サーカスの怪人

光文社文庫乱歩全集の続き,「魔法人形」と「サーカスの怪人」を読む。「サーカスの怪人」では,怪人二十面相の生い立ちが明かとなり,本名は遠藤平吉,元グランドサーカス団の団員で,団長の座を笠原太郎と争って破れ,サーカス団を去ったことになっている。本作はその復讐譚で,骸骨男に化けて笠原団長やその子供たちを襲うものの,明智探偵や少年探偵団の活躍により捕まってしまう。北村 想「怪人二十面相・伝」(ハヤカワ文庫)など,二十面相は複数人いたという説もあり,乱歩の戦略にしろ思いつきにしろ,二十面相ファンには興味深い作品。