1997年06月09日

コレットの描く戦後のパリ

第一次大戦後の動乱の中にあるパリが,悲恋ものの舞台として格好の場であることは疑いないけれど,その裏社交界を描くコレットの 「シェリ」と「シェリの最後」が,最近岩波文庫より続けて出ました。

年老いた高級娼婦とその若き美貌の愛人シェリとの愛欲の日々は,「青い麦」 の作者たるコレットの自伝的要素が強いといわれていますが,若く従順な妻を愛することもできず, 激しい時代の変動に取り残され,退廃と孤独の内に沈んでゆくシェリの姿は,悲しくも魅力的です。

先年,パリのペール・ラシューズ墓地を訪れた際,入り口からすぐのところにあるコレットの墓は,色とりどりの花束が捧げられていて, すぐにそれとわかりました。

☆文庫で読めるコレット (1997/9)☆

シェリ(岩波文庫),青い麦(集英社),青い麦(新潮社)

(その後,残念ながら「シェリの最後」(岩波文庫)は絶版となってしまいました)

blank_space