2001年12月31日

2001年12月

12月26~31日

ここのところ,モームの「人間の絆」3巻(岩波文庫)を読んでいました。学生時代に新潮文庫版で読んで以来, 久し振りに通読したわけですが,今年を締めくくるのにふさわしい作品でした。人間の絆は,モームの自伝的小説なのですが, この歳になって読み返すと,これが功なり名を遂げた晩年ではなく,まだ脚本家としてもほとんど名の知られていない30代のとき, 幼い頃両親に死別し,必ずしも恵まれた環境になかった自分の前半生に踏ん切りをつける時期,に書かれたことに共感を覚えました。それでは, 来年もよい年でありますように。

 

12月25日

パロマー (岩波文庫)ざっと眺めたっきり積読状態であった岩波文庫11月刊,カルヴィーノ「パロマー」を腰を据えて読む。といっても,満員の通勤電車じゃ, 腰を据えるところもないが....。本書は,1970年代から,いくつかの新聞に発表したパロマー氏を主人公とする27の短篇を, 3つの主題によりまとめたもの。イタリアで刊行されたのは1983年であるから,岩波文庫のスケールから言えば, とびきり新しい作品と言える。「観察する人」であるパロマー氏は,中年男性で,妻と娘がおり,パリとローマにアパートを持っている。 娘を連れて動物園に行ったりするところをみると,中年とはいってもまだそれほどの歳ではないと思われるが,彼の,常に不安げで, 瞑想の中に閉じこもってしまおうとする思考は,中年男である私の共感を呼ぶのに十分であった。取っつきにくいと思いながらも, 自然と引き込まれてしまう不思議な魅力のある作品。

あまたあるカルヴィーノに関するサイトの中で,さまざまなエッセイや, パロマーの英文テキストなどが集められているhttp://www.emory.edu/EDUCATION/mfp/cal.htmlはたいへん参考になる。 ちなみにパロマーについては,「Mr. Palomar is one of Calvino's most brilliant creations, a descendant of the Baron who lived in the trees and the enchanting Cosmicomics. It is no accident that his name recalls that of a famous telescope. Mr. Palomar is a quester after knowledge, a visionary in a world sublime and ridiculous. On vacation, Mr. Palomar focuses on natural phenomena: the passion of mating turtles, the moon by day, the sky by night. Returning to the city, he goes off to shop and becomes absorbed by galantines, pates, terrines. Names and labels conjure up scenes of pastures, of the hunt, of sacred traditions of husbandry. Mr. Palomar's palate is in his mind. A delicatessen is a museum of civilization. He is impatient and taciturn in society, preferring to spin inner dialogues and listen to the silence of infinite spaces and the song of birds. Yet the intrusive, civilized "I" insists on being that crusty, charming gentleman, a failure as a telescope, a delight as Mr. Palomar. This is a witty, elegant, fantastic tale. Originally published by Einaudi in 1983. 」と書かれている。

 

12月18~24日

クリスマス連休というわけで,我が家ではTDLとTDSへ出撃してきました。なにか人が渦を巻いている状況でしたが,あらためて, 食事とホテルの手配さえできていれば,どうにかなることを確認しました^^;;。来週から年始にかけても再出撃の予定です。 しかもオーバーナイト。久しぶりにベビーカーも持っていこうかと考えています。もちろん,息子はもうベビーとはほど遠いのですが, 寝イス代わりであります。みなさんのクリスマスはいかがでしたか?

 

12月15~17日

当地では,寒いながらも快晴の日が続いており,通勤バスから富士山がくっきりと見え,たいへん清々しい気持ちです。 「世界がもし100人の村だったら」が売れているようですね。要旨は,『もし,いまの世界を100人の村にたとえたら,その村には, 57人のアジア人,21人のヨーロッパ人,14人の南北アメリカ人,8人のアフリカ人がいます。52人が女性,48人が男性です。 70人が有色人種で,30人が白人,70人がキリスト教以外の人で,30人がキリスト教徒。89人が異性愛者で,11人が同性愛者。 6人が全世界の富の59%を所有し,その6人ともがアメリカ国籍。80人は標準以下の居住環境に住み,70人は文字が読めません。 50人は栄養失調に苦しみ,1人が瀕死の状態にあり,1人はいま、生まれようとしています。1人は大学の教育を受け, たった1人だけがコンピューターを所有しています。もし,あなたが今朝,目が覚めた時,病気でなく健康だなと感じることができたなら, あなたは今生き残ることのできないであろう100万人の人たちより恵まれています。もしあなたが戦争や,投獄, あるいは飢えの悲痛を一度も体験したことがないのなら,あなたは世界の5億人の人たちより恵まれています。 もしあなたがしつこく苦しめられることや,逮捕,拷問または死の恐怖を感じることなしに教会のミサに行くことができるなら, あなたは世界の30億人の人たちより恵まれています。もし冷蔵庫に食料があり,着る服があり,頭の上に屋根があり,寝る場所があるのなら, あなたは世界の75%の人たちより裕福で恵まれています。もし銀行に預金があり,お財布にお金があり,家のどこかに小銭があるなら, あなたはこの世界の中でもっとも裕福な上位8%のうちのひとりです。もしあなたの両親がともに健在で,そして二人がまだ一緒なら, それはとても稀なことです。もしこのメッセージを読むことができるなら,あなたはこの瞬間二倍の祝福をうけるでしょう。 なぜならあなたのことを思ってこれを伝えている誰かがいて, その上あなたはまったく文字の読めない世界中の20億の人々よりずっと恵まれているからです。』たしかにこれは興味深いお噺ですね。

 

12月14日

Libroのページに,今年の性別, 世代別年間Bookランキングが掲載されています。予想通り, チーズはどこへ消えた?,ハリー・ポッターと賢者の石, 金持ち父さん貧乏父さん,あたりが上位を占めており,若者からシニア世代まで,同じようなベストセラーを読んでいた, というのが総括でしょうか。ちょっと岩波の本は見あたりませんでした。

 

12月13日

年末年始の計画を練っているのですが,今年は東京ディズニーシーのカウントダウンチケットが手に入ったため, その前後をどうしようかと思案中。ミラコスタとアンバサダーホテルだけは,年末年始連続して押さえているのですが, 肝心の大晦日はキャンセル待ち。これは難しそうです。

 

12月12日

今年も残り少なくなり,あちこちから来年の手帳やカレンダーをもらったりしますが,岩波書店の手帳には作家や関係機関の住所録 (マスコミ住所録岩波版みたいな薄い冊子)が付いていて,これを眺めているとなかなか面白い。どういう人が「岩波関係者」なのかが, わかります。

 

12月11日

久しぶりに分厚い文庫を買った。それも幻冬舎の小林よしのり。タイトルは....「おぼっちゃまくん1」。旧コミック3冊分とお徳用。 通勤電車の中で,久しぶりに見た「ともだ×××」。笑いがこらえられない^^;;。おぼっちゃまくんのファンサイトもあり。

 

12月10日

一気に寒くなりましたね。札幌も記録的な大雪とか。すでにNEWS等でご承知の通り,社会・ 人文科学系専門の取次会社鈴木書店が自己破産。岩波書店は,鈴木書店の最大の債権者であり,98年には役員を送り込んで改革を主導してきた。 直接の影響はないというものの,「新規の販路開拓は今の岩波にとって簡単なことではなく,ますます窮地に立ったといえるかもしれません」 と話す出版関係者もいる。未来社の西谷能英社長は「現在のように構造的な出版不況の中では, 少部数の専門書を大手の取次の中に組み入れることは難しい。鈴木書店に代わる取次はないというのが正直なところ。 取次に対して同じような態度でいることはこれ以上許されない。ほうっておけば第二,第三の鈴木書店を生むことにもなりかねず,出版社-取次- 書店という流通関係全般を抜本的に見直さなければ」と言う。有斐閣の江草忠敬社長は,「「経済環境が変わり、出版社だけが『文化活動』 の名の下にのほほんとしたままでいることは許されないということだ。 われわれは出版人であると同時に出版社という経済活動も行っているのだという立場に立って,業界として困難を乗り切り, 良書を出し続けるという自助努力を痛感している。それがより厚みのある文化活動にもつながる」。また,東大名誉教授の松本三之介氏は, 「良質の硬派本が流通しにくい世の中というのはどう考えればいいのか。 知性や教養を支える土台自体が壊滅的な打撃を受けているような気がしてならない」と憂慮し,「大型の取次店にはなじまないという理由で, 学術書の流通が滞ることになれば,人類の知的遺産の継承もストップしかねない。研究者として忸怩たる思いだが, かといってこの思いをぶつける有効な場も簡単に見つからない。何とか突破口が見つかればいいのだが・・・」と語っている(以上, 東京新聞ほか)

 

12月6~9日

いやいや多忙に紛れてご無沙汰です。仕事以外でも,ポトリス(ネットワークゲーム)に, はまっていたせいもあります....。ネットワーク上でチームに分かれて戦車から大砲を打ち合うという非常に単純で, 子供でも十分操作できるゲームなんですが,これがやられると非常に悔しいのですね! WinMXで逮捕者が出たり, なかなか賑やかな師走ではありますが,どうにか無事に年を越したいものです。 「創業者 八木敏夫物語」に,岩波文庫創刊の頃のことが,いろいろ書かれています。

 

12月5日

我が家にもクリスマスツリーやリースが飾られて,いよいよクリスマス間近,といった感じ。 若い人のカップル同士のクリスマスも結構ですが,サンタをホントに信じている子供がいれば,一層盛り上がりますね。息子も寝る前に必ず, 「ベイブレード,赤いのと黄色いのと黒いのをお願い」などと祈っています。とっくに他の色を買ってしまっている親としては,「う~ん, サンタさん,色まではだめかもね~^^;;」などと情けないいいわけをしているところ。

 

12月4日

日本ペンクラブの電子文藝館がオープン。 趣旨は『日本ペンクラブは「ペンの日」を期して,ここに独自の「電子文藝館」を開設し,島崎藤村初代会長以来,あまた物故会員の優作を, また,二千人に及ぼうとする現会員の自愛・自薦の作品ないし発言,加えて簡明な筆者紹介を,努めて網羅展観する事業を通じて,国内外に, メッセージを発信する。大きな支持を得たい。』 なぜこれをペンクラブがやるのか? ほかにより充実した電子図書館ができつつあるのに。 ページも見にくいし(当方IE使用),どうもよくわからない。いまのところ,詩や小説など,各ジャンルに分かれた作品が数点ずつ電子化 (テキスト)されているだけなので,まだ内容云々を言える状態ではないのだが。

 

12月3日

岩波書店のホームページに,「アクティブ新書」編集長の言葉が。『これまで堅い本ばかり(?)作ってきた岩波書店で, どんな編集者がこのような本を作っているのか,とお思いでしょうか。出身は岩波新書だったり,雑誌「世界」 の編集部だったりとさまざまですが,どの編集者も一度はこのような本を作ってみたかった,と感じています。自分が個人的に好きなこと, 自分の身のまわりにあることを企画に結びつけられるということで,みなはりきっています。そのアクティブな雰囲気が, 本を通してきっとみなさんに伝わると思います』とのこと。(?)に自意識過剰を感じつつも,ぜひ楽しい企画をお願いしたい。

 

12月1~2日

「クリスタル」というのは,我が家では頻繁に出てくる言葉で,数字を199まで数えると, 次がなんだか悩んでしまう4歳の息子でさえ,「クリスタル,ゲットだぜぃ!」などと叫んでいる。そう,すべてSONIC (とSONIC2)のおかげである。ドイツ語では「Bergkristall」。シュティフターのあの名作「水晶」だ。と, 強引に今月重版される「水晶」に話を持っていったところで,この本がいま重版されることには意味がある。この作品はもともと 「聖夜」というタイトルであり,短篇「石さまざま」に収録される際,「水晶」と改題されたのだ。 一応岩波書店もクリスマスに気を遣っているわけ....。

山深い村の幼い兄妹が,クリスマスの前日,山を越えて祖父母のある町に出かける。その帰り道,激しい吹雪に見舞われた二人は, 道しるべを見失ってしまい,青白い雪と氷の世界をさまよう。厳しい自然に翻弄されながらも,健気に助け合う幼い子供たちの姿が, なんともいじらしい。岩波文庫の中でも,とくにお薦めの一冊。(※原文は,http://www.gutenberg.aol.de/)

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