コンサート用双眼鏡を選ぶ

みなさんはコンサートやライブに行く時、双眼鏡を持っていきますか? 最初から最後まで踊りっぱなしだから双眼鏡なんて見てる暇がない、あるいはいつも席が最前近くなので双眼鏡だとアップになりすぎて何見ているかわからなくなる….という場合は確かに不要ですね。しかし、会場が広いアリーナだったり、普通のホールでも1階後列や2階以上の席だったりすると、双眼鏡はなかなか役に立ちます。

実際、コンサート会場で双眼鏡を取り出すと「あー双眼鏡持ってくればよかった」という声が周りから聞こえてくることがあります。ときには「あの人キモい」という声も交じりますが、鑑賞スタイルは自由ですから、周りに迷惑さえかけなければ気にすることはありません。そこで、これからコンサートに行くのだがどんな双眼鏡を買ったらいいんだろう?という方のために、キャンディーズ時代からライブ通いをしている小生が、評判の良い双眼鏡、コンサートの現場でよく見かける双眼鏡を紹介します。具体的なシチュエーションとしては、中野サンプラザまたは渋谷公会堂程度のホールで、1階後列か、2階席以上からステージを見るときにふさわしい双眼鏡という感じです。もちろん、1階席の前方で双眼鏡を使っている人もちらほらといます。何をそんなに見ているのかとは非常に聞きにくいのでよくわかりませんが、まあいろいろ楽しいことがあるのでしょう。

ところで、ハロプロのようなポップスのコンサートだと、よくステージ上のスクリーンにメンバーのアップが映されています。あれ見てるから双眼鏡いらない、と思ってる方もいるでしょう。でも、スクリーンと双眼鏡ではライブ感が全然違います。双眼鏡はガラスを通しているだけなので、あくまで「生」なのです。高性能メガネで視力が格段にアップした感じで、肉眼より細部が見えます。しかし、スクリーンの方は単なる拡大映像ですので、細かいところは見えません。しかも、たくさんメンバーがいると、必ずしも見たいメンバーをいつも映しだしてはくれません。双眼鏡があれば、それぞれのメンバーがどんな小物を身につけているか、どこに汗をかいているか、出番以外でひな壇に座っているときに何をしているのか、すべてバッチリ見えます。これこそ現場のファンならではの楽しみでしょう。

双眼鏡が家にころがっているなら、まずはそれを持って行けばいいのですが、無い場合はヨドバシカメラやビックカメラの売り場に行ってみましょう(家電量販店の中でもさすがにカメラ屋出身の両店は双眼鏡が充実しています)。いろいろ並んでいますが、とりあえずショーケースの上にあるものを片っ端から覗いてみます。売り場内だったらなるべく遠くのポップや値札など小さな文字を見てみるとよいでしょう。もちろん、左右の目のピントは合わせてください(安い機種ではピント調整がないものや左右の視力差が調整できないものがあります)。同じように見える双眼鏡でも、見え具合が相当違うことがわかります。倍率が違えば見える大きさが違いますし、おなじ倍率でも大きな双眼鏡ならずっと明るく見えます。

双眼鏡選びで誰でも一番気にするのは倍率でしょうが、高倍率ほどイイ….ということは全くありません。自分はどうしても2階席からメンバーのヘソのドアップが見たい、だからこの20〜100倍ズームにしよう! 気持ちはわかりますが、その双眼鏡を100倍にして遠くを見てみてください。暗い、ピントが合わない、手ぶれで何見てるのかわからない、そんな感じだと思います。ビデオカメラで撮ったことのある方ならわかるでしょうが、目いっぱいズームしたときの手ぶれはどんなにしっかり構えても止めることはできません。そのため、ビデオカメラには手ぶれ防止装置がついているわけです。一般に10倍を超えると手ぶれで見にくくなり、三脚にのせることが必要と言われます。それにステージ上では動きも激しいので、高倍率ではヘソを追いかけてピントを合わせるだけで大変です。このため、三脚を持ち込めないコンサート会場で適当な倍率は8倍から10倍くらいとなります。この辺なら、肉眼で全体を見て、双眼鏡で各メンの表情や細かい動きを見ることができます。コンサート中はその2つで十分です。

次は明るさです。同じ8倍や10倍でも大きなレンズを使っている双眼鏡はより明るく見えますが、そのぶん双眼鏡自体も大きく重くなり、2時間のコンサート中に手が震えてきたりストラップが肩に食い込んで痛くなったりします。天体観測やバードウォッチングではなく、コンサートのステージの場合は照明があたって明るいので、あまり大きなレンズは必要ありません。ここでは口径20mm以上あれば可としましょう。よってスペックとしては、8X21(8倍でレンズ口径が21mm)とか10X25あたりが候補となります。ちなみに仕様書に書いてあるひとみ径とはほぼ口径÷倍率のことで、10×25なら2.5になります。ひとみ径が2以下では照明があたっているところでも暗すぎて実用的でなく、4以上だとひな壇など照明の影になっているところでもかなり明るく見えます。ほかに視野が広いか狭いかなど、仕様書からでもわかることがありますが、まずは実際に手にしてみるのが一番です。

問題は値段ですが、同じ8倍の双眼鏡でも1000円以下のおもちゃみたいなものから、海外ブランドの20万円以上するものまでピンからキリまであります。あまり安いものは視界が濁った感じでピントが合っているのかどうか分からないなど欠点も多く、実売4000円程度のものならまずまずよく見えると感じるのではないでしょうか。具体的に、以下のモデルなどはコンサートやスポーツ観戦用と謳っているだけに、小型で軽くて視界もクリアです。手軽にバッグの中に入れておけて、構えてもじゃまにならないので、ショップイベントなどのときは、小生もこれを使っています。

 

VIXEN 双眼鏡 アリーナ M10X21
VIXEN
売り上げランキング: 31521

他メーカーからも同程度の双眼鏡が出ています。ニコンやペンタックスがイイという方ならこちらですね。タンクローは昔から値段の割に良いと定評があります。

Nikon 双眼鏡 スプリントIV 8X21 CF メタリックブラック S48X21
ニコン (2004-03-13)
売り上げランキング: 16087

 

PENTAX タンクローR 8×21UCF-R 62209
ペンタックス (2007-07-20)
売り上げランキング: 165

いやいや、そんな小さな双眼鏡じゃなくて、ちゃんと周囲にアピールできるようなものが欲しいというかた。まあ、ハロプロのファミリー席住人は紳士の方々が多いので、その気持ちはわかります。それで価格帯を1万円以上まで上げてみますと、さすがに普及価格のものとは造りが違ってきます。たとえばニコンの人気シリーズ、モナークは2万円台ですが、上記のものと比べて段違いに明るくクリアに見えます。カメラのレンズと同様に、大口径、高品質レンズには悪魔的な魅力があり、つい泥沼にはまることになりますが、あくまでコンサートで使うという目的を忘れず、手持ちが可能かどうかを常に考えましょう。高級で高価なレンズはきりがありませんし、それに凝ると双眼鏡が使いたいからコンサートに行くという境地になりかねません。HGシリーズはニコンの高級ラインで、モナークと交互に見比べれば優位は明らかですが、それに価格差だけの価値があるかどうか、一考する余地があります。

Nikon 双眼鏡 モナーク III 10x42D CF MONA310x42
ニコン (2010-02-19)
売り上げランキング: 15439

 

Nikon 双眼鏡 HG Lシリーズ 8×32HG L DCF
ニコン (2004-11-12)
売り上げランキング: 70799

ニコンの最高機種はEDGシリーズ。20万円近くなります。国産のフラッグシップ機ですから満足度は高いと思いますが、これを首から下げてのフリコピは重さ的にも価格的にもかなり勇気が要りますね。覗いてみれば誰でも違いがわかってしまう光学製品は、最初から最高のものを買うのが後悔しない秘訣、と言われますので、いきなりこれに行く手もあります。

Nikon 双眼鏡 EDG 8X42
Nikon 双眼鏡 EDG 8X42

posted with amazlet at 11.08.21
ニコン (2010-05-28)
売り上げランキング: 164426

これ以上の価格帯は海外有名ブランドとなります。世の中には同じCDを1000枚買ってしまうようなファンもいますから、ライカ、ツアイスやスワロフスキーでなければ….という方もいるのでしょう。良いレンズを使ったものだと25万円以上になります。もちろん、ブランド料だけでなく、造りも立派です。ただし、日本製の高級機とどちらがよく見えるかということについては、いろいろ意見があり、一般に日本製は視界の隅々までクリアに見えるがフラットな画、外国製は周辺部は乱れるが中心部が素晴らしく立体的な画、と言われているようです。昔、カメラでコンタックスを愛用していた自分としては、ツアイスの名前には惹かれますが、幸い高価過ぎて散財せずに済んでいます。外国製に拘りたかったら、ライカの販売で有名なレモン社富士越カメラでも高級双眼鏡を扱っていますので、覗いてみたらいかがでしょうか。

CZ 双眼鏡 Victory 7x42T*FL GREEN
カールツァイス

ところで、さっきから手ぶれを問題にしていますが、カメラやビデオみたいに手ぶれ防止の双眼鏡があれば一番いいのでは? その通りで、手ぶれ防止の双眼鏡もあります。防振双眼鏡と呼ばれていますが、代表的なのは、キヤノンのISシリーズとニコンのスタビライズシリーズで、とくに現在のキヤノンの双眼鏡はすべて防振となっています。どんなに高級な双眼鏡でも手ぶれしたらせっかくの高解像レンズの意味がありませんし、そうかといって客席で三脚を使うわけにもいきませんので、コンサートではこの防振双眼鏡が戦力になります。8倍から18倍までいろいろありますが、1階後列や2階席から使用することを考えると、やはり8〜12倍くらいが適当です。とくに人気があるのはキヤノンの10x30ISで、実売4万円という防振双眼鏡としては価格破壊モデルです。一度ぜひ覗いてみてください。防振スイッチを押したとたん、それまでブルブルと震えていた視界がスッと止まり細部が見えてくる感覚はやみつきになります。防振を別にして普通の双眼鏡としても評価が高く、明るさは十分、600gは手持ちでもそれほど苦になりません。4万円は普通の双眼鏡としては高価ですが、毎月コンサートに行くような方ならすぐに元が取れたと思うでしょう。私はもっぱらこれをコンサート用に用い、星見用にはやや口径の大きい10x42LISを使っています。

Canon 双眼鏡10×30IS 2897A001
Canon 双眼鏡10×30IS 2897A001

posted with amazlet at 12.01.09
キヤノン
売り上げランキング: 5989
Canon 12×36IS II 9332A001
Canon 12×36IS II 9332A001

posted with amazlet at 12.01.09
キヤノン (2004-02-26)
売り上げランキング: 26648
Canon 双眼鏡 10×42 L IS WP
Canon 双眼鏡 10×42 L IS WP

posted with amazlet at 12.02.05
キヤノン (2005-03-05)
売り上げランキング: 14310

双眼鏡のレビューは、アイドル関係の掲示板だけでなく、天体観測やバードウォッチングの掲示板も見てみましょう。とくにバードウォッチングとは共通点があるようでその評価は参考になります。それに毎晩ライブがあるわけではないので、普段は星空や鳥も見てみたいじゃないですか。

以上、ご参考になりましたでしょうか。それでは会場でお会いしましょう!