1998年11月

11月19日

昨日,帰る途中で本屋に寄りましたが,「水滸伝(2)」はまだ出ていませんでした。とりあえず,「職工事情(下)」と「言語」
を買ってきましたが,「言語」はかなり難物のようです。

「職工事情(下)」は,上・下の職種別統計資料とは異なり,
明治中期の女工の募集や虐待に関するトラブル事例や,職工・工場主・口入れ業者等のインタビューを,そのまままとめた明治版「女工哀史」。
官製の報告書が,なぜこのようにリアルで悲惨なものになったのか不思議に思えますが,そもそも「職工事情」は,労働者保護の「工場法」
立法を目指す農商務省が,その拠り所として調査・作成したものでした。工場法自体は,業界団体の反対や日露戦争のどさくさにより「骨抜き」
となってしまい,1903年に関係者に配布された本書も,第2次大戦後になって,ようやく公刊されました。

11月18日

インターネットエクスプローラの5.0b。さっそく入れてみましたが,職場のパソコンではパワー不足で動きがぎこちなく
(ベータ版のせいもあるかも),あえなく討ち死にしました。複数署名に対応しているのは良かったのですが….。
ここのところ会議が詰まっていて本屋に顔を出せなかったので,きょうは文庫の新刊でも探してみようかと思っています。

11月17日

リンク集に「本の森を旅する」を追加しました。
毎月テーマを決めて,詩,ミステリー,童話などジャンルごとに本紹介。絵本を見ているような雰囲気あるデザインも秀逸です。
※「文庫本大好き」へは,
http://www.bunkomania.net/でも辿り着けるようになりました。

11月16日

双葉文庫から片岡義男が2冊でましたが,これはかつての角川文庫版を,著者自身が大幅に改訂したものだとのこと。
ちょっと書店で見たところ,著者の改訂の辞?が面白かったので,旧版と読み比べてみるのも面白いかも….。

11月15日

新聞によると,中公文庫から今月発売される「英国101話」(林信吾著)は,文庫化にあたって,
中央公論社が著者に内容の一部書き替えを要求したが,著者がそれでは意味がなくなるとして反発。
結局そのトピック自体を別の話に差し替えて出すという。これは中央公論社が読売新聞社の傘下に入るにあたって,同書の読売・
渡辺社長を批判した部分を問題にしたらしい。どこかの国じゃあるまいし,体制の改革があるたびに,
過去の作品まで書き換えられてしまうとしたら,ずいぶんな事ですね。もっとも著者自らが環境の変化により自主規制した,
という話はときどき聞きますが….。

11月14日

筑摩書房より読書子必携の書,「書物の出現」上下2巻が学芸文庫のシリーズで出ました。
このマルタン(とフェーヴル)により書かれた大部な「本の歴史」は,紙,活字,装丁,造本,印刷工房,書物の取引,
など中世の書物に関する広範な問題を扱っており,たとえば,木版画が活字本の前身であるか?等々興味深いテーマを,
わかりやすくかつ詳細に解説しています。お勧め本ですが,各巻四百数十ページで1500円という価格にはちょっと吃驚。

11月13日

カフカがちょっと話題になっていましたが,“審判”について興味深いサイトを開いている頭木さんよりメールをいただきました。
内容は,1990年に公開された”審判”の生原稿に関する解説と試訳ですが,これは一見の価値があります。
さっそくリンク集にも追加しました。デザインもなかなか素敵です。

☆10月は,のべ2072名の方にご来場いただきました。ありがとうございました。

11月12日

掲示板不具合のため,全面的に作り替えました。過去ログは転載してあります。よろしくお願いします。

例の新橋駅前バザーで,カバーのない文庫本がワゴン1台にビッシリと売られていました。どこから持ってきたんだろう….。
内容さえよければカバーなんて,と思ったのですが,内容もいまいち寒かった^^;;。

11月11日

推理小説には疎いのですが,角川文庫ドートマンダーシリーズなどの復刊情報が「ものぐさたろうの書評コーナー」
で紹介されています。

10日,日本書籍出版協会が,会員会社のホームページを66社同時立ち上げ^^;;。リンク集はここにあります。ふつうの出版社リンク集では,
まだ取り上げられていないレアな?出版社が多く,なかなかおもしろかったです。

11月10日

新橋駅前恒例のバザーで古本が出ていたので覗いてみました。岩波文庫では,ノヴァーリス「青い花」,ヘッセ「世界文学をどう読むか」
が各100円。あと「南禅寺日記」という白い表紙の変わった文庫本が出ていたのですが,出勤途中で時間がなく正体が分かりませんでした。

11月9日

今月の新刊文庫一覧を見ると,
岩波以外で洋物のクラシックと呼べそうなのは,ちくま学芸文庫の『ギリシア文化史・6巻』(ブルクハルト)と,河出文庫の
『チャペックの犬と猫のお話』(チャペック)くらいでしょうか。とにかく,あまりに少ない。まあ,
世界文学全集なんていうのも新しい企画が出そうにないし,ネタ切れでもありますね。

11月7~8日

近くの慶応大学湘南キャンパスの学園祭に行って来ました。ちょっと町中から外れたところにあるせいで,
なかなか環境が良いところでした。まだ人口?が少ないため,生協の本の品揃えなど,今ひとつですが,新書は15%引きでセール中。
なぜかウクレレなど売っているのも,湘南の慶応らしいところでしょうか。

11月6日

東京は今朝方から,かなり冷え込んでいて,12月の気温だそう。最近は寝不足が続いているので,
電車の中でも読書より音楽を聴いている時間が多くなってしまいました。本を読む場合は,
集中してしまえば周囲の雑音など気にならないのですが,音楽ではついつい音が大きくなってしまいます。先日の読書調査でも,
一ヶ月に一冊も本を読まない人が半分以上とか。「読書の秋」という言葉も,あまり聞かれなくなったように思います。

11月5日

文藝春秋より10/20に創刊された『文春新書』。「考える、楽しめる新書」がキャッチフレーズだけれど,創刊ラインナップ
(皇位継承,マネー敗戦,史実を歩く,ファースト・コンタクト,孤独について,脳内イメージと映像,二十世紀をどう見るか,
種田山頭火の死生,我輩は猫であるの謎,黄門様と犬公方)をみると,ホントに楽しいのかな??? 記念に一冊買おうか,
と書店でパラパラめくっていたのですが,正直欲しいと思う本がありませんでした。いまさら出すからには,
ちょっとは新味のあるタイトルが出ないものでしょうか。

11月4日

近くに「石屋」ができたので覗いていたら,蔵書印の篆刻もやるという。いま使っている印がだいぶ古くなり,
文庫本用としてはサイズが大きいため,ひとつ作ろうかなとも思ったのですが,もし作る場合,単に××蔵書や××文庫ではつまらない。
なにかよいネーミングはないか,と考えたが,なかなか難しい。雅号風でもなく,しゃれた印というのはないものかしら。

11月3日

岩波文庫新刊「アガメムノーン」を読みました。いや実際のところ面白かったのです,これが。
戦慄のカッサンドラー狂乱の場や,戦勝の喜びの中,次第に明らかになる陰謀の影。国のため娘を生贄にささげる国王と,復讐に燃える妻。
2000年以上前のドラマの迫力に圧倒されます。アガメムノーンの物語については,「オデュッセイア」
に詳しいので,適宜これを参照しながら読むと一層楽しめます。

11月2日

怪談・怪奇小説や歴史・冒険ものなど,ユニークな書目を取り上げている堂幻幽樂有古をリンク集に追加しました。

11月1日

早大の方がロシア文学文庫本一覧を作られています。
文庫本に限らず,重厚長大のロシア文学は,あまり読まれなくなっているように思いますが,いかがでしょうか。
また最近のロシア文学で文庫化されているようなものはあるのでしょうか。どうもロシアものは過去の名作以外,目に触れないので,
どこから取り付いたらいいのか….。