浄瑠璃素人講釈(下)

浄瑠璃素人講釈〈下〉岩波文庫の新刊 「浄瑠璃素人講釈(下)」を読む。相変わらず痛快な本である。と書いて岩波のページを見たら, やはり『摂津大掾・大隅太夫・絃阿弥らの描写は誠に巧みで,文章は痛快です』とある。気が合うな。
著者は,普段稽古をつけて貰っている当代の名人に対して,言いたい放題,叱り放題である。 これは素人(しかもお大尽)の強みだ。なおかつその批評は, 現代の公演で解説として使われているほど的確である。芸道を愛し,伝統の衰微を憂う, こういった批評家は貴重な存在だが,あいにく専門家揃いの現代において,どんな分野であってもそれを望むのは難しい。