亜細亜の光

岩波文庫の希少書。アーノルド「亜細亜の光」。戦時中に出したものの,戦後は省みられなくなり,いまどき復刊の見込みもないし,古書価は高い。ところで,アーノルドって誰だ?

エドウィン・アーノルド(Sir Edwin Arnold)は1832年に英国Gravesendで生まれ,オクスフォードで学んだ後,ジャーナリストとして活躍。1861年にはデイリーテレグラフ主筆となった。彼は優秀なジャーナリストであったが,詩人として世に出る野望を持ち,1879年にブッダの生涯を描いた詩集「亜細亜の光」を発表。その後何の作品も出版していないにもかかわらず,今では詩人としてのみ名を残している。当時「亜細亜の光」は,そのエキゾチックな雰囲気や不思議な言葉(サンスクリット用語)で,評判を得た。ブッダのモラル主義は西洋によく知られていたが,その実際の生活,背景となるインドの風景は目新しく感じられたのだ。出版されるとすぐにヨーロッパ各国で翻訳され,アメリカやイギリスでは数十版を重ねる人気を得た。しかし,今日ではそれらの国でもすっかり読まれなくなっている。….これじゃ読む気にならないけど,海外のサイトでは結構取り上げられていますね。