オルメードの騎士(ロペ・デ・ベガ)

オルメードの騎士 (岩波文庫 赤 734-1)スペイン16世紀の劇作家ロペ・デ・ベガは,1日1篇の戯曲を書き,生涯に1800篇のコメディアと400篇の聖体劇を書いたといわれています(現在残されているものだけでも400篇)。同時代のセルバンテスは劇作家の道を目指しながら,ベガの才能に圧倒され,筆を折らざるを得なかったという話も。
ベガの創作の原動力だったのか,派手な恋愛遍歴も知られていて,不倫の末に投獄,追放刑を受けたり,旦那のいる女優とスペイン各地を逃避行。正妻との間に3人,愛人との間に5人の子供がいました。
本書「オルメードの騎士」は,ベガの最高傑作で,50歳代半ばの1620年頃に書かれたもの。一人の美女をめぐる二人の騎士の恋の駆け引きと不幸な結末が描かれていて,これは当時よく知られた実際の事件をもとにしているとのこと。
韻文で書かれた400年前の作品ですから,いくら恋愛スキャンダルものとはいっても,あぁそういう話だったのね・・・といった感じで読み終わってしまいます。まず丁寧な解説を読んで,文学史的な興味がわいてから読み始めたほうがよいかも。