2007年12月28日

岩波文庫の未完結本(創刊80周年版)

岩波文庫80周年にあわせて,新しい解説総目録をもとに,10年ぶりに未完結本をまとめてみました(前回のまとめはこちら)。当然ながら,この10年間に完結した書目はありません・・・。

シリーズものの文庫は文学全集と違って,廃刊にならないかぎり,未完結なのが当たり前ですから,ここでいう「未完結文庫本」というのは,(上)(中)(下),または(1)(2)(3)・・・・などと刊行が予定されていた書目が,何らかの理由で(上)のみ,あるいは(1)(2)のみで途絶し,長い期間を経ても未だ完結していない場合です。

ほかに,岩波文庫の場合,戦前に一部を刊行したまま未完結となり,戦後あらためて一から出直して完結した書目もありますので,今回はそれもあわせて未完結書目としています。

■錦里文集 全2冊 木下順庵校訳 1953 下巻未刊
■明六雑誌 全3冊 山室信一校注 1999 中巻以降未刊
■宋名臣言行録 全3冊 和田清校訂 1948 下巻未刊
■雍州府史 全2冊 黒川道祐校訂 2002 下巻未刊
■日本滞在記 全3冊 ハリス 玉城肇訳 1944 中巻以降未刊
  (坂田精一訳で1954完結)
■道具と人類の発展 全2冊 ノワレ 1954 下巻未刊
■大地と人類の進化 全2冊 フェーヴル 飯塚浩二訳 1941 下巻未刊
  (飯塚・田辺訳で1972完結)
■芸術におけるわが生涯 全3冊 スタニスラフスキー 島田謹二訳 1942 中巻以降未刊
  (藤原惟人訳で1956完結)
■意志と表象としての世界 巻数未定 ショーペンハウエル 1941 正篇第1巻のみ。以降未刊
■人間的余りに人間的 ニーチェ 全2冊 1937 下巻未刊
■言語 全2冊 イェスペルセン 1981 第2巻未刊
■化学通信 全4冊 リービッヒ 1952 第3巻以降未刊
■うつほ物語 河野多麻校訂 1957 第2巻以降未刊
■源平盛衰記 全5冊 冨倉徳次郎校訂 1944 第2巻以降未刊
■吾妻鏡 全8冊 竜粛訳注 1944 第6巻以降未刊
■嬉遊笑覧 全5冊 喜多村〓庭 2005 第5巻未刊
■甲陽軍艦 全4冊 古川哲史校訂 1950 第2巻以降未刊
■アメリカのデモクラシー 全4冊 トクヴィル 2005 第2巻上下未刊
■経済学原理 全7冊 スチュアート 1980 第4巻以降未刊
■資本論 巻数未定 マルクス 河上肇訳 1929 第1巻5分冊まで刊 以下未刊
  (向坂訳1956,1070で完結)
■「J.S.ミル経済学原理」への評解 全3冊 チェルヌィシェフスキー 1951 中巻以降未刊
■レーニン哲学ノート 巻数未定 松村一人訳 1956 第3巻以降未刊
  (同訳者にて1975全2冊完結)
■毛詩抄 全4冊 清原宣賢講述 1942 第3巻以降未刊
■中国小説史 全2冊 魯迅 1981 戦前版の改訳だが下巻未刊
■カンタベリー物語 全3冊 チョーサー 1973 中巻以降未刊
  (同訳者にて1995全3冊完結)
■ユリシーズ 全5冊 ジョイス 1958 戦前版は完結。第2巻以降未刊
■U.S.A. 全6冊 ジョン・ドン・パソス 1978 第3巻以降未刊
■ゲーテ詩集 全4冊 茅野蕭々訳 1941 第2巻以降未刊
  (片山・竹山訳1957で完結)
■断章 全3冊 ノヴァーリス 1942 下巻未刊
■ドイツ民譚集 全5冊 シュワープ 1948 第2巻以降未刊
■カサノヴァ回想録 全20冊 岸田国士訳 1956 第8巻以降未刊

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2006年04月18日

文庫本分冊の事情

ダ・ヴィンチ・コード(上)ちまたで話題の「ダ・ヴィンチ・コード」。文庫版も大変な売れ行きらしい。

この「ダ・ヴィンチ・コード」について,Excite Bit コネタで,『単行本は上下巻の2冊なのに文庫本は上中下の3冊である。・・・なぜ同じ作品でも単行本と文庫本とでは冊数が違うのだろう』という疑問に出版社が答えている。

それによると,『昔は単行本が上下2巻だったものを文庫本で1冊に合本するということもありましたが,現在では一般的に文庫本は売上面や流通上のことを考えて単行本よりも冊数が増える傾向にあります。文庫本は薄い方が手にとりやすく読みやすいですし,軽い方が持ち運びしやすいので小さくした方が好まれるんです。あと,人気の作品の場合は上下2冊よりも上中下と3冊並べる方が目立つので売上げが伸びるという効果もあります』とのこと。

ところで,販売当初はそれでよいのだろうが,一度品切れ絶版になると,分冊モノはなかなか見つけるのに苦労する。古書店などで,上・下巻など,何冊かに分冊されている文庫本の一つを見つけ,ポピュラーな書目だから片割れもすぐに見つかるだろうと高を括っていると,これがなかなか見つからないという経験のある人も多いだろう。

岩波文庫の場合,途中でこけてしまった書目がたくさんあるから,「もともと無かった」ということにならないように,事前に調べる必要があることはもちろんだが,下巻だけあって上巻がどうしても見つからないときなど(いわゆる,後家さん),なんとも情けない気持ちになる。

分冊モノがなかなか見つからない原因の一つとして,すべての分冊が同じ部数印刷されているわけではなく,一般に「あとの方」になるほど発行部数が減っていくことが挙げられるだろう。たとえば,岩波文庫フェア「わが心の世界文学」のパンフレットには,書店向きのセット販売の案内があるのだが,ここに分冊ものの配本比率が示されている。

そこには,唐詩選など3分冊ものは,(上)5冊(中)3冊(下)2冊の配本比率。嵐が丘など2分冊ものは,(上)5冊,(下)3冊。グリム童話5分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)~(5)2冊。モンテ・クリスト伯7分冊は,(1)5冊,(2)3冊,(3)~(7)2冊,などと先細りの傾向が示されている。

唐詩選はともかく,モンテ・クリスト伯を第1巻だけ読んで終わりにする,というのは考えられないが,実際の売れ行きを勘案すると,こんなものなのだろう。

これに関して,古い資料だが岩波書店「文庫」1958年3月号に,岩波自身が次のように記している。

「昨年末から正月にかけて,「モンテ・クリスト伯」が巻数によって品切れになり,ご迷惑をおかけしました。営業部では,毎月末に棚卸しを行って,在庫部数を調べています。在庫1800点の毎月の出品部数は,書名が違うようにまちまちです。毎月数千部のものから,百部以下位しか需要のないものもあります。また,つづきものになりますと最初の巻とあとの巻では,出品部数が違ってきます。読者の方々の根気がわかって面白いものです。・・・たとえば,「源氏物語」の第一巻は初版以来15万売れましたが,最後の第五巻はその三分の一も売れたでしょうか。「戦争と平和」も第一巻の15万に対し第八巻はその三分の一といった状態です。この出品部数と在庫部数を睨み合わせて重版をしてゆくわけです。ところが,映画化されたり,舞台にかかったりして,急に出品部数がふえることがあります。「モンテ・クリスト伯」の突然の品切れは,ラジオのためのようでした。」

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2005年02月14日

精興社と岩波文庫

カラー版本ができるまで我が国の愛書家の間で,とくに愛好されているものに「精興社本」がある。精興社は,1913年(大正2年)に白井赫太郎の創業した印刷所で,大正13年以来,岩波書店発行の出版物の印刷の多くを担当してきた。美しい活版印刷(金属活字による印刷)で知られている。

精興社では活版印刷の生命は活字にあるとして,1930年に従来の活字書体の改刻改良を君塚樹石に依頼,精興社タイプと呼ばれる活字書体(約5万字)を8年の歳月をかけ、完成させた。これは,可読性を十分に考慮した上で,他に率先して美しい細目活字を採用したもの。

ほかにも,活字の自家鋳造を完備して,当時としては珍しい活字1回限り使用(活字を1度使用したら再使用せず,そのまま次の地金用に溶かしてしまう)を行ったり,印刷の際には木製の鉛版台ではなく,金属製の版台を用いて版面の均一化をはかるなど,精度向上に努めた。

また何日かに分けて印刷されるような頁の多い本は,前日と同じような印刷の調子になるまで何度も試験刷りをして,違和感のないように注意を払っていた。

岩波文庫の奥付を見ると精興社印刷のものが沢山ある。初期の岩波文庫のエピソードとしては,昭和の初め,精興社で印刷した岩波文庫の一部にあまりできの良くないものが見受けられたとき,それを知った白井翁は,岩波書店にも知らせず,社員を総動員して,小売店の店頭にあるその岩波文庫をすべて買い占めてしまったとのこと。

オフセットの時代になっても,活字の精興社書体を可能な限り再現するために,活版印刷の印圧や滲みなども考慮し,精興社書体の持つ美しさと読みやすさを損なわないように工夫している。

精興社については,岩波ジュニア文庫「カラー版 本ができるまで」や庄司浅水著作集第14巻を参照。

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2003年01月16日

Webでの絶版文庫の探索

最近はインターネットのWeb上で,絶版文庫の販売を行う書店が増えてきた。その中で, 比較的古い文庫を扱っている書店をいくつか紹介したい。【取扱分野】は,各店の分類による。

★絶版文庫専門店 フィルスト文庫 (神奈川県相模原市)
【取扱分野】 SF/ 時代物/ 推理/ 文庫sf/ 怪奇/ 幻想/ 思想/ 落語/ 将棋/ 紀行/ 文化/ 文学/ エッセイ/ 歴史/ 随筆/ 評論/ 伝記/ 語録/ 宗教/ 芸術/ 古典 / 文庫その他

★絶版文庫専門店 氷川書房 (東京都葛飾区)
【取扱分野】岩波文庫全般,第三次新潮文庫,第四次新潮文庫,角川文庫,アカギ叢書,改造文庫,山本文庫・手帖文庫, 改造社世界大衆文学全集,春陽堂世界名作文庫,春陽堂日本小説文庫,春陽堂文庫・春陽文庫,冨山房百科文庫,世界文庫, 世界古典文庫,アテネ文庫,市民文庫,河出文庫,河出新書,三笠文庫,近代文庫,創元文庫,青木文庫,音楽文庫, 現代教養文庫,酣鐙社詩人全書,旺文社文庫,サンリオSF文庫,創元推理文庫,ハヤカワ文庫,HPB,講談社文庫,講談社・ 江戸川乱歩推理文庫,講談社・少年倶楽部文庫,講談社・国枝史郎伝奇文庫,講談社・講談名作文庫,講談社学術文庫, 中公文庫,集英社文庫,ちくま文庫,新日本文庫 ,潮文庫,福武文庫,朝日文庫・朝日文芸文庫,文春文庫,徳間文庫, 双葉文庫,大陸文庫,近映文庫,ソノラマ文庫(海外シリーズを含む),二見文庫,平凡社カラー新書,保育社カラーブックス, 文庫クセジュ,ポプラ社文庫,その他文庫(戦前) ,その他文庫(戦後)

★苔花堂書店 (東京都国分寺市)
【取扱分野】世界古典文庫,改造文庫,ハヤカワ文庫NF,岩波文庫・赤帯,岩波文庫・青帯,弘文堂アテネ文庫,角川文庫・ 翻訳作品

★黄麦堂 (横浜市)
【取扱分野】岩波文庫,講談社学術文庫,講談社文芸文庫,新潮文庫,角川文庫,朝日文庫,講談社大衆文学館,中公文庫, 旺文社文庫,福武文庫,徳間文庫,河出文庫,ちくま文庫,ちくま学芸文庫

★楡書房 (神奈川県座間市)
【取扱分野】中公文庫,集英社文庫,文春文庫,講談社学術文庫,講談社文庫,ちくま文庫,徳間文庫,角川文庫,河出文庫, 岩波文庫,新潮文庫,福武文庫

★ふるほん文庫やさん (北九州市)
【取扱分野】文庫全般

★風書房 (東京都豊島区)
【取扱分野】中公文庫,講談社文庫,岩波文庫,旺文社文庫,新潮文庫,福武文庫,河出文庫,サンリオ文庫,角川文庫, ちくま文庫,その他

★するが書房 (静岡市)
【取扱分野】世界古典文庫,世界名作文庫,アテネ文庫,世界文庫,近代文庫,旺文社文庫,角川文庫,講談社文庫,新潮文庫, 中公文庫,その他

★竹林堂書店 (福岡市)
【取扱分野】ハヤカワ文庫,中公文庫,岩波文庫,創元社文庫,その他絶版文庫

★季節書房 (佐賀市)
【取扱分野】PHP文庫,ちくま文庫,ハヤカワ文庫,旺文社文庫,河出文庫,改造文庫,角川文庫,岩波文庫,講談社文庫, 集英社文庫,新潮文庫,中公文庫,朝日文庫,文春文庫

★あべの古書店 (静岡市)
【取扱分野】朝日文庫,旺文社文庫,角川文庫,河出文庫,教養文庫,講談社文庫,新潮文庫,中公文庫,文春文庫,早川文庫, その他絶版文庫

★湘南堂ブックサーカス (神奈川県藤沢市)
【取扱分野】改造文庫,岩波文庫,旺文社文庫,サンリオSF文庫,早川文庫,創元推理文庫,その他絶版文庫

★梁山書林 (豊川市)
【取扱分野】岩波文庫(黄帯・緑帯),岩波文庫(青帯・赤帯・白帯),旺文社文庫,角川文庫,講談社文庫,講談社学術文庫, 現代教養文庫,中公文庫,古典文庫

★萬重宝 (静岡市)
【取扱分野】角川文庫,中公文庫,講談社文庫,旺文社文庫,福武文庫,岩波文庫,教養文庫,新潮文庫,ハヤカワ文庫, 創元推理文庫,サンリオ文庫,その他

★古本文庫横町 (東京都目黒区)
【取扱分野】岩波文庫,新潮文庫,角川文庫,講談社文庫,中公文庫,旺文社文庫,秋元文庫,アテネ文庫,ロマン文庫, ちくま文庫,河出文庫,文春文庫,その他

★湘南股旅堂 (神奈川県茅ヶ崎市)
【取扱分野】ちくま文庫,河出文庫,中公文庫,岩波文庫,福武文庫,角川文庫,富士見ロマン文庫,旺文社文庫, その他

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2001年04月14日

岩波文庫在庫希少本一覧(I)

黄帯

  1. 新訂 一茶俳句集 丸山 一彦 校注
  2. 大鏡 松村 博司 校注
  3. 近世風俗志 (守貞謾稿) 1〔全5冊〕 喜田川 守貞,宇佐美 英機 校訂
  4. 近世風俗志 (守貞謾稿) 3〔全5冊〕 喜田川 守貞,宇佐美 英機 校訂
  5. 源氏物語 全六冊 全6冊セット
  6. 蕉門名家句選 全二冊 上 堀切 実 編注
  7. 蕉門名家句選 全二冊 下 堀切 実 編注
  8. 醒睡笑 全二冊 下 安楽庵 策伝,鈴木 棠三 校注
  9. 定家八代抄 下〔全2冊〕 樋口 芳麻呂,後藤 重郎 校注
  10. 東海道中膝栗毛 全二冊 下 十返舎 一九,麻生 磯次 校注
  11. 色道諸分 難波鉦 酉水 庵無底居士,中野 三敏 校注
  12. 日本外史 全三冊 下 頼 山陽/頼 成一,頼 惟勤 訳
  13. 蕪村俳句集 尾形 仂 校注
  14. 平家物語 3〔全4冊〕
  15. 誹諷 柳多留拾遺 上・下 下 山澤 英雄,千葉 治 校訂
  16. 柳多留名句選 上・下 上 山澤 英雄 選,粕谷 宏紀 校注

緑帯

  1. あらくれ 徳田 秋声
  2. 安城家の兄弟 全3冊 下 里見 トン
  3. 一国の首都 他一篇 幸田 露伴
  4. 運命 他一編 幸田 露伴
  5. 江戸芸術論 永井 荷風
  6. 大石良雄 野上 弥生子 作
  7. 屋上登攀者 藤木 九三
  8. 硝子戸の中 夏目 漱石
  9. 岸田劉生随筆集 酒井 忠康 編
  10. 木下利玄全歌集 五島 茂 編
  11. 泣菫詩抄 薄田 泣菫
  12. 虚子五句集 上〔全2冊〕 高浜 虚子 作
  13. 近代日本人の 発想の諸形式 他四篇 伊藤 整
  14. 佐藤佐太郎歌集 佐藤 志満 編
  15. 志賀直哉随筆集 高橋 英夫 編
  16. 社会百面相 全2冊 上 内田 魯庵
  17. 社会百面相 全2冊 下 内田 魯庵
  18. 春昼・春昼後刻 泉 鏡花
  19. 増補 新橋の狸先生 森 銑三,小出 昌洋 編
  20. すみだ川・新橋夜話 他一篇 永井 荷風
  21. 立原道造詩集 杉浦 明平 編
  22. 小さき者へ・ 生まれいずる悩み 有島 武郎
  23. 寺田寅彦随筆集 全五冊 1 小宮 豊隆 編
  24. 寺田寅彦随筆集 全五冊 5 小宮 豊隆 編
  25. 東京の三十年 田山 花袋
  26. 夏目漱石 全三冊 中 小宮 豊隆
  27. 夏目漱石 全三冊 下 小宮 豊隆
  28. 新美南吉童話集 千葉 俊二 編
  29. 野火/ハムレット日記 大岡 昇平
  30. 破戒 島崎 藤村
  31. 笛 野上 弥生子 作
  32. 蒲団・一兵卒 田山 花袋
  33. 三好達治随筆集 三好 達治,中野 孝次 編
  34. 迷路 全二冊 上 野上 弥生子
  35. 迷路 全二冊 下 野上 弥生子
  36. 盲目物語・春琴抄 谷崎 潤一郎
  37. 山の音 川端 康成
  38. 新選 山のパンセ 串田 孫一 自選
  39. 雪 中谷 宇吉郎
  40. 夜明け前 全四冊 1部下 島崎 藤村
  41. 吉野葛・蘆刈 谷崎 潤一郎
  42. 檸檬・冬の日 他九篇 梶井 基次郎

赤帯

  1. 愛と死との戯れ ロマン・ ロラン/片山 敏彦 訳
  2. フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 木村 榮一 訳
  3. アルプス登攀記 全二冊 上 ウィンパー/浦松 佐美太郎 訳
  4. アルプス登攀記 全二冊 下 ウィンパー/浦松 佐美太郎 訳
  5. イーゴリ遠征物語 木村 彰一 訳
  6. ウィーン世紀末文学選 池内 紀 編訳
  7. ヴィヨン全詩集 鈴木 信太郎 訳
  8. ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 全3冊 下〔全3冊〕 ゲーテ 作/山崎 章甫 訳
  9. ハイネ 歌の本 全二冊 上 ハイネ/井上 正蔵 訳
  10. 黄金のろば 全二冊 下 アプレイウス/呉 茂一,国原 吉之助 訳
  11. 恐るべき子供たち コクトー/鈴木 力衛 訳
  12. カラマーゾフの兄弟 全四冊 3 ドストエーフスキイ/米川 正夫 訳
  13. フィンランド 叙事詩 カレワラ 全2冊 上 リョンロット 編/小泉 保 訳
  14. フィンランド 叙事詩 カレワラ 全2冊 下 リョンロット 編/小泉 保 訳
  15. 狂人日記 他二篇 ゴーゴリ/横田 瑞穂 訳
  16. 虚栄の市 全6冊 六 サッカレ/三宅 幾三郎 訳
  17. 金瓶梅 1〔全10冊〕
  18. 金瓶梅 3〔全10冊〕
  19. クォ・ワディス 全三冊 上 シェンキェーヴィチ/木村 彰一 訳
  20. ホイットマン詩集 草の葉 全三冊 中〔全3冊〕 ホイットマン/杉木 喬 訳
  21. グライフェン湖の代官 ケラー/堀内 明 訳
  22. 完訳 クルイロフ寓話集 内海 周平 訳
  23. 黒猫・モルグ街の殺人事件 他五篇 ポオ/中野 好夫 訳
  24. 短篇集 恋の罪 サド 作/植田 祐次 訳
  25. 西遊記 全十冊 2 小野 忍,中野 美代子 訳
  26. 西遊記 全十冊 3 小野 忍,中野 美代子 訳
  27. 西遊記 全十冊 8 小野 忍,中野 美代子 訳
  28. 西遊記 全十冊 9 中野 美代子 訳
  29. 桜の園 チェーホフ 作/小野 理子 訳
  30. 完訳 三国志 全八冊 6 小川 環樹,金田 純一郎 訳
  31. ジェイン・エア 全二冊 上 シャーロット・ブロンテ/遠藤 寿子 訳
  32. ジェイン・エア 全二冊 下 シャーロット・ブロンテ/遠藤 寿子 訳
  33. 地獄の季節 ランボオ/小林 秀雄 訳
  34. 詩と真実 4〔全4冊〕 ゲーテ/山崎 章甫 訳
  35. シベリア民話集 斎藤 君子 編訳
  36. 市民の反抗 他5篇 H.D.ソロー/飯田 実 訳
  37. ジャン・クリストフ 全四冊 2 ロマン・ローラン/豊島 与志雄 訳
  38. ジュスチーヌまたは美徳の不幸 サド 作/植田 祐次 訳
  39. 知られざる傑作 他五篇 バルザック/水野 亮 訳
  40. 真珠の首飾り 他2篇 レスコーフ/神西 清 訳
  41. 完訳 千一夜物語 全十三冊 2 豊島 与志雄 訳
  42. 完訳 千一夜物語 全十三冊 4 豊島 与志雄 訳
  43. 戦争と平和 全四冊 1 トルストイ/米川 正夫 訳
  44. 戦争と平和 全四冊 2 トルストイ/米川 正夫 訳
  45. ソネット集 シェイクスピア/高松 雄一 訳
  46. 大地 四〔全4冊〕 パール・バック 作/小野寺 健 訳
  47. 谷間のゆり バルザック/宮崎 嶺雄 訳
  48. フィリップ 短篇集 小さき町にて 淀野 隆三 訳
  49. 地底旅行 ジュール・ヴェルヌ 作/朝比奈 弘治 訳
  50. 釣魚雑筆 アクサーコフ/貝沼 一郎 訳
  51. 椿姫 デュマ・フィス/吉村 正一郎 訳
  52. 対訳 ディキンソン詩集 亀井 俊介 編
  53. ドイツ名詩選 生野 幸吉,檜山 哲彦 編
  54. 唐宋伝奇集 全二冊 下 今村 与志雄 訳
  55. トオマス・マン短篇集 実吉 捷郎 訳
  56. 読書案内 W.S.モーム/西川 正身 訳
  57. ドクトル・ビュルゲルの運命 カロッサ/手塚 富雄 訳
  58. ドン・キホーテ 前篇一 1 セルバンテス 作/牛島 信明 訳
  59. ドン・ジュアン モリエール/鈴木 力衛 訳
  60. ニーベルンゲンの歌 全二冊 後 相良 守峯 訳
  61. 贋金つくり 全二冊 上 アンドレ・ジイド/川口 篤 訳
  62. 贋金つくり 全二冊 下 アンドレ・ジイド/川口 篤 訳
  63. 楡の木陰の欲望 オニール/井上 宗次 訳
  64. ノディエ幻想短篇集 ノディエ/篠田 知和基 編訳
  65. 白鯨 全三冊 下 メルヴィル/阿部 知二 訳
  66. 初恋 ツルゲーネフ/米川 正夫 訳
  67. パリの夜 レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ/植田 祐次 編訳
  68. ヒトーパデーシャ ナーラーヤナ/金倉 円照,北川 秀則 訳
  69. 日はまた昇る ヘミングウェイ/谷口 陸男 訳
  70. 二つの薔薇 スティヴンソン/中村 徳三郎 訳
  71. 冬物語 ハイネ/井汲 越次 訳
  72. ベートーヴェンの生涯 ロマン・ロラン/片山 敏彦 訳
  73. オウィ ディウス 変身物語 全二冊 下 オウィディウス/中村 善也 訳
  74. ヘンリ・ライクロフトの私記 ギッシング/平井 正穂 訳
  75. ボヴァリー夫人 全二冊 上 フローベール/伊吹 武彦 訳
  76. みずうみ 他四篇 シュトルム/関 泰祐 訳
  77. モンテ・クリスト伯 全七冊 6 アレクサンドル・デュマ/山内 義雄 訳
  78. 病は気から モリエール/鈴木 力衛 訳
  79. イプセン 幽霊 原 千代海 訳
  80. 夢小説・闇への逃走 他一篇 シュニッツラー/池内紀,武村 知子 訳
  81. 幼年時代 カロッサ/斎藤 栄治 訳
  82. ラ・プラタの博物学者 ハドソン/岩田 良吉 訳
  83. レ・ミゼラブル 全四冊 3 ユーゴー/豊島 与志雄 訳
  84. アファナ ーシエフ ロシア民話集 全二冊 下 アファナーシエフ/中村 喜和 編訳
  85. 若き日の手紙 フィリップ/外山 楢夫 訳
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2000年05月20日

岩波文庫の値段

家計簿で本代は教養娯楽費に入るという。教養なのか娯楽なのか,ハッキリしてくれ!と思うのだが, 所詮,どちらも普通の家庭にとって腹の足しにならんもの,という括りであるのか。

亭主の本代は極限まで削らされ,文庫本1冊買うのにも本屋の棚の前で思案にくれる ....という惨めな生活が続くと, 卑屈になっていかんですな。(あぁ,ひたすら買い まくった学生時代が懐かしい!)

それでも現代は,多少なりとも生活に余裕がでたせいか,本代の家計に占める 割合は上昇しているらしい。

古い資料だが,日本人が書籍に使う金額を都留重人が次のように紹介している。 書籍に使うお金は, 終戦直後の昭和21年で家計の0.13%。1ヶ月1万円として 本代は13円。今だと400円位か。 これでは★1つの岩波文庫を1冊も買えない。

同じ頃,書籍代が消費支出にしめる割合は,米国0.34%,英国0.29%であったから,日本はこれらの国に 比べて1/2 ~1/3に過ぎない。もっとも,他の国にしても,決して多い数字ではなかったが。

そこで,昭和初期の1冊1円ポッキリ「円本」大流行となるのだが, 文庫本でも岩波に先行するアカギ叢書が,名作何でもかんでもダイジェスト1冊10銭という のを始めて, かなり流行った。

これに対して岩波茂雄は,古典作品を全部完訳にし,廉価で刊行しようという計画を たてたが, さていくらにしたらよいものだろうかと悩む。そこで当時,新しい文庫刊行に当たって,原価計算を したのは, 製本所から岩波の経理へやってきた大谷市三という老人で, この人が文庫★1つ100ページを20銭でできると計算。それは 著者の印税を10%とし, 1万部売って200円儲かるという目論見であった。

実際は,1冊20銭均一では冊数があまりに増えてしまうため,★3つ4つ位のものは 1冊にまとめて出すことになったのだが, 「20銭ずつ読んでいこう」は 岩波文庫ファンの合い言葉となった。

岩波文庫の発行状況を見ると,初期のタイトルはほとんど1万部以上刷っており, 初版で 「藤村詩抄」5万部,「古事記」「日本書紀」が3万,「万葉集」「こころ」 「たけくらべ」などが2万,「奥の細道」3万5千, 「若きウェルテルの悩み」3万, などという記録が残されている。もちろん,岩波文庫の性格上,初版部数千部という 特殊な本も出しているが,まずは当初の予想通りの立ち上がりであった。

参考までに昭和26年,岩波は「岩波文庫は他社の文庫に比べて,安いのか 高いのか?」 という読者の質問に答えて,

 

文庫名 既刊点数 平均頁数 平均定価
新潮文庫 176点 124頁 40円
角川文庫 63点 107頁 30円
アテネ文庫 105点 72頁 30円
岩波文庫 878点 122頁 30円

と岩波の健闘ぶりを示したあと,「値段の高低は,内容,校正,造本三者の質 に対する評価によってお考えいただきたい」といっている。

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2000年02月17日

文庫本の稼働点数(資料)

  • 岩波文庫(1927)
  • 特徴/文庫本の元祖。創刊以来、国内外の古典の名作だけをそろえる。
  • 最近のベストセラー/「モンテ・クリスト伯」(全7冊)デュマ 各数千部
  • 稼動点数=1300
  • 新潮文庫(1947)
  • 特徴/毎年リニューアルしている「新潮文庫の100冊」をはじめ国内外の文学作品が充実。
  • 最近のベストセラー/「そういうふうにできている」 さくらももこ 40万部
  • 稼動点数=2750
  • 角川文庫(1949)
  • 特徴/角川ホラー文庫が好調。推理小説などエンターテインメント系の作品に強み。
  • 最近のベストセラー/「リング」 鈴木光司 270万部
  • 稼動点数=2800
  • ハヤカワ文庫(1970)
  • 特徴/海外作品が豊富。ミステリー、SF、ノンフィクションなどジャンル別に7つの文庫がある。
  • 最近のベストセラー/「恋」 小池真理子 17万部
  • 稼動点数=2000
  • 講談社文庫(1971)
  • 特徴/ミステリー作品が充実。実用雑学系を得意とする「+α文庫」など別だてのシリーズも多数ある。
  • 最近のベストセラー/「少年H」(上・下)妹尾河童 計81万部
  • 稼動点数=5100
  • 中公文庫(1973)
  • 特徴/日本や中国の歴史・文化作品に定評がある。毎月テーマを変えた特集にも力を入れている。
  • 最近のベストセラー/「今夜は眠れない」 宮部みゆき 23万部
  • 稼動点数=1875
  • 文春文庫(1974)
  • 特徴/司馬遼太郎、池波正太郎をはじめととした歴史・時代小説の名作を数多くそろえる。
  • 最近のベストセラー/「地を這う虫」 高村薫 22万部
  • 稼動点数=2765
  • 集英社文庫(1977)
  • 特徴/若者向けのエッセーや恋愛小説などを積極的に取り入れている。
  • 最近のベストセラー/「天使の卵」 村山由佳 25万部
  • 稼動点数=3000
  • 幻冬舎文庫(1997)
  • 特徴/新進の出版社。現代の人気作家の作品を次々に刊行している。
  • 最近のベストセラー/「大河の一滴」 五木寛之 70万部
  • 稼動点数=380
  • 小学館文庫(1997)
  • 特徴/国際評論、小説、実用書、ガイドブックなど幅広い分野の作品を扱う。
  • 最近のベストセラー/「催眠」 松岡圭祐 80万部
  • 稼動点数=346

(注)稼動点数は絶版を除き、実際に書店に流通している点数。別だてのシリーズの点数も入っている。

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2000年01月07日

岩波現代文庫の創刊

岩波現代文庫が1月14日に創刊される。 学術,文芸,社会を3本柱に,それぞれG,B,Sの分類記号を割り当て,初回は21冊。 70数年前の岩波文庫の登場に比べれば,ずいぶん穏やかな船出である。

「現代文庫」という名は,あまりに芸がない気もするが,「現代文庫」が出たことによって,既存の岩波文庫は, 「古典文庫」としての地位がようやく確定したわけで,これはこれでめでたいこと。 岩波文庫になるべく新しい作品もとりこんでいきたい,という最近の方針は何処へ行ったか定かではないが....。 考えてみれば,昭和2年創刊時の岩波文庫は,その時代の新しい作品も取り込んでいたわけで, それは当時の作品が既に将来の古典としての力があった,あるいは岩波がそれを見通した気になっていたのに対し,あえて今回, 現代文庫という亜種を持ち出したのには,現代の作品に対し岩波が,それらを古典になりうる作品, 岩波文庫にふさわしい作品と認めるだけの自信がないという態度の現れともいえ,「現代文庫」という名が, なんとなく脆弱な感じを与える理由も,その辺にありそうだ。。

岩波文庫は,他の文庫が古典路線を捨て去ったことにより,自然に差別化されてきた。岩波現代文庫を, 他の文庫や新書と差別化するポイントはどこか。刊行予定のリストを見ても, ちくまや講談社のラインナップとどこが異なるのか,ハッキリしない。それらは,岩波が現代の作品を広く渉猟し, セレクトした優れた作品であるのか,あるいは,単に岩波書店で出版した一般書の廉価版に過ぎないのか。

文庫,新書と常にパイオニアを自任してきた岩波が,あえて他社の土俵に踏み込んで勝負する「現代文庫」。 岩波文庫創刊の辞に謳ったように,「現代文庫」もファンを得て,恒久的な事業と成りうるのか。 これはなかなか前途多難と思われる。

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1999年09月04日

文庫本を読む-参考書籍・雑誌

文庫本を読むための参考資料(書籍および雑誌)です。

文庫目録・カタログ
総合文庫目録 総合文庫目録刊行会 1998
便利な文庫の総目録 柿添昭徳編 1996 文庫の会(日本出版販売)
ニッポン文庫大全 紀田順一郎ほか編 1997
岩波文庫解説総目録 岩波文庫編集部編 1997 岩波書店
角川書店図書目録 昭和20-50年 角川書店編 1995 角川書店
文庫本学
雑誌「文庫」 岩波文庫の会 1997(復刻) 岩波書店
文庫本雑学ノート 岡崎武志 1998 ダイヤモンド社
文庫そのすべて 矢口進也 1979 図書新聞
文庫本繁昌記 矢口進也 1984 日本古書通信社(こつう豆本)
文庫の整理学 紀田順一郎 1985 講談社
岩波書店 岩波茂雄 栗田確也編 1968 栗田書店
ブックガイド
絶版文庫交響楽 近藤健児 1999 青弓社
岩波文庫の黄帯と緑帯を読む 門谷建蔵 1998 青弓社
岩波文庫の赤帯を読む 門谷建蔵 1997 青弓社
絶版文庫の漁誌学 すずきゆたか 1988 青弓社
絶版文庫発掘ノート 岩男淳一郎 1983 青弓社
BOOKMAN(No.1-30) 瀬戸川猛資ほか 1982-91 トパーズプレス
文庫一番煎じ 柿添昭徳 1995 世界文化社
文庫本の快楽 安原顕編 1992 メタローグ
文庫中毒 井狩春男編 1992 ブロンズ
文庫へのみち(正続) 小田切進 1981 東京新聞出版
この文庫が好き! 小説トリッパー編 1998 朝日新聞社
文庫新書で読む日本の書物「古代編」 小山田和夫 1997 笠間書院
ザ★文庫快説001(ゼロゼロワン) 遊工房編 1992 メディアパル
風の文庫談義 百目鬼恭三郎 1991 文藝春秋
活字中毒養成ギプス ぼくらはカルチャー探偵団編 1998 角川書店
ジャンル別文庫本ベスト1000 安原顕編 1995 学研
私の好きな文庫本ベスト5 安原顕編 1994 メタローグ
立川文庫の英雄たち 足立巻一 1987 中央公論社
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1998年12月30日

1998年版『書店の棚から消えた本』

1997年~98年に解説目録より消えた書目のリストです。絶版・ 品切になる本は必ずしも売れていないということではなく,改版待ちや重刷中などの事由もあるでしょうが, 無くなったものほど惜しい!と思うのが人の常....。ともあれ,これらの本を書店で見かけたら, 早く買っておく必要がありそうです。岩波文庫の在庫点数自体は,ここ1年で50点ほど増加しています。
タイトル 著訳者 著者別番号
中江兆民評論集 松永昌三編 青110-2
日本風景論 志賀重昴 青112-1
妾の半生涯 福田英子 青121-1
西田幾多郎哲学論集(3) 上田閑照編 青124-6
貧乏物語 河上 肇 青132-1
自叙伝・日本脱出記 大杉 栄 青134-1
女工哀史 細井和喜蔵 青135-1
基督教の起源 波多野精一 青145-1
地震・憲兵・火事・巡査 山崎今朝弥 青160-1
工藝文化 柳宋悦 青169-3
暗黒日記 清沢 洌 青178-1
フランス・ルネサンスの人々 渡辺一夫 青188-1
ヨオロッパの世紀末 吉田精一 青194-2
岡正雄論文集 異人その他 大林太良編 青196-1
荀子 荀子 青208-1,2
陶庵夢憶 張岱 青217-1
実践論・矛盾論 毛沢東 青231-1
章炳麟集 西純蔵訳 青233-1
日蓮文集 兜木正亨校注 青305-1
魔訶止観 天台大師 青309-1,2
天台小止観 天台大師 青309-3
往生要集 源信 青316-1,2
仏教 ベック 青324-1,2
明恵上人集 久保田淳校注 青326-1
ルネサンスと宗教改革 トレルチ 青417-1
大森貝塚 モース 青432-1
日本切支丹宗門史 レオン・パジェス 青433-1-3
オデュッセウスの世界 フィンリー 青464-1
十八世紀ヨーロッパ監獄事情 ジョン・ハワード 青465-1
ミカド グリフィス 青468-1
ベートーヴェン音楽ノート ベートーヴェン 青501-2
人間機械論 ド・ラ・メトリ 青620-1
プロレゴメナ カント 青626-3
ヘーゲル政治論文集 金子武蔵訳 青629-6,7
哲学史序論 ヘーゲル 青629-8
将来の哲学の根本命題 フォイエルバッハ 青633-3
不安の概念 キェルケゴール 青635-2
人間認識起源論 コンディヤック 青646-1,2
聖なるもの オットー 青811-1
コリャード懺悔録 大塚光信校注 青814-1
シレジウス瞑想詩集 植田重雄訳 青819-1,2
天体の回転について コペルニクス 青905-1
星界の報告 ガリレイ 青906-5
和泉式部集・和泉式部続集 和泉式部 黄17-2
好色五人女 井原西鶴 黄204-4
江戸怪談集 高田衛編 黄257-1-3
元禄世間咄風聞集 長谷川強校注 黄207-1
柳多留拾遺 山澤英雄 黄217-7,8
漱石文芸論集 夏目漱石 緑10-0
文学論集 夏目漱石 緑11-7,8
漱石書簡集 三好行雄編 緑11-13
俳諧大要 正岡子規 緑13-7
松蘿玉液 正岡子規 緑13-8
筆まかせ抄 正岡子規 緑13-9
日本橋 泉鏡花 緑27-7
宣言 有島武郎 緑36-3
夢の女 永井荷風 緑42-4
赤光 斉藤茂吉 緑44-1
白秋愛唱歌集 北原白秋 緑48-3
迷路 野上弥生子 緑49-2,3
至福千年 石川淳 緑94-2
古句を観る 柴田宵曲 緑106-1
伊藤静雄詩集 杉本秀太郎編 緑125-1
日本アルプス 小島烏水 緑135-1
眼中の人 小島政二郎 緑147-1
世界憲法集 宮沢俊義編 白2-1
リヴァイアサン ホッブス 白4-1-4
デモクラシーの本質と価値 ケルゼン 白16-1
ミル自伝 朱牟田夏雄訳 白116-8
マルクス経済学批判 武田隆夫訳 白125-0
古代社会 モルガン 白204-1,2
金枝篇 フレイザー 白216-1-5
紅楼夢 曹雪斤 赤18-1-19-2
笑府 馮夢竜撰 赤32-1,2
シャクンターラ姫 カーリダーサ 赤64-1
朝鮮童謡選 金素雲訳編 赤70-1
ダフニスとクロエー ロンゴス 赤112-1
モル・フランダーズ デフォー 赤208-3,4
透明人間 ウェルズ 赤276-2
果てしなき旅 フォースター 赤283-1,2
どん底の人びと ジャック・ロンドン 赤315-2
親和力 ゲエテ 赤406-8
アルト=ハイデルベルク フェルスター 赤427-1
憂愁夫人 ズーデルマン 赤446-1
果てしなき逃走 ヨーゼフ・ロート 赤462-1
パンタグリュエル物語2,3,4 ラブレー 赤502-2-4
フィガロの結婚 ボオマルシェ 赤522-1
戯れに恋はすまじ ミュッセ 赤536-1
感情教育 フローベール 赤538-3,4
ノア・ノア ゴーガン 赤549-1
トルストイの生涯 ロマン・ローラン 赤556-1
大尉の娘 プーシキン 赤604-3
即興詩人 アンデルセン 赤741-1,2
兵士シュヴェイクの冒険 ハシェク 赤773-1-4
山椒魚戦争 チャペック 赤774-1
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1998年10月19日

絶版岩波文庫

タイトル 著者等 発行年 価格 調査年
青帯        
建築の七灯 ラスキン 10,000 1984
日本切支丹宗門史3冊 パジェス 8,500 1984
動物哲学 ラマルク 10,000 1984
過去と現在(上下) カーライル 9,500 1997
ギリシア精神の様相 ブチヤー 1940 2,500 1998
戯曲の技巧(全2冊) フライターク 1949 4,000 1998
伊太利文藝復興期の文化(全2冊) ブルクハルト 1950 4,500 1998
形而上学叙説 ライプニツ 1988 2,000 1998
科学的宇宙観の変遷 アウレニウス   3,000 1984
気候と文明 ハンチントン   3,000 1984
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト テンニエス 1980 2,500 1998
言語活動と生活 バイイ 1950 2,000 1998
衣服哲學 カーライル 1946 3,000 1998
盲人書簡 ディドロ 2,000 1998
イミターシヨ・クリスチ 内村達三郎譯 1928 2,000 1998
正法眼蔵(全3冊) 衛藤即応校訂 15,000 1988
人性論(全4冊) ヒューム 15,000 1988
東西文学評論 ラフカデイオ・ヘルン 1950 2,000 1998
古代希臘文學總説 ジェブ 1941 2,500 1998
赤帯        
ユリシーズ(全5巻) ヂェイムス・ヂォイス 1932 10,000 1998
サミュエル・ヂョンスン伝3冊 ボズウェル 20,000 1984
黄金寶壷 ホフマン 1954 3,000 1998
カレワラ(上)フィンランド叙事詩 森本覺丹譯 1939 2,000 1998
カイン バイロン/島田謹二訳 1960 2,000 1998
エルサレム(全2冊) ラーゲルレーヴ 1988 4,000 1998
シェイクスピア論 コールリッヂ 1991 2,000 1998
アエネーイス (上) ウェルギリウス 1976 2,000 1998
恐ろしき媒 エチェガライ 1988 2,000 1998
沙翁物語 Ch.&M.ラム/野上彌生子訳 1952 2,000 1998
グロウブ フランツ・シュウベルト 2,000 1983
色彩論 ゲーテ   8,000 1984
聖アントワヌの誘惑 フローベール   3,000 1984
緑の鸚鵡 シュニッツラー 2,000 1984
アイルランド童話集 イエイツ   2,500 1984
若き日の藝術家の自畫像 ヂョイス 1953 2,000 1998
遊女の対話他三篇 ルーキアーノス 1961 2,000 1998
神々の対話他六篇 ルキアーノス 1985 2,000 1998
大海のほとり ストリンドベルク 1935 3,500 1998
マンドラゴラ マキャベリ 15,000 1998
杜詩 第一冊 漆山又四郎訳註 1929 2,000 1998
エンディミオン キーツ 1949 3,500 1998
緑帯        
草野心平詩集 入沢康夫編 1991 2,000 1998
ふらんす物語 永井荷風   2,000 1983
あめりか物語 永井荷風   2,000 1983
文學評論 夏目漱石 1941 2,000 1998
黄帯        
声曲類纂 藤田徳太郎校訂 1972 2,000 1998
白帯        
アイァランドの政治的解剖 ペティ 1967 2,000 1998
         
       
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1998年10月15日

蔵書印と書き込み

最近は,いちいち購入した本に蔵書印を押したり, 識語を書き込むという人は少ないと思いますが,古書店で古い文庫本を探していると,蔵書印が押されていたり, 書き込みのある本によく出会います。いまは本があふれかえってしまったためか, 一冊一冊の文庫本を自分の精神的な財産,糧として愛着を感じ,蔵書印を押したり, 感想を書き込むということが少なくなってしまったようです。

一般には蔵書印や書き込みのある古書は, それがその書に関わる由緒ある印や書き込みである場合を除いて嫌われていますが,文庫本は, よい意味で"読めればよい"本なのですから,印や書き込みがあるからといって敬遠する必要はありません。(写真は昭和5年 『回想のセザンヌ』への印とサイン)

蔵書印はたいてい扉ページに押されており,立派に篆刻された印であったり, 単なる三文判であったりします。たとえ三文判であっても,そこには単に文庫本を消耗品, 読み捨ての本とのみとらえない,所有者の愛情が感じられて嬉しく思います。また,一つだけではなく, 明らかに異なる複数の人により押されていることもあり,流れ流れてここまでたどり着いた, その小さな文庫本の歴史を感じることもできます。

以前,神田の山陽堂書店で古い岩波文庫をよく買っていたときには,同じ蔵書印が押された本にいくつも出会いました。 文庫本といえども,蔵書印を押したり,"熱い"書き込みがあるものを,簡単に手放すとは考えにくいので, これは本人亡き後に整理されたもの....と考えたいところです。

蔵書印については,鴎外の「渋江抽斎」(岩波文庫にもあります)に関して,こんなエピソードがあります。

鴎外は歴史小説を書くために「武鑑」を蒐集していくうちに,抽斎の蔵印のあるものに少なからず行き当たり, そのうち上野図書館蔵の「江戸鑑図目録」は渋江の稿本にして蔵印が押されてあるばかりでなく, 抽斎云として考証を加えてあるのを見るや,やがて渋江氏が抽斎であったことが判明し,ようやく抽斎探求熱が燃え上がって, 史伝小説をまとめ,この忘れられていた抽斎の名を世間に知らしめた,ということです (東大図書館には鴎外の手写したものがある由)。国会図書館には抽斎の蔵書が漢籍,黄表紙など26点あるそうな。

蔵書印は,書店に行けば出来合いのゴム印も売っていますが,せっかく作るのでしたら, オリジナルのかっこいいものを作りたい! という方には,蔵書印の篆刻をしてくれる工房があります。

 

青幻舎 - 手彫りによる本格的印章の販売。オリジナルの印章の制作。

南州堂 - 電子メールやFAXによる注文も可能。セール等も実施。

エーエーインターナションル - 日本で注文し中国で製作。インターネットで資料請求。 

文庫本の場合,注意しなければいけないのは,判型がもともと小さいので, 通常の25~30mm角の印では,やや大きすぎるということです。私の中国製の蔵書印は25mm角なので, 文庫本に押すにはちょっとじゃまです(18~21mmくらいがよいようです)。 本にあわせて何種類か用意できるといちばんよいのですが。

書き込みのほうは,本文の最終ページか奥付に書かれているものが多く,内容は,購入に関するもの(購入年月日, 購入場所など)や短い感想文,なかにはその本とまったく関係のないメモなどの場合もあります。これも蔵書印と同じく, 古い本ほど多いようで,丁寧に書かれた読後感などを読むことができます。

戦中の文庫本では,軍事教練や演習を日記風に綴ったものもあり,当時の生活の一端を知るとともに, かつてのこの書の持ち主の運命に思いを馳せざるをえません。(写真は昭和14年『春の目ざめ』への書き込み)

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1998年10月14日

単行本はどこに?

書店で,ある作家の小説やエッセイを探すときに,あなたはまず単行本の書棚へ行きますか,それとも文庫本の書棚へ行きますか?  私の場合,明らかに出たばかりの新刊書とわかる場合を除いて,文庫本の方へ行きます。最近のように, 単行本から文庫化される時期が早くなると,単行本をレジへ持っていく途中で,念のため....と文庫本の書棚をのぞいて,「あっ! あった^^」ということも,よくありますし。

ということで,メジャーな作家を選んで,現在流通している本の中で,文庫本がどれだけの割合を占めているのか,調べてみました。 全点数には,全集や新書を含んでいます。

作家名 全点数 うち文庫点数 文庫割合(%)
夏目漱石 142 59 42
川端康成 68 27 40
三島由紀夫 74 48 65
泉 鏡花 40 15
芥川龍之介 75 27 36
永井荷風 20 30
太宰 治 60 34 57
森 鴎外 47 26 55
赤川次郎 545 343 63
志茂田景樹 167 52 31
これより,ごくごく大ざっぱに見て,50%程度は文庫本であると思われます。 しかし実際に書店に並べられている本の点数ではどうでしょうか?

我が町の比較的大きな書店(120坪程度)について見てみると,これらの作家のうち,赤川次郎と志茂田景樹の新刊単行本, 新書を除くと,他の作家は文庫本しか置いてありませんでした。よって,書店で実物を見て本を買う,という一般の読者にとって,多くの作家, とくに過去に文豪と呼ばれたような作家は,「文庫」作家なのです。書店側は「文庫本しか売れない」と嘆いていますが,読者としても 「文庫本しか選べない」と言いたいところです。

一般書店のチェーン店化がすすみ,文庫本と雑誌以外は置かないような店が増えています。それに対して, 最近は大型書店によるインターネットを利用した通信販売も広まってきましたが,これらの在庫検索ページで調べて, はじめて文庫本以外にもたくさん本があったんだ!と驚く人が,これから増えるかもしれません....。

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1998年06月20日

発売禁止ならびに削除処分となった岩波文庫一覧

戦前に刊行された岩波文庫の中で,当局により発売禁止,または削除等の処分を受けた書目一覧
「資本論」は岩波が自主的に絶版としたため,ここには無い。

 

著者 書目 処分年 処分内容
アルツイバーシェフ サーニン 上下 昭和4年 発売禁止
ジイド ソヴェト旅行記 昭和12年 一部削除
田山花袋 蒲団・一兵卒 昭和13年 一部削除
アミエル アミエルの日記 一部削除
マルクス 猶太人問題を論ず 増刷中止(昭和15年に発禁)
資本論初版鈔
賃銀・価格及利潤
賃労働と資本
哲学の貧困
エンゲルス 住宅問題
自然弁証法 上下
反デューリング論 上下
原子基督教
マルクス・エンゲルス フォイエルバッハ論
ドイッチェ・イデオロギー
マルクス=エンゲルス芸術論
リアザノフ マルクス・エンゲルス傳
レーニン 唯物論と経験批判論 上中下
ロシアに於ける資本主義の発展 上下
カウツキー 基督教の成立
資本論解説
ルイゼ・カウツキー ローザ・ルクセンブルグの手紙
ローザ・ルクセンブルグ 経済学入門
資本蓄積論 上中下
資本蓄積再論
マルクス フランスの内乱 増製本中止(昭和15年に発禁)
エンゲルス 家族・私有財産及国家の起源
空想より科学へ
レーニン 帝国主義
何を為すべきか
カール・マルクス
レーニンのゴオリキーへの手紙
芥川龍之介 侏儒の言葉 昭和14年 次版改訂
武者小路実篤 その妹 一部削除
徳富蘆花 自然と人生
フロベール ポヴァリー夫人 上下 一部削除・次版改訂
ソレル 暴力論 上 昭和16年 発売禁止

 

 

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1998年06月11日

文庫本の定義

ある本を「文庫本」と呼ぶとき,それは内容を示す場合と,判型を示す場合の2通りがある。

わざわざ内容というのは,流行作品の大量販売を目的とした米国のペーパーバックスと異なり, 我が国の文庫本が古典的作品の廉価版という特殊な事情から発生したためで,文庫本は単なる安物ではなく, "優れた作品"をいつでも手に入れられるように,という立派な目的を持っていたからである。実際,辞書にも 「安価に名著を普及するために同一の判型, 装丁で続けて発刊される小型の本」と定義されている。

しかし,ご承知のように,現在の大部分の文庫本は,内容については全くペーパーバックス化しており,唯一の共通点は,その判型 (サイズ)のみとなってしまった。

一般に文庫判とは,A6サイズを指す。A判とB判の違いは,A判が面積1平方メートル,縦横比1: ルート2のものを基本として,これをA0と呼び,順次その長辺を半裁していったものをA1からA12とするのに対し, B判は面積1.5平方メートルのものをB0としている点だ。

よって,文庫判A6は148×105mm。一般の書籍A5は148×210mm(医師は太る),B6は182×126mm (人には言わじ)となっている。

そもそもこの文庫判のルーツは,江戸時代の袖珍本に遡るが,明治後期に袖珍文庫や立川文庫が発刊されたことで一般的になった。 このときの判型は四六半截だから127×94mmで,今のものよりやや小さい。

戦前の岩波文庫は菊半裁152×109mmで,やや縦長の判型だったが,戦後刊行された文庫本は,ほぼA6判で統一された。

もっとも最近では,角川書店がmini文庫なるものを出すなど,文庫本は内容でも判型でもなく, 従来の本に興味を持たなかった人を取り込むための,簡単な本に意味を変えつつあるらしい。

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1998年05月02日

岩波書店略史

岩波書店は,1913年(大正2年),岩波茂雄によって創業された。この岩波文庫の生みの親, 岩波茂雄のプロフィールと岩波書店の歩みをまとめてみた。

岩波茂雄岩波茂雄は1881年(明治14年), 長野県諏訪郡中州村の農家に生まれた。早くに父を亡くした茂雄は,98年, 東京遊学の念に燃えて,杉浦重剛日本中学校校長に手紙を書き,翌年上京。日本中学5年に入学。

1901年には,旧制第一高等学校に入学し, 同級の阿部次郎らとともに読書や聖書に親しむようになる。03年に一高生藤村操の投身自殺にショックを受け,夏の間, 野尻湖の孤島にこもるなどして,学校は落第。安部能成らと同級になる。

05年,東京帝国大学哲学科選科入学。神田北神保町に下宿する一方, 日曜日ごとに小山内薫や志賀直哉らとともに,内村鑑三の聖書講義へ出席。07年には結婚し,本郷弥生町に移り住む。このころ, 「内外教育評論」の編集を手伝う。

08年,帝大を卒業し,神田高等女学校の教師となり,教頭として修身などを教える。

岩波書店13年,書店開業のため,女学校を退職。神田区南神保町に移転。同年8月5日,古本販売と新刊図書, 雑誌を扱う岩波書店を開業。書店では値引き販売が普通だった当時,正札販売をモットーとし, 店員4名での旗揚げだった。

14年9月,夏目漱石の「こころ」を刊行。岩波書店ではこれを処女出版としている。

19年からは新刊専門販売店となり,20年には小石川の中勘助宅を購入し,自宅とする。23年の関東大震災では,店舗, 印刷工場などすべて焼失するが,バラック建てで復興。24年には年間80点を刊行,店員も37名を数える。25年,最初の「図書目録」 を発行。収録点数330点。

文庫 27年,岩波文庫創刊。7月10日に23点を発行。 同月芥川龍之介自殺。遺書により全集の出版を託される。28年には岩波文庫182点を刊行したが, 売れ行き不調にて在庫が50万冊に膨らむ。

30年,岩波文庫に売上カード方式を導入。31年,雑誌「科学」を創刊。同年,「岩波文庫目録」 を作成。

32年,岩波文庫教科書版30点を発行。33年,岩波文庫「イミターショ・クリスチ」絶版。春秋社が同書を無断で出版したため告訴。 この頃,茂雄はFIAT814を愛車としていた。岩波全書を創刊。ミレーの種まく人をトレードマークにする。

36年,奥付記載の著訳者名にふりがなを付け始める。この年,新刊点数262点,店員103名。38年, 岩波文庫社会科学関係書の発禁処分。PR誌「岩波月報」を「図書」と改題。39年,奥付に落丁本・乱丁本は取り替える旨表示。39年, 従来の委託制を改め,買切り制を実施

40年,津田左右吉の著書をめぐって,著者と岩波茂雄が出版法違反で起訴される。資材不足のため岩波文庫の栞を廃止。41年, 岩波文庫・新書も買切り制を実施。岩波文庫の活字が当局の要請により9ポイントとなる。この年,店員178名。

教科書版42年,太平洋戦争突入後,出版事情が急速に悪化し, 岩波書店の在庫も底をつく。文庫は1200点中50点,新書は80点中30点を残し品切れ。全書は全点品切れ。 当局より不要不急の翻訳ものの出版差し止め処置。翻訳文学の刊行取りやめ。

44年,用紙割り当ての減少により,多くの雑誌を休刊。45年,岩波茂雄,多額納税者議員として貴族院議員に当選。5月, 空襲のため自宅を焼失。店員の多くが疎開し,残ったのは13名。8月終戦。9月,貴族院に初登院したが,質問の機会もなく閉院。

46年4月25日,岩波茂雄没。行年62歳。

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岩波書店の著者検印

夏目漱石本の奥付に押された著者検印。著者や書店が, "この本の中身は保証しますよ!"といった感じで,本好きにとっては好ましいものだったのですが, 最近めったに見かけなくなりました。

そもそもこの検印とは,著者が発行部数を確認するために押す印のことで, ふつうは奥付に,版権所有の文字とともに,著者名または出版社名の朱印が押されていました。

岩波書店では当初,著者と岩波の印をともに押していましたが,1938年よりそのいずれかのみとなり, 次第に岩波印のみのものが増えてきて,1959年に検印制度自体が廃止されました。

検印

写真はいずれも岩波書店の刊行書に押された検印(大正3年~昭和12年)。

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1998年04月26日

岩波文庫の書店カバー

信山社文庫本を買ったときに,書店でかけてくれるカバーには,いろいろユニークなものがあり, これを書皮と称してコレクションしている人もいます(書皮友好協会)。

凝ったデザインや,有名人の手になるものなど,数多あるカバーの中に,実は岩波文庫・ 新書専用のカバーもあります。といっても,岩波文庫・新書だけサイズが違うわけではありませんから,他の文庫・ 新書本にかけられないわけではないけれど....。

このカバーを使っているのは,岩波文庫のお膝元?,神田神保町の岩波ブックサービスセンター。デザインは梅原龍三郎で,表紙の左上に 「岩波新書・岩波文庫」と書かれており,両端(折り返し部)には,湯川秀樹と井上 靖による,岩波文庫・新書へ寄せる言葉が載っています。

・岩波文庫は私の父と母だ。優しいもの,厳しいもの,烈しいもの,あらゆる生きる根源をそこから得ている (井上 靖)。

・忙しい現代に生きる私たちは,さまざまな問題にとりかこまれている。古くからの問題のいくつかはそのまま残っている上に, つぎからつぎへと新しい問題が重なってくる。それらの問題の認識に役立つ手ごろな書物,それが岩波新書の存在の意義の一つといえるであろう (湯川秀樹)。

このカバー,もう20年以上の長い間,ほとんど変わらずに使われてきました。唯一,変わったところといえば, かつて名乗っていた岩波ブックセンター・信山社の文字が消え, 岩波ブックサービスセンターとなったことです。写真は信山社時代と,現在のカバーです。

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