ディケンズ「イタリアのおもかげ」

イタリアのおもかげ (岩波文庫)
岩波文庫のディケンズ「イタリアのおもかげ」を読んだ。1844年,32歳のディケンズが家族とともにイタリア各地を周遊し,名所旧跡を訪れた際の紀行文集。
現地の人々の日常生活の姿を詳細に描いていて,とても興味深い本なのだが,なかなか読み通すのに苦労した。訳者のあとがきには,ディケンズの長く複雑な文章が難解で・・・と書かれているものの,それにしても,スッキリと頭に入ってこない。
自分の読解力を棚に上げて申し訳ないが,行きつ戻りつ内容を確かめるのは紀行文にはふさわしくないと思う。この間出たヴァレリーの「精神の危機」の方が,ずっと読みやすかった・・・ということで,イタリア旅行記を気楽に読もうという方にはお薦めしないが,ディケンズ好きの方にはどうぞ,といったところ。