2001年6月

6月27~30日

梅雨はどこへ行ってしまったのでしょうか? 毎日暑い日が続いていますね。息子はプールが待ちきれないので,
狭いバスルームに浮き輪を持ち込み,バタバタやっています。九州の方より,「母は今年で90才になる戦争未亡人で自分の兄のことが,
出ている本を探しています。キーワードは,1)発行は昭和21~26年,2)文庫サイズ,3)紙質は当時教科書にも使われていたザラ紙,4)
作者は多分,従軍記者で米国人,5)内容は硫黄島の攻防を描いたもの,という程度で探す方法があるでしょうか。
もしあれば探してあげたいと思っています。」というメールが届きました。なかなか難しそうですが,お心当たりの方はご連絡下さい。

 

6月26日

凸版印刷の印博ページは,
印刷の歴史や手法が簡単にまとめられています。おなじみ百万塔陀羅尼もありますが,疱瘡絵とか麻疹絵って,知ってました?
あと東京カフェマニアも美しくリニューアル。

 

6月25日

岩波文庫新刊のサン=シモンがなかなか面白い。名前はよく知られているが,本書のあとがきによると,サン=シモンの邦訳は少なく,
文庫本では終戦直後の世界古典文庫に収録されているだけだという。フランス革命の時代にあって,貴族階級に代わり,産業者(農業,工業,
商業のほか,金融や芸術など,生産に関わる者すべてを含む)が社会の主力になるべきとし,そのためには暴力ではなく,
人と人との信用に基づく欧州共同体を作り上げ,産業界,科学者,芸術家などが指導者として産業発展につくすべし,と訴えている。

今月の岩波文庫復刊では,「古語拾遺」に注目。『老翁広成には何としても言い残さなくては死ねぬと思い定めたことがあった。
斎部氏と中臣氏の携ってきた祭祀がいつしか中臣氏に集中している憤懣である。幸い平城天皇の召問を機に,国史・氏族伝承に基づきそれを
「古語の遺りたるを拾ふ」と題して撰上した。時に大同2(807)年。記紀にない記載も含み研究史上多くの示唆に富む 』(岩波書店による)
 1985年版。

 

6月25日

岩波文庫の新刊「福沢諭吉の哲学」(丸山真男)を読む。私の丸山真男体験と言えば,岩波新書の「『文明論之概略』を読む」,
「日本の思想」くらい。これじゃいかんので,市民のための丸山真男ホームページも見る。
我々の世代は,丸山真男を戦後日本精神の柱とする旧世代の感覚がよくわからないので,これは参考になった。しかし,
岸信介内閣の安保強行採決には反対した丸山が,全共闘系学生による東大法学部封鎖のときには,
「このような愚挙はナチスも軍国主義者もやらなかった」と憤ったという話を知っても,それを誰に語ればいいのやら….。

 

6月20~24日

ハッキリしない天気が続いていますが,どうにか元気で頑張っています。雑誌「POPEYE」は創刊25周年とのことで,最新号には,
創刊号の復刻版が別冊付録でついています。これは面白い。25年前,私は高校生でした。まあ,POPEYEより,
GOROの方をよく読んでいた気がします。あか抜けない学生だったんですな….。

紫陽花のシーズンということで,当地の名所,鎌倉の明月院など行こうと思ったら,
カミサンはそこいらの紫陽花でも見ておけばいいじゃないと言う。まあ,この時期,紫陽花寺は,押すな押すなの大混雑で,
ひとつ紫陽花でも愛でて….という優雅さとはほど遠いことは確かだが。それでも,雨上がりの早朝など,なかなか良いのですね。

 

6月19日

「アレクサンドロス大王東征記」を読んでいます。上巻は一応,5月の新刊となっていますが,6月15日の刊行です。
私のような歴史知らずの人間にもわかりやすい訳者まえがきが○。訳文も平易で,耳慣れない地名人名におぼれそうになりながらも,
快調に読み進んでいます。当然ながら,たくさんの注釈がつけられており,その内容も読みでがあるのですが,巻末にまとめられている注を,
いちいち参照するのは電車読書人にとっては至難の業。各ページに置いてくれればなぁ。

 

6月18日

岩波文庫今月の新刊で,「アレクサンドロス大王東征記 上,下」が出るようですね。まだ現物は見ていませんが….。新刊はほかに,
「産業者の教理問答 他1篇」(サン=シモン),「福沢諭吉の哲学 他6篇」(丸山眞男編),「歴史序説 1」(イブン=ハルドゥーン)。
サン・シモンはフランスの空想社会主義者。フランス大革命を,貴族,ブルジョアジー,無産者の対立である階級闘争とし,
経済が政治の基礎が経済にあると考えるなど,科学的社会主義の先駆けとなりました。また,イブン・ハルドゥーン(1332~1406)は,
イスラム世界最高の歴史哲学者として有名。チュニス出身で法学を学び,政治家となり若くして北アフリカのハフス朝の高官となりましたが,
妬まれて各地を転々としたり投獄されるなど波乱の半生を過ごし,43歳で政界を引退。「歴史序説」を執筆し,遊牧民と定住民との関係・
交渉を中心に,王朝興亡の歴史に法則性があることを論じました。50歳の時エジプトに移住し,マムルーク朝に仕えてカイロの大法官となり,
その後カイロで没。

 

6月16~17日

土曜日は先週に引き続いて東京ディズニーランドへ。新しい夜のパレードは,なかなか綺麗….だが,
パレード終了後の人混みはすごく,待ち合わせのバス停まで,たどり着くことが出来なかった。ちなみに,
ディズニーランドではPHSは使えないので,携帯をお忘れなきよう。翌日,日曜日は天気が良かったので,近くの海へ。
ほとんど夏のような賑わい。砂が熱くて,裸足では立っていられない。まあ,子供をだしに使った目の保養といった感もあるが^^;;。

 

6月15日

講談社文庫から「墜落遺体-御巣鷹山の日航機123便」が出た。数年前,元本を読んだ際にも涙,涙だったが,
事故から16年が経った今,あらためて読み返してみて,あの事故が人々にどれだけの衝撃を与えたかがよくわかる。
著者の飯塚 訓氏は,当時高崎署の刑事官で,身元確認班の担当。本書は520人,全遺体の身元確認までの127日を描いた記録で,
警察官だけではなく,身元確認に当たった医師や看護婦が,極限状態の中で,何を感じ,何を思ったのかが克明に記されている。
外国人の犠牲者の家族が,遺体の発見,引き取りにはこだわらなかったことも書かれているが,
このような事態に急ごしらえの陣容で捜査に当たらなくてはならなかった著者の苦労,早期の遺体引き渡しを目指しつつ,
誤認を防ぐために最善の努力を尽くした関係者の姿が心を打つ。

 

6月13~14日

雨が降り続いています。宮脇俊三「時刻表2万キロ」が出たのは,1978年。
ちょうど私が大学に入ったばかりの時で,大いに影響を受け,まず北海道から全線制覇を果たすべく,
休みのたびに夜行列車を乗り継いでは,路線図を塗りつぶしていた。現在,その多くは廃線となったが,宮脇氏の本は,
新刊が出るたびに読み続けてきた。その宮脇氏も,75歳とのこと。最近は,
多忙な業務の合間を縫っての強行軍が無くなったかわりに,海外の豪華列車や名所旧跡を訪ねる紀行が多くなったのは,ちと寂しい。
今月文庫化された「豪華列車はケープタウン行」は,やはりそんな旅の記録で,11年ぶりの台湾鉄道一周を目指す「台湾一周,
全線開通」,すっかり落ち着きを取り戻した「ヴェトナム縦断列車,二泊三日」,世界最高の豪華列車を訪ねる
「豪華列車はケープタウン行」,ほとんど飛行機旅のパックツアーに参加した「ブラジル・ツアー日誌」,
豪華さではこっちの方が上か「マレー半島のE&O急行」,の5篇を収める。
相変わらず地味だけれど見事な文章だなぁと感心する一方,いよいよ行くべきところがなくなってきたなと思うと,
ちょっと悲しくもある。それでも,台湾の太魯閣峡では『もう一度訪れたいし,明円君(同行した編集者)にも見せたいのだが,
前回も今回も鉄道で台湾を一周するだけ,と決めているので,観光はしない』,
ケープタウンでは列車一両の3分の2を占めるスイート個室に陣取り『日本は午後9時である。夕方のラッシュ時は過ぎたが,
まだ電車は混雑しているだろう。この時刻に世界の55億の人口のうち,どれだけの人が鉄道に乗っているのか計りかねるが,
私たち二人が頂点にいることはたしかだ』など,まだまだ意気軒昂なところもみられて嬉しくなる。

 

6月12日

観光地に行くと,たいてい置いてある,武将やお姫様の顔の部分だけくりぬいてあって,そこから顔を出して記念写真を撮る,あの看板。
なんて呼んでいますか? なんとなく,顔出し看板かな?と思っていたのですが,「顔ハメ」と呼ぶのがポピュラーらしい。ということを,
新潮OH文庫の新刊「全日本顔ハメ紀行―記念撮影パネルの傑作88カ所めぐり」(いぢち ひろゆき)で知りました。これは,
タイトル通り各地のユニークな顔ハメ看板を集めたもので,立派なものから,情けないものまで,著者の脱力系コメントもなかなか笑わせます。

 

6月11日

コーヒー好きなので,一日何杯も飲んでいます。そこで,いま話題の小学館文庫新刊「スターバックス・マニアックス」を読みました。
私など,初めて行ったときに,どうやって注文したらよいのか,見当がつかず,カフェオレのラージなどと妙なことを口走っておりましたが,
これを読めばもう安心^^;;。ちなみにスタバに関する親切なホームページもいろいろあり,「おどおどしないスターバックスのお作法」
など勉強になります。まあ,たかがコーヒー屋に客が気を遣ってどうする,といった感もありますが。

 

6月5~10日

関東地方も梅雨入り以来,鬱陶しい日々が続いています。先週は,全く余裕がなかったため,読書の方もあまり捗りませんでしたが,
岩波文庫ベルグソンの新訳「時間と自由」をぼちぼち読みはじめました。旧版(服部訳)は1937年刊だから,60数年ぶりの改訳ですね。
『自由を主題とするこの学位論文は,原題を「意識に直接与えられたものについての試論」という。全てを持続の相の下に眺める,
というベルクソンの哲学の基本構想は,深い直観的洞察に裏打ちされた本論文において初めて確立され,絶対形而上学への新たな道を切り開いた。
』….いうことです。私にとっては,アキレウスと亀しか思い浮かばない….。岩波文庫で現在手に入るベルグソンは,「創造的進化」,
「笑い」,「思想と動くもの」の3点。「道徳と宗教の二源泉」と「物質と記憶」は品切れ。ちなみに,週末には,リフレッシュすべく,
ディズニーランドでぶらぶらしてきましたが,帰りは子供が寝てしまい,ひぃひぃいいながら帰ってきました。

 

6月4日

先月,今月の岩波文庫新刊「アレクサンドロス東征記(上下)」が,まだ出ていません。
ホームページにも刊行遅延のインフォメーションはないようです。これが一番読みたかったのにぃ。

 

6月1~3日

いよいよ6月。週末は天気に恵まれたので,近くの公園に行ったり,床屋に行ったりと,久しぶりにのんびり過ごしました。
岩波文庫新刊の「今昔物語集」(本朝部)をずっと読んでいたのですが,手軽で読みやすくはあっても,面白いものではありませんな。そこで,
本書の一部をインターネットで公開している京大のヴァーチャル図書館を見に行きました。いろいろな稀覯書の書影を見ることが出来て,
これはなかなか勉強している気分になりました。