2004年4月

4月27~30日

友情について (岩波文庫)連休中もカレンダー通りということで,若干空いている電車の中で岩波文庫の新刊「友情について」(キケロ)を読みました。
岩波文庫としては60数年ぶりの新訳で,大変読みやすく,巻末の訳注も丁寧ですが,訳注に番号が振られていないので,
本文を読みながら探すときにやや戸惑うところがありました。

 

4月26日

衛星放送でパレスチナ問題の特集をみました。その辺りをやさしく説明できるような地図はないか?と書店に行ったら,新刊
「なるほど世界知図帳」(昭文社)があり,パラパラと読んでみると,これがなかなか面白い。普通の世界地図帳と違い,アテネオリンピック,
メジャーリーグ,サッカー,イラク戦争など,47テーマを取り上げ,カラフルな地図で解説。もちろん,
そういうビジュアルものなら他にもたくさんあるわけですが,本書は普通の地図部分にも工夫があり,
とにかく目がくらくらするほど情報量が多い。子供と「地名探し」をするのにも役立ちそうなので,1600円は結構お得と感じた次第。

 

4月21~25日

サクサクさーくる (角川文庫)連休前でちょっとバタバタしています。だいぶ古い本(1990~93年)になりますが,角川文庫「さくさくサークル」(西原理恵子)
を読みました。竹書房の連載が白夜書房によって単行本化,そして角川文庫へ流れてきたもの。内容は,初心者サイバラが麻雀プロ,作家,
タレントなど豪華ゲスト陣に挑戦するという山崎一夫の麻雀日記ですが,実際は文庫化されて読むのが大変なサイバラ氏の絵がメイン。
最近実戦を打っていない私,麻雀を知らない人,どなたでも楽しめます。

 

4月19~20日

ムッシュー・テスト (岩波文庫)岩波文庫の新刊「ムッシュー・テスト」(ヴァレリー)と「肝っ玉おっ母とその子どもたち」(ブレヒト)を読む。「ムッシュー・テスト」
は,小林秀雄の訳で広く読まれてきたが,今回は『翻訳にありがちな片カナ語依存をほとんどなさず,流麗な日本語文に移しえた清水徹氏の新訳』
とのことで期待。だが一読してスッキリ頭に入ってこない。だいぶ呆けたかなぁと思いつつ,ブレヒトの反戦劇に移り,
こちらは大変面白く読んだ。いや,面白くというのは少々不謹慎。17世紀の30年戦争を舞台に,女野戦酒保商人「肝っ玉おっ母」が,
息子や娘とともに幌車に食料,酒,衣料など積み込み,軍隊と共に戦場を転々としつつ,逞しく生きる姿を描いたもの。平和では商売あがったり,
と言いつつも,戦争の犠牲となった3人の子供たちのそれぞれの死に揺れる母親の気持ちが巧みに描かれています。

 

4月16~18日

いやいや初夏のような暑さになりましたね。わが家の近く,16日に新装なった江ノ島水族館にさっそく行きました。
今までレトロな雰囲気が持ち味と言えなくもなかった江ノ島水族館でしたが,大水槽や全天候型になったイルカのショーなど,全面的に改築し,
一気に近代的な設備に入れ替わりました。なによりも海と一体化したような開放感が心地よく,機会がありましたらぜひおいでください。
話題の海洋堂オリジナルフィギュア18種も大人気でした。その間,江戸川乱歩の続きで,「宇宙怪人」を読みましたが,ここまでくると,
話について行くのが辛く,全集読破の意気込みがなければ,途中で投げ出していまうところでした。

 

4月15日

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)ちくま文庫「クラウド・コレクター」は本文2色刷で,なかなか雰囲気のある本。お話しも工夫が凝らされており,
自分でもこういう独自の世界を作り上げてみたいなぁと空想を膨らませる人も多いのではないかしら。

 

4月13~14日

光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「透明怪人」を購入。透明怪人,怪奇四十面相,宇宙怪人,畸形の天女,女妖を収録。そのうち,
まず透明怪人,怪奇四十面相の少年探偵物2篇を読む。「透明怪人」で得意な変装と黒魔術を見破られ逮捕された怪人二十面相は,獄中から
「今後は四十面相と改名」などと間抜けな発表をし,性懲りもなく「怪奇四十面相」で黄金どくろの暗号を解読するも,
結局は明智探偵に取り押さえられる。いずれも,それはないだろう!という荒唐無稽な展開とトリックが懐かしい。子供に読んでやりたい本。

 

4月12日

クラフト・エヴィング商會の「すぐそこの遠い場所」と「クラウド・コレクター」が,ちくま文庫の新刊として出た。『クラフト・
エヴィング商会の先代,吉田伝次郎が遺した10冊の手帳。それは「アゾット行商旅日記」なる旅行の記録だった。この日記をもとに,
様々な架空の「おみやげ」を加え,すぐそこの遠い場所・アゾットを再構成する。「すぐそこの・・・」は,それを解読するための
「アゾット事典」。伝次郎の孫であり,現在のクラフト・エヴィング商会の主人が,書棚の隅から,この不思議な書物を見つけてきた。
遊星オペラ劇場,星屑膏薬,夕方だけに走る小さな列車,エコー・ハンティング,ガルガンチュワの涙という蒸留酒,雲母でできた本,
忘却事象閲覧塔・・・。アゾットには,謂れも始まりもわからないたくさんの事や物がつまっている。茫洋とした霧のなかにあるかのような,
なつかしい場所アゾットの,永遠に未完の事典。』 これで,何か分かりましたか? どこまでが空想でどこまでが現実なのか。
緻密に計算されているような気がしつつ,ふわふわと気持ちよく流されていく。お話しだけでなく,
文庫化にあたり再構成された紙面のデザインも凝っているので,眺めているだけで楽しい本。

 

4月8~11日

角川文庫の1月刊,西原理恵子「できるかなリターンズ」をようやく読む。ロボット相撲大会への挑戦やカンボジア,
サハリンなど元ダンナ(となった)鴨志田氏との鳥頭紀行,自衛隊体験入隊がメイン。文庫本にしてしまうと絵がものすごくゴチャゴチャして,
老眼の人には絶対読めないものとなってしまった。鴨志田氏の壊れ様や離婚の顛末と,サイバラ氏自らの身体を張ったギャグは凄みがある。
巻末のほのぼのマンガも含めて,いろいろな意味で泣かせられる本だ。

 

4月7日

長年愛用してきた腕時計(機械式自動巻)が不調となり,ピンチヒッターとしてやってきたのが,対極の?電波時計。
光発電で電池交換は要らず,黙っていてもピタリと自分で時刻あわせをしてくれるという優れものだが,「何もやることがない」というのは,
なんとも手持ちぶさた。いままでは,2日も腕から外しておくと当然止まってしまったし,日差10秒程だとしても,
数日に一回は時刻あわせをしていたのだから。今の腕時計に必要なのは,常に腕に付けてゼンマイを巻き上げておくことではなく,
むしろ腕から外してよく日光に当てること,なんですと。