岡本綺堂随筆集

岡本綺堂随筆集 (岩波文庫 緑 26-3)今年はインフルエンザが流行しそうだとのこと。
インフルエンザといえば,岩波文庫の新刊「岡本綺堂随筆集」に明治時代のインフルエンザの話があって,それによると,インフルエンザが初めて流行ったのは明治23~24年にかけて。当時はインフルエンザとは呼ばず,普通はお染風と言っていた。江戸時代にインフルエンザに似た感冒が大流行し,それに誰かがお染という名を付けたのが由来で,お染が久松に惚れたように,すぐに感染するという謎なのだ。
病がお染であるから,これに取り憑かれる患者は久松でなければならないということで,お染の乱入を防ぐために,明治23,4年の東京では,家の軒に「久松留守」との紙札を貼り付けることが流行した。なかには「お染御免」などという札もあったらしい。
本書は,このような明治末期から昭和初期における東京の日常生活のつれづれや,各地の旅の印象を,「半七捕物帳」で知られる岡本綺堂が,淡々としながらも,どこか粋で男の色気が感じられる文章で綴ったもの。さすがに巧いものだなぁと感心しつつ,楽しめる本。

コメント

  1. こんにちは!お染めが久松に惚れたことから、インフルエンザをお染め風邪というのは、本当におもしろいですね。誰かに言いたくなってきました…(笑

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