万治絵入本伊曾保物語

いやいや,ホントに寒いですね。当地でもいよいよ朝は氷点下となりました。

岩波文庫の最新刊「万治絵入本伊曾保物語」は,併載されている「絵入教訓近道」が面白かった。これは,1844年,おなじみ為永春水作,歌川貞重画として刊行されたもの。イソップ物語をもとにして,『ご禁制の切支丹物である伊曾保物語との関係を隠蔽する気遣い』により,中国ネタを加えたり,龍を河童に置き換えたりした結果,和洋折衷の不思議な味わいがあります。もちろん,本文も万治本より格段に読みやすくなっています。

本書の丁寧な解説によると,イソップ関係の文庫本として重要なのは,岩波文庫の他,明治44年十銭文庫「万治旧版伊曾保物語」,昭和46年角川文庫「エソポ物語」(国字本を併載)とのこと。十銭文庫というのはいくつか出ていると思うのですが,この大川屋書店の十銭文庫というのは、どのようなものなのでしょうか?

万治絵入本 伊曾保物語 (岩波文庫)