旅人たちのピーコート

旅人たちのピーコート講談社文庫の新刊「旅人たちのピーコート」を読む。
ニューヨークで最新のアートシーンを見てやろうと初めてのアメリカ旅行,タヒチでのハイテクUFO研究基地への潜入,おなじみのアジア安宿事情,シバーム沙漠の摩天楼の偉容に息をのみ,アテネで譲り受けたピーコートに旅人達の情を感じる….。蔵前仁一さんの旅行記は久しぶりだが,相変わらず夫人と二人の安い旅を続けながら,決して貧しい感じがせず,旅の苦労も気楽に乗り越えていく。
バックパッカー生活が長い人にありがちな説教臭さがなく,常に前向きなところに好感が持てる。ただ,蔵前さんに限らず,エッセイ文中で家族のことを名前で記しているのを最近よく見かけるのだが,これはどうも不自然な感じがして,私には馴染めない。