若い芸術家の肖像(ジョイス)


暑いですね。と言っても涼しくなるわけではありませんが,遅ればせながら岩波文庫「若い芸術家の肖像」(ジョイス)を読んでいます。なんとなく,この暑さでフラフラとして眩暈がしそうな感じとジョイスは似合う気がして。自虐的なだけかもしれません。
本書は少年時代,青年時代の著者の生活や思想を自由に描いたもので,出版は1916年だから,このときジョイスは30代半ばですな。時代をおって書かれているものの,外面的な出来事より内面的な苦悩,葛藤が率直に綴られており,流されるままに一気に読み終えることができます。まあ,下世話な話もあって,単に物語として面白いということもあるのですが。
本書は「若い芸術家の肖像」(丸谷才一訳)として新潮文庫からも出ています。