2003年05月31日

2003年5月

5月27~31日

台風の余波で当地にしては珍しい大雨。ニュースで知った親戚からも,水没していないか?との問い合わせあり。幸い, 我が家は被害がありませんでしたが,すぐ近くまで,浸水騒ぎがあったようです。「読者が選ぶ「私の好きな岩波文庫」」 集計結果が発表されました。全国から29,658通の投票があり,投票された書目数は2,082点(創刊以来の岩波文庫の全書目 (約2,700点)の4分の3,書店に常時流通している書目数(約1,000点)の2倍)。上位100点の内訳は,緑帯が34点, 赤帯が30点,青帯が27点,黄帯が7点、 白帯が2点となっています。1位から10位までは,こころ(夏目漱石),坊っちゃん(夏目漱石) ,銀の匙(中 勘助),吾輩は猫である(夏目漱石),君たちはどう生きるか(吉野源三郎),新版 きけわだつみのこえ (日本戦没学生記念会編),忘れられた日本人(宮本常一),古寺巡礼(和辻哲郎),罪と罰(ドス トエフスキー),新訂 福翁自伝 (福沢諭吉)といったところ。ここでは緑帯が強く,赤帯は1点だけですね。皆さんの予想は当たっていましたか?

 

5月26日

新橋駅前では,恒例の古本市開催中です。天候に恵まれ,人混みはすごいですが,あまり景気の良さは感じられず, 岩波文庫の古いものも見かけませんでした。光文社文庫の新刊「UFOカメラ」(高齋 正)を読みました。 かつて出ていた講談社文庫のリメイクで,SF雑誌の編集部を舞台に,カメラにまつわるマニアックなネタを小説にしたもの。 20年ほど前に書かれているので,出てくる機材は懐かしいものが多いけれど,ステレオ接写写真,UFO写真や水中写真など, 編集者やカメラマンが四苦八苦しながらアイデアを出して撮影していくプロセスがよく描かれています。SF文壇裏話的なところもあるので, カメラファン以外にもお薦め。

 

5月26日

雑誌「TITLE」7月号を読む。特集は,『次にくる時計』。松井秀喜やデビッド・ベッカムが愛用する時計や, 各界クリエーターたちの時計選び,今年の各ブランドお薦め時計,時計名人に聞く気になる今年の3本,海外の時計雑誌編集長による業界の動向, 女性誌カリスマ読者モデル・ホテルマン・エアラインで働く人たち・外資系ビジネスマンの時計などなど,なかなか盛りだくさん。出てくるのは, 数百万もする豪華,精緻な機械時計ばかりなので,購入の参考に・・・というわけにはいかないが,まあ機械ものは, 眺めているだけでも楽しいですな。

 

5月22~25日

週末は,ボロボロになった庭のウッドデッキ(の残骸)を片づけ,昼は息子と近くのレストランへ。ついこの間まで, ご飯でも麺でも取り分けてやらなければ食べられなかったのに,いまでは大盛りじゃなきゃ足りないくらいにワシワシ食べる。1年生の給食でも, お代わりの争奪戦が激しいとのこと。私の小学生時代の給食は,コッペパンに脱脂粉乳。たまのごちそうが揚げパン,だったから,みそラーメン, メロン,チーズケーキといったメニューを見るとビックリ。岩波文庫の新刊「完訳 ナンセンスの絵本」(エドワード・リア)を読む。 ちくま文庫で出ていた柳瀬尚紀訳を改訳し,続編を新たに訳出したもの。全編リメリック(aabbaの5行詩)で書かれた本書を, 柳瀬氏は日本語としてもリメリックとなるよう,苦心して訳している。リアは鳥の細密画で有名な画家。 本書もそれぞれの詩に絵が添えられていて,それだけを見ても楽しい。詩の内容は,風刺じゃない単なるナンセンス,言葉遊び。 私はセンスがないのか,なかなかククク・・・(笑い)というところまではいかなかったのが残念。

 

5月20~21日

奨励会とは,プロ棋士の養成機関である。この奨励会には,年齢制限があり,26歳までに狭き門を突破し,4段 (ここからプロ棋士と呼ばれる)になれなかった場合には,退会しなければならない。講談社文庫の新刊「将棋の子」(大崎善生)は, この奨励会でもがき苦しむ若者を追ったドキュメントである。札幌での小学生時代,通っていた将棋会館で, 抜群の強さを発揮していた自分より年下の少年がいた。10数年後,将棋連盟に勤務した著者は,奨励会の会員となった彼と東京で再会し, 親しく交際することとなる。札幌からプロ棋士を目指してやってきた彼を追って,両親も上京。しかし, 思うような成績をあげられない彼は苦しみ,やがて頼りにしていた父と母を相次いで亡くしたことにより支えを失い,ついに奨励会を退会する。 それは,子供の頃からの唯一の目標であったプロ棋士への道を断念することである。彼が北海道へ戻ると連絡は途絶え, 噂も次第にきかなくなった。そしてまた20年が過ぎたある日,将棋連盟の雑誌編集長となった著者のデスクに, 会員の住所変更のメモが乗っていた。それは他ならない彼のもので,これを頼りに著者は北海道にいる彼を訪ねあて, 劇的な再会を果たすこととなる。彼がプロへの道を断念してから辿った運命とは・・・。将棋界は特殊な世界だ。だが, 我々も若い頃の夢や希望が次第に打ち砕かれていき,いまはここにこうして生きている。中年男には,涙なくして読めないつらい本だが, 彼がどんなに苦しいときでも捨てることができなかった将棋の駒に,一縷の望みが託されている。

 

5月19日

今月の新刊は,久々の改訳「ヴァレンシュタイン」(シラー)。岩波文庫のシラーは,群盗,フィエスコの叛乱,たくみと恋,ドン・ カルロス,オランダ独立史,三十年戦史,美と芸術の理論,素朴文学と情感文学について,マリア・ストゥアルト,オルレアンの少女, メッシーナの花嫁,ヴィルヘルム・テル,とこれまで結構出ていました。『残念なことに現在すべて品切れになっています。 それだけシラーの知名度が落ちているのでしょうが』と岩波に他人事のように言われても・・・,

 

5月16~18日

まるで梅雨のような鬱陶しい日々が続いています。近くのホームセンターにガーデニング関係の資材を買いに行ったりしたのですが, この天気ではいつ取りかかれるか・・・。えい文庫の新刊「往年のキヤノンカメラ図鑑」(マニュアルカメラ編集部編)を読みました。 最初期のレンジファインダーカメラから,すでに生産を完了したマニュアル一眼レフのTシリーズ,レンズシャッターのキャノネットまで, 往年のマニュアルカメラを写真とともに詳しく紹介。私自身はオリンパス,コンタックス,ニコンと使ってきましたが,子供の頃, 父がキヤノン党だったため,遠足に持っていったりした懐かしいカメラやレンズをいくつか見つけました。学生時代,キヤノンF- 1を横目で睨みつつ,小型でシンプルなスタイルに惹かれて,オリンパスOMシリーズに流れてしまったけれど,あそこでF- 1を入手していたら,私のカメラ人生(そんな大げさな)はずいぶん変わったものになっていただろうなぁ・・・という感慨とともに読了。

 

5月14~15日

静岡に出張していました。最近,スーパーみたいに代わり映えのしない書店チェーンばかり,とお嘆きの貴兄に, 雑誌ブルータス最新号の特集「新しいスタイルの「本屋」が気になる!」を。オーナーの趣味が感じられる書店,特定の分野 (とくにビジュアル系)に特化した書店,各界の本好き(知らない人ばかりだけれど)100人のお気に入りの書店,などを紹介。 書店でくれるおしゃれな紙袋や,カバー一覧も楽しい。くわしくは,ここを

 

5月13日

ようやく見ました,映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」。カミサン曰く,原作からカットされたところが多くて残念。だが, そもそも原作などたいして読んでいない私としては,巧くできているなぁ,と満足。でも見終わってしまうと,要はどんな話だったっけ? とすぐに忘れてしまうというのは前作と同じ。単に歳のせいか。ハーマイオニ役のエマ・ワトソンが大人になって,より可愛さグレードアップ, なところはとくに気に入った。今回は石にされちゃったので,あまり活躍できなかったのは残念。

 

5月12日

ちくま文庫から,内田百間「贋作吾輩は猫である」が出た。かつて旺文社文庫や福武文庫でも出ていたのだが, なんとなく溺れ死んだんじゃないかな・・・と思っていた「吾輩」が,実は生き延びていて,苦沙弥先生ならぬ五沙弥先生の家へと引越し。 相変わらずの面々と面白おかしく暮らす,という百間による続編。今回は名無しではなく,ちゃんと「アビシニア」という名前まである。 百閒は夏目漱石の弟子であり,大の猫好きであった。感動の名作,とはいえないが,百間調の飄々とした猫文学も良いのでは。

 

5月11日

近くの男子中・高校E学園の文化祭に行ってきました。展示より模擬店の方が賑わっているというのはどこでも同じですが, 女子高生の姿が多いのは,学生時代,共学ながら不遇の学生生活を送った当方としては,とっても羨ましい限り・・・と, 自分の子供のような年頃の生徒を相手に愚痴ってどうする。

 

5月10日

東海林さだおの文春文庫新刊「ケーキの丸かじり」が出たなぁと思ってパラパラめくっていたら,12月に出た朝日文庫 「東海林さだおの大宴会」とかなり内容が重複していることがわかった。「ケーキ」は単行本からの文庫化だし,「大宴会」 の方は傑作選なので別にかまわないと言えばそれまでだが,文庫本で丸かじりシリーズを集めていて「大宴会」を買ってしまった人は,「ケーキ」 を買うべきか否か,迷うに違いない。そもそも別の出版社でそれはないだろう,というきもち。

 

5月9日

動物のお医者さん,というTVドラマをやっていますね。コミックスが出るたびに読んできた隠れファンとしては, これをテレビでやるのは無理があるんじゃないかなー,と危惧しておりました。結果は,やっぱり無理があった・・・と私は思うのですが, いかが? もっとも我が家族は,私以外,犬猫を天敵と思っている輩ばかりなので,はじめから全然関心をもっていないようです。

 

5月8日

あまり使っていない某国産万年筆から,見事にインク漏れ。ふだんポケットに差しているペンではないので,物的被害はなかったものの, 万年筆の事故で一番いやなのが,このインク漏れですね(次に,書き出しのカスレかな。イライラしてストレスが溜まるから)。最近のペンは, 気圧や温度変化によく対応していて,たとえ飛行機の中でも,昔のようにポタポタ垂れることはなくなり, とくにカートリッジ式のものなど油断しがちですが,やはりインクのパワーは侮れません。私がスーツのポケットに万年筆を差さないのは, このインク漏れを恐れてですが,本当は「ポケモンオヤジ」と言われようが,ポケットからキラッと金冠を見せたいと思っているのですよ。 それなら,インクを入れたペンはペンケースに入れて持ち歩き,ポケットにはインクを抜いたペンを入れておけばよい,と考えますね。実際には, もっと進んでいて,キャップだけの万年筆(というより部品)を買う人もいるらしいですよ,ホント。

 

5月7日

ふるほん文庫やさんレア文庫 (5月分)リストを見ていますが,現代教養文庫の小栗虫太郎,谷譲次,久生十蘭,牧逸馬,夢野久作といったところが1冊3千円。 岩波文庫「死の谷(上)」(ノリス)が6千円,サンリオSF文庫は各冊3千円~3万円,角川文庫リバイバルコレクション「夜はやさし(上)」 (フィッツジェラルド)が6千円, カラーブックス「珍本古書」(高橋啓介)が7千円となかなかの値段。 ほかにも結構持っているのがありそうで,別に売るわけじゃないけれど,ひとりニヤニヤ。

 

5月6日

岩波文庫の別冊というのは,古書店でもよく見かけますが,なんとなく際物扱い?されており, 自分でも全部揃っているのか自信がありません。実際読んでみると非常に役立つものだとわかるのですが・・・。 とりあえずこれまでに出た別冊1~15のリストを。全部持っていますか?

 1 フランス文学案内 渡辺一夫・鈴木力衛編
   増補 フランス文学案内 渡辺一夫・鈴木力衛編
 2 ロシヤ文学案内 金子幸彦編
   新版 ロシア文学案内 藤沼貴,小野理子編
 3 ドイツ文学案内 手塚富雄編
   増補 ドイツ文学案内 手塚富雄,神品芳夫編
 4 ギリシアローマ古典文学案内
 5 ことばの花束 岩波文庫編集部編
 6 ことばの贈物 岩波文庫編集部編
 7 ことばの饗宴 岩波文庫編集部編
 8 愛のことば 岩波文庫から 岩波文庫編集部編
 9 恋愛について ポケットアンソロジー 中村真一郎編
10 原文対照 古典のことば 岩波文庫から 岩波文庫編集部 編
11 読書のすすめ 岩波文庫編集部編
12 世界文学のすすめ 岩波文庫編集部編
13 近代日本文学のすすめ 大岡信ほか編
14 近代日本思想案内 鹿野政直著
15 読書のたのしみ 岩波文庫編集部編

 

5月3~5日

みなさん連休はいかがお過ごしでしたか? 私は子供の付き合いで,市内の運動公園でのアスレチックや海でのサッカーなど, 近場で遊んでいました。「岩波世界児童文学集」が刊行されます。『900冊を数えるにいたった岩波書店児童書の刊行書目の中から, 長く読みつがれてきた名作30冊を選んで20世紀児童文学の最高の実りをおさめたコレクションを編みました』とのことで,星の王子さま, クマのプーさん,ドリトル先生航海記,ホビットの冒険などが含まれています。造本が良ければ,何冊か買ってみようかと思っているのですが・・ ・というのも,ドリトル先生など子供に読んであげるときに,文庫・新書判だと扱いにくく「物語全集」 をもう一度買おうかと思っていたところなので。

 

5月2日

岩波現代文庫の新刊「新編 愛情はふる星のごとく」(尾崎秀実)を読む。 ゾルゲ事件に連座し逮捕された尾崎秀実が獄中から妻と娘に書き送った手紙126通を集めたもの。3年間にわたる手紙の最後の1通は, 処刑の日の朝に書かれた。検閲の関係で,思想に関わる記述は少ないが,残された家族へ思い,獄内で読み続けた多くの書物の感想のほか, ダンディだった尾崎の食べ物や洋服などへの蘊蓄が語られている。終戦直後ベストセラーとなったので, 昔我が家の書架にも父の本として置いてあった記憶がある。今回,妻英子氏,友人松本慎一氏による初版(1946年)当時の解説を収録。 編者の今井清一氏は,尾崎がとくに愛情を込めて手紙を書き送った一人娘楊子さんのご主人。

 

5月1日

岩波文庫の新刊「多情多恨」(尾崎紅葉)を読む。愛妻に先立たれた寂しさで涙にくれる教師を, 親友がしばらく気晴らしに俺の家へこいと誘ったのはよいが,以前は顔を見るのもいやだったそのカミサンと懇ろになってしまう・・・ というなんだか情けないお話。情けないとはいいながら,その話の展開の面白さに惹きつけられ,一気に読んでしまう。「男の涙」 をキーワードに,源氏物語と紅葉の関係をまとめた丸谷才一の解説も楽しい。本書は岩波文庫旧版(戦前)以外,文庫化されていないようなので, この機会にぜひ。

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