文教堂「完全買い切りお宝発掘プロジェクト」

模倣の殺意 (創元推理文庫)
中町 信
東京創元社
売り上げランキング: 2,240

大手書店チェーンの文教堂(関東など195店舗)が昨年から始めた絶版文庫本の復刊プロジェクトが好調。これまで復刊した15点のうち4点は販売好調で重版が決まり、取次会社経由の通常の流通ルートに乗った作品もある。

この「完全買い切りお宝発掘プロジェクト」は、過去の販売データなどをもとに品切れや重版未定の作品を選んで出版社と直接買い切り契約を結び、売り切れば重版を依頼するもの。昨年4月に「狼は瞑らない」(角川春樹事務所)を皮切りに15点を手がけ、これまでの総販売部数は5万部を超えた。総仕入れ冊数は約6100冊で、実売率は約82%。「タブーの日本史」(宝島社)、「「一人時間」を愉しむ生き方、暮らし方」(廣済堂出版)、ミステリー「模倣の殺意」(東京創元社)の3作品は通常の流通ルートにも乗り、重版となった。12月に出た「模倣の殺意」(2004年刊)は同チェーンだけで約7千部を販売し、元々40年前の小説の復活に、東京創元社も「リアルな書店の強みを実感した」と驚いている。チェーン全体の売れ行きや社員の意見をもとに、毎月20作品程度の候補から3作品前後を選び、出版社と交渉しているという。文教堂のマージンは30%程度で、買い切りのため出版社から断られることはない。

文教堂では、これらの本の特設コーナーを設けて、お薦めの本がひと目でわかるようにし、売れ行きのよい店に在庫のある店から商品を回すなど、販促に努めている。