フルニエ「グラン・モーヌ」

グラン・モーヌ (岩波文庫)
アラン=フルニエ Alain‐Fournier ALAINFOURNIER
岩波書店
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古書店でよく見かける角川文庫版「モーヌの大将」。この題名では,なにか子供向けの物語かと思われて,いままで手に取ったことがありませんでした。今回,岩波文庫版で出たのを機会に読み始めたところ,背の高い大人びた友人モーヌと,私の少年時代の思い出を綴った素敵な物語で,ヘッセの初期作品やカロッサなど,青春小説好き^^の私にとって嬉しい本であり,一気に読んでしまいました。

この本が普通の青春小説と違うのは,ストーリーにいくつかの謎が置かれていることです。転校生モーヌが道に迷い,潜り込んだ奇妙な城での仮装結婚パーティ。そこで出会った絶世の美女イヴォンヌ。その城への道を見つけることができず,失意のうちにパリへ旅立つモーヌ。パリでの貧しい少女との出会い。婚約者に逃げられ旅芸人に姿を変えながら放浪するイヴォンヌの兄….果たしてモーヌは城とイヴォンヌを見つけることができるのか….パリの貧しい少女の正体は….私に残されたモーヌの手記の秘密とは….物語は,あの城でモーヌとその娘を見つめる私の姿で終わります….。

う~ん,あまり読書欲をそそる紹介ではありませんでしたが,青春小説は単調なり….と思われている方にとくにお薦めします。