11月の岩波文庫新刊

11月の岩波文庫新刊(11月16日発売)

艶笑滑稽譚 第一輯――贖い能う罪 他 (岩波文庫 第1回)
■艶笑滑稽譚 第一輯 贖い能う罪 他(バルザック/石井晴一訳)
「未来に於ける私の最高の栄誉」となる作品とバルザックが自負した『艶笑滑稽譚』。社会・風俗への諷刺をこめた、エロティックで大らかな笑いの世界は、文豪の隠れた名作として愛されてきた。ヨーロッパ伝統の滑稽話の形式とラブレー等の語彙を借りた原文の古めかしい味わいを、流麗な日本語に移し替える。図版多数。(全3冊)
内乱――パルサリア(上) (岩波文庫)
■内乱――パルサリア(上)(ルーカーヌス/大西英文訳)
ローマ帝政初期〈白銀時代〉の詩人ルーカーヌス(39―65)は、皇帝ネロの不興を買い、若くして自決を命じられた。『内乱(パルサリア)』は前1世紀半ばのローマの内乱に取材した歴史叙事詩の雄編である。燃えるように激しいアイロニーとパラドックスに満ちたパトスあふれる筆致でローマの衰退を描く。本邦初訳。(全2冊)
日本近代短篇小説選 大正篇 (岩波文庫)
■日本近代短篇小説選 大正篇(紅野敏郎ほか編)
「親愛なる椎の若葉よ、君の光りの幾部分かを僕に恵め」(葛西善三)。どぎつく、ものうく、無作為ででまた超技巧的――小説の百花繚乱と咲き乱れた時代は、関東大震災とその後の混迷を迎える。大正期に発表された、芥川竜之介・川端康成・菊池寛らの16篇を収録。(全6冊)
偶然性の問題 (岩波文庫)
■偶然性の問題(九鬼周造)
あらゆる事象はゆくりないめぐり逢いであり、その邂逅の源泉に原始偶然が厳存する――。古今東西にわたる驚嘆すべき文献的研究と実質的具体的な現実観察に拠り、偶然性を定言的偶然、仮説的偶然、離接的偶然の三つに大別してユニークな形而上学的思索を展開し、偶然性の本質を解明した九鬼周造(1888-1941)の主著。