JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!

真剣な悪口というのは本になっても,気楽な悪口というのはなかなか本にならない。それは文学でも音楽でも一緒だ。JAZZの熟達した聴き手による井戸端会議「JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!」(寺島靖国・ 安原 顕,講談社+アルファ新書)は,1950年頃に活躍したジャズの大御所たちを,過去の名声ではなく,あくまで今日の視点で再評価をしようというもの。
『コールマンが1960年代に現れた時,ジャズ界,賛否両論,もの凄くかまびすしかった。40年後の今日,われわれ2人は決着をつけました。ダメ。バツ。』 新人重視の寺島氏と前衛好きの安原氏であるから,当然こきおろしが多くなるのだが,それゆえプレーヤーごとの特徴がよくわかって,初心者でも楽しめる。「スーパー編集者」として,本や映画のガイドでもおなじみの安原氏は,寺島氏の博学に感心しながらも,相変わらずの毒舌振りだ。