岩波文庫80周年にあわせて,新しい解説総目録をもとに,10年ぶりに未完結本をまとめてみました(前回のまとめはこちら)。当然ながら,この10年間に完結した書目はありません・・・。
シリーズものの文庫は文学全集と違って,廃刊にならないかぎり,未完結なのが当たり前ですから,ここでいう「未完結文庫本」というのは,(上)(中)(下),または(1)(2)(3)・・・・などと刊行が予定されていた書目が,何らかの理由で(上)のみ,あるいは(1)(2)のみで途絶し,長い期間を経ても未だ完結していない場合です。
ほかに,岩波文庫の場合,戦前に一部を刊行したまま未完結となり,戦後あらためて一から出直して完結した書目もありますので,今回はそれもあわせて未完結書目としています。
■錦里文集 全2冊 木下順庵校訳 1953 下巻未刊
■明六雑誌 全3冊 山室信一校注 1999 中巻以降未刊
■宋名臣言行録 全3冊 和田清校訂 1948 下巻未刊
■雍州府史 全2冊 黒川道祐校訂 2002 下巻未刊
■日本滞在記 全3冊 ハリス 玉城肇訳 1944 中巻以降未刊
(坂田精一訳で1954完結)
■道具と人類の発展 全2冊 ノワレ 1954 下巻未刊
■大地と人類の進化 全2冊 フェーヴル 飯塚浩二訳 1941 下巻未刊
(飯塚・田辺訳で1972完結)
■芸術におけるわが生涯 全3冊 スタニスラフスキー 島田謹二訳 1942 中巻以降未刊
(藤原惟人訳で1956完結)
■意志と表象としての世界 巻数未定 ショーペンハウエル 1941 正篇第1巻のみ。以降未刊
■人間的余りに人間的 ニーチェ 全2冊 1937 下巻未刊
■言語 全2冊 イェスペルセン 1981 第2巻未刊
■化学通信 全4冊 リービッヒ 1952 第3巻以降未刊
■うつほ物語 河野多麻校訂 1957 第2巻以降未刊
■源平盛衰記 全5冊 冨倉徳次郎校訂 1944 第2巻以降未刊
■吾妻鏡 全8冊 竜粛訳注 1944 第6巻以降未刊
■嬉遊笑覧 全5冊 喜多村〓庭 2005 第5巻未刊
■甲陽軍艦 全4冊 古川哲史校訂 1950 第2巻以降未刊
■アメリカのデモクラシー 全4冊 トクヴィル 2005 第2巻上下未刊
■経済学原理 全7冊 スチュアート 1980 第4巻以降未刊
■資本論 巻数未定 マルクス 河上肇訳 1929 第1巻5分冊まで刊 以下未刊
(向坂訳1956,1070で完結)
■「J.S.ミル経済学原理」への評解 全3冊 チェルヌィシェフスキー 1951 中巻以降未刊
■レーニン哲学ノート 巻数未定 松村一人訳 1956 第3巻以降未刊
(同訳者にて1975全2冊完結)
■毛詩抄 全4冊 清原宣賢講述 1942 第3巻以降未刊
■中国小説史 全2冊 魯迅 1981 戦前版の改訳だが下巻未刊
■カンタベリー物語 全3冊 チョーサー 1973 中巻以降未刊
(同訳者にて1995全3冊完結)
■ユリシーズ 全5冊 ジョイス 1958 戦前版は完結。第2巻以降未刊
■U.S.A. 全6冊 ジョン・ドン・パソス 1978 第3巻以降未刊
■ゲーテ詩集 全4冊 茅野蕭々訳 1941 第2巻以降未刊
(片山・竹山訳1957で完結)
■断章 全3冊 ノヴァーリス 1942 下巻未刊
■ドイツ民譚集 全5冊 シュワープ 1948 第2巻以降未刊
■カサノヴァ回想録 全20冊 岸田国士訳 1956 第8巻以降未刊
紀伊國屋書店では,創業80年を記念し,長く店頭から消えている文庫の中で,「もう一度読み返したい」「店頭で販売をしたい」1冊を全スタッフに募り,その結果を元に,各出版元に重版可能なタイトルを打診,7社40タイトルの復刊を実現した。これにより紀伊國屋書店各店店頭では,12月中旬より「読ミガエル名作~紀伊國屋書店文庫復刊フェア」を順次,開催する。復刊書目は次の通り。
■角川文庫
・恋愛短篇セレクション エンド・マークから始まる(片岡義男)(2001/07/25)
・恋愛短篇セレクション 私の風がそこに吹く(片岡義男)(2001/11/25)
・恋愛短篇セレクション 私はいつも私(片岡義男)(2002/06/25)
・大義の末(城山三郎)(1984/12/01)
・オヨヨ島の冒険(小林信彦)(1996/11/25)
・地球暗黒記 1,2,3(荒俣 宏)(1988/07/25)
・ひとめあなたに…(新井素子)(1986/10/10)
・次に行く国,次にする恋(林 真理子)(1992/01/25)
・おばあさんから教わること(式田和子)(1998/12/25)
・いつかまた,プレイボール(山際淳司)(1985/11/01)
■講談社文庫
・聖職の碑(新田次郎)(1980/12/01)
・くじらの降る森(薄井ゆうじ)(1996/01/01)
・南の島の魔法の話(安房直子)(1980/06/01)
・伝説なき地(船戸与一)(1995/11/15)
・生物の世界(今西錦司)(1992/08/01)
・なにわのアホぢから(中島らも)(1995/05/15)
■集英社文庫
・池袋モンパルナス(宇佐美承)(1995/01/25)
・恋愛太平記 1,2(金井美恵子)(1999/11/25)
■ちくま文庫
・サド侯爵の手紙(澁澤龍彦)(1988/01/26)
・東京ミキサー計画(赤瀬川原平)(1994/12/05)
■中公文庫
・智謀の人 毛利元就(古川 薫)(1997/06/18)
・映画千夜一夜 上,下(淀川長治)(2000/01/25)
■ハヤカワ文庫
・煮たり焼いたり炒めたり(宮脇孝雄)(1998/11/30)
・タイムクエイク(カート・ヴォネガット)(2003/02/15)
・ジェイルバード(カート・ヴォネガット)(1985/09/01)
・青ひげ(カート・ヴォネガット)(1997/09/30)
・チャンピオンたちの朝食(カート・ヴォネガット)(1989/12/15)
・ソングマスター(オーソン・スコット・カード)(1984/03/01)
・一人だけの軍隊(デーヴィッド・マレル)(1982/11/01)
・エデン(レム)(1987/11/15)
・宇宙創世記 ロボットの旅(レム)(1976/08/01)
・デリラと宇宙野郎たち(未来史シリーズ)(ロバート・A・ハイライン)(1986/06/01)
・地球の緑の丘(未来史シリーズ)(ロバート・A・ハイライン)(1986/07/31)
・動乱2100(未来史シリーズ)(ロバート・A・ハイライン)(1986/09/30)
■文春文庫
・舞え舞え蝸牛 新・落窪物語(田辺聖子)(1979/10)
・毒舌日本史(今 東光)(1996/08/10)
新文化紙などによると,オリコンほか6書店で構成する実行委員会は,6部門で受賞作を決めた。
【総合】 女性の品格
【単行本】 ホームレス中学生
【コミック】 ONE PIECE(46巻)
【タレント本】 ホームレス中学生
【写真集】 関ジャニ∞
【作家別】 佐伯泰英
これらは,1月から12月中旬まで,文教堂グループ,くまざわ書店グループ,三洋堂書店,精文館書店,明屋書店,フタバ図書の計674店での販売データに基いて決められたもの。
かつては年末になると,婦人雑誌の新年号の分厚い付録が話題となり,我が家でも母親がその付録の家計簿に一年間まめに買い物や支払などをメモしていました。しかしながら,最近は婦人雑誌が衰退し,ウチのカミサンなど,もっぱら携帯電話を家計簿代わりに使っております。私など,もっとズボラで,カードの利用記録以外,何にも残っていません・・・。
それでも世の中には,お金の出入りをしっかり記録しておかないと気が済まない人もいるわけで,たとえば画家のデューラーは,1520年夏に途切れた年金の支給を新皇帝カロルス5世に請願すべく,妻と侍女とを伴い,ニュルンベルクからネーデルラント(現在のベルギー地方)へ長旅に出た際,宿代や交通費等を日々細大漏らさず記録しており,後生の研究者への貴重な資料となっています。それが岩波文庫の「ネーデルラント旅日記」。
もちろん,収支だけでなく,諸都市における見聞も記されており,カラーの口絵をはじめ,いくつかのスケッチと詳細な解説を含む本書は,異色の旅日記(「出納簿文学」?)として,一読の価値があります。
インフルエンザといえば,岩波文庫の新刊「岡本綺堂随筆集」に明治時代のインフルエンザの話があって,それによると,インフルエンザが初めて流行ったのは明治23~24年にかけて。当時はインフルエンザとは呼ばず,普通はお染風と言っていた。江戸時代にインフルエンザに似た感冒が大流行し,それに誰かがお染という名を付けたのが由来で,お染が久松に惚れたように,すぐに感染するという謎なのだ。
病がお染であるから,これに取り憑かれる患者は久松でなければならないということで,お染の乱入を防ぐために,明治23,4年の東京では,家の軒に「久松留守」との紙札を貼り付けることが流行した。なかには「お染御免」などという札もあったらしい。
本書は,このような明治末期から昭和初期における東京の日常生活のつれづれや,各地の旅の印象を,「半七捕物帳」で知られる岡本綺堂が,淡々としながらも,どこか粋で男の色気が感じられる文章で綴ったもの。さすがに巧いものだなぁと感心しつつ,楽しめる本。
さてさて10年ぶりに出ました「80年版 岩波文庫解説総目録 ―1927~2006 ―」(岩波文庫編集部編,四六判上製函入,1280頁,定価4,200円)。80周年記念ということなんでしょうが,80年版というのは,後々わかりにくくならないですかね。
岩波文庫の既刊5400冊を20のジャンル別に収録し,解説・書誌データを付けた総目録。巻末には書名索引,著訳者別書名索引もあります。最近岩波文庫に興味を持った方はもちろん,私のように,古いところで創刊40周年記念目録や創刊50周年記念復刊あたりからのファンでありながら,岩波文庫歴30余年の割には全然身に付いていない(あるいはすでに記憶力が・・・)という方にも,なかなか役に立ちます。ちなみに10年前の解説総目録もまだ現役で販売されていますね。
※初期の解説目録については,こちらをご参照下さい。
雑誌「オートテクニック」「F1 MODELING」などホビー,土木,工学関係の書籍で知られる山海堂(東京・本郷)は12月3日昼ごろ,全社員を集め解雇と解散する旨を伝えた。同日業務を全面的に停止し,債務整理を弁護士に一任した。信用調査機関の調べによると,平成18年2月期の時点で売上高は10億円,金融機関の借入金は10億円。負債は約17億円程度と推計される。
今後については,「現段階では未定。一両日中に方向性を決定」とのこと。社屋はロックアウトされ,社員は解雇されている現状から自己破産の手続きがとられることが濃厚とみられる。(新文化ほか)
ホームページはすでにつながらなくなっていますね。
幻冬舎の新刊「その後のツレがうつになりまして」(細川貂々)を読みました。
仕事人間だった夫がうつになって会社を退職,その後の闘病生活の様子をイラストレータの妻が描いて話題になった本の続編。著者によると,刊行後,同じ悩みを抱えているたくさんの人たちと出会うことができ,世界が広がったとのこと。
本書は,次第に治癒してきて,主夫として暮らす夫との生活を,ほのぼのタッチで描いているので,あまり悲惨な感じはしません。でも,実際に自殺を考え,再発に怯える夫を,ここまで支えてきた苦労は並大抵のものでは無かったはず。いやいや,みんな他人事とは思えないから,これだけ反響があったのでしょう。
ちなみにペットはグリーンイグアナ。詳しくは,ほそかわてんてんのホームページ「とかげのしっぽ」をご覧下さい。
今週号の週刊文春は,東海林さだおが38年間続けてきた連載漫画「タンマ君」の1900回特集。
タンマ君の謎を解く!!と題して,名前の由来,仕事,好みの女性や食べ物など,これまでの連載中に現れたさまざまなエピソードからタンマ君の実像に迫っています。
ちなみに,東海林さん曰く,タンマ君と作者とは,「優柔不断でイジイジしているところ。それから女にモテナイところ」が似ているとのこと。いやいやポッチャリ好きの東海林さんて,決してモテナイなんてことはないらしいですけどね。
国内では18年ぶりの世界文学全集が河出書房より刊行される。初版2万部で,すでに予約目標の3千セットを突破したとのこと。
世界文学全集は,1989年に河出書房と集英社から出たものが最後。今回の河出書房新社版は,作家の池澤夏樹個人選で全24巻(各2520~3360円)。初巻はケルアックの「オン・ザ・ロード」(青山南訳)。以降バルガス・リョサ「楽園への道」(田村さと子・初訳),クンデラ「存在の耐えられない軽さ」(西永良成新訳)が続く。
この時期にスタンダードな作品集を刊行することについて,池澤氏は,『今は口当たりのいい,おなかにもたれない小説を好む読者の層が膨らんでいる。だが,歯ごたえのあるものを頑張って理解した時の達成感は大きな喜びになる。そうした格闘の体験は恋愛より大切なものだ。全集体験は,読書とはその場で値打ちがわかる取引だけではないということを知るいい機会になる』,『何でもありの世界だからこそ文化的基準が求められる。10年前には古典が消えたとグチを言っていたものだが,欠落が一定レベルを超え出版人が気付いたのだろう。一時,出版点数の多さが書店の棚を圧迫し本が入手しにくくなったが,ネットで欲しい本がすぐ買えるようになり,マーケットが本来の形に戻った。書評やブログの読書日記など本を探す目安も増えた』と語っている。
ちなみに朝日新聞によると,光文社が昨年9月に創刊した「古典新訳文庫」はこれまで29冊を刊行し,創刊月に出した8点のうち6点が増刷,「カラマーゾフの兄弟」は全3巻合わせて7万8千部が出た。岩波文庫も,従来は適役の訳者が見つかった機会に訳を更新してきたが,ここ数年は,幅広く新訳をリストアップする方針に変えたという。
フルカラーのPC入門書「超図解」シリーズで知られるエクスメディアが,10月31日東京地方裁判所に自己破産申請を行った。負債は11億円。三笠書房を引受先とする再建計画もあったが,不調に終わったという。
IT系書籍や雑誌は調子が悪くないと思っていたのだが,市場は冷え込んでいるという。そもそも本でPCのお勉強をしようという人が減っているわけですな。疑問点はググれば大抵分かるしね。「超図解」シリーズはわかりやすい説明で好感もっていたけれど,フルカラーで1000円程度の価格設定だったから,なかなか苦しかったのかも。
岩波文庫では,創刊80年を記念して,本年4月にロングセラー13点19冊を,活字を大きくし,字詰め行間を改め,より読みやすくして,一括重版しました.これに続き,10月4日に以下の7点10冊が同様に重版されました。今後も基本書目を随時見直し,刊行していきたいとのことです。
・日本民謡集(町田嘉章,浅野建二編)
・カルメン(メリメ/杉 捷夫訳)
・赤と黒(全2冊)(スタンダール/桑原武夫,生島遼一訳)
・エミール(全3冊)(ルソー/今野一雄訳)
・遠野物語・山の人生(柳田国男)
・言語(上)(イェスペルセン/三宅 鴻訳)
・音楽と音楽家(シューマン/吉田秀和訳)
ちなみに,「言語(上)」は1985年以来の重版で,下巻は近々刊行の予定。
少々遅くなりましたが,寺島靖国の新刊「疾風怒濤のJAZZオーディオ放蕩生活」(河出書房)を読みました。
久しぶりに読んだ寺島さんのオーディオ本ですが,えーと,基本的にはいままでの本と一緒です,書いてあることは。寺島さん自身,さるオーディオ評論家から『あなたの本が面白いという人がいたら,それは我々がずっと前から悪戦苦闘してきたことを,さも新しい発見のように書いているから・・・』などと言われたらしいですが,寺島さんのはJAZZ喫茶という商売も含めて,自分自身の経験をリアルに書いているから面白い。体験記,あるいは実験レポートであって評論じゃないんです。だから,オーディオファンじゃなくても,こんな痛快な,お馬鹿なオヤジがいるんだぁというところで楽しめます。
本書では,オーディオ専用の電源を確保すべく,東電に頼んで庭に個人専用の電柱を建て,マイ・トランスから電気を引くという快挙にでたものの,結果は・・・ショボーン。しかしそれにもめげず,次々と機材を入れ替え,再度孤高の音作りに励んでいきます。ご当人は,売ったり買ったりの繰り返しですよ,というものの,これだけの時間とお金をつぎ込めるというのは,羨ましいかぎり。
「ペン!!ペン!ペン!ファウンテンペン!ー私が選んだ一本の万年筆」を読む。
南雲堂フェニックス刊,277ページ。本書にはたくさんの万年筆が登場する。しかし,カタログ本ではなく,万年筆ファン一人一人が,愛着のある自分の万年筆を紹介し,その思い入れを語っている。掲載された写真(これが精細で綺麗)も,実際にそれぞれの筆者が使っているもので,かなり年季が入っていたり,イニシャルが刻まれていたりする。どんな人にも,万年筆にも,歴史があるのだ。
私自身も,万年筆やインクにはいろいろ手を出してきたものの,結局普段デスクの上にあるのは,ロイヤルブルーを入れたモンブラン146。腰の強さや握り心地など,いろいろな理由はあるけれど,やはり安定したフローと書き味がポイント。もう1本選ぶとすれば,久保製作所で調整したパーカーのデュオフォールド。いずれも親子代々受け継ぐだけの耐久性があることは間違いないが,我が息子がオヤジになる時代に万年筆はどんな扱いを受けているのだろうか。
本書にはほかに,モンブラン149ユーザの座談会などもあり,中身は盛りだくさん。いかにも地道に手をかけて作られた本で,3150円という価格だが,本の造りも立派。文房具ファンにはお薦め。
ゴマブックスから11月7日に「ゴマ文庫」が創刊される。
自社書籍や書下ろしを中心に,初回12点。12月,来年1月には各10点を刊行予定。以後毎月7~10点を刊行し,年間100点を目指す。
初回刊行分は,「アホでマヌケなアメリカ白人」(マイケル・ムーア),「眺めのいい人」(伊集院静),「90日で幸せな小金持ちになるワークブック」(本田 健),「一生の幸せにつながる一日の過ごし方」(船井幸雄),「幸せな奇跡を起こす本」(佳川奈未),「彼があなたとセックスしない理由」(中村うさぎ),「図解 起業力のつくり方」(内田雅章),「クロスロード―あの日の約束」(泉 忠司・晴香葉子),「彼女たちの日々と底上げブラ1」(キャシー・ホプキンス),「セレブな犬のしつけ方」(タマー・ゲラー),「体験コミック ご出産1」(まついなつき),「人生を変えたイイ言葉」(萩本欽一)。
新幹線内などで見かけるビジネス誌「Wedge」。その出版元ウェッジ(JR東海の子会社)より,ウェッジ文庫が10月22日に創刊される。
初回は,「日本人の忘れものI」(中西進),「清朝十四王女-川島芳子の生涯」(林えり子),「変化の時代と人間の力-福原義春講演集」,「余はいかにして鉄道愛好者となりしか」(小池滋)。キヨスクの販売力に期待するとのこと。
ちなみに,ウェッジではこれまで,「東京駅はこうして誕生した」,「東海道の旅」,「折れたレール」(英国鉄道民営化ドキュメント),「満鉄と東インド会社,その産声」,「車窓発見101番勝負」などJRらしい単行本を出しており,ほとんどが入手困難となっているので,文庫での出版を望みたいところ。
青山ブックセンターでは,アートディレクター秋山具義によるトートバッグとオリジナルグッズのお店DAIRY FRESH STOREと,青山ブックセンターとのコラボレーションによる本のためのトートバッグを発売中。
『分厚い本を入れても丈夫な帆布のトートに“文庫&新書”がすっぽり入るポケットがついています。本をちらりとポケットから見せることで、知的さをアピール!もちろん、携帯やメモを入れたり使い方は自由です。青山ブックセンターとDAIRY FRESH STOREのみでの販売です!』
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アートディレクター秋山具義によるトートバッグとノートを中心にしたオリジナルグッズのお店。素材やサイズにこだわって作られた,使っているだけで毎日が楽しくなるグッズ,使っているとみんなが気になるグッズを製造・販売。http://www.d-fresh.com http://dairyfresh.exblog.jp
岩波文庫の海底二万里(下)を読む。
読み終わって,やれやれという感じなのだが,それは本書が,詳細に記述された海中の科学的な興味より,ノーチラス号の中に自分の世界を作り上げようとしたネモ船長の薄気味悪さが先に立ち,ヴェルヌの他の多く作品のように気楽に読むことはできないからだ。子供の頃,ヴェルヌのシリーズを読んだ中で,本書の記憶が薄いのは,子供心にその辺りが馴染めなかったせいかと思う。
読みやすく訳されているが,解説が硬くてあまり読書欲をそそるようなものでないのが残念。
ちなみに岩波文庫のヴェルヌ作品は以下の通り。
赤569-1 十五少年(森田思軒訳)1938年刊品切
赤569-2 地底旅行(朝比奈弘治訳)1997年重版中
赤569-3 八十日間世界一周(鈴木啓二訳)2001年
赤569-4 海底二万里(上)(朝比奈美知子訳)2007年
赤569-5 海底二万里(下)(朝比奈美知子訳)2007年
仕事がテンパっているので,少々めげ気味ですが,そんな気分をますます鬱々とさせる岩波文庫の新刊「けものたち・死者の時」(ピエール・ガスカール)を読みました。
本書は1953年に出版されてすぐ,55年に岩波書店から翻訳が出ていますから,そちらで親しんだ方も多いかと思いますが,私は初めて。暗いなぁ・・・と思いながらも,その陰鬱な世界にひきこまれてしまい,止めることができない,悔しいけれど。
短篇集「けものたち」は,ふつうの動物物語と全く違い,人間と動物との惨めな戦いを描いていますが,そこでは人間も一つのけものであり,他の動物を虐待することで,自ら辱められていく存在だと感じさせられます。ただ,人間にはそこに強烈な苦悩があるんですな。
また,中篇「死者の時」は,作者の捕虜経験に基づく自伝的作品で,第2次大戦でドイツ軍の捕虜となり懲罰収容所で墓堀に従事した日々を描いたもの。こちらも当然ながら絶望的な気分に充ち満ちています。
岩波文庫「海底二万里(上)」(ヴェルヌ,朝比奈美知子訳)を読む。
岩波少年文庫,創元推理文庫,集英社文庫,角川文庫など昔から多くの邦訳が出ているが,本書はネルヴァルの研究・翻訳などを手がけてきた訳者による新訳。
おなじみネモ船長と潜水艦ノーチラス号による海洋冒険譚。私の場合,子供の頃から愛読していた「気球に乗って五週間」,「地底探検」,「月世界旅行」などと比べて,化学的に発生させた電気を動力源にしたり,博物学的な記述が続いたりと,理屈っぽい感じがして馴染めなかったのか,本書の印象は薄く,今回じっくり読んで,こんな場面があったのかとあらためて気づいたところも多かった。
エイ文庫の新刊「120%オートハーフを楽しむ本」(Ryu Itsuki)を読みました。
そろそろデジタルカメラしか知らない世代が出てきそうな時代に,オートハーフとは・・・懐かしいですな。我が家にも1台残っていますし,ジーコジーコゼンマイを巻いてみたら,ちゃんと動くようです。いまでもモダンなスタイルに見えるオートハーフは時代を超えてカワイイヤツです。
そんな35mmフィルム1コマの半分を使うハーフカメラのロングセラー,リコーオートハーフは1962年生まれ。私の子供の頃は全盛期でした。なんといっても1本のフィルムでたくさん撮れるのが利点ですが,当時はまだフィルムが貴重だった時代の名残で,今のように高速連写などというわけにはいかず,72枚撮り終わる頃には1年経っていました,なんてことも。
本書は,オートハーフの歴史を中心に,開発者へのインタビュー,バリエーション紹介,取説の復刻,分解メンテナンスの手順,オリジナルな外装製作など,さまざまな楽しみ方を紹介しています。著者の作例も豊富に載っており,最近のフィルムを使った意外にシャープで鮮やかな写真を見ると,自分でももう一度撮ってみたいと思わされます。
「本の雑誌」10月号の特集は,「いまニッポンの文庫はどうなっているのか!」。
各文庫の創刊広告総覧,過去のある時期に発刊された文庫が現在どれだけ生き残っているかを各社で比較する「文庫生存率比べ」,文庫解説目録読み比べなどなど,なかなか面白い。
本書によると,ハヤカワ・ミステリ文庫が生存率No.1とのことだが,岩波文庫も意外に検討していて,各時代を通じて40%程度はキープしているようである。もっとも岩波文庫の場合,ロングセラーが多いので,生鮮食料品的な作品が多い他社文庫に比べれば,当たり前なことかもしれないが。
2007年11月の岩波文庫秋の一括重版予定書目です。かなり地味な感じは否めませんが,読み物としては幕末の役人のさまざまな裏話を記録した「旧事諮問録」(1999年秋にも復刊されています)や,意外に下世話な当時の楽壇のゴシップを書いていて面白い「ドビュッシー音楽論集」などお薦め。
■岡正雄論文集 異人その他 他十二篇(大林太良編) (1994年11月16日発行)
■植木枝盛選集(家永三郎編)(1974年7月16日発行)
■内村鑑三所感集(鈴木俊郎編)(1973年12月17日発行)
■学問芸術論(ルソー)(1968年12月16日発行)
■河上肇評論集(河上 肇,杉原四郎編)(1987年6月16日発行)
■感情教育 全2冊(フローベール)(1971年3月16日発行)
■旧事諮問録 全2冊(旧事諮問会編)(1986年1月16日発行)
■ギリシア宗教発展の五段階(ギルバァト・マレー)(1971年9月16日発行)
■基督教の起源 他一篇(波多野精一)(1979年6月18日発行)
■経済学および 課税の原理 全2冊(リカードウ)(1987年5月18日発行)
■ルソー 告白 全3冊(桑原武夫訳)(1965年3月16日発行)
■古代国語の 音韻に就いて 他二篇(橋本進吉)(1980年6月16日発行)
■産業革命(アシュトン)(1973年7月16日発行)
■青年と学問(柳田国男)(1976年3月16日発行)
■大乗起信論(宇井伯寿,高崎直道訳注)(1994年1月17日発行)
■中国文学における孤独感(斯波六郎)(1990年9月17日発行)
■哲学史序論(ヘーゲル)(1967年5月16日発行)
■天台小止観(天台大師)(1974年4月16日発行)
■藤村随筆集(十川信介編)(1989年3月16日発行)
■徳川家康 全2冊(山路愛山)(1988年1月18日発行)
■徳川時代の文学に 見えたる私法(中田 薫)(1984年3月16日発行)
■ドビュッシー音楽論集(平島正郎訳)(1996年1月16日発行)
■豊臣秀吉 〔全2冊〕(山路愛山)(1996年2月16日発行)
■日本語の系統(服部四郎)(1999年3月16日発行)
■ヒュースケン 日本日記(ヒュースケン)(1989年7月17日発行)
■人間(カッシーラー)(1997年6月16日発行)
■バッハの生涯と芸術(フォルケル)(1988年1月18日発行)
■花田清輝評論集(粉川哲夫編)(1993年10月18日発行)
■微生物の狩人 全2冊(ポール・ド・クライフ)(1980年11月16日発行)
■福沢諭吉教育論集(山住正己編)(1991年3月18日発行)
■法華義疏 全2冊(聖徳太子)(1975年4月16日発行)
■ヨオロッパの世紀末(吉田健一)(1994年10月17日発行)
■ローマ皇帝伝 全2冊(スエトニウス)(1986年8月18日発行)
以上
9月13日付け「新文化」によると。9月5日,東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。破産管財人は杉本進介弁護士,債権届出期間は10月10日まで,財産状況報告集会は12月11日に開かれるとのこと。
祥伝社文庫「床下仙人」5千部が6万5千に。POPの力,絶版から復活(文化通信)。
平成13年に初版が出て,絶版間近だった文庫本。ところが,「これが面白くなくて何が面白い」というPOPで人気沸騰,大増刷というお話し。
著者の原宏一氏は1954年生まれ。主な著書に「かつどん協議会」,「こたつ」,「姥捨てバス」,「極楽カンパニー」などがある。私ははじめて読みましたが,我々のような世代のサラリーマンには,ニヤリとするところも多い。中年向け星新一か?とも思ったが,この手の本を読み慣れないせいもあり,ちょっとPOPは誇張かなという印象。
スペイン16世紀の劇作家ロペ・デ・ベガは,1日1篇の戯曲を書き,生涯に1800篇のコメディアと400篇の聖体劇を書いたといわれています(現在残されているものだけでも400篇)。同時代のセルバンテスは劇作家の道を目指しながら,ベガの才能に圧倒され,筆を折らざるを得なかったという話も。
ベガの創作の原動力だったのか,派手な恋愛遍歴も知られていて,不倫の末に投獄,追放刑を受けたり,旦那のいる女優とスペイン各地を逃避行。正妻との間に3人,愛人との間に5人の子供がいました。
本書「オルメードの騎士」は,ベガの最高傑作で,50歳代半ばの1620年頃に書かれたもの。一人の美女をめぐる二人の騎士の恋の駆け引きと不幸な結末が描かれていて,これは当時よく知られた実際の事件をもとにしているとのこと。
韻文で書かれた400年前の作品ですから,いくら恋愛スキャンダルものとはいっても,あぁそういう話だったのね・・・といった感じで読み終わってしまいます。まず丁寧な解説を読んで,文学史的な興味がわいてから読み始めたほうがよいかも。
桃園書房(とうえんしょぼう)が,業績低迷による資金繰りの悪化で,8月31日に営業停止となりました。
同社は,つりMagazine,月刊へら,問題実話,小説CLUBロマン,コミックジャンボなど,アダルト,つり,クイズなどの雑誌を刊行するほか,アダルト・エンターテイメント系の桃園文庫でおなじみ。
同じグループの老舗,司書房についても,以前から社内のゴタゴタによる未払い,刊行遅延などが噂になっており,書店からの引き上げも始まっていたようですが,正式な発表は未だ無いようです。
昭和40年代に「世界の酒」とともに岩波新書(青版)で出ていた「日本の酒」(坂口謹一郎)が,このたび岩波文庫に入りました。
日本酒にはあまり強くない私ですが,本書は微生物学者である著者が,酒造りの歴史やメカニズム,流通,味覚の秘密などを科学的な視点を交えて語っており,大変楽しく読むことができました。
とくに酒造りのプロセスについては,豊富な写真とともに詳しく書かれているほか,酒造りに果たすカビや火入れの役割など,専門家の立場からのわかりやすい解説もあり,単なる蘊蓄本とは違って勉強になります。なお,基本的には新書のままですが,一部のデータはアップデートされています。
ちなみに著者は歌人としても知られ,上越市には『香り高き楽縫庵と酒づくりの里「坂口記念館」』があります。「うま酒は うましともなく飲むうちに 酔ひてののちも 口のさやけき」 なるほど,後味すっきりですね。
※なんか,最近岩波のサイトの新刊紹介文がヘンですね。
アキバBlogによると,2ちゃんねる新書が発売になり,秋葉原では店頭に並んでいたとのこと。発売元は,ぶんか社。
キャッチフレーズは『毎月読める,1000万人の本音』,『残しておきたいスレもある』。今回発売されたのは,「恥ずかしくて死ぬかと思った体験」,「自分がスケベだと思う瞬間」,「朝勃ち時の排尿方法」,「嗚咽」,「アツアツご飯に何を乗っけて「わしわし」する?」の5冊。
ぶんか社によると,今後毎月発売されるらしいが,これらのスレをそのまま転載したような本の著作権について,2ちゃんねるでは投稿する際に「著作権をすべて譲渡する」という了解を得ているとの説明。だが,そもそも著作権者たる2ちゃんねるの実体とは何なのか,個人?法人?あるいは・・・一投稿者たる私には,どうもハッキリしない。
もう9月。学生の時は夏休みが終わることが悲しかったけれど,いまでも夏の終わりには一抹の寂しさが。ウチの小さなウサギもしばらくブラッシングしていなかったので,コロコロですーっと毛を撫でたらボサッボサッと抜ける抜ける。クッションができるんじゃないかと思うほど。最後には少々みすぼらしいマダラウサギとなってしまい,本人相当頭にきたようでぶーぶー怒っておりました。。
そんな中,岩波文庫「伽藍が白かったとき」(コルビュジェ)を読みました。コルビュジェといえば,著名なフランス人建築家という知識しかない私。大成建設のル・コルビュジェ アーカイブであらためて勉強。
本書は1936年,アメリカから帰国したコルビュジェが,「臆病人国」アメリカの建築,文化をフランスのそれと対比させて語っています。題材はニューヨークの摩天楼,鉄道,広告など幅広く,コルビュジェって誰?という読者でも,戦前のヨーロッパ人によるアメリカ見聞録として楽しむことができます。
ちなみに本書は1957年岩波刊の単行本を一部改訂したものです。
古い文庫本メインの酒井古書店。岩波文庫(戦前版)の値段はそれなりに高いのですが,「印あり」ばかりということは,一カ所から出たのでしょうかね。
もっとも,昔の人は文庫本にも丁寧に印を押している人が多いので,神保町で古い岩波文庫を探していると,同じ蔵書印によく出会います。私は,古い文庫本の場合は,書き込みや蔵書印がある方が好きで,すでにもっている本でも変わった蔵書印や書き込みがあると,つい買ってしまいますね。
蔵書印は通常,石材や木材でできていますが,最近ではゴムでそれ風の印を作るところもあるようです。「現代の名工 はんこや昭ちゃん」では,『蔵書印の雰囲気を損なわずに,かつ安価なお値段で提供出来るよう文字のデザインを工夫』しています。書店で売っている既製のものではちょっと物足りない・・・という方には5800円ですがいかがですか。ちなみに石材だと28000円とのこと。
昼休みに新橋大古書市をぶらぶらと。古い文庫本にめぼしいものが無かったので,前から気になっていた「ダンヒルたばこ紳士」(アルフレッド・H・ダンヒル,団伊玖磨訳)を800円ほどで購入。40年以上前の本で,背は焼けていますが,中身は綺麗。最近は,タバコ関連の本がほとんど出ていないので,こういった古本に頼らざるを得ないのですね。
内容は,タバコの歴史,製造法,喫煙具など「パイプスモーカーズバイブル」と呼ばれるのに相応しい充実したもの。タバコを吸わない人には,ダンヒルといえば洋服や紳士小物だと思いますが,パイプ愛好家にとっては,高級パイプ,ライター,パイプ用タバコとして親しみがあるブランド。私もジェントルマンからはほど遠い風体ながら,マイ・ミクスチャー965やアーリーモーニングなど,よくふかしています。
そういえば,団伊玖磨さんの「パイプのけむり」。教科書にも載っているエッセイ集だけど,最近はどうなんでしょう。タバコに関することは何でもNGらしいから,このような好ましからぬタイトルの本は,とうに学校から排斥されているのでしょうか。
丸善とアマゾンジャパンの共同ストアがオープンした。
「丸善オンラインストア」は,アマゾンジャパンが扱う商品のほか,丸善オリジナル商品「丸善セレクション」を販売。現在,ハヤシライスなどの缶詰「新厨房楽」シリーズ,筆記具,地球儀,科学模型などを扱っている。
ちなみに,なぜ丸善でハヤシライスなんて売っているのかというと,洋食の人気メニュー・ハヤシライスの生みの親は,丸善(株)の創業者の早矢仕有的(はやし・ゆうてき)という説があるから。『丸善百年史』によると,「幕末か明治のことであろう。友人が訪問すると,有的は台所に有合せた肉類や野菜類をゴッタ煮にして,飯を添えて饗応するのが常であった。そこから人々はこの料理をハヤシライスといい,ついにはレストランのメニューにまで書かれるようになったという」。
新厨房楽シリーズ「ハヤシポーク」「ハヤシビーフ」は,このエピソードに基づき生まれた。ほかに,カレーポーク,カレービーフ,ビーフシチューもあり。
残暑厳しい中,恒例の大古本市がJR新橋駅前SL広場にて9月1日まで開催中です。文庫,新書ほか,雑誌,実用書など,あまり古いものは出ていませんが,にぎわっていますので,お近くの方は覗いてみてください。
先週一週間,夏休みをとって北海道に行ってきました。今回は,富良野と札幌に滞在。
20数年前には札幌に住んでいましたし,今でもときどき仕事で行く機会もあるのですが,富良野を訪れたのは今回が初めて。今年は例年になく暑いとはいうものの,富良野の朝夕は肌寒い位。きれいな空気と木々に囲まれ,久しぶりにのんびりとさせて貰いました。
富良野といえば「北の国から」ですが,あまりそちらには関心がない我が家は,もっぱら川下りや熱気球,チーズやバターづくりなどを体験し,旭山動物園やラベンダー畑(シーズンは終わっていましたけれど)にも足をのばしました。旭山動物園は,噂通りの混雑で,アザラシやシロクマを見る行列ができていましたが,なるほど面白く見せるための工夫がいろいろとされており,感心しました。
最後は札幌で,藻岩山や大倉山から180万都市となった札幌の夜景など眺め,お決まりのラーメンを食べて帰ってきましたが,東京は相変わらずの猛暑でウンザリしているところです。
今週はお盆休みで通勤電車は空いているものの,猛暑続きで外へ出るのも勘弁といった状況。35度なんてもう驚きませんね。新橋界隈など熱風が吹き回り体感温度40度以上じゃないでしょうか。
私も来週は休みを取って北海道へ旅する予定。学生時代は札幌に住んでいたし,その後も仕事でちょくちょく行っていますが,今年は北海道も猛暑のようで,避暑になるかどうか・・・
そんな中,岩波文庫の新刊で本邦初訳「スコットランド紀行」(エドウィン・ミュア)を読みました。著者は,1887年生まれのスコットランドの詩人。1934年にスコットランド各地をクルマで旅したときの記録で,スコットランドとイングランドは違うとよく言われますが,同じスコットランドの中でも土地土地によってずいぶん気質や環境が違い,こだわりがあることがわかります。
当時のスコットランドは,世界恐慌のあおりを受け,不況の真っ只中。労働者と資本家の対立が激化しており,牧歌的な風景の中にも,厳しい社会情勢が描かれています。
ちなみに,著者は夫人と共に,カフカの英語圏における紹介者としても知られています。
著者は,懐かしい下町風景との出会い(「角を曲がって」)や山村の小さな小学校の記録(「がっこう」)など自然体の写真で知られているが,本書も散歩しながら,商店街や横町,風呂屋など日常の風景をコンパクトカメラで撮ろうという気楽な撮影スタイルの提案。
以前,伊集院光がラジオで,写真を撮りながら都内を歩き回っているが,いつその日の撮影を終わりにするのか決めるのが難しい・・・といったことを喋っていた。たしかに自然体のお散歩写真では,その終わりかたにこだわる必要があるかもしれない。
そこで本書には「お散歩写真の終わり方」という一章がある。「僕のお散歩カメラ紹介」とあわせて,これでお散歩写真教程は完成だ。
文化通信によると、神保町の書肆アクセスが閉店するとのこと。アクセスといえば、地方出版社や小出版社の本に強く、写真集や趣味本など、面白いものを揃えていたのだが、神保町再開発が響いたという。
書肆アクセス半畳日録は、アクセスの社員によるブログ。活発に活動されていますが、再開発というより、やはりネット社会になって地方出版社や個人出版社のようなところにも、直接読者を獲得する道が開けたということなんでしょうね。
久しぶりに,エイ文庫の新刊を購入。「旅するカメラ3」(渡部さとる)。
「旅するカメラ」も第3弾。ローライ,ヘキサーなどカメラの蘊蓄話はもちろん,写真集製作のコストやクセになる写真展開催など,カメラマンの舞台裏を紹介。美輪明宏やラブロックらのポートレートを含む作品39点もあわせて掲載。
まあ,これらはプロの話なんですが,我がカメラはというと,銀塩一眼レフから300万画素デジカメ,400万画素デジカメ,200万画素携帯,130万画素PDAへと退化を続けています。もっとも,私だけでなく,構えて写真を撮るより,日常をパチパチ撮ってはメールやWebで家族や友達にお知らせ・・・というスタイルが最近のやり方ですよね。とくにこのPDA。ライカのシャッター音が低くてスナップには最強と言われていましたが,PDAの無音にはかなわないでしょう。いや,怪しいことはしていませんが。
岩波書店から,刊行遅延の連絡。7月27日刊行予定とお知らせした「80年版 岩波文庫解説総目録」の刊行日は9月20日となります。大変お待たせして申し訳ございません,とのこと。お待ちかねの皆様,残念ですが少々お待ち下さい。
「ゴマブックス」シリーズを出している昔からおなじみの(株)ごま書房(1971年創業)と,最近「しょこたん☆ぶろぐ」やケータイ小説など流行モノ路線で活躍するゴマブックス(株)(1998年商号変更)は,別会社なんですよ。知ってました? というか,ゴマブックスってシリーズの名前だけだと思っている人が多いんじゃないかしら。
文化通信によると,そのゴマブックス((株)のほう)から,10月5日に「Goma文庫」が創刊されます。初回10点。
えー,ゴマブックスにはゴマブックスという文庫シリーズがあったはずで,だけど,Goma booksはごま書房だし・・・・・・もうなんだかよくわかりませんな。
あるとき若い夫婦が森を散歩していると,とつぜん妻が狐に姿を変えてしまった。夫はとまどいながらも,妻の面影のある狐を大切にし,愛するのだが,狐は次第に野性に目覚めて,ついに夫の元から逃げ出してしまう。
その後,妻には子狐が生まれて,その父親たる雄狐への夫の嫉妬や,妻の子供である子狐たちへの愛情など,少々屈折した心境が語られ,最後は狐狩りに追われた妻が,夫の腕の中で息絶える。
荒唐無稽な設定ではあるが,狐である妻への愛情が無理なく感じられて,あっという間に読み終えてしまう。男と女の関係についての一つの寓話として,たとえば因習から解放され自由になった女性とそれを追いかけざるを得ない男性,あるいは男性の心の中にある倒錯した性的欲求など,短いながら,読み手にさまざまな印象を与える物語だ。
久しぶりのチョートク本。岩波書店の新刊「晴れたらライカ,雨ならデジカメ」を読みました。
フィルムの一眼レフからデジカメに乗り換えて以来,カメラ自体には何となく興味を失いつつあり,いざとなればケータイのカメラがあるからいいや・・・という安易なところに流されている私。だが,フィルムカメラは,こだわりのある若い人に人気が出つつあるとのことで,本書もあらためてフィルムカメラ(アナログカメラ)の楽しみを訴えるものとなっています。著者の言うところでは,デジタルカメラとアナログカメラの両立による「知的な映像ライフスタイル」の提唱,なんですな。
題名の「晴れたら・・・」は,(光の)悪条件に強いデジカメに対して,光を選ぶアナログカメラという意味のほか,「ハレの日」のカメラにはライカが相応しいという著者のこだわりでもあります。それぞれの長所短所はともかく,実際には,アナログとデジタルは自ずから使い分けされるのであって,理屈付けをする必要もないと思うのですが,ライカ好きにはどんな話題であっても嬉しいものなんでしょう。
実際に読みでがあるのはライカに関する部分で,ライカにフィルムを装填する行為はアートなのである,世界最初のライカUR Leicaをソルムスで手にとって分かったこと,ゴールドライカの「品格」,ソ連製ライカとレンズをもっと活用しよう,銀座八丁庵でのライカ道は茶道のお道具選びに通じる,デジカメは手帳代わり,ライカはアート指向,といったチョートク調は健在。「銀塩カメラの未来は案外に明るい」とまとめられています。
新潮文庫の季刊誌「yom yom」の第3号が出ます。
本号の特集は,<新潮文庫の100冊>の作家たち。川上弘美,角田光代,唯川恵,重松清,恩田陸,北村薫らの小説をじっくりと堪能できるとのこと。編集長によると,「yom yom」は,文庫本でお馴染みの作家が今書いた小説を,毎回読み切りで提供するほか,文庫本はもちろん,まだ単行本も出ていない新しい作家の作品もどんどん紹介していくので,誰よりも早くお気に入りの作家を見つけられるはず。小説はもちろん、エッセイや紀行文まで新鮮で元気なブンガクをどんどん掲載,毎日の生活を豊かにしてくれる〈ヨムヨム生活〉のスタートです。
まあ,私の場合,お馴染みの作家と言われても読んだこと無い人ばかりなので,お試し版としては便利なのかもしれませんが,小説よりも,yom yom clubのエッセイ「中島京子 「太宰治」をイッキ読み」,私の本棚「赤川次郎 エバーグリーンの思い出」,人生の三冊「北杜夫 私の三つの本」,新刊をヨムヨム「岡崎武志 本読み爺さんがおもしろい本を教えよう」のほうが楽しみですな。
今月はいよいよ「80年版 岩波文庫解説総目録 1927~2006」が出ます(7/27予定)。当初5月に出る予定だったのが延びたんですね。
10年ぶりの総目録は,A6判函入1200頁,4200円也。内容は,1927年創刊以来の岩波文庫の既刊全書目をジャンル別に収録。解説・書誌データ付き。2月に出た「岩波文庫の80年」(岩波文庫別冊18)とあわせて,岩波文庫の歴史を知る上での基礎資料となります。
本書は17世紀のイギリスの海賊ウィリアム・ダンピアの航海記。ダンビアは海賊と呼ばれるものの,3度の世界周航に成功した探検家であり,訪れた各地の自然や風俗を詳細に記録した博物学者兼作家でもある。もちろん,敵国の海賊たちの裏をかきながら,敵船を拿捕したり,村々を襲ったりという暴力的な収奪の記録もあるのだが,実際に印象に残るのは,現地の人々の暮らしぶりや未開の地の荒々しい自然であり,航海記というより,一人の冒険家の物語である。
もっとも,ひとくくりに海賊としてしまうのがいけないのかもしれず,ダンビアのような私掠海賊は,国王が発行した免許状を持っていた。ダンピアの手記はイギリス海軍省に注目され,1699年にはオーストラリア,ニューギニア探検の指揮もとっているから,国家公認海賊,または軍人といってもいいのだろう。
いかにも「パイレーツ・オブ・カリビアン」絡みで宣伝できそうな本なのだが,この時期に出しながら別にそれをしていないのも岩波らしい中途半端さだな。
新文化によると,債務超過による経営危機が続いていた朝日ソノラマは昨年から親会社の朝日新聞社と今後の方針を検討していたが,再建を断念し,解散するとのこと。朝日ソノラマの書籍は6月発売分で出版を停止,既刊本の注文は9月まで朝日ソノラマで対応する。雑誌は9月まで発行し,10月からは朝日新聞社の発行となる。
朝日ソノラマときいてソノシートを思い出す人は,1950年代生まれでしょうか。当時はアニメや特撮系のソノシート付き絵本というのがあって,我が家にも結構あったように思います。
ソノシート事業以外では,1975年創刊のソノラマ文庫のほか,カメラファンとしては雑誌カメラレビューも親しいところ。懐かしい出版社がなくなるのは残念ですが,とりあえず朝日新聞社出版本部が出版権を継承するとのことなので,長年ご苦労様と言いたいですね。
温泉好きの人にお薦めの本,田山花袋の「温泉めぐり」(岩波文庫)が出た。
大正6年に刊行された自然主義の大家による温泉ガイドブックは,伊豆箱根から始まり,日本各地の代表的な温泉場を実際に訪れ記録したもの。4年余で23版を重ねた当時のベストセラー。
湯の熱さや混み具合をガイドブックよろしく事細かに書いているだけでなく,湯の町の素朴で少々淫靡な雰囲気を淡々と,かつ巧みな文章で描いており読ませる。
花袋は温泉大好きで,たしかに各地の温泉に行くと花袋の事績がたくさん残されている。なかでも,別府温泉が一番のお気に入りだったようで,伊豆の熱海や伊東などは殆ど言うに足りない,とのこと。
有名な温泉地はいまでも変わらないものの,交通事情は大きく変わってしまった。当時の遠路はるばるといった感がなくなってしまい,本書のような温泉気分が味わえなくなったのは悔しいところ。
本書は最近では,「復刻版温泉めぐり」(博文館新社,1991),「日本温泉めぐり」(角川春樹事務所,1997)として刊行されている。
オブローモフ主義とは,インテリながら,理想を口にするばかりで実際には行動せず,無関心,怠惰な生活を送ること。ゴンチャロフの「オブローモフ」に因ります。オブローモフはもちろん悪い青年ではないが,なんとも歯がゆい存在なのだ。高等遊民,モラトリアム,ニート。時代によっていろいろなキーワードはありますが,若者が自らインテリだと誤解するとき,偽オブローモフの陥穽にはまるのかも。
■ 其面影 二葉亭 四迷
■ 夏目漱石(全3冊) 小宮 豊隆
■ 小熊秀雄詩集 岩田 宏 編
■ 市民の反抗 他5篇 H.D.ソロー/飯田 実 訳
■ ヘンリー・ ジェイムズ短篇集 大津 栄一郎 編訳
■ 詩と真実(全4冊) ゲーテ/山崎 章甫 訳
■ アンリ・ブリュラールの生涯(全2冊) スタンダール/桑原 武夫,生島 遼一 訳
■ パリの夜― 革命下の民衆 レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ/植田 祐次 編訳
■ オブローモフ(全3冊) ゴンチャロフ/米川 正夫 訳
■ わが秘密 ペトラルカ/近藤 恒一 訳 訳
■ 三十三年の夢 宮崎 滔天/島田 虔次,近藤 秀樹 校注
■ 初版 日本資本主義発達史(全2冊) 野呂 栄太郎
■ わが住む村 山川 菊栄
■ 柳宗悦民藝紀行 柳 宗悦/水尾 比呂志 編
■ 日本における近代国家の成立 E.H.ノーマン/大窪 愿二 訳
■ 幕末維新懐古談 高村 光雲
■ 葛飾北斎伝 飯島 虚心/鈴木 重三 校注
■ 学問の進歩 ベーコン/服部 英次郎,多田 英次 訳
■ 饒舌について 他五篇 プルタルコス/柳沼 重剛 訳
■ 教育に関する考察 ロック/服部 知文 訳
■ 代議制統治論 J.S.ミル/水田 洋 訳
■ 裏切られた革命 トロツキー/藤井 一行 訳
2007年秋に,日本初のケータイ小説文庫レーベル「魔法のiらんど文庫(仮称)」の創刊が決定。
携帯電話向け投稿小説サイト「魔法のiランド」を運営する魔法のiらんどによると,ケータイ小説をより多くの方に親しんでいただきたいという想いから,ケータイ小説を文庫化して定期刊行する「魔法のiらんど文庫」(仮)が今秋創刊される。創刊時は5作品程度,以降は毎月3作品程度を発刊。1冊の価格は530~570円。「電撃文庫」を発行するメディアワークスと提携し,角川メディアパブリッシングから発売予定。
魔法のiらんどは1999年12月にスタート。これまでに投稿された小説は100万タイトルを超え,うち27タイトルが書籍化され,累計701万部を売り上げたという。累計会員数は520万,月間ページビューは19億以上。
本書は,明治40年,雑誌「明星」の詩人,北原白秋,木下杢太郎,平野萬里,吉井 勇,与謝野鉄幹が長崎,熊本方面を旅し,東京ニ六新聞に連載した紀行文。100年も前の作品だが,主催者の鉄幹以外は,まだ学生だった若い詩人達の姿が率直に描かれていて面白い。
鉄幹はこのとき以外にも,新詩社の若い同人達とたびたび旅行に出かけていたそうで,それは物見遊山というより,地方在住の同人や愛読者との交流,「明星」の宣伝を目的としていた。今回も柳川生まれの白秋が案内係となって,一ヶ月に及ぶ旅ながら,一行は意気盛んだ。
もっとも,このころすでに鉄幹と若い詩人との師弟関係には陰りが出ており,帰京後まもなく白秋らは新詩社を脱退,明星は廃刊となり,耽美主義的な「パンの会」を立ち上げる。激動の時代の前の束の間の平安といったところ。
ブエナビスタホームエンターテイメントから文庫本「ゲドを読む。」が発行された。
全国書店で110万部・・・というだけでは珍しくないが,本書は無料配布。無料文庫本は日本初とのこと。岩波文庫の「私が選ぶ十冊の本」みたいなのはずっと無料なのだが・・・。
本書のネタ本となるのは,岩波書店の「ゲド戦記」。本書を配布する紀伊國屋書店では,原作6巻は高額(1万3650円)なので,無料文庫本が原作購入の入り口になればと期待を寄せている。
今回の出版は,ブエナビスタが7月4日に発売する同映画のDVDの関心を高めるのが狙いで,版元は文庫本形態の広告と位置付けている。装丁はなかなか凝っていて,キリンビール「極生」などで知られる人気アートディレクター佐藤可士和が担当。表紙の色は,黒,赤,黄,ピンク,水色の5色で,普段,本を読む習慣のない人(そんな人が書店に来るのか?)にも手にとってもらえるよう工夫したとのこと。(FujiSankei Business i.などによる)
文化通信等によると,学研から新書が6月に創刊される。「どこでも書斎×知の窓口への誘い」と銘打って,6月6日にまず,「『読書通」(谷沢永一),「「カプセル家族」の危機」(尾木直樹),「暗殺国家ロシア」(寺谷ひろみ),「芸者と遊び」(田中優子),「戦国の城」(小和田哲男),「三種の神器」(稲田智宏)の6点を刊行。価格は756~819円
これまで同社から新書判で刊行されてきた歴史群像新書,ムーブックスとは別シリーズ。
週末は所用で幕張に。ついでに,パイレーツ・オブ・カリビアンの新作を見てきました。幕張には時々行きますが,ああいう新しい街は,小さい子供のいる家庭には何かと便利かもしれませんが,いい歳したオジサンにとっては,ちょっと馴染みにくいところもあります。
というわけで,オジサンでも安心できる街,新橋に戻り,機関車広場では,恒例の大古本市が本日から開かれています。新しい文庫や新書,雑誌,ムック,辞書等がならんでいますが,あまり古い文庫はありません。角川文庫リバイバルや,新潮文庫の旧版が少し目に付く程度。
まあ,電車読書のネタとしてはいろいろありそうなので,お近くの方はお寄りください。
めちゃくちゃ忙しくて,読書も滞っています。というより,多忙なときこそ読書で癒される・・・ようにならなきゃ駄目なんでしょう。修行が足りませんな。
最近気になったのはポイントカード。そもそも,書店にポイントカードが無かったのは,再販価格維持制度のためだと思っていましたが,取り次ぎの日販が「Honya Club」なるポイント制度を導入したのが12月。これが値引きとどこが違うのか,私にはよくわからないのですが,ポイント割引分が書店の負担にはならないのでしょうか。
ちなみに,日販は9月末までに加盟した書店に対し,Honya Clubの会員1人獲得につき100円の報賞金を支払うとのこと。会員は現在,115店舗60万人なり。
刊行が遅れていた(4月26日発売)の岩波文庫「ローマ建国史(上)」(リーウィウス)を読む。
リーウィウス(紀元前59年頃~17年)は,古代ローマの歴史家。『ローマ建国史』は,とくに文学的に評価が高く,本書に取材し,いくつかのシェイクスピア史劇が書かれている。
ルクレーティアの陵辱(タルクィニウスに陵辱され自害し,それが王族の追放,ローマ共和への切っ掛けとなった)やコリオラーヌスのローマ進撃を諫めた母親の嘆き(ベートーヴェンのコリオランですな)など,さまざまなエピソードが鏤められている本書は,他の通史と同様,多くの登場人物にとまどうものの,大変読みやすい訳で電車読書でも興味が途切れず捗った。
しかしながら,訳者鈴木一州先生は,未完成のまま今年1月に逝去されたので,今後の刊行が危ぶまれるとのこと。ぜひこの調子で全3巻をどうにか完結させて欲しい。
連休後半はカミサンの姉妹が集まったりしたので,近くの映画館でスパイダーマン3など見て,まったりと過ごしていました。
で,小さい姪や我が家のウサギの写真など,いろいろ撮っていたわけですが,私のデジカメも年季が入っているので,そろそろ新しいものに・・・などと考えています。
岩波書店から,6月1日に田中長徳「晴れたらライカ,雨ならデジカメ」が出るとのこと。ポシャってしまったアクティブ新書以来,久しぶりのチョートク先生だが,ホントにデジカメとライカを使い分けている人なんかいるのかね?と思う。私の知っているライカ使いはデジカメには無関心という人ばかりなので,これは普段心ならずもデジカメを使いながら,かつての銀塩愛機を懐かしむ,我々世代のノスタルジーをかき立てるような本なんだろうと想像しています。
関心のある方は,mjチョートクカメラ日記をお読みください。
北海道のかたは,ご存じかもしれないが,琴似の「くすみ書房」による「売れない文庫フェア」が話題になっている(ちょっと古い情報です)。
『次郎物語が本屋にないのはなぜ? 尾崎翠が売れないのはなぜ? 売れてないから本屋で置かない。本屋にないから目に触れない。…そして、絶版になり,消えていく。でも本当に売れないの?確かめてみよう。』というわけで,2003年10月27日からこのフェアが始まった。『大手ナショナルチェーンのすさまじい進出に息も絶え絶えの町の本屋のささやかなこの抵抗を新聞、テレビ等様々なメディアで取り上げてくれ,あれよあれよという間に有名に。おかげさまで狭い店内は連日大混雑。』
さてその「なぜだ!?売れない文庫フェア」第4弾の内容はというと,
・文庫の王様 新潮文庫の売れない700点
・地味だけど味のあるちくま文庫・ちくま学芸文庫全点1300点
・くろうと好みの中公文庫ほぼ全点800点
・そして大物岩波文庫 予想通り全点1500点
・更に珠玉の講談社学芸文庫200点
・最後に忘れていけない河出文庫500点
以上5000点の売れない文庫たちが,皆様をお待ちしておりますとのこと。
連休前半は,裏磐梯,会津,喜多方方面へ。のんびり散策したり,SLに乗ったり,ラーメン食べたりと,子供中心の旅行ながら,天気も良く,楽しんできました。
途中,野口英世記念館へ立ち寄ったのですが,小学生の頃に教わった黄熱病の研究など英雄的な業績は,現在の医学からみると疑問な点も多いとのこと。「遠き落日」を読むと,かなりクセのある人間として描かれている英世が,それでも,人一倍の根性と努力の人であったことは,十分に感じることができ,あらためて勉強になりました。
22日だから夫婦の日割引になるかしらん,と思ってコナンの映画の新作を見に行きましたが,残念ながらウチの近くの映画館では,割引がなかったのですね。ワーナーマイカルでも場所によって,割引があるところとないところがあるとは知りませんでした。
ところで,岩波文庫カバーの背のベージュというか肌色が,本によって結構バラバラなのを不思議に思っていた人は多いと思います。2chで,それについて問い合わせた人から書き込みがあり,参考になりました。以下引用。
『旧来のカバー装丁のタイプなら問題なかったけどイラストを用いたカバーを作るようになったから。元々,背表紙のベージュは岩波文庫のために特別に作られた色。背表紙のベージュを統一してカバーのイラストの色を作ってるとものすごくコストが掛かる。カバー装丁に凝って値段を上げるよりも,可能な限り文庫本自体の値段を抑えるために、望ましくないけれど仕方ないそうだ。 ・・・と,HPからメールで質問したら長文の丁寧な返事をもらった。色の作り方とかかなり詳しいことが書いてあった。もっと知りたい人は質問して聞いてみてください。』
講談社文庫から,文庫初のピンズ付限定版『6ステイン DAISピンズセット』が出ました。
1,575円で,富野由悠季,寺田克也,カトキハジメのデザインによるビンズ3点と福井晴敏の短編集『6ステイン』をセットにした限定版。
講談社サイトでは予約受付終了となっていますが,Amazon,Yahooなど各インターネット書店では販売中。
ウチのカミサンは,熱心に島田洋七の「がばいばあちゃん」シリーズを読んでいて,私の母にも貸してあげているらしい。私の学生時代は,漫才ブーム真っ只中だったので,あの島田洋七がねぇ・・・といった感じにならざるを得ないが,あらためて読んでみると,結構面白い。ちなみに本書に火がついたのは最近だが,最初は93年に3000部を自費出版したんですな。なんか今さらなんですが。
本書をめぐっては最近,島田洋七と吉本とが決別か?とのニュースもあった。
『漫才コンビ「B&B」の島田洋七が,所属する吉本興業を離れる。5月末にも決別することが分かった。10日のスポニチによると、ベストセラーを続ける「佐賀のがばいばあちゃん」の収益をめぐって、吉本側と衝突したことが原因という。洋七が93年に自費出版した文庫本「がばいばあちゃん」はシリーズ400万部を超える大ヒットとなった。本の売り上げは単純計算しても21億6000万円以上。版元との契約によるが、10%の印税も入ってくるとみられる。さらに昨年、映画化もされて53万人を観客動員し、テレビドラマや漫画にもなった。それら収益をめぐって吉本と意見が衝突。「芸能活動の合間に自分でサイン会を開くなどコツコツ販促活動をしてきた」と主張する洋七に対し,吉本側は「事務所としていろいろサポートしてきたおかげ」と譲らなかったようだ。』
4月5日,岩波文庫のうち当面,新版刊行の予定のない書目13点19冊の活字を大きくし,字詰め行間を改め,より読みやすくしたものが刊行されました。シュヴェーグラーは哲学に縁のない私にも,比較的読みやすく,学生時代に親しんだ本です。
・茶の本 岡倉覚三/村岡 博 訳
・武士道 新渡戸稲造/矢内原忠雄 訳
・ヘロドトス 歴史(全3冊) 松平千秋 訳
・ソクラテスの弁明 クリトン プラトン/久保 勉 訳
・ゴルギアス プラトン/加来彰俊 訳
・西洋哲学史(全2冊) シュヴェーグラー/谷川徹三,松村一人 訳
・宮沢賢治詩集 谷川徹三 編
・童話集 銀河鉄道の夜 他14篇 宮沢賢治/谷川徹三 編
・共産党宣言 マルクス,エンゲルス/大内兵衛,向坂逸郎 訳
・賃銀・価格および利潤 マルクス/長谷部文雄 訳
・イタリア紀行(全3冊) ゲーテ/相良守峯 訳
・マノン・レスコー アベ・プレヴオ/河盛好蔵 訳
・ボヴァリー夫人(全2冊) フローベール/伊吹武彦 訳
2007年春リクエスト復刊が書店にならんでいます。すでに復刊重版されたことがあるものばかりで残念ですが,マイエルの「聖者」のみ,戦後初の重版となります。私もこれだけ購入。古書店では1000円前後で売られているものの,戦時中の刊行で,きれいなものは少なくなっていました。( )内は前回重版。
■金槐和歌集 源 実朝/藤 茂吉 校訂(96年)
■兼好法師家集 西尾 実 校訂(89年)
■去来抄・三冊子・旅寝論 向井 去来,服部 土芳/潁原 退蔵 校訂(87年)
■塩原多助一代記 三遊亭 円朝(01年)
■みれん シュニッツラー/森 鴎外 訳(85年)
■辰巳巷談 通夜物語 泉 鏡花(92年)
■アイヌ叙事詩 ユーカラ 金田一 京助/採集並ニ訳(94年)
■天路歴程(全2冊) ジョン・バニヤン/竹友 藻風 訳(91年)
■バーンズ詩集 中村 為治 訳(95年)
■湖の麗人 スコット/入江 直祐 訳(88年)
■骨董 ラフカディオ・ヘルン(ハーン)/平井 程一(94年)
■色彩論 ゲーテ/菊池 栄一 訳(97年)
■三十年戦史(全2冊) シルレル(シラー)/渡辺 格司 訳(88年)
■改訳 オルレアンの少女 シルレル(シラー)/佐藤 通次 訳(92年)
■ヒュペーリオン ヘルデルリーン(ヘルダーリン)/渡辺 格司 訳(97年)
■ユダヤ人のブナの木 ドロステ=ヒュルスホフ/番匠谷 英一 訳(86年)
■聖者 マイエル/伊藤 武雄 訳(昭和17年刊,戦後初重版)
■ブヴァールとペキュシェ(全3冊) フロベール/鈴木 健郎 訳(97年)
■貴族の巣 トゥルゲーニェフ(ツルゲーネフ)/小沼 文彦 訳(92年)
■セワ゛ストーポリ トルストイ/中村 白葉 訳(92年)
■悪い仲間/マカールの夢 他1篇 コロレンコ/中村 融 訳(86年)
■真珠の首飾り 他2篇 レスコーフ/神西 清 訳(00年)
■死の勝利(全2冊) ダヌンツィオ/野上 素一 訳(91年)
■都鄙問答 石田 梅巌/足立 栗園 校訂(99年)
■柳子新論 山県 大弐/川浦 玄智 訳註(89年)
■古史徴開題記 平田 篤胤/山田 孝雄 校訂(02年)
■内地雑居後之日本 他1篇 横山 源之助(90年)
■憲法義解 伊藤 博文/宮沢 俊義 校註(05年)
■孔子家語 藤原 正 校訳(97年)
■盤珪禅師語録 盤珪/鈴木 大拙 編校(92年)
■北京年中行事記 清 敦 崇 編/小野 勝年 訳註(96年)
■省察 デカルト/三木 清 訳(03年)
■パスカル 科学論文集 松浪 信三郎 訳(04年)
■スピノザ 神学・政治論(全2冊) 畠中 尚志 訳(04年)
■改訂 ドイツ国民に告ぐ フイヒテ/大津 康 訳(88年)
■人及び動物の表情について ダーウヰン(ダーウィン)/浜中 浜太郎 訳(91年)
■ローマ史論(全3冊) マキアヴェルリ/大岩 誠 訳(96年)
■ペルシア人の手紙(全2冊) モンテスキュー/大岩 誠 訳(97年)
■経済学の方法に関する研究 メンガー/福井 孝治,吉田 昇三 訳(88年)
■民衆の芸術 ウィリアム・モリス/中橋 一夫 訳(93年)
■サイキス・タスク フレイザー/永橋 卓介 訳(99年)
出版月報によると,2006年の文庫市場は,推定販売金額1416億円,前年比5.8%増という好成績だった。推定販売部数も同7.2%増と高い伸びを示しており,これで金額・部数ともに3年連続のプラス成長となった。
文庫の好調は,テレビ・映画など映像化された作品が多く,低価格設定で大量販売につながった作品が続出したことが要因とのこと。
岩波書店によると岩波文庫に以下2件の誤りがあったとのこと。こういう場合は交換しないで,もう1冊買ったほうがよいのかしらね?
2006年10月に発売した岩波文庫「戦争と平和2」第2刷のカバー印刷に誤りがあることが判明しました。カバーの背の下段にある文字、『赤六一八‐三』は誤りで、正しくは『赤六一八‐二』です。お買い上げになられた方は、まことにお手数ですが、下記にご連絡くだされば、送料小社負担にて訂正されたものをお送り致します。読者の皆様に大変ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
2007年3月22日
2007年2月に発売した岩波文庫リクエスト復刊のなかの一冊、『ユダヤ人のブナの木』7刷の奥付作者名の表記が正しくは「ドロステ=ヒュルスホフ作」のところ「ヘルデルリーン作」と印刷されました。お買い上げになられた方は、まことにお手数ですが、下記にお送りくだされば、送料小社負担にて訂正されたものとお取り替え致します。読者の皆様に大変ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
2007年3月12日
岩波文庫の新刊「深き淵よりの嘆息」(クインシー)は,よく知られている「阿片常用者の告白」から20年余りを経た著者の回想記。幼年時代の思い出から始まり,その後の作家活動や女性を巡る随想が続く。今回が初の文庫化。
私はもちろん,岩波文庫の「阿片・・・」を,戦前からある田部重治訳で読んでおり,これはかなり古くさく(かつ難しく)なっていたため,今回の新しい野島秀勝訳に期待したわけ。本書の内容からして,単純明快というわけにはいかないものの,ずっと読みやすくはなっているようだ。
企業情報の帝国データバンクの情報サイトTEIKOKU NEWS ONLINEによると,有力コスプレ雑誌「COSMODE」の発行で知られていた英知出版が3月30日づけで倒産した。 また3月29日には,英知出版のほか複数の企業を持株会社として束ねる有限会社ティーケーパートナーズも,TEIKOKU NEWS ONLINEの倒産・動向記事の最新情報に掲載されている。このため英知出版の倒産は,持株会社の倒産による連鎖倒産とみられる。
両社のインターネット上のホームページは現在接続不可能となっており,両社は営業活動を停止している可能性が高い。しかし,英知出版とサンライズデジタルの共同事業のウェブ版の「COSMODE」である「COSMODE.NET」は通常通り営業活動を続けている。また,「COSMODE.NET」はサイト上で、3月30日発売予定であった「COSMODE16号」は記事の大幅な修正のため発売が延期になったと伝えている。あらたな発売日が決定次第告知を行なうとしているため,「COSMODE」の出版営業は今後別の会社に引き継がれる可能も高そうだ。
英知出版はもともと男性向け雑誌・書籍に強く,「COSMODE」以外に男性ファッション誌の「411(フォー・ダブワン)」なども発行している。
いやいやビックリしましたが,英知出版がコスプレものの出版社として有名だったとは知らなかった。男性向け雑誌に強い,というより,我々の世代にとっては,写真集やビデオ雑誌など,H系雑誌のメジャーどころとしてよく知られていたし,エンタメ系の文庫シリーズも出していた。どさくさ紛れに版権が・・・とならなければよいが。
幻冬舎アウトロー文庫の新刊「ヤクザは女をどう口説くのか」(石原伸司)を読む。
12歳で家出後,銀座のホステスとの同棲を経てヤクザに。あらゆる犯罪に手を染め,通算20年間を獄中で過ごす。引退後は,雑誌に原稿を執筆。
そんな著者による実践的女の口説き方指南。肝心なことは,女は宝,何が何でも女を大切にすることだという。実際これが難しい。チョイ悪オヤジならぬ大悪オヤジなわけだが,女を誉めるにしても奪うにしても,結局中途半端は駄目なのだ。
まあ,女性が読めば都合のよいことばかり書いて・・・と思うかもしれないが,もてない男としては,いろいろ反省すべき点があった,と思う。
ずっと名古屋に出張しており,ようやく戻ってきました。
さっそく,新橋駅前恒例の古書市(31日まで開催)を覗いてみましたが,一般書,雑誌のほか,文庫本にはあまり古いものはなく残念。ただ,岩波文庫は新本割引で売られているものが結構ありました。
カラーブックスなど,古いものがあれば買おうと思うのですが,こちらも新しいものばかり。場所柄?鉄道関係や料理グルメ関係は豊富なので,その分野の好きな方はぜひどうぞ。
コトコトから3月9日,文庫本サイズの「らくたび文庫」が創刊された。コトコトは,京都本のガイドブックなどを手がけてきた編集プロダクション「桜風舎」が昨年12月に立ち上げた出版社。
「らくたび文庫」はオールカラー88ページ。ワンコイン文庫の名の通り,価格は各巻500円。創刊時は10冊を同時刊行し,以降6月より毎月2冊のペースで刊行し,5年間で100冊の刊行を目指す。各巻2万部を発行予定。全国の書店や京都および近郊(大阪,滋賀)のコンビニエンスストア,駅売店などで販売。
各巻の内容は,京都の観光を主とし,「自分たちの住む町・京都をもっと楽しんでほしい」という狙いで,京都在住者のみならず,観光客もターゲットに。「らくたび」っていうのは,「洛中を旅する」ということらしい。
創刊を記念した京都市内の書店での店頭販売キャンペーンでは,同書を1冊購入すると京都の老舗和菓子屋「甘春堂」の和菓子,4冊以上購入するとで「竹笹堂」特製のらくたび文庫オリジナルブックカバーが進呈された。
出版科研によると,コミック市場が5千億円を割ったとのこと。雑誌低落とはいうものの,5千億というのは大したもの。
もっとも野村総研では,いわゆる「オタク市場」では,同人誌即売会参加者数や雑誌購読率から推計したコミック市場を100万人1千億円としているから,コミックファンの5分の1がオタク,ひとりあたり10万円という計算となるか。たしかに,「マニア消費者層の市場に対する影響力と消費規模は,もはや「ニッチ」とは言えなくなっています」という感じですな。
私自身,年甲斐もなく,歌舞伎町あたりの漫画喫茶に出入りしています。単にタバコ吸いながら雑誌や本をのんびり読める場所が漫喫というだけなんですが,こういう人はコミック市場的にどうなんでしょうかね。「裾野のひろがり」っていうやつですか。
ここのところ,コーヒー(というよりカフェ)を取り上げた雑誌が目に付きますね。その中で,_ates(アテス)の『やっぱり気持ちいい!コーヒーのある生活。』と,最近出たBRUTUSの『COFFEE&PEACE』を読みました。
ブルータスは,これまでの同誌のカフェ特集とあまり代わり映えしないものの,コーヒーの教科書と銘打って,淹れ方のコツやエスプレッソマシンなどの道具と使い方,有名バリスタの店を紹介。アテスは食の雑誌らしく,世界各国のコーヒー文化やコーヒーに合うフードなどを取り上げている。こちらは写真が綺麗なのも嬉しい。
「ワインとコーヒーにはこんな共通点がありました」という記事もありましたが,シガー(葉巻)の雑誌を読めば,シガーとワインは似ている(どちらも熟成のプロセスが大事で気むずかしい)と書いてあるし,なにか蘊蓄を語ろうとするときに引き合いに出されるのは,いつでもワインですな。
新刊「岩波文庫の80年」(岩波文庫編集部)をいろいろ眺めていました。本書は,岩波文庫の刊行順全リスト(教科書判,ワイド判含む)と索引,各種資料を収めています。資料については,岩波文庫好きの方なら,すでに承知のことばかりでしょうし,初期の歴史についても,雑誌「文庫」からの転載なので,目新しいものではありません。
それでも,あらためて80年分のリストを見てみると,その年々の自分の出来事と絡めて,いろいろ思い出すことがありますね。最近は,1年前に出た本でも,こんな本買ったっけ?などと,すっかり呆けてしまっていますが,学生時代に出て読んだものなど,30年も前のことなのに,どこで買ってどんな風に読んだのかなどということまで,意外に覚えています。読書に年齢は関係ないとはいうものの,やはり旬の時季はあるのでしょう。
あの「50周年記念目録」から30年も経ってしまったのかと思うと,時の流れのはやさに吃驚します。100周年まで元気でいられるか自信はありませんが,岩波文庫にはいつまでも新しい刺激を与えてくれるような存在であって欲しいと思っています。
新刊ではないが,前から気になっていた「煙草の蘊蓄―タバコを知ってタバコをやめる」を入手。Wow toものや際物っぽい本が多い彩図社というところから出ている文庫本。
レトロ調漫画の表紙に,大人の嗜好品研究会とくれば,なにやら怪しげな本かとおもいきや,中身は,タバコの歴史や喫煙法,税金,健康問題まで,なかなか真面目に語られており,役に立つ。副題の「タバコをやめる」というのも一種の言い訳で,これは愛煙家に向けた本だ。
私自身は,愛煙家というほど吸ってはいないが,タバコ愛好家関係の本は,すっかり見かけなくなってきているので,珍しさもあってお薦め。
文庫,新書はおなじみだが,新書サイズの単行本は携書と呼ぶのか?
ディスカバー・トゥエンティワンは2月22日,携帯電話のように気軽に持ち歩けるシリーズ「ディスカバー携書」を創刊した。ターゲットは30代の男女で,「単行本のコンテンツをより手軽に」をコンセプトとし,新書サイズの単行本としてシリーズ化していくとのこと。価格は税込1050円。
ディスカバー・トゥエンティワンっていうのは馴染みのない出版社かもしれないが,コーチング業?で知られる伊藤 守が設立し,現在の社長は干場弓子。ビジネス本メインに,これまで500点あまりを刊行している。もっとも,ミリオネーゼだとか,美貌とお金と幸せを手に入れる仕事術だとか,あまり書店ではお近づきになりたくない本ばかりだ。
ちなみにこの携書,2月出たのは,「水はなんにも知らないよ」(左巻健男),「なぜ日本にはいい男がいないのか 21の理由」(森川友義),「嶋浩一郎のアイデアのつくり方」(嶋 浩一郎)。全国300書店でのみ先行販売とのことだが,これなら探さずに済ませそうだ。
♪きっときっと 又来てね 素敵な私の 夜の訪問者~ といえば,小川順子の「夜の訪問者」。久しぶりに思い出したが,私が高校生の時,もう30年以上前のヒット曲だった。
もちろん,読んだのは岩波文庫の新刊「夜の来訪者」(プリーストリー)。日本でも1951年以来,たびたび上演されてきた有名な戯曲だ。
お金持ちの工場主の屋敷に,主人と妻,娘と息子,娘の婚約者が集まって一家団欒,幸せな家族の図。そこへ,突然,警部が若い女性の自殺の報をもって飛び込んでくる。警部の尋問により,その女性の自殺とこの一家との関わりが明らかになるにつれ,お互いに知らなかった家族それぞれの裏事情がわかってくる。
それだけなら,真実を語らざるを得なくなった家族の動揺と責任のなすりあいがうまく描かれていて面白い,ということなのだが,取り調べを終えた警部が帰ると,家族の間に新たな疑惑が浮かんでくる・・・。
1時間もあれば読めてしまう短い話で,どんでん返しというよりは唐突な幕切れ。やはり舞台で見てみたい。
今月の新刊「岩波文庫の80年」(岩波文庫編集部)は,1927年7月の創刊から2006年12月までの岩波文庫刊行順全書目リストと索引.「ワイド版岩波文庫総目録」,「岩波文庫略年表」,「岩波文庫略史」,「岩波文庫論」(岩波茂雄),「岩波文庫の定価の基準の変遷」,「岩波文庫の整理番号について」等を収録した岩波文庫資料集。文庫ファンにとっては楽しみな本だ。
ちなみに創刊以来2006年12月までに刊行された岩波文庫総点数は5401冊とのこと。そもそも売価が安い文庫本ゆえ,お金の点では全点そろえるのも難しくないだろう。しかし,頻繁に復刊される本がある一方,戦前から一向に復刊,改版されないものも多い。他社の戦前版に比べれば残っている可能性は多いものの,戦後60年を過ぎて専門古書店でもなかなかお目にかかれない書目が増えてきた感じがする。
今回の資料集を眺めながら,自分の書棚を再点検してみようかと思う。こんな本が買ってあったのか・・・という意外な岩波文庫が出てくる可能性大。単に,ずぼらなせいかもしれないが。
「失踪日記」で日本漫画家協会賞,文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞,手塚治虫文化賞マンガ大賞を総ナメした著者が,あらためてその生い立ちから漫画家修業を経て,失踪,復活に至る波乱の半生を語ったもの。
といっても堅苦しいものではなく,吾妻氏の前口上によると「別冊漫画ゴラクに連載してたインタビューコラムに語り下ろし書き下ろし漫画 おまけをつけ 私の生い立ち 漫画家になるまで他むにゃむにゃなことを適当にまとめたものです・・・てかこれ「失踪日記」の便乗本じゃないのっ!」
失踪の地を再び訪ねる口絵,公務員のお父さんがなぜか4回結婚しており,まだ会ったことがない兄弟がいるらしいといったエピソード,若い頃の石ノ森先生や手塚先生への思い,奥さんお嬢さんへのアンケート,年表など取り混ぜながら,漫画家の裏話的に面白く書かれているものの,やはり鬱でアル中の吾妻先生には得体の知れないところがあるとの感を強くもつ。これは一つの男のあこがれかもしれぬ。
「新文化」に吉祥寺ブックス・ルーエの花本氏による「『集英社文庫』30周年企画説明会に出席して」というレポートがありました。
『「集英社文庫」の背表紙は文庫担当の書店員を泣かせがちでした。日に焼けやすく色が落ちてしまうからです。焼けていない新刊と混在した棚は見た目があまりよろしくありません。特に唯川恵さんのピンクの背は白っぽくなりやすく,入れ替え作業に忙殺されてきました。そんな集英社文庫が30周年を迎えるにあたって,背表紙デザインを一新してくれることになりました。色合いも統一してくれるとのことで喜んでおります。先日都内で関東圏の書店員を集めた30周年の企画説明会がありまして,参加させていただきました。』
以下は「ルーエからのエール」をご覧ください。
「バブルへGO!」 見に行きたいね。バブル世代のまっただ中にあって,大した恩恵も受けなかった代わりに,大損もこかなかった私としては,バブルは単純に懐かしい時代なんですな。
書店で平積みになっていた分厚い「気まぐれコンセプト クロニクル」。あのホイチョイ・プロダクションズが25年間にわたりビッグコミックスピリッツに連載した4コマ漫画を集大成したもの。ジュリアナなど,当時の流行もの,いやトレンディなキーワードに,いちいち脚注がついているのも楽しい。ひどい目にあった人もたくさんいたはずだから,あまり笑ってばかりでは申し訳ないんですが。
ホイチョイといえば,懐かしい『見栄講座』や『東京いい店やれる店』。全部いまだに我が書棚にならんでいるのも少々気恥ずかしい。これはこれでそろそろ歴史的記録になりつつあるんでしょう。
映画主演の阿部寛さんは,バブル絶頂期のマンション投資の借金が,ようやく片付いたと言ってましたが,貧乏な我が家でさえ,別荘雑誌など買い込んで,結構本気になってたんですよ,あのときは。
日本放送出版協会生活人新書の新刊「今日はこのワイン!? 24のブドウ品種を愉しむ」を読む。
ワイン造りにつかわれるブドウの品種をもとに,その特徴をまとめた真面目な本。赤ワイン12種と白ワイン12種を産地別に分類してあり,役に立つことは間違いないが,本書を手にとって帯を見たとき,なんで桜塚やっくんがワイングラスを持って・・・。
「飲む前に買いなよ!」とでも推薦文句を書いているのかと思いきや,これは著者の野田幹子さんらしい。失礼しました。
アスキーから,3月13日に「アスキー新書」が創刊される。『IT・ビジネス・遊び心をテーマ』とした新シリーズで,読者層は30~50代男性を想定。
創刊ラインナップは,角川歴彦「ウェブ2・0時代の著作権」のほか,坂村 健,フィリップ・トルシエ,谷川貞治らの作品を予定。4月以降は,毎月10日を発売日とし毎月数点ずつ刊行。歴史・科学など他社の新書シリーズが扱うジャンルも,独自の切り口で新書化したいとのこと。
著者のひとり,角川歴彦(かどかわ つぐひこ)は角川春樹の実弟。角川書店副社長を務めたが,1992年に経営路線の対立で辞任。メディアワークスを創業。翌年,角川春樹が社長を解任されたため角川書店に復帰し,社長となった。当時ゴシップネタとなったこの辺のゴタゴタは,角川家の一族を参照。現在アスキーは角川傘下だ。
ちなみに,昨年相次いだ新書の創刊をまとめると,3月ソフトバンク新書,4月PHPビジネス新書,7月MYCOM新書,サンガ新書,9月ゴルフダイジェスト新書,10月朝日新書,11月幻冬舎新書,といったところ。
創刊書目は,「だめんず症候群」(倉田真由美),「スキミング」(松村喜秀),「偽装国家」(勝谷誠彦),「亡食の時代」(産経新聞社「食」取材班),「大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか」(竹山隆範),「親より稼ぐネオニート」(今一生),「「脱・談合知事」田中康夫」(チームニッポン特命取材班)とのことで,「SPA!」の執筆陣が中心。
扶桑社によると,不定期刊行,本体価格680~740円。初刷は1万5千~2万部。
田中康夫の東京ペログリ日記に,「扶桑社から2月末に刊行予定の新書に関して,チームニッポン特命取材班と打ち合わせ。談合の首謀者へのインタヴューを始めとして読み応え充分な中味を聞き,最終章として収録する僕の原稿を踏ん張らねば,と自身を自分で叱咤激励。敢えて喋り口調の文体で書き下ろすのが良いのでは,と提案し、スタッフの同意を得る」など編集状況の記載あり。
Lapitaの3月号は「書斎創りを愉しむ」特集だというので,さっそく読んでみたが,書斎をインテリアスタイルとして捉え,「書斎の風格を上げるハイブランドのステーショナリーの紹介」ときては,カビくさい書庫に閉じこもっている小生は,あぁそうですかとしか言いようがなく,一緒に載っている「もう一度オーディオ!」や「バレンタインは"チョコ+万年筆"で」の方が楽しかった次第。
岩波文庫は,フォークナーの新刊「響きと怒り」を読んでいるところ。本書には巻末に詳細な場面転換表が付いていて,錯綜する時間の流れを巧く整理してくれている。最初はそれを眺めながらポツポツと読んでいたのだが,次第に物語の勢いに流されるように,一気に読み進んでしまうこととなった。前衛的で難解といわれているが,フォークナー自身が一番愛したこの作品,とにかく刺激的で面白い。ただし,原文ではイタリックで書かれているという場面転換部がゴチック体なのは,少々目に付きすぎて読みづらいのが残念。
今月は北原白秋の詩集が出ましたが,岩波文庫版「立原道造詩集」も復刊されているんですね。筑摩書房から刊行が始まった「立原道造全集 全5巻」に便乗したわけではないでしょうが。
私自身は,30年ほど前に買った角川版全集に親しんでいますが,今回の筑摩書房の第5次全集は,建設図案,色彩画,デッサンなどの写真図版を豊富に収録,旧全集に未収録の詩篇,随想,日記,中学時代の作文,小学時代の戯文などを新たに収録,詩・物語・随想・翻訳については,生前に自らの意思で発表したものと未発表のものに区分し,それぞれ年代順に収録,生前未刊行の創作ノートなどでは,歌稿の推敲の併記は原文の形をいかして再現し,一部の原文の抹消も註記の上起こしたとのこと。造りも良さそうだし,学生時代ならすぐに手に入れたところでしょうが,この歳になって,どうしようかなぁ,というのが正直なところ。
今読んでも立原の詩は美しく瑞々しいし,その生き方に魅力を感じてはいるものの,やはり「青春のよき思い出」といった感じが強く,少々気恥ずかしさがあるのです。もちろん,詩が恥ずかしいのではなくて,その時代の自分が恥ずかしいのですね。
岩波文庫の新刊「北原白秋詩集」を読む。全2冊で,上巻には初期の詩集『邪宗門』と『思ひ出』,下巻には後期の『水墨集』と『海豹の雲』などが収められている。
白秋は1885年生まれ。福岡から上京し,早大に入学。「明星」に詩や短歌を発表し,耽美派,新浪漫派と呼ばれる文学グループに属して活躍。1942年没。白秋というと叙情的な詩や童謡の作詞家というイメージだが,女性関係はいろいろ複雑で,3度の結婚をし,その中でも27歳の時,姦通事件として隣家の人妻共々収監された事件は,当時の社会にセンセーションを巻き起こした。
岩波文庫からはこれまで,白秋詩抄,白秋抒情詩抄,白秋愛唱歌集,北原白秋歌集が出ている。解説によると,先に「抒情詩抄」が編まれたのは,抒情小曲などを当時,純粋な詩とは区別して扱う風潮があったからで,今回はそれも含めて一つの詩集としてまとめたとのこと。作品自体は,当然すでに親しんでいるものばかりなので,あらためて2冊を購入する意味があるか,と躊躇するかもしれないが,80年記念帯も付いていることだし,解説も充実しているので,ぜひ。
集英社文庫の新刊「チョコレートのソムリエになる」(小椋三嘉)を読む。
著者はチョコレート&食文化研究家。チョコレート第一人者として,高級ブランドのためにショコラのコラボレーションやプロデュースも手掛けているとのこと。
バレンタイン時期をねらったものだと思うが,チョコレートの種類,効能,テイスティングなどについて,要領よくまとめられており,眺めるだけの本ではない。チョコレートはお菓子というより,ワインやシガーと同じ嗜好品という著者は,食べ方,味わい方にもこだわりがある。
最近はカカオ99%,100%などというチョコも登場し,本格的な味が手軽に味わえるようになったが,私自身好みは,昔からミントチョコなので,近くのスーパーで売っているアメリカものを買い込んでいる。これの封を切ると,かなり強いミント風味が流れ出すので,ハーブの好きなウチのウサギがゲージから飛び出してきて食いつきそうになるのだが,チョコだとわかって悔しがるのも,面白い。
著者のHPはこちら・・・
エイ文庫の新刊をもう一冊購入。「東京焼肉通読本」(東京生活編集部編)。
焼肉の基礎知識と都内のお薦め焼肉店をオールカラーで紹介。この手の本としては,解説やコラムが多く,比較的読みであり。いやいや,それにしても最近焼肉食べていませんな。とくに高級なヤツ。まあ,私の場合ひと皿千円超えれば文句なしに高級なんですが。
ちなみに,エイ文庫はこれで135点目。隔月刊なので,いつ書店に並ぶのかわかりにくいのですが,年間20点程度をぼちぼち出しながら,結構充実してきた観がありますね。
デジタルカメラばかりのご時世だが,デジカメの本にはとんと興味がわかず,銀塩カメラの本が出るとなると読まずにはいられない。まあ,デジカメなんてケータイと同じで,自分にとっては便利なのが第一。趣味性はあえて求めずといったところ。あまり愛着が涌かないのだ。
本書は銀塩カメラの名品,リコーGRの歴史やメカを解説したもの。チョートク先生の肝いりで,コンパクトカメラとしては本格派,プロのサブ機と呼ばれたGRも,2003年に生産終了。こうあらためて眺めてみると,すぐに陳腐化するデジカメと違って,やはり古くても味がありますな。
私自身は,鮮やかなコンタックスT2とTVSを愛用していたので,GRはちょっと渋すぎる,と思っていたのだが,今になって思えば,使い勝手はGRのほうが良さそうで,一度手に入れておけばよかったなという後悔も。
といいつつ,現在の普段使いのカメラは,デジカメ。このあたり我ながら軟弱で情けないのだが,最後の銀塩世代としては,ウチたくさんある古いカメラのムックをめくりながら,往年のGRやT2を愛でておくこととしよう。
岩波文庫の新刊,「創刊80年」オレンジ帯付き8冊が書店にならんだ。そのうち,まず「新編 百花譜百選」(木下杢太郎)を購入。オールカラーで1575円也。
本書は,医師で作家の木下杢太郎が戦時中に描いた植物図譜872点のうち,100点を収録したもの。見開きで,右ページには植物名と日付,ときには簡単な日記,左ページには洋罫紙に彩色された図。巻末には図譜一覧有り。
『染井吉野-わかかった時分桜の花は美しいと思ひ,そのうちでも染井吉野が尤もあはれ深いと感じた。中春の夕方の気分といふものは名状しがたいものであった。今年は春が寒くて花がわるいが,今日伝研でつくづくと之を眺めて見ても殆ど感興らしいものが涌かない。心にもまた四季が有る』(昭和18年4月12日)
一言で言えば渋い,静謐とした印象を受ける画集だが,戦火激しい中,病身ながら東京に踏みとどまり描き続けた杢太郎の決意,執念が感じられ,読者にして襟を正さざるをえない気分となる。
買っちゃったんですよ,マイキット150。前々から,トイザらスで見たりして,どうしようかなと思っていたのですが,高いので躊躇していました。
ところが,先日,小学生の息子が電子工作キットを組み立てているとき,メーター持ってないんだよねー,と言うので,最初は古いテスターを貸してやろうかと思ったのですが,この際,いろいろ遊べた方が面白いかなと。
私も30数年前,小学生の時に初期型のマイキット80を買って貰い,毎日いじり倒していたものですから,これはほんとに懐かしい。ワイヤレスマイクの実験では,レコードをかけてそれをマイクで拾わせておいて,ラジオ片手に家から離れていき,10軒先まで届いてる!なんてことをやっていたのです。
当時のに比べると,アンプやチューナーユニットなど,「ずるい」部品も入っていて,大人でもなかなか楽しめそうです。しかし考えてみれば,貧乏なウチの親が,こんなものをよく私に買ってくれたな,といまさらながら感謝,というより不思議に思いました。
岩波書店によると,相談役の岩波雄二郎氏が1月3日,かねて病気療養中のところ87歳で亡くなられたとのこと。岩波文庫ファンには,長年奥付で見慣れた名前であるが,謹んでご冥福をお祈りいたします。
すっかり新年気分も抜けてしまい,これから多忙なことを考えると,ちょっと鬱ですな。ま,焦らずいきましょう。
岩波文庫「ペトラルカ=ボッカッチョ往復書簡」(近藤恒一編訳)を読みました。ルネッサンス期の詩人と作家との往復書簡集。とはいうものの,ペトラルカは岩波文庫の前書「ペトラルカ ルネサンス書簡集」が出ているように,500通余りの書簡が残っているのに対し,ボッカッチョのほうは僅かしか残っていないとのこと。各々の手紙には時代背景や二人の関係など,丁寧な解説が付けられており,所々にゆかりの写真や絵も添えられて,楽しく読むことができました。
しかし思うに,これは紙だからの残っていたわけで,今のようなメールでのやりとりだったら,記録はすべて消え去っているかもしれません。現代の作家が,パソコンで原稿を書き,メールで通信をしていると,推敲のあとや,編集者とのやりとりも後に残らない。今後の伝記作家は,どのように資料を集めるのでしょうかね。
ちなみに,ペトラルカには「わが秘密」(岩波文庫)というのもありますが,これは今のところ品切重版未定です。
1月と2月は,岩波文庫創刊80周年の記念新刊。
■1月16日発売
新編 百花譜百選 [オールカラー](木下杢太郎)
北原白秋詩集 (上)(下)
響きと怒り (上)(下)(フォークナー)
倫理学 (一)(和辻哲郎)全4冊
啓蒙の弁証法-哲学的断想(ホルクハイマー,アドルノ)
新版 世界憲法集
■2月16日発売
文学論 (上) (夏目漱石)
サミング・アップ(モーム)
阿片常用者の告白(ド・クインシー)
夜の来訪者(プリーストリー)
マルクス・アウレーリウス 自省録
倫理学 (二)(和辻哲郎)
読書という体験(岩波文庫編集部)
岩波文庫の80年(岩波文庫編集部)
大体,ベランダスモーカー(昔風に言えば蛍族)っていうのは格好悪いし,この時期寒くてやってられない。私など,風があったら匂いが飛んでしまう・・・と開き直って部屋の中でスパスパ(といってもウチではパイプがメイン)やっているが,煙はお香を通り越して,たき火状態。パイプタバコって,ニコチン摂取というより,子供の頃のたき火好きが高じた趣味ですな,絶対。
祥伝社新書「グレート・スモーカー 歴史を変えた愛煙家たち」を読む。
『生きた 喫った 愛した!』と題して,古今東西の有名人のタバコにまつわるエピソードを,紙巻,葉巻,煙管,パイプの各派に分けて紹介したもの。チャーチルやケネディ,カストロ,吉田茂などよく知られた愛煙家から,明治天皇,大正天皇,毛沢東,シュワルツェネッガーといった人々まで100名が登場。
「たばこほど無駄なものはない。無駄のように見えるものを,どこまで許容し得るか・・・それが文化だ」(池波正太郎),「酒とたばこ,どちらかよせと言われたら酒をよす」(小津安二郎)=私と同じだ,「本数を減らせと言うなら丈が長いたばこを作れ」(大正天皇)といった名言も。
これまで,いろいろな雑誌等でも取り上げられた話題ではあるが,うまく整理してあるので,あらためて読んでみるのも吉。まあ,嫌煙家に言わせれば中毒者の世迷い言になるのだろうが,喫煙者にとっては楽しく大きな味方を得た気分になる本。
岩波文庫の新刊「酒道楽」を読む。正月休みに相応しい酒飲みによる蘊蓄話・・・を期待した向きには残念。本書は,明治期の禁酒(あるいは嫌酒)小説なのだ。
明治期の新聞小説界の第一人者村井弦斎は,報知新聞紙上で「百道楽」シリーズと銘打ち,釣道楽,酒道楽,女道楽,食道楽を発表。本書は大酒のみの教師二人が西洋志向の妻や酒嫌いの周囲の人間からさんざんな目に遭わせられる啓蒙小説。啓蒙とはいうものの,堅苦しくないドタバタ娯楽滑稽もの。当時はアメリカの禁酒法時代で,弦斎もそれに影響を受けたらしい。
酒も煙草もやめられない小生にとって何か役に立つかと言われると,お説ごもっともであるが遠慮させていただきます,といったところ。それでも,明治30年代の酒を巡る雰囲気,世相がよく出ていて十分楽しめた。