日本の酒(坂口謹一郎)

日本の酒 (岩波文庫 青 945-1)昭和40年代に「世界の酒」とともに岩波新書(青版)で出ていた「日本の酒」(坂口謹一郎)が,このたび岩波文庫に入りました。
日本酒にはあまり強くない私ですが,本書は微生物学者である著者が,酒造りの歴史やメカニズム,流通,味覚の秘密などを科学的な視点を交えて語っており,大変楽しく読むことができました。
とくに酒造りのプロセスについては,豊富な写真とともに詳しく書かれているほか,酒造りに果たすカビや火入れの役割など,専門家の立場からのわかりやすい解説もあり,単なる蘊蓄本とは違って勉強になります。なお,基本的には新書のままですが,一部のデータはアップデートされています。
ちなみに著者は歌人としても知られ,上越市には『香り高き楽縫庵と酒づくりの里「坂口記念館」』があります。「うま酒は  うましともなく飲むうちに 酔ひてののちも 口のさやけき」 なるほど,後味すっきりですね。
※なんか,最近岩波のサイトの新刊紹介文がヘンですね。