9月29~30日
出張中。出張先の××大学には立派な図書館はありましたが,周辺に書店が全然なかった。学校周辺の書店密度(とくに古書店密度)は, 個人的にその大学を評価する上での重要な指標だと思っていますので,今回はハズレ....といったところ。
9月26~28日
細井和喜蔵が28歳の若さで著した「女工哀史」(岩波文庫)は,大正期の紡績工場における女子労働者を描いたもの。のちに山本茂美が 「あゝ野麦峠」(角川文庫)で小説化,映画化もされ,影響されやすい私など,すぐに野麦峠訪れ,美しい乗鞍岳を眺めながら, しばし感慨に耽ったものです....。
今月の岩波文庫新刊「職工事情」は,それらの原点を成すもので,官製の報告書でありながら, 文章も平易で,単なるデータ集にとどまらず,明治中期の紡績工場などの苛酷な労働条件に喘ぐ人々の実態をよく描き出しています。 1903年刊の全文を3分冊に収録予定。
明日,明後日は北陸方面へ出張します。
9月25日
文庫本が収録作品を入れ替えたり,分冊を合本化することで,"新版"として出直すことはよくありますが, 今月の新刊ベルクソン「思想と動くもの」は,ちょっと変わっています。 これは同じ訳者で40年ほど前に出た「哲学的直観」,「哲学入門」,「哲学の方法」の3冊を,文庫編集部が現代表記に改め, オリジナル論文の順に並び替えたもので,基本的に中身は同じ。
その理由として岩波書店は,河野与一訳が見事なので捨ててしまうのが惜しく,改訳せずにこの改訂版を出した,と言っています。 畏れ多くて手が出せなかったか,若手研究者が後込みしたか,定かではないけれど,改訳積極推進!を打ち上げたばかりなのに, ちょっとガッカリ。
河野与一は岩波文庫を十数冊訳しており,その博識や語学力に敬服する学者は多いけれど,一方で岩波文庫の「プルターク」や 「クォヴァディス」をつまらなくした張本人とも言われています....。
9月24日
愛読している日経ネットナビ主催「ホームページ大王1999」に参加しています。作者を喜ばせてやろう!という方は, こちらへどうぞ。
9月23日
皇后陛下が21日、インドのニューデリーで開催中の国際児童図書評議会(IBBY)世界大会で、ビデオを通して基調講演をされました。 幼い頃の想い出として,「日本少国民文庫」で読まれた「日本名作選」や「世界名作選」のお話も出てきました。
私自身は,たいへん立派なお話だと思い,かつ感銘を受けました。日本語訳全文はこちらにあります。
9月22日
「艸木虫魚」(薄田泣菫)は「茶話」の姉妹篇みたいなものですから,面白いことは面白いのですが, 解説者もこれには困ったとみえて,もっぱら「茶話」のことばかり書いています。同じ笑いでも,尾崎より泣菫のほうが, 私にはピッタリきますね。話の巧みさや観察の鋭さで,現代版「茶話」作家としては,東海林さだおさんなどいかがでしょうか^^。
9月19~21日
"文庫本を読む"に尾崎一雄「暢気眼鏡・虫のいろいろ」 を追加。
9月18日
岩波文庫(のシェークスピア)に福田恒存が訳したものはありますか?ときかれたので, 「いや中野好夫などが訳しているので無いでしょう。岩波文庫全体でも無いかもしれません」と答えたのですが,これは予断^^;;でした (サロメが福田訳)。しかし,なぜ福田恒存が岩波に....。他社で絶版の「私の国語教室」(新潮文庫)や「作家の態度」(中公文庫) には結構いい値が付いているらしい。まあ,笑いのネタにはなるかな^^。
9月17日
講談社学芸文庫から「東京の三十年」が出ました。これは岩波文庫でも1981年に出ていた田山花袋の名随筆,お薦め本なのですが, 最近の文芸文庫は岩波の絶版本をよく拾っている感じですね^^;;。元本は,博文館(大正6年刊)。3万円ほどで古書店でもよく見かけます。
9月16日
東京は台風一過,猛烈な日差し。9月の岩波文庫新刊が並んでいるか,見に行こうと思ったのですが,あまりの暑さにめげてしまいました。 ....リンク集に少し追加しました。
9月14~15日
アスキーの元社長,西和彦氏が岩波文庫の愛読書を3冊挙げていますが,これが「ナポレオン言行録」,「伊豆の踊り子・温泉宿」, 「死に至る病」だそう....。一代の英雄から,自らを見つめ直す孤独な旅,そして死は絶望の結果であり,絶望は罪と語るキルケゴールへ。 なかなか含蓄のある(勇気を奮い立たせてくれる)選択ですね。
9月11~13日
岩波書店のホームページが変わりましたね。 どこが変わったって? え~,タイトルロゴが^^;;。中身は別に変わっておりませんでした。ところで,岩波文庫9月新刊は,季節柄? 「艸木虫魚」(薄田泣菫),「暢気眼鏡・虫のいろいろ」(尾崎一雄)と虫関係の2冊。ほかに岩波文庫の虫本には「ファーブル昆虫記」 がありますね(原著とおなじ10分冊の完訳)。秋の夜長に久しぶりに読み直してみようかしら....。
9月10日
広辞苑第5版の発売を11月に控えて,岩波書店が「広辞苑ものがたり」 という小冊子を書店で配っています。これは広辞苑にまつわる寿岳章子氏らのエッセイをまとめたものですが,用紙,製本, 挿し絵,校閲など広辞苑の製作にかかわる人たちの話が面白い。青いクロスの背の部分にある浮き出し模様は何をあらわしているのか, 知っていますか? 答えは,今となってはわからない....そうです。
9月9日
「公募ガイド」誌に連載中の高木芙羽「電脳お稽古日記」で, 本ページを紹介していただきました。中年の男性....というのにちょっと引っかかりますが^^;;, ほかにも読書関係のWebがいろいろ紹介されているので,ご覧下さい。
9月8日
久しぶりに文庫本関係のマニア本が出ました。"文庫本コレクション"に「文庫本 雑学ノートを読む」を追加。
9月5~7日
高原書店の絶版文庫在庫目録はなかなか親切にできていて, 出版年と初版,重版,復刊の別が示されているので,最近復刊されたかどうか調べることもできます。 岩波文庫はおなじみのタイトルばかりですが,角川,旺文社,講談社などの絶版文庫もかなり揃えており,これがなかなか面白い (岩波文庫よりこちらの方が高め)。全部持っている中公文庫の川上澄生全集に,1冊1,800円がついているのはちょっと嬉しい^^。 持っていない本に高値がつくと腹が立ち,持っている本の値が上がると....ムフフ。 でも1冊しか持っていない本を売るわけにはいかないから,どうしようもないのですが....。
9月4日
"岩波文庫を読む"に宇野浩二「蔵の中・子を貸し屋」を追加。
9月3日
台北の紀伊国屋書店に行きました。海外のこの手の書店では, いつ発行されたかわからないような古ぼけた日本語の本がよく並んでいるので, ここにも絶版になったような古い文庫本が残っているかもしれない,と思っていたのですが,岩波に限らず全部パリパリの新本ばかり。 パラフィン巻きの岩波文庫どころか,(あまりさわる人がいないせいで)こちらの書店以上に新品美本揃いでした。残念。
9月2日
岩波書店の「図書」9月号に,作家で古書店主の出久根達郎さんが「本の目録」 というエッセイを寄せています。
戦争で高校生の息子を失った老夫婦が,焼けてしまった息子の蔵書を再現するため,彼の作っていた蔵書目録を頼りに本を集め直したいと, 店を訪ねてきた。目録を預かった出久根さんは,自分がその息子さんになったような気持ちでそれらの本を探し出し, 少しずつ老夫婦のもとに送り続けてきた。いつのまにか,その夫婦もなくなり,鎌倉の老夫婦と息子さんのお墓を訪れ,想い出に浸るというお話。
他にも面白い古書目録の話が出ていますので,ぜひ「図書」をご覧下さい。
9月1日
「対訳 英米童謡集」(岩波文庫8月刊) はマザーグースを中心とした英語の童謡や子供向けの詩を集めたもの。マザーグースは日本語訳もいろいろ出ていますが, これは原文とうまく対照できるので便利。最近,偶然子供向けのマザーグースの歌を集めたビデオ(英語教育用)を見たのですが, やはりこれは実際に歌ってみないと面白さがわからないのではないでしょうか。 ついでに楽譜も付けてくれると嬉しかったのですが....あまりに大部な本になってしまいますね^^;;。