1998年04月13日

フレア文庫

 

中学生たちにもう一度,本を読む喜びを知ってほしいー。子供の読書離れが言われる中で,東京の小出版社「フレア」 が埋もれた内外の少年少女文学名作の文庫化を始めた。昨年12月に川端康成の作品など4点を出版, 9月には第二弾としてロシアの作品など2点を刊行する。

「最近の中学生は,いじめとか,孤独とか,厳しい状況に置かれていると思う。そんな子供たちの心の支えになるような本があってもよい」 と,フレアの鳥田みきさん。フリーの編集者を経て昨年1月,姉らとフレアを創立したが,「子供のころ読んだ少年少女向け文学全集には, 良い作品がたくさん含まれていた。それらに再び光を当てたい」と,考見ていたと言う。

単なる復刻版ではなく,文庫にしたのは,「価格抑え,できるだけ多くの子供たちに読んでほしい」という気持ちから。「万葉姉妹・ こまどり温泉」(川端康成),「イングランド童話集」(福原麟太郎訳),「なぞ物語」(W・デ・ラ・メア),「世界童謡集」(西條八十, 野上 彰ほか編)の既刊4点点は,520~670円の価格設定だ。

コミックスや学習参考書に押されて児童書が書店で占めるスペースは減りつつあるが,評価の定まった名作はいつでも手に入る。 「子どもと本の出会いの会」事済局長の小西正保さんは「昭和30年代半ばから50年代初めにかけて盛んだった創作児童文学が, 子供の活字離れや少子化の影響などで力を失い,発行点数が減っている」とした上で,「埋もれた名作を出版する意味はあるだろう」と話す。 フレア文庫は大手取り次ぎの扱いではないため,今のところ置かれているのは,東京と名古屋の一部の書店。それでも,「イングランド童話集」 などが好評で,年配の読者を中心に手紙や電話で「次が出たらぜひ教えて」などの反響や励ましがあったという。

同文庫を入手したい場合は,書店で「地方・小出版流通センター扱い」と言うか,直接,フレア(電話03-5245-2671) へ注文する。

(以上,神奈川新聞1997年8月5日付)

blank_space