死刑囚最後の1時間

死刑囚最後の一時間 [宝島SUGOI文庫] (宝島SUGOI文庫 A へ 1-44)宝島SUGOI文庫の新刊「死刑囚最後の1時間」は,昨年5月,別冊宝島から出たものの文庫化だ。
タイトルとは異なり,刑に立ち会った検察官や刑場を視察した議員,刑務所で死刑囚と隣り合わせになった受刑者の体験談はあるが,本書のメインは,過去の死刑囚50人の紹介であり,新しい話を期待した向きには,やや残念。資料としては,古い死刑囚の話もあるので,過去の凶悪犯罪に興味のある人の参考にはなるだろう(ただし,全部の死刑囚を網羅しているわけではない)。
タイトルの1時間・・・というのは,死刑囚に死刑が告知される午前9時から実際に執行される10時までを指す。過去は前日までに告知されていたが,自殺事件があったりしたので,現在は当日告知となり,死刑囚はもとより,機密保持のためごく一部の関係者以外は当日まで執行を知らされないという。宅間死刑囚のように,ごく短い期間で執行される例も出てきており,従来のような刑の確定順の執行という原則も変わってきた。
ただ,本書に出てくる死刑囚は,取り乱さず淡々と刑が執行されているが,他の刑務官の記録などを読むと,必ずしもそういう者ばかりではないようだ。