ベトナム怪人紀行

ベトナム怪人紀行 (角川文庫)
ゲッツ板谷 鴨志田 穣
角川書店
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角川文庫の新刊「ベトナム怪人紀行」(ゲッツ板谷ほか)を読む。「2年前,オレはベトナムに完敗した・・・」。苦い思い出を胸に,ゲッツ板谷とカメラマン鴨志田,なんとなく弱気な現地コーディネーター鈴木の3人が,ベトナム各地で大暴れ(前作はベトナム乱暴紀行)。不味い食事とサービスのかけらもないホテル,貧しいが意地っ張りでプライドの高いベトナムの人々。やる気のないだら~んとした空気の中に,なぜか常に漂っている哀愁。同じ民族同士で激しく戦った北ベトナム,南ベトナム,ベトコンの兵士たちも,いまは歳をとり,ともに市中で生活している。しかし,乱暴なインタビューで彼らの重い口を開けさせると,そこにはまだフランス植民地時代からつづく戦争の傷跡が色濃く残っており,いつもは傍若無人なゲッツ板谷も,さすがにシュンとする場面あり。