2000年9月

9月27~30日

さて仕事の方は先日の代休などもあって,4連休。といっても,ディズニーランドなど近場で過ごしていました。ディズニーランドの新しいアトラクション「プーさんのハニーハント」は,相変わらず2時間以上待ちでしたが,とりあえずちゃんと動いていました(ファストパスを利用して2回乗りました^^;;)。クマのプーさんについては,「クマのプーさん」(石井桃子訳,岩波少年文庫1957),「プー横丁にたった家」(同1958)を。

作者のミルン(A.A.Milne)は,1882年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学卒業後,「パンチ」誌の副編集長に就くが,第1次世界大戦でフランスに出征し,病気により帰国。その後執筆生活に入り,息子のクリストファー・ロビンのために童謡,童話を創るようになり,1926年に「クマのプーさん」(Winnie-the-Pooh)を出版。1956年に72歳で亡くなっています。そうそう,ユーモア溢れる長篇推理「赤い館の秘密」(創元推理・旺文社・角川文庫)も有名ですね。

9月25~26日

岩波文庫9月新刊「下谷叢話」(永井荷風)は,以前全集で読んだときから,たいへん情感溢れる素敵な作品だと思っていました。『絶対の存在であった文学上の師鴎外の死に続き,「わが青春の夢もまた消えにけり」という痛恨事,関東大震災が荷風を襲った。翌年,45歳の荷風は,幼い一時期を過ごした下谷の家,そこに住んだ母方の祖父鷲津毅堂やその周辺の,時代の潮流に超然と生きた幕末維新の漢詩壇の人々を,大きな共感をもって描く。』 

9月24日

岩波文庫在庫僅少書目一覧を作成しました。副題は,「まもなく品切れ-書店へ急げ!」です。上下続き本の中には,すでに上巻が品切れとなっているものもあります。書店で手に入りにくい場合は岩波書店のオンライン通信販売をご利用下さい。

9月21~23日

重版された岩波文庫「ハインリヒ・ベル短篇集」。『戦争という苛酷な運命にまきこまれた人々の人生はいかに踏みにじられていったのか。また,戦争は,人々の現在の生活や心の中にいかに深い傷跡を残すものか。第2次大戦での従軍体験をもとに戦争とその後遺症を描いた初期短篇を中心とする20篇を精選(うち本邦初訳13篇)。諷刺とユーモアに満ちたベル(1917-85)珠玉の短篇集』とのことで,12年ほど前に刊行されたものですが,内容はあまり記憶になかったので,ちょっと読み返してみました。

9月20日

岩波文庫「増補 俳諧歳時記栞草」(曲亭馬琴)を読む。馬琴が1803年に編纂した「俳諧歳時記」を,藍亭青藍が整理,追補したもの。オリジナルの「俳諧歳時記」に対し,植物,動物関係の季題を大幅に充実し,月別・いろは順に並び替えている。一見古めかしいが意外に読みやすく,とにかくあっちこっちの文献から故事由来を引っ張り出してきていて,ものを知らないことにかけては自信がある私としては,大変楽しく勉強になった。

9月19日

まだ8月の岩波文庫新刊を読んでいるのですが,「随筆集 団扇の画」(柴田宵曲著,小出昌洋編)はなかなか面白かった。紹介文によると『決して声高に語ることのなかった柴田宵曲(1897-1966)の文章には,常に節度と品格が湛えられている。その未刊随筆の中からテーマ別に選出・編集。とりわけ,宵曲が心酔し,その精神形成を培った隠逸の先人たちを偲んで綴った文章は,アカデミズムの世界とは一線を画した古き良き趣味人たちの面影を髣髴させてやまない』とのこと。ちなみに昨年出た同じ編者による「増補 新橋の狸先生」(森 銑三著)は,残部僅少とのこと。急ぎましょう。

9月18日

PHP文庫の新刊「千字寄席」(立川志の輔監修)を読む。江戸明治期の名作傑作落語250席の粗筋を,各々1000字でまとめた「噺がわかる落語笑事典」。各噺ごとに,粗筋,原話(その噺の起源),鍵語(登場する食べ物,人物,地名など),得意とした噺家,こぼれ話,出てくる面白いギャグなど,なかなかうまくまとめられていて,やっぱりオリジナルを読みたく(聴きたく)なります^^。各噺が粋,艶,熟,笑,落の各分野で5段階評価されているのも便利。

9月17日

森村誠一「平家物語」。以前新書版で出ていたものですね。今回,分厚い文庫本で出ましたが,読んだ方いますか。わたしはとても読む自信がないです^^;;。

9月16日

香港の本屋さん事情をみると,香港では本のディスカウントがあるんですね。

9月13~15日

行ってきました,青森へ。いや~,暑かった。留守の間,ウチの方は大雨と落雷で大変だったようで,カミサンなど妹宅へ非難していたとのこと。

9月12日

週末まで青森大学に出張しています。

9月11日

職場で不幸があり,ちょっとバタバタしておりました。bk1では,がんばれ平凡社!キャンペーン実施中。スタッフの安藤氏「先日,僕らの大好きな雑誌『太陽』が経営的な理由で休刊するという報せが届いた。その鮮やかな写真に彩られた特集は毎号圧巻だった。往来堂書店で働いていた頃,『太陽』は単価が高くてよく売れるドル箱雑誌で,常に売上に貢献してくれた。また「新刊が欲しい」と無理を言えば営業の福田氏はすぐ納品してくれた。いまでも感謝している。僕がbk1に移ってからも,平凡社・宣伝部の緒方氏は足繁く営業に来てくださる。いつも面白そうな企画をたくさん持って。だからこんないい出版社は,僕ら書店が盛り立てなくちゃ。そんな思いを込めてこのキャンペーンを企画しました。bk1スタッフ全員が応援してますよ。平凡社さん!」

9月9~10日

岩波国語辞典(第6版)が11月17日発売になります。今回は,ヨコ組版も登場。タテ組が1404頁で,ヨコ組が1480頁だから,やはりヨコ組にするとちょっと増えるのね(値段は同じ)。ちなみに岩波書店推奨の略称は「岩国」らしい。私の周りでそう呼んでいる人はいないけれど。

9月8日

河出文庫で「夢のかたち-言葉の標本函」(澁澤龍彦編)なんていうのが出たけど,これは前に出ていた「澁澤龍彦コレクション」を改題したものなんですね。古今東西の文学作品や名著の中から〈夢〉というテーマで数々の文章を採集し,自由な断章として編まれたもの。280pで750円とはなかなかよいお値段。

9月7日

婦人雑誌の新年号といえば,家計簿を始め分厚い付録でパンパン。子供の頃我が家でも,普段は買わない主婦の友などを新年号だけは買っていた記憶があります。時代が進んで,主婦と生活社「新春すてきな奥さん2001年版」。今年の目玉は「5大付録・3大プレゼント・CD付き」とのこと。 やっぱり家計簿CDかな? ちなみに主婦と生活社では,「わたしたちの皇室」という季刊誌も出しているんですね。

9月3~6日

日本滞在日記―1804‐1805 (岩波文庫)
岩波文庫新刊「日本滞在記」を読む。最近まで刊行を禁じられていたロシア全権大使レザノフの鎖国日本・長崎滞在記。一向に進まぬ交渉に苛立ちながらも,ねばり強く交渉に当たったレザノフの詳細な記録は,当時の日本側役人の言動を生き生きと伝えるとともに,とくに直接対峙した若き通詞たちの仕事ぶりに目を見張らせる。

※1804年9月6日,ロシア皇帝アレキサンドル一世より対日通商条約締結を目的とし全権大使として派遣された国務顧問レザノフが長崎に入港した。レザノフはオランダ商館長ドゥーフらを介して対日交渉に臨み,幕府目付遠山景晋と会見するも,通商を認めぬ旨の諭書が渡され,5ヶ月余りの滞在ののち帰国した。その後,さらに通商を求めるべく,北海道の沿岸を攻撃,日本側もそれに対し北方防備のため,間宮林蔵を初めとする調査隊を樺太に送るなどの事態となった。レザノフは首都ペテルスブルグに赴く途中,シベリアのクラスノヤルスクで病没した。

9月2日

「電子文庫パブリ」が9月1日オープン。大手出版社8社で結成する「電子文庫出版社会」が運営する電子本販売サイト「電子文庫パブリ」が,約1000点の品揃えでオープンした。出版社が手掛ける初の本格的な電子書店だが,ファイルフォーマットや対象商品などには著作権管理や表示品質,オンライン出版への期待度など各社独自の考え方が表れている。今後,年内には規約をまとめ,他出版社にも参加を呼びかける。(文化通信)

9月1日

ここのところ,各社文庫において,めぼしい海外文学が現れず寂しかった。しかし今月は,コンラッド「ロード・ジム」(講談社文芸文庫)が出る。新潮文庫版が絶版になって以来,久しぶりの登場だ。かつて,ビクター・フレミング監督作をはじめ,3度映画化された名篇。不運な海難事故に遭遇し,悪徳船長とともに,数百人の乗客を見捨てて脱出してしまった船乗りジム。海難審判にあって,卑劣な行為だと世界中の人々から非難されたジムのその後は・・・・。「新潮文庫の100冊」の変遷によると,ロード・ジムがそれに選ばれたのは1965年のこと。ちなみに,英文ではWebにて全文が読めます。