もともと全集などこつこつ集める柄ではないのですが,荷風全集だけはずっと買い続けてきました。
岩波文庫でも古いものがぼちぼち復刊されていますが,明治期の風俗(特に花柳界)がよく描かれているうえ,「あめりか物語」や
「ふらんす物語」のような洋行ものには,往事の現地の日本人社会の様子など,興味深い記述が多く楽しめます。
荷風は出版当時,伏せ字が多かったのですが,全集などをみて,どのような場所が問題となったのかを確かめるのも,楽しみのうちです。 一人暮らしの部屋で,全財産の入った鞄を脇に,うずくまるように死んでいた荷風の最期の写真は,見るたびに悲しくなります。
(写真は"あめりか物語" 昭和27年刊 臨時定価120円)
☆岩波文庫でこれまでに刊行された荷風の作品