消えた息子の正体。
息をもつかせぬ展開に参った。

 

1月22日

「デイヴィッド・コパフィールド」(4)を読み終わり,岩波文庫新刊「吉原徒然草」を読んでいます。本書はパッと眺めると,
単なる江戸期の吉原見聞記に思えるのですが,実際は,250段にも及ぶ吉田兼好「徒然草」の忠実なるパロディー版で,
遊里吉原に関わる人々の様子を描いた「吉原入門」もの。各段のタイトルも徒然草と揃えられています。解説によると,本書の底本「青山文庫本」
(篠山市)の外題簽には「徒然草」としか書かれておらず,長い間,その写本は「徒然草」そのものと思われていたようです。
いろいろな事情から,他の写本でも同様な例があるかもしれず,古い蔵書を「徒然草」だと思いこんでいたが,実際めくってみたら「吉原徒然草」
であった,というような「新発見」が,今後もあるのでは,とのこと。文章は古いですが,適当に注釈も付けられているので,
一読をお薦めします。

 

1月21日

スーパーエディターヤスケンこと安原 顯さんが20日,肺癌のため永眠されました。昨年,自ら癌であることを宣言して以来,
最後まで本を読み,音楽を聴くことを熱く求めながら,体調の問題からそれもかなわず,それでも,入院生活の中で感じた数々の「バカヤロー」
を最後まで読者に伝えようとした日々を送っていらっしゃいました。安原さんのご冥福をお祈りします(bk1ブックサイトより)。安原さんは,
1939年東京生まれ。『海』,『マリ・クレール』,『リテレール』などの副編集長,編集長を経て,フリーに。文芸評論,音楽・
オーディオ評論を中心に活躍し,著書に「本を読むバカ読まぬバカ」,「畸人・怪人伝」,「決定版「編集者」の仕事」,「安原顕の乱聴日記」
などがあります。「寺島靖国PCMジャズ」の永世ゲストでもありました。

 

1月20日

岩波文庫の新刊,ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」(4)を読んでいます。ようやく4巻目。
家事能力がなく,病弱で,役立たずと酷い扱われ方をしているデイヴィッドの妻ドーラですが,幼いながらもデイヴィットに忠実で,
彼を心から尊敬しているこの人,私は昔から同情しているのです。だから,「心が未熟だったため誤った最初の軽はずみな行為」,
「考え方と目的とが,互いに噛み合っていないような結婚ほど,夫婦の間に溝ができることはない」と後悔するデイヴィッドには,
それでドーラまで不幸にすることは許さんぞ!という気持ち。もっと大切にしてやれよ,ホント。

 

1月18~19日

婦人生活社 自己破産申請へ-(株)婦人生活社(資本金2000万円,従業員51人)は,1月15日に事業を停止し,
自己破産申請へ向け準備中。同社は1947年(昭和22年)5月に設立された育児・料理雑誌出版社。
70年代には四大婦人雑誌の1つに数えられた「婦人生活」(86年9月廃刊)や「ベビーエイジ」,「マタニティ」,「やさしい手」,
「ログハウスプラン」,「カントリークラフト」などの雑誌出版を手がけた。その後,他社との競合激化による売り上げ不振が続いたことに加え,
少子化や読書指向の変化により,「婦人生活」や「素敵な女性」などの雑誌の廃刊が相次ぎ,育児・
料理など婦人生活に関連したカテゴリーに絞った出版に特化していたものの,業績低迷に歯止めがかからなかった。

 

1月17日

朝日文庫「サニーサイドジャズカフェの逆襲~超ビギナーのための名盤70枚」を読みました。
asahi-netの人気ページ「サニーサイドジャズカフェ
からの文庫化第2弾。寺島マスターが,ジャズを楽しむ新しい名盤70枚の聴きどころを解説。ジャズなんか全然知らん,
という人でも,著者のお気楽な調子に乗せられて,楽しく読むことができます。著者曰く,名盤の条件は,1にジャケット,2に曲,
3に演奏….とか。確かにすばらしいジャケットで,持っているだけで嬉しいレコードやCDというのもありますね。

 

1月16日

集英社新書の新刊「写真とことば」(飯沢耕太郎)を読みました。写真家の書いた文章は,
なんだかよく分からない,と思っている人も多いでしょうが(私だけ?),真に表現者として優れた写真家は,
自らの言葉で写真を語ることができる….ということで,本書は大正から現代にいたる25人の写真家が,
自らの作品や写真に対する思いを語った言葉を集め,そのプロフィールと共に紹介しています。
作品自体はほとんど掲載されていないので,参考となる文献やWebなどを紹介してくれてもよかったかな,と思います。

 

1月15日

息子が卒園写真を撮ってきたという。何度も何度も撮ったとのことで,私のときはどんなだったかなぁと思い,アルバムを見てみると,
先生方の服装など,さすがに時代を感じますが,みんな緊張した顔で,なかなかよく写っていました。「Webでの絶版文庫の探索
ページを作成中です。

 

1月14日

高原書店が,
インターネット特別セールを実施中。スーパー源氏に入力していた在庫の一部(約15万冊)を高原ブックサーチへ移し,これらの本を当分の間,
20%引きで販売するとのこと。アテネ文庫800円などがありました。また,
amazonのユーズドストアやヤフーオークションにも多数出品中とのこと。

 

1月10~13日

もう成人式も遠くなりにけり….の私としては,連休中,デパートへ買い物に行ったり,
先日手に入れたラジコンのワイルドウィリー2に色を塗ったりしながら,ボケッと過ごしていました(ワイルドウィリーについては,文春文庫
「タミヤ模型の仕事」など参照)。なかなか綺麗なブルーに塗れたのですが,息子の見事な?ウィリー走行で,早くも傷だらけに….。
今月の岩波文庫新刊は,「新編 おらんだ正月」(森 銑三,小出 昌洋編),「ギリシア・ローマ名言集」(柳沼重剛編),「デイヴィッド・
コパフィールド4」(ディケンズ),「吉原徒然草」(上野洋三校注)の4点。なかなか楽しそうな本ばかりですね。江戸時代,
一部の蘭学者たちは西暦で正月を祝い,それが「おらんだ正月」と呼ばれたそうです。以前,冨山房百科文庫からも出ていました。

 

1月9日

書店で見つけた岩波アクティブ新書の新刊「プロの技術 犬を写す,猫を撮る」を,つい買おうとして,
我が家には犬も猫もいないことに気が付いた。本書は,我が家のペットのこのかわいい姿を写真に残したい,他人に見せたいと思う人に,
プロが撮影のコツを伝授するもの。いざ写真を撮ってみようと思っても,犬や猫はじっとしていないし,レンズに顔を向けてくれないし,
なかなかかわいく撮れない。そこで,遊びながらの撮影方法,構図・背景づくり,ライトやフィルターの使い方などを,豊富な作例とともに解説。
ペットだけじゃなくて,幼児のいる家庭にも役立ちそうです….。

 

1月7~8日

ちくま学芸文庫より,フレイザー「初版 金枝篇(上)」(全2冊)が発売されました。558ページで1500円。
金枝篇の初版は1890年に出され,好評のうちに続編が次々と書かれ,1936年にようやく全13巻の最終版が完成しました。
『イタリアの片田舎ネミ。その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には1本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝「金枝」
を手にした男の間で争われた。フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る。』 本書には古代から伝わる伝説や魔術,
信仰の起源や進化についての研究がまとめられています。5分冊の岩波文庫版はおなじみですが,初版にはちょっと興味が。

 

1月6日

今月末,角川文庫より「新訳 ピノッキオの冒険」が出ます。『ディズニー映画によりその名を世界中に知らしめた名作『ピノッキオ』。
けれどその本当の物語を,あなたは知っているだろうか?』ということで,新訳完全版での登場。ん?訳者名がどこにも出ていないが….。
親しんでいる岩波少年文庫の杉浦明平訳とは,どのように違うのか,楽しみ。

 

1月5日

岩波文庫新刊「中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河」を読む。雪氷研究で有名な中谷先生が,調査・研究のため,
アラスカ,シカゴなど戦後間もない各国を巡った記録。中谷先生は,1900年加賀市片山津生まれ。東大で寺田寅彦の薫陶を受け,
理化学研究所を経て,北大教授となる。36年には世界初の雪の人工結晶を作り出し,
戦後はアラスカのメンデンホール氷河の単結晶を使った研究や,グリーンランドで氷冠の研究を行ったほか,
雪の結晶の核となる空気中の塵の影響を調べるため,56年にはハワイ島へも観測に赴いた。本書は,科学者の紀行としては,
雪や氷といった研究対象の親しみやすさもあり,楽しく読むことができる。

 

1月4日

息子が泊まりに来ている姪と遊んでいるので,秋葉原のスーパーラジコンへオフロードカーの買い出しに。
土曜日の秋葉原はさすがに大変な人出でしたが,その中,大きな箱を抱えて帰ってきました。さっそく,シャーシの組み立てと,
メカの載せ替えを。あぁ,腰が痛い。

 

1月2~3日

昨日はカミサンの実家で新年のご挨拶。今日は私の実家でご挨拶。ということで,今年のお正月はこれ以外の予定もないため,
のんびり過ごしています。また,休み明けには大忙しとなることがわかっているので,束の間の休息です。
自転車で江ノ島神社へ初詣に行きましたが,大変な風で,江ノ島大橋は自転車に乗ったままでは渡れませんでした。

 

1月1日

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。岩波書店では,創業90周年記念
「読者が選ぶ私の好きな岩波文庫」のアンケートを実施中です。締切は3月31日。回答者には抽選で1000名に「オリジナル岩波文庫手帳」
進呈とのこと。投票は,「図書」1月号綴じ込みのハガキか,岩波書店のホームページより。
これで選ばれた上位100点によるブックフェアも秋に予定されているようです。ベスト3を選ぶのはなかなか難しいですが,
少し考えてみましょう。

1月31日

競馬本批評が面白かったので,「マン券爆発! 乗峯栄一の賭け」(乗峯栄一)を読む。外れっぷりのよさはともかく,この人のコラムは,
話がとんでもない方向に行くので,その意外性で笑わされてしまう。
大阪スポーツニッポンで連載中のカリスマ的人気を誇る爆笑競馬コラムをまとめたものだが,関西競馬に縁のない人でも,充分楽しめる。

 

1月30日

角川文庫の新刊「酒と家庭は読書の敵だ。」(目黒考二)を読む。タイトル(単行本「活字浪漫」を改題)は,
読書生活指南みたいな感じだけれど,中身は文藝雑誌読みまくりや,競馬本批評など雑多。別に酒飲みの話でもない。
自分には縁のないジャンルばかりだなぁと思いつつ,大人の恋や子供の頃の懐かしい思い出など,しみじみとさせられる場面もあり,「本の雑誌」
に馴染んでいる人にはお薦め。

 

1月28~29日

息子がインフルエンザに罹る。たまには静かでいいわ!などというものの,39度以上の高熱で,さすがに元気なし。
今月は岩波文庫でヘッセの「青春彷徨」(別名:郷愁,ペーター・カーメンチント)が復刊されましたね。学生時代から親しんだ作品だし,
訳も読みやすいのですが,いかんせん初版以来40年以上経っているし,ヘッセがいまの若い人にうけているという話もきかないので,
なにか一工夫いりそうです。若い世代へのヘッセ復権のため,ヘッセと相性がよさそうな村上春樹氏など,なにか書いてくれないかしら….。

 

1月27日

岩波文庫の新刊「おらんだ正月」(森 銑三)は,杉田玄白,平賀源内,間宮林蔵など50名余りの江戸期の科学者たちの評伝。
もともと雑誌「子供の科学」に連載されたものなので,やさしく書かれており,楽しく読むことができました。初版は昭和13年。時節柄,
立志伝的な書き方とはなっていますが,日本の西洋科学の先達の苦労と情熱が感じられて,なかなか勉強になりました。もっとも,
著者自身は当時,本書の評判が高くなり,本業の専門的な史論ではなく,似たような評伝の執筆ばかり頼まれて弱っていたとのことです。

 

1月24~26日

岩波文庫の新刊「ギリシア・ローマ名言集」(柳沼重剛編)を読んだのですが,左綴じの読みにくさは別として,何かつまらないのですね。
まあ,大学の授業でこういう内容であったら,(たぶんこの短い文章には盛り込めないいろいろな蘊蓄話がでてくるでしょうから)
出ようと思うかもしれませんが,これだけ簡潔にまとめられてしまうと,あまりにもあっさりしすぎて興味が続かないのが残念。
中学生の頃から親しんだ「西洋語源物語」(渡辺紳一郎,旺文社文庫にもあり)の方が,ドラマが感じられて面白かったように思いました。

 

1月23日

遅くなりましたが,岩波文庫「巫女」(ラーゲルクヴィスト)に手を付けたら止まらなくなり,通勤電車の中で読了。ある若者が,
街を十字架を背負い曳かれていく男に出会う。その男が我が家の壁に頭をもたれて息をついているのをみたとき,嫌悪を感じた若者は,
立ち去るように言う。十字架の男は,若者に「おまえの魂は永遠に救われない」と告げて去っていく。そのときから,若者のこころの中は,
苦しみで満たされるようになり,妻や幼い子を失い,長い放浪の旅に出る。その旅の中で,神託により自らの運命を知ろうと,
とある神殿を訪れるが,だれも彼の運命を見ることはできない。
いまは街を見下ろす山のあばら家に住む老いた巫女に訊けば….と教える人がいて,そのもとへ向かった男に,
巫女は自らの数奇な運命を語るのだが….。神殿に秘められた謎と策略,神殿を汚した巫女を追う狂気の群集,忽然と消えた息子の正体。
息をもつかせぬ展開に参った。

 

1月22日

「デイヴィッド・コパフィールド」(4)を読み終わり,岩波文庫新刊「吉原徒然草」を読んでいます。本書はパッと眺めると,
単なる江戸期の吉原見聞記に思えるのですが,実際は,250段にも及ぶ吉田兼好「徒然草」の忠実なるパロディー版で,
遊里吉原に関わる人々の様子を描いた「吉原入門」もの。各段のタイトルも徒然草と揃えられています。解説によると,本書の底本「青山文庫本」
(篠山市)の外題簽には「徒然草」としか書かれておらず,長い間,その写本は「徒然草」そのものと思われていたようです。
いろいろな事情から,他の写本でも同様な例があるかもしれず,古い蔵書を「徒然草」だと思いこんでいたが,実際めくってみたら「吉原徒然草」
であった,というような「新発見」が,今後もあるのでは,とのこと。文章は古いですが,適当に注釈も付けられているので,
一読をお薦めします。

 

1月21日

スーパーエディターヤスケンこと安原 顯さんが20日,肺癌のため永眠されました。昨年,自ら癌であることを宣言して以来,
最後まで本を読み,音楽を聴くことを熱く求めながら,体調の問題からそれもかなわず,それでも,入院生活の中で感じた数々の「バカヤロー」
を最後まで読者に伝えようとした日々を送っていらっしゃいました。安原さんのご冥福をお祈りします(bk1ブックサイトより)。安原さんは,
1939年東京生まれ。『海』,『マリ・クレール』,『リテレール』などの副編集長,編集長を経て,フリーに。文芸評論,音楽・
オーディオ評論を中心に活躍し,著書に「本を読むバカ読まぬバカ」,「畸人・怪人伝」,「決定版「編集者」の仕事」,「安原顕の乱聴日記」
などがあります。「寺島靖国PCMジャズ」の永世ゲストでもありました。

 

1月20日

岩波文庫の新刊,ディケンズ「デイヴィッド・コパフィールド」(4)を読んでいます。ようやく4巻目。
家事能力がなく,病弱で,役立たずと酷い扱われ方をしているデイヴィッドの妻ドーラですが,幼いながらもデイヴィットに忠実で,
彼を心から尊敬しているこの人,私は昔から同情しているのです。だから,「心が未熟だったため誤った最初の軽はずみな行為」,
「考え方と目的とが,互いに噛み合っていないような結婚ほど,夫婦の間に溝ができることはない」と後悔するデイヴィッドには,
それでドーラまで不幸にすることは許さんぞ!という気持ち。もっと大切にしてやれよ,ホント。

 

1月18~19日

婦人生活社 自己破産申請へ-(株)婦人生活社(資本金2000万円,従業員51人)は,1月15日に事業を停止し,
自己破産申請へ向け準備中。同社は1947年(昭和22年)5月に設立された育児・料理雑誌出版社。
70年代には四大婦人雑誌の1つに数えられた「婦人生活」(86年9月廃刊)や「ベビーエイジ」,「マタニティ」,「やさしい手」,
「ログハウスプラン」,「カントリークラフト」などの雑誌出版を手がけた。その後,他社との競合激化による売り上げ不振が続いたことに加え,
少子化や読書指向の変化により,「婦人生活」や「素敵な女性」などの雑誌の廃刊が相次ぎ,育児・
料理など婦人生活に関連したカテゴリーに絞った出版に特化していたものの,業績低迷に歯止めがかからなかった。

 

1月17日

朝日文庫「サニーサイドジャズカフェの逆襲~超ビギナーのための名盤70枚」を読みました。
asahi-netの人気ページ「サニーサイドジャズカフェ
からの文庫化第2弾。寺島マスターが,ジャズを楽しむ新しい名盤70枚の聴きどころを解説。ジャズなんか全然知らん,
という人でも,著者のお気楽な調子に乗せられて,楽しく読むことができます。著者曰く,名盤の条件は,1にジャケット,2に曲,
3に演奏….とか。確かにすばらしいジャケットで,持っているだけで嬉しいレコードやCDというのもありますね。

 

1月16日

集英社新書の新刊「写真とことば」(飯沢耕太郎)を読みました。写真家の書いた文章は,
なんだかよく分からない,と思っている人も多いでしょうが(私だけ?),真に表現者として優れた写真家は,
自らの言葉で写真を語ることができる….ということで,本書は大正から現代にいたる25人の写真家が,
自らの作品や写真に対する思いを語った言葉を集め,そのプロフィールと共に紹介しています。
作品自体はほとんど掲載されていないので,参考となる文献やWebなどを紹介してくれてもよかったかな,と思います。

 

1月15日

息子が卒園写真を撮ってきたという。何度も何度も撮ったとのことで,私のときはどんなだったかなぁと思い,アルバムを見てみると,
先生方の服装など,さすがに時代を感じますが,みんな緊張した顔で,なかなかよく写っていました。「Webでの絶版文庫の探索
ページを作成中です。

 

1月14日

高原書店が,
インターネット特別セールを実施中。スーパー源氏に入力していた在庫の一部(約15万冊)を高原ブックサーチへ移し,これらの本を当分の間,
20%引きで販売するとのこと。アテネ文庫800円などがありました。また,
amazonのユーズドストアやヤフーオークションにも多数出品中とのこと。

 

1月10~13日

もう成人式も遠くなりにけり….の私としては,連休中,デパートへ買い物に行ったり,
先日手に入れたラジコンのワイルドウィリー2に色を塗ったりしながら,ボケッと過ごしていました(ワイルドウィリーについては,文春文庫
「タミヤ模型の仕事」など参照)。なかなか綺麗なブルーに塗れたのですが,息子の見事な?ウィリー走行で,早くも傷だらけに….。
今月の岩波文庫新刊は,「新編 おらんだ正月」(森 銑三,小出 昌洋編),「ギリシア・ローマ名言集」(柳沼重剛編),「デイヴィッド・
コパフィールド4」(ディケンズ),「吉原徒然草」(上野洋三校注)の4点。なかなか楽しそうな本ばかりですね。江戸時代,
一部の蘭学者たちは西暦で正月を祝い,それが「おらんだ正月」と呼ばれたそうです。以前,冨山房百科文庫からも出ていました。

 

1月9日

書店で見つけた岩波アクティブ新書の新刊「プロの技術 犬を写す,猫を撮る」を,つい買おうとして,
我が家には犬も猫もいないことに気が付いた。本書は,我が家のペットのこのかわいい姿を写真に残したい,他人に見せたいと思う人に,
プロが撮影のコツを伝授するもの。いざ写真を撮ってみようと思っても,犬や猫はじっとしていないし,レンズに顔を向けてくれないし,
なかなかかわいく撮れない。そこで,遊びながらの撮影方法,構図・背景づくり,ライトやフィルターの使い方などを,豊富な作例とともに解説。
ペットだけじゃなくて,幼児のいる家庭にも役立ちそうです….。

 

1月7~8日

ちくま学芸文庫より,フレイザー「初版 金枝篇(上)」(全2冊)が発売されました。558ページで1500円。
金枝篇の初版は1890年に出され,好評のうちに続編が次々と書かれ,1936年にようやく全13巻の最終版が完成しました。
『イタリアの片田舎ネミ。その昔,聖なる森と呼ばれたこの景勝の地には1本の聖なる木があって,司祭職の地位は,その枝「金枝」
を手にした男の間で争われた。フレイザーは,この風習の由来を説明しようと研究の筆を執る。』 本書には古代から伝わる伝説や魔術,
信仰の起源や進化についての研究がまとめられています。5分冊の岩波文庫版はおなじみですが,初版にはちょっと興味が。

 

1月6日

今月末,角川文庫より「新訳 ピノッキオの冒険」が出ます。『ディズニー映画によりその名を世界中に知らしめた名作『ピノッキオ』。
けれどその本当の物語を,あなたは知っているだろうか?』ということで,新訳完全版での登場。ん?訳者名がどこにも出ていないが….。
親しんでいる岩波少年文庫の杉浦明平訳とは,どのように違うのか,楽しみ。

 

1月5日

岩波文庫新刊「中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河」を読む。雪氷研究で有名な中谷先生が,調査・研究のため,
アラスカ,シカゴなど戦後間もない各国を巡った記録。中谷先生は,1900年加賀市片山津生まれ。東大で寺田寅彦の薫陶を受け,
理化学研究所を経て,北大教授となる。36年には世界初の雪の人工結晶を作り出し,
戦後はアラスカのメンデンホール氷河の単結晶を使った研究や,グリーンランドで氷冠の研究を行ったほか,
雪の結晶の核となる空気中の塵の影響を調べるため,56年にはハワイ島へも観測に赴いた。本書は,科学者の紀行としては,
雪や氷といった研究対象の親しみやすさもあり,楽しく読むことができる。

 

1月4日

息子が泊まりに来ている姪と遊んでいるので,秋葉原のスーパーラジコンへオフロードカーの買い出しに。
土曜日の秋葉原はさすがに大変な人出でしたが,その中,大きな箱を抱えて帰ってきました。さっそく,シャーシの組み立てと,
メカの載せ替えを。あぁ,腰が痛い。

 

1月2~3日

昨日はカミサンの実家で新年のご挨拶。今日は私の実家でご挨拶。ということで,今年のお正月はこれ以外の予定もないため,
のんびり過ごしています。また,休み明けには大忙しとなることがわかっているので,束の間の休息です。
自転車で江ノ島神社へ初詣に行きましたが,大変な風で,江ノ島大橋は自転車に乗ったままでは渡れませんでした。

 

1月1日

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。岩波書店では,創業90周年記念
「読者が選ぶ私の好きな岩波文庫」のアンケートを実施中です。締切は3月31日。回答者には抽選で1000名に「オリジナル岩波文庫手帳」
進呈とのこと。投票は,「図書」1月号綴じ込みのハガキか,岩波書店のホームページより。
これで選ばれた上位100点によるブックフェアも秋に予定されているようです。ベスト3を選ぶのはなかなか難しいですが,
少し考えてみましょう。