岩波文庫の新刊「ブラウニング詩集」を読む。対訳「イギリス詩人選」の(6)。
このシリーズ,これまで,(1)シェイクスピア,(2)ジョン・ダン,(3)ワーズワス,(4)ブレイク,(5)テニスン,(7)コウルリッジ,(10)キーツが出ている。そのなかでもブラウニングは上田敏の「海潮音」ほか,文語調の「格調高い」邦訳に馴染んでいるので,現代語の訳文にははじめから違和感がある。そこには,ブラウニングに限らず,どうせ原文の調子は表現できないのだから,思い切って日本語として格好の良いものにして欲しいという・・・これは素人の読み手ならではの気持ちなのだろうが。
それはともかく,本書で面白かったのは,「ヒバが通る」という一幕劇が訳されていること。よく知られている「春の朝」はその劇中歌なのだが,劇自体は詩のイメージとは違うドラマチックな恋愛劇なのだ。いまさらブラウニングか・・・と思わずに通読してみると,新しい発見があるかも。
岩波書店によると,2005年の岩波文庫売上げベスト10は,
・『武士道』 新渡戸稲造/矢内原忠雄 訳
・『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎
・『論語』 孔子/金谷 治 訳注
・『代表的日本人』 内村鑑三/鈴木範久 訳
・『忘れられた日本人』 宮本常一
・『方法序説』 デカルト/谷川多佳子 訳
・『学問のすゝめ』 福沢諭吉
・『生物から見た世界』 ユクスキュル,クリサート
・『新版 きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手記』
・『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 マックス・ヴェーバー
とのこと。
このうち,2005年に刊行されたものは,『生物から見た世界』だけですな。
ふるほん文庫やさんでは,岩波文庫など一部文庫本の価格・蔵書査定基準を変更するとのこと。
その内容がちょっと面白くて,
・岩波文庫戦前版(現行より1cm背の高い文庫)は、版型違いの為、絶版扱いとさせていただきます。現在流通している文庫も、底値を¥1,080と改正します。
・又、同じ書名の場合も、校注、訳者の違う文庫は¥1,080とします。
・岩波文庫の校注、訳者は、第一人者が多く、又、物古の方もかなりあります。若松賤子訳の『小公子』が代表的な例。訳により、別作品となっています。
・新潮、角川スタンプ文庫(カバーのない帯時代の文庫)の一部の作品も、弊社判断で、訳違い¥1,080ラインに入れさせていただきます。
・なお、総集リストの全面手直しは、不可能です。新入荷文庫の値付けから実施します。当面二重価格となります。
蔵書査定基準変更のお知らせ
・岩波、新潮・角川スタンプ、アテネ、改造、旧創元、三笠、青木、世界古典文庫等の古書文庫は、市場よりどんどん消えています。貴重な骨董文庫となりました。古書文庫に限って、蔵書印あるものも、通常買い入れの対象とさせていただきます。
ライブドアの株主総会へ行ってきた。会場の新高輪プリンスホテルへは,品川駅から長蛇の列。入り口に人だかりが・・・潜り込んでみると囲まれているのは乙部広報だ。来場者の年齢は意外に高く,年配の夫婦連れが多い。
肝心の堀江社長はというと,遠くから眺められただけ。それでも,たくさんの株主との質疑応答に一々丁寧に応じていたのは,ふつうの株主総会とはずいぶん趣が違っておもしろかった。進行も受け答えもすべて堀江社長の一人舞台であり,良くも悪くもプロの企業っぽくないところに惹かれた。
なにかバタバタしているうちに,あっという間に今年も残り少なくなりました。
12月の岩波文庫が書店にならんでいますが,今月は,
・ディドロ 絵画について(佐々木 健一 訳)
・対訳 ブラウニング詩集
・繻子の靴(下) ポール・クローデル(渡辺 守章 訳)
・アメリカのデモクラシー 第1巻(下) トクヴィル(松本 礼二 訳)
の4点。
また12月の重版再開は
・シャクンタラー姫 カーリダーサ(辻 直四郎 訳)
・海の沈黙・星への歩み ヴェルコール(河野 与一,加藤 周一 訳)
・星界の報告 他一篇 ガリレオ・ガリレイ(山田 慶児,谷 泰 訳)
の3点です。
最近またクラシック音楽をよく聴いているんです。って,あらためて言うほどではないのですが,ipodが予想以上に活躍しています。
私のポータブル音楽プレイヤー史を振り返ると,最初は初代ウォークマン。もちろんカセット。このカセット時期が長く続き,ウォークマンプロフェッショナルなんていうのにも手を出したりしました。その後CDウォークマンに移行し,車載用を含めソニー製を何台か買ったものの次々と壊し,現在まで生き残っているのはパナソニック製の1台のみ。今回,それにipodが加わった訳です。
ipodなんて音の悪そうなものが聴けるか・・・という気持ちで,ずっと様子見していたのですが,実際に使ってみると(少なくとも5Gは)それほど悪い音とは思えず,ヘッドフォンを選べば,結構快適であることがわかりました。
私的に相性のいいヘッドフォンとして,ゼンハイザーのPX200とエティモのER-6iをメインに使っていますが,ER-6iはあまりに遮音性がよく,かえってストレスを感じることもあり,PX200のほうが一般的な環境では使いやすいかなと。いやいやまだまだ良さそうなヘッドフォンがあるらしい・・・一気に散財しそうな自分が怖い。
そんなわけで,通勤電車で音楽を聴きながら読む本も平凡社新書の新刊「モーツァルトオペラのすべて」(堀内修)。本書は,モーツアルトのオペラ作品すべてを年代順に詳しく解説したもの。後半の楽曲の解説より,前半の「最近のモーツアルトオペラ演出の流れ」をもっといろいろ書いて欲しかったですね。
ディケンズはアメリカ滞在中にフォースター宛に沢山の手紙を書いており,「アメリカ紀行」はそれを参考にしながら書かれた。本書に付録として載っているフォースター「ディケンズ伝」には実際のディケンズの手紙がたくさん引用されているが,それを読むと,「アメリカ紀行」に書かれたものより,もっと素直な意見があって面白い。
ディケンズは単なる物見遊山ではなく,当時の新興国アメリカの福祉や教育,奴隷制度などに広く目を向けており,英国と比較して進取の精神を賞賛すると共に,アメリカ人のとくに「上流」の人々の粗野な面については厳しく非難している。
当時のアメリカでは自国の作家が育っていなかったため,もっぱらイギリスの文芸作品が読まれていた。それについて,アメリカでは未だ著作権が認められていなかったから,勝手に出版,改作などが行われており,ディケンズはこの際国際著作権の必要性を主張したが,そのため彼の地のマスコミから叩かれたとのこと。
長距離電車通勤の私としては,ipodのイヤホンとしてオーディオテクニカのCK5を使っていたわけですが,コストパフォーマンスはよいと思うものの,やはりもう一段抜けのよい音が欲しいと思い,奮発してEtymotic ResearchのER-6iを買いました。
最初は3段キノコ式のイヤーチップがうまく耳にねじ込めず,スポンジタイプのチップを使っていましたが,あるとき風呂上がりの少し耳の中が湿っている状態ではめたところ,スポッと密閉状態になりました(私は耳の穴が大きいので3段キノコの一番小さな傘を切っています)。
さすがに遮音性が高く,自転車はもとより,歩いているときでも危ない感じがして,もっぱら電車内用として使っています(私の乗る東海道線や京浜東北線では走行音と車内アナウンスがほとんど聞こえなくなるので乗り越す可能性あり)。キャラクターとしては高音強調だと思いますが,低音も引き締まった感じで悪くないです(クラシック,モダンジャズ,JPOP中心)。もっとも,イヤホンをよくすると,mp3の曲データによっては粗っぽく聞こえてしまうものも出てきますが。その点,ipodに最初からついてくるイヤホンは安っぽい造りですが,マイルドな音でその辺をごまかしてしまうので,意外に聞きやすいなと少々見直したところです。
「せどらーの集う場所」で,岩波文庫のセドリの話題が。
セドリというのは,古書店で安く仕入れた本を自分の店やほかの店に高く売って利ざやを稼ぐことですね。最近では,インターネットのオークションを利用したセドリも盛んなようです。
私など,岩波文庫の定期的な復刊を地道に集めておいて売りさばけば,ある程度の利益は上がるんじゃないかなと思うのですが,これは素人考えなんでしょうね。・・・と思ったら「新刊せどり」に書いてありました。
でも,問題はやはり岩波文庫の古本が安すぎる,ということに尽きますね。私の学生時代と比べて,岩波文庫の新刊は高くなっているのに古本は安くなっています。需要がなくなったといえばそれまでですが,これちょっと最近見かけないタイトルだな・・・と思っても800円とか1000円しかつかないのだから,寂しくなります。
今月の岩波文庫はヘヴィーなものが多く,なかなか捗っていませんが,まず「心変わり」(ミシェル・ビュトール)を読みました。
この小説,「きみは・・・」という二人称で書かれています。「きみ」というのは,もちろん主人公であって読者ではないのですが,パリの妻子とローマの不倫相手のあいだで揺れる45歳中年男の心情は,まったく異なる時代,世界に生きる同年代の中年男(私のこと)にも意外と共感するところがありました。
時間が頻繁に前後するストーリーは,閉塞感や倦怠感に覆われており,決して楽しいお話ではありません。それが日々の生活に漠然とした不安を感じている中年男には響くのでしょう。少々辛い本ですね。
筑摩書房では,ちくま文庫創刊20周年を記念して,どこにも売っていない「限定版ちくま文庫」を応募者全員にプレゼント中。
『文庫のうしろには大抵ついている「解説」。少ないページ数のなかで,工夫を凝らした力作がそろっています。書店さんでどの文庫を買おうかと選ぶとき、巻末の「解説」を参考にする人も多いはず。・・・でも「解説」だけを読む機会というのはほとんどありません。どの文庫に誰がどんな「解説」を寄せているかもわかりません。せっかくの傑作・力作なのにもったいないかぎりです。 』
『そこで筑摩書房ではちくま文庫創刊20周年を記念して,これまでに出したちくま文庫からお奨めの「解説」をセレクトして,それだけで1冊の本にすることにしました。』
ということで,関心のある方は,ちくま文庫・ちくま学芸文庫の2005年11月~2006年1月の新刊とフェア対象商品の帯についている専用応募券2枚を1口として官製葉書に貼り,2006年1月31日までに応募してください。
本作は,「一寸法師」の連載終了後,1年半にわたり世から隠れて休筆していた乱歩にとって復活宣言となったもの。当時から世評が高く,これまで舞台や映画・ドラマでもしばしば取り上げられている。今回,久しぶりに読み直し,乱歩らしい淫靡な世界と本格的なトリックとの組み合わせの妙があり,やはり乱歩の傑作の名に恥じない作品だと感じた。
乱歩自身は「陰獣」という言葉について,『元来は 「陰気なけだもの」 という意味だったのが,セクシュアルな連想から 「淫獣」 というような語感を持ちはじめ,変態的な犯罪があると,新聞の見出しに 「陰獣」 という大活字が屡々現われるようになった』といっている。
ほかに収録された作品は,毒草,覆面の舞踏者,灰神楽,モノグラムなど休筆前のもの。こちらも乱歩版ショートショート集といった感じで楽しめる。
仕事帰りに秋葉原のヨドバシに行って,ipod 5Gを買いました。30Gと60Gどちらにしようかなと悩んだのですが,折角のビデオ機能付きなので,60Gを。(SONYの新しいA型は,質感こそ悪くないのですが,20Gでは足りないのと,ぱっと見て液晶が見づらい感じだったので)
さっそく,手持ちの音楽ファイルを2000曲ほど突っ込んでみましたが,なかなか快調。itunesの操作性もいいです。付属のヘッドフォンだけはちょっと薄めな音に感じたので,もう何年もCDプレーヤーで使っていたSONYのMDR-E888LP を差してみたら,抜けの良いさわやかな音になってGOOD。ついでに,通勤電車用のカナルタイプのオーディオテクニカATH-CK5に替えてみると,音が詰まった感じになるが,まあVocalならいいかな,といったところ。遮音性はもちろんMDR-E888LPよりいいので,外に持ち出すときはこれですね。
なぜいまさら「ボッコちゃん」なのかというと,子供に読んであげようと思い,我が家の書棚をあさったが見つからないので,買ってきたのだ。
近所の本屋にあったものだが,星新一の文庫本はどうみても売れ残りの風情で,少々寂しい気がした。いまの中学生や高校生は,こういうのを読まないのかな? 埃っぽい本を手にして思ったのは,ストーリーに盛られたアイデアは古くさくならなくても,紙面から感じられる時代は,紛れもない昭和40年代のもので,その時代特有の垢抜けなさ,埃っぽさが若い人にはなじめなくなっているのかもしれないということ。
同時に読んでいる江戸川乱歩の短編のように,思いっきり古ければ,最初から時代劇感覚なので,かえって違和感を感じないで済むのだが。
もう一冊,エイ文庫の新刊「ローライフレックスの時間」(藤田一咲)を読む。
このシリーズおなじみの脱力写真家・藤田一咲氏が,二眼レフカメラ,ローライフレックスを使って,身近な風景や人々を撮る。デジカメとは違った,おおらかな雰囲気が心地よい。子供の頃の私は,古い二眼レフ(ローライではない)をおもちゃにして遊んでいたし,二眼レフで撮られた正方形写真も多い。現役カメラでありながら,やはり郷愁を感じさせるおじいちゃんのカメラだ。
作品以外に,ローライフレックスの使い方や,各モデルを詳解したローライフレックス図鑑もついているので,ローライフレックス(二眼レフ)とは何だ?という若い方にお薦め。
エイ文庫の新刊「デザイン馬鹿」(ヒラヤマユウジ)は,ちょっと変わった本だ。
ヒラヤマユウジ氏は,1966年生まれ。イラストレーションやマンガ,デザイン,写真,アートディレクターとして活躍中。本書は,その作品集であり,デザイン一筋「デザイン馬鹿」の世界への道しるべでもある。
デザイン馬鹿のアイデアはどこから生まれてくるのか,創作環境や生活スタイル,デジタルカメラとアナログカメラの魅力,コンピュータやインターネットの活用術,そして,デザイン馬鹿の生き方。
文章はほとんどないし,イラストやマンガは文庫本サイズでは読みにくいが,めがねを外して(40過ぎて少々老眼なんです)細かいところに見入ってしまう。モデルの女の子も,ちょっとカワイイ。ただし,表紙にだまされないように。建築デザインやインテリアデザインの本ではありません。
土・日は久しぶりにボウリングに行ったんです。
小学3年の息子もキッズレーン(ガーターにならないようにサイドにバンパーが出るレーンですね)を脱して,ようやく「玉転がし」らしくなってきました。すぐに100くらいは出そうな感じですが,ストライクが出たあとにガーターを連発してホントに大泣き・・・。まあ,その悔しさを乗り越えてこそ男だ! と偉そうに言っている私はというと160ショボショボでした・・・お疲れさまです。
小田原コロナキャットボウルは,新しくて投げやすく,なかなか結構でした。温泉(スーパー銭湯にようなもの)や10スクリーンもあるシネマ,カラオケ,ゲームセンターなどがくっついているので,いちにち遊べます。
AZ::Blog はんなり、あずき色のウェブログ☆さんのところで,「文庫本をハードカバーに!」という技を紹介しています。
文庫本(岩波文庫「カフカ短篇集」)を和紙で改装してハードカバー風にしているのですが,なかなか凝っていて見事な仕上がりです。
私自身は,歳をとるにつれて面倒くさがりとなり,なんでも着せるよりも剥がすことに喜びを感じるようになってしまいましたが,文庫本のようにあまり愛想のない本を特装本にするというのは楽しそうで,器用な人が羨ましいです。
先日,仕事帰りに東京駅近くの丸善にモンブランの新色インク,レーシンググリーンとセピアを買いにいった。ついでに,手帳売り場で来年のシステム手帳のレフィルなどを眺め,話題になっていた本「みんなの手帳」(手帳愛好家委員会編 大和書房)を買ってきた。
さっそく電車で読みながら帰ろうと思ったが,さすがに大判ピンクの女性誌のような装丁では読みづらく,帰宅してからじっくりと。
本書は,女流作家やビジネスウーマン(言い方が古いな)が日常使いしている手帳を紹介したもの。それぞれ個性的な手帳スタイルがうかがい知れて面白い。もっとも,写真が小さいので,中身はあまり読めないけれど。
有名無名にかかわらず,他人の手帳を覗く機会などあまりないし,相手がオシャレな革手帳など持っていても,それ見せてくださいとは言いにくい。それが女性であったらなおさら。私も自慢の手帳を見せびらかすことは吝かでないが,中身を見られたら,すぐに仕事の薄っぺらさがばれてしまうので,恥ずかしい。
よって本書は,誰にでもある覗き趣味を多少は満足させてくれるということで,売れそうだ。
早川書房の新刊「文房具を楽しく使う 筆記具篇」(和田哲哉)を読みました。
昨年出た「ノート・手帳篇」に続くもので,ボールペンやシャープペンシル,万年筆など,筆記具の基礎知識,筆記具の使い分けやこだわり活用法,ノートや手帳との連携など,よく整理されており,カラー写真もふんだんに入っているので,文房具好きには嬉しい本です。
私は普段,仕事でも複写伝票を書くなどやむを得ない場合にボールペンを使う以外は,メモでも手帳でも手紙でも,すべて万年筆を使っています。一つには,悪筆なので,ボールペンやシャープペンシルでは字が汚くて読めないということもありますが。
万年筆の傷など気にしないで,というよりむしろ傷も味のうちと考え,ペンケースやカバンに無造作に放り込んでいる人間からすると,著者は随分丁寧で几帳面な方だと思います。本書も几帳面すぎる感はありますが,若いステーショナリーファンにはとくにお薦めします。
著者のbolg - LowPowerStation
岩波文庫の新刊,ポール・クローデル「繻子の靴(上)」を読みましたが,難関でした。
劇詩人クローデルは,マラルメの弟子,彫刻家カミーユの弟であり,駐日大使も務めた外交官。「繻子の靴」は,当初上演不可能と言われた大作。
日本語として上演を意識したものなのか,原文がこのような言い回しなのかは分かりませんが,体裁が読みにくいということもあり,文章ではなかなかすんなりと頭に入ってきません。分厚い本書の半分は訳注・解説・年譜が占めており,それを読むだけでも一苦労。もちろん,じっくり読み込みたい人には,待望の訳ということなのでしょうが。
訳者渡辺守章先生は演出家としても有名ですが,演劇の人ってなんで難しい方へ行っちゃうんでしょうかね。
私はMac使いじゃないんですが,Mac関連の本に素敵なものが多いことは認めます。
新旧Macの綺麗な写真に惹かれて,「Macintosh museum(マッキントッシュ ミュージアム)」(アスキー)を購入しました。1年ほど前に出た本ですが,最初のAppleからPowerMacまで歴代のMacのスペックやダイヤグラムを詳しく紹介。開発者へのインタビューが面白く,見ても読んでも楽しい本です。造りも,3000円出してもいいかと思えるもの。
最近でこそiBook「でも」買ってみようか・・・などと言っているわけですが,私が学生時代は文字通り高値?の花,そのあとのパフォーマでさえ結局買えませんでした。もしあのとき,Macを買っていれば,私のパソコン人生も大きく変わっていたことは想像に難くありません。
しかし,今となってはしょうがありません。こういう本で往時をしのぶ縁としましょう。
集英社新書の新刊「ショートショートの世界」(高井 信)を読む。
本書は,ショートショートの定義,歴史と主な作家,ショートショートの書き方を紹介。個々の作品のストーリーにはほとんど触れていないが,アンソロジーの類も含めて主立った本は紹介されているから,興味があれば古書店で探してください,といったところ。当然古めの本ばかりで,手に入れるのは難しそうな物も多そうだ。
最近はショートショートという言葉自体あまり聞かなくなったし,星新一さえ,ほとんど読んだことのない人には入門編として向いているが,目新しいところはないので,ショートショート好きの人には物足りないだろう。
岩波文庫では50年ほど前に出た「新島襄書簡集」が馴染み深く,私の書架にもかなりくたびれた姿で並んでいる。旧版は事実上個人編集で恣意的な削除があったので,それを批判検討して,新たにセレクトした96通により本書を構成したとのこと。最近の新島研究の進歩といわれてもよくわからないが,少なくとも大変読みやすくは,なっている。
幕末1864年に密出国し渡米した新島襄の手紙が,日本の家族にどのように届けられたのか不思議に思えるが,その内容は新しい文明国米国での見聞を生き生きと伝えていて面白い。米国遊学中,ホストファミリーだった家族に宛てた英文の手紙も訳されており,当時の学生生活の一片を知ることができる。
「ふるほん文庫やさん」が,絶版・品切れ文庫の価格を変更した。
弊社価格帯は¥1,280,¥1,080,¥880,¥680,¥480が基本です。このラインは不動です。今迄この価格帯に入れてない文庫は,出版された時の価格で値付けしていました。¥510,¥520,¥530,¥560,¥580等です。弊社は紀伊国屋書店始め,全国9つの新刊書店のミニ店舗への卸し,紀伊国屋書店でのフェアも開催しています。最近,¥700,¥800,¥900台の文庫も増え一冊,一冊の文庫の値付けがすべて違う場合,新刊書店への伝票枚数も膨大なものになります。
今後,出版されたときの価格値付けの文庫は,すべて未尾に¥80を付ける事に統一させていただきます。¥500台→¥580,¥700台→¥780,¥900台→¥980,¥1,100台→¥1,180,¥1,300台→¥1,380となります。なお,総集目録の価格変更の訂正は,大作業となり,不可能です。総集目録価格は,従来通り,その価格で出荷します。とのこと。
小倉での店舗販売も再開している。
モンブランから新色インクとして,レーシンググリーンとセピアが出ているらしい・・・というのは,ここのところ万年筆売り場にご無沙汰しているからなのだが。レーシンググリーンは落ち着いた色のようなので,ぜひ使ってみたいと思う。
エイ出版社の新刊「趣味の文具箱 Vol.4」を読む。文具箱と題しているとおり,これは万年筆を始めとする筆記具と手帳,関連グッズを紹介したもの。
今回は,ファーバーカステル社とミニペンの特集。基本的にカタログ本なので,書店での1500円のお支払いはやや躊躇するところだが,取りあえず出ているのを知ってしまったら買わざるを得ないというのは悲しいサガ。悔しいが,カメラ,自転車,カバンに家!まで,エイ出版社の思うつぼだ。
岩波文庫の新刊,ディケンズ「アメリカ紀行 上」を読む。どこかで読んだような気がするフレーズもあったのだが,本邦初訳とのことで,気のせいか?
ピクウィック・ペイパーズやオリバー・ツイストで人気作家となったディケンズは,夫人と共に1842年アメリカを訪れた。ボストン,ニューヨークなど,新興都市の生き生きとした様子を,単に物見遊山ではなく,英国と比較したアメリカの社会システムの特徴に触れながらユーモアや皮肉を交えつつ描いている。
アメリカでは大歓迎を受けたディケンズであったが,当初の大きな期待と希望に比してかなり幻滅を感じたことも多かったようで,帰国後に書かれた「マーティン・チャズルウィット」(ちくま文庫にあり)ではアメリカ人を散々こき下ろした。それゆえ,アメリカでは悪評だったとのこと。
ディケンズの紀行には「Pictures from Italy」というのもあるが,こちらも邦訳は未だない。
ワールドムックの新刊「万年筆スタイル2」を読む,というより眺める。
1年ぶりの続編。今回は,万年筆悩み相談室,地球文字探検家が語る,続・子供に残したい万年筆,35歳の文房具,紀田順一郎さんの万年筆を嫌った作家たち・・・といった内容。もちろん各社最新モデルの紹介もある。
あまり面白い企画がなく残念だが(それは興味を惹かれる新作がでないせいもあるのだが),年に1回のカタログ本と考えて,万年筆好きの方にはお薦め。
私自身は,モンブランの146とパーカーデュオフォールド,ウォーターマンクルトゥールを相変わらず普段使いしている。クルトゥールは個体差が大きいようで,3本のうちずっと快調なのは1本。あとの2本は乾燥しやすくインクが切れやすいので,休業状態。切り割り調整しても駄目だった。これはコンバーターを使っているせいかもしれず,確認中。
すでに書店でご覧になった方も多いでしょうが,今月PHPから文庫判雑誌「文蔵」(ふみくら,じゃなくて,ぶんぞうと読む)が出ました。
創刊号特集は,「ブレイク寸前!おすすめ感動小説」と題して,恩田陸とソニンのインタビュー,書店員が大予測 明日の「感動小説ベストセラー」はコレだ!!,映画でも楽しめる感動小説を一挙紹介!,書評家が語る「ジャンル別<泣ける!!>小説」,あの名作を手がけた編集者に聞く「この秋いち押しの感動作家」などなど・・・やたら!!が多いですな。
山本一力,宗田理,川上健一,神田昌典,北方謙三といった面々の連載小説もあります。『連載では前号までのあらすじをわかりやすく紹介し,途中からでも自然にストーリーに入れるようにします。また親切編集をモットーとし,見やすい本文デザイン,難しい漢字へのルビなどによって読みやすく工夫します』とのこと。
個人的には,この手の雑誌?,タダでくれてもよいような感じで,どういう人が買っているんだろうと思うのですが,他社のものが意外に続いていることを考えると,それなりにファンがつくのでしょうね。
しかし,勝村建設の株価はどうなっているんでしょう。横で見ている分には面白くてたまりませんが,来週悲惨なことにならなければいいが・・・と人ごとながら心配ですね。
「株のデイトレ革命で給料以上儲ける!-超簡単・迷える子羊式」(扶桑社文庫)を読みましたが,子羊式というのは,チャート分析じゃなくて,その日のお祭り株を捕まえて短時間でウリ抜けるというやり方。新興株で値動きの読みやすいものをウォッチし,板の動きのみを注目する。それは納得できるのですが,本書はなぜか途中からチャートの学習法なる一般的な株本になってしまい,主張に一貫性が無いのはおかしい。
個人的には,勇気が無く塩漬けしやすい性格なので,少々反省しつつ,来週はがんばるぞ。
第26回配本。いよいよ残り少なくなってきた。書店で見たときは,文庫本によくあるイベントとのタイアップの帯が巻かれているのしか気づかなかったのだが,それを外してみると,ご丁寧にいつもの帯も巻かれているという二重帯構造。よくわからないが,さすが乱歩。
乱歩は,作品を書くときの恥ずかしがり屋で小心者の自分と,目立ちたがりで社交的な自分とが常に自らの中にあるという作家としての二重人格性を盛んに言っている。自己弁護なのだが,嫌みにならないところが大人ということか。本書は,「何の因果か,私は人並以上に,泥棒や人殺しの話が好きなのです」という乱歩の曰く「雑文集」。探偵趣味,作家交流,同性愛嗜好,作品の一言解説,身辺雑記など,すでにお馴染みの内容も多いが,気楽にぽつりぽつり読むことが出来る。
著者は,「働きすぎのアメリカ人」や「『窒息するオフィス 仕事に強迫されるアメリカ人」などの訳書もある経済学者。
『アマゾンの巨大な物流センターでは,時給900円で注文された本を「1分に3冊」のノルマでひたすら探し回るという新聞記事を探し出した。翌日曜未明,アマゾンに先の記事に出ていた本を注文した。すると「24時間以内に配達する」という触れ込みどおり、月曜の午前中には家に届いた。送り元は千葉県,家は大阪府。この間600キロを宅配便はひたすら走ったのだろうか』
たしかに,深夜営業や宅配便の利便性の裏に,従業員の過重労働があることは想像できる。また,電子メールやインターネットが導入されたことで,仕事のスピードは上がったが,その分仕事量が増えて,一層忙しくなったと感じている人は多いはず。家庭も出先もメールチェックをしなければならない人もいるだろうし,結果として,労働時間や残業の意味が変わってしまった。
職場にも,フリーター・アルバイトなどパートタイム労働者が増えて,給与の削減にはなったかもしれないが,その分人員削減された残り少ない社員は労働時間が増え続けている。一時期減り続けてきた労働時間が増加に転じているのは世界的傾向とのこと。
本書では,過重労働の実態を調査し,働きすぎの原因をわかりやすく示している。職場にいれば,こんなことは分かってるんだ,だからどうしろと・・・と思うかもしれないが,オレだけではないと確認することで,多少は癒されるかも。
文春文庫の新刊「ヘンな事ばかり考える男 ヘンな事は考えない女」(東海林 さだお)を読む。
初出は『オール読物』連載の「男の分別学」。単行本(2002年)の文庫化。いちいち確認しなければ買い間違えてしまうほど,次から次へと出てくる東海林さんのシリーズ。今回は,麻布十番温泉,グランドキャバレー,浅草食い倒れなど東京ディープスポット案内。
食べ物では無敵のショージ君だが,それ以外はちょっと温めなのが残念(新解株式用語辞典など・・・どうも穴埋め企画に思えてしまう)。それでも,相変わらずテンポの良い文章で楽しませてくれる。今となっては懐かしいアイボ購入の顛末や,高橋春男さんとの似顔絵についての対談も面白い。
書名を見ればわかるように,ショージ君て,結局は優しい人なのね・・・ということで,たとえ下ネタ風になっても安心して読める本ですな。
著者(1865-1950)は明治・大正・昭和期の政治家・史論家・評論家。越後生れで,慶応義塾卒。「時事新報」,「国民新聞」などの記者を勤めながら,本書や『二千五百年史』(講談社学術文庫・絶版)などを著わす。雑誌「世界之日本」を発行,1902年政友会に所属し,以後衆議院,貴族院議員にとして活躍した。
本書は,数多くの史料をもとに書かれた幕末明治維新史。一見取っつきにくそうにみえるが,実際はとても読みやすく判りやすい。外国船の来航と幕府の混乱,各藩の動きがジャーナリストらしい(あるいは政治家らしい)迫力のある筆致で描かれていく。
近代史復習のため,オトナの皆さんにお薦め。
前半は,初唐から晩唐まで,各時代の特徴を述べた後,代表的な作品を取り上げ,簡単な語句の説明と作品の背景を詳しく解説。
後半は,唐詩の形式や語法がわかりやすくまとめられているほか,唐詩の助字解説や詩人年表など,高校時代以来,久しぶりに勉強した気分になった。
本書の底本は,岩波書店1958年刊「中国詩人選集一集別巻」。
エイ文庫の新刊「ニコンF3最強伝説」(マニュアルカメラ編集部)を読む。
どこかでみたような内容だな,と思ったら,これまでに出たニコン関係のムックからF3に関するところを再編集して文庫化したものとのこと。
デジタルカメラがあまりに急速に普及したせいもあり,20年にわたって愛され作り続けられたF3のようなカメラは今後現れないだろうし,メカじゃなくて被写体とディスプレイを媒する単なる電子デバイスの一つになり下がってしまったデジタルカメラに,実用以外の興味がなくなった人も多いだろう。カメラファンは,これからどこへいくのか・・・。
本書では誕生の歴史から機種のヴァリエーション,シャッターやファインダーのメカニズムなど,F3について一通りの知識を得ることができる。しかし,今時F3に関心のある人が,あらためてこの本を買うだろうか?
今月のエイ文庫は,面白いものばかりで,どれから手を付けようか迷ったが,とりあえず「鞄が欲しい」から読みはじめることに。
著者はおなじみ,万年筆画伯の古山浩一氏。ホームページ「町工場二階空目薬煙突工房」にも鞄コレクションが紹介されており,本書はその文庫版といえる。
エルメス,ヴィトンといった海外ブランドはもとより,一澤帆布,吉田カバン,銀座タニザワといった日本の老舗,オリジナルデザインの手作り鞄まで,愛用の鞄をイラストで紹介。男性向きではあるが,鞄好きには楽しい本だ。私など,鞄の中身にはこだわりがあるものの,鞄自体は雨に強く,とにかくいっぱい詰め込めるという実用一本槍のナイロンバッグなので,こういうのを眺めていると,やっぱり鞄は革だよなぁと眼福ではあるものの財布の紐がゆるみそうで怖い。
とくに,一澤帆布については,その歴史を詳しく紹介しているので,ファンの方にはお薦め。
1979年9月28日,NECのPC-8001が発売されたのを記念して,9月28日は「パソコンの日」。当時,私は大学生でライバル機MZ-80を使っていたから,パソコンの日というよりマイコンの日と呼んでほしいと思うのだが,マイコンピュータってデスクトップにあるあれね,と言われそうだな。
岩波文庫の新刊「続文楽の研究」(三宅周太郎)を読む。正編も同じだが,これを「文楽」など親しみがないから・・・といって読まないのはもったいない。本書は著者が聞き出した名人の修業時代の思い出話や芸へのこだわり,昨今の(といっても戦前の話だが)文楽界の事情を,研究者というよりジャーナリスト的な筆致で親しみやすく綴ったもので,実際の音がきこえてこないのをもどかしく感じるくらい,巧みにまとめられている。
ランダムハウス講談社文庫創刊。
講談社によると,「より多くの読者に信頼され,喜ばれる本を提供したい。-この思いを形にするため,同文庫では,5つの大陸を網羅するランダムハウスグループのネットワークを活かし,未知の新生作家からベストセラー作家の話題作まで,良質な海外エンターテイメントをいち早くお届けします」とのこと。
ちなみに,株式会社ランダムハウス講談社は,平成15年に設立された講談社とランダムハウス各々50%出資による出版社。
ビジネス系文庫か・・・と思ったら,「ノー・セカンドチャンス」ハーラン・コーベン,「ダージリンは死を招く」ローラ・チャイルズ,「聖骸布血盟」フリア・ナバロ,「黄色い気球」ローリー・ハルツ・アンダーソンといったラインナップで,オシャレ系ミステリ?
「本屋さんへ行こう」(日本書店商業組合連合会)に, 『BOOK CAFE』がオープン。ブックレビュー,フリートーク,テーマトーク(毎月更新),あなたの書評,読書イベント・書店便りなどのコーナーがあります。
今月は「もう一度読んでみたい心の一冊は?」というテーマでコメント募集中です。
岩波文庫の新刊が書店に並んでいた。今月は面白そうなものが多く,どれからいこうかと暫し迷ったのだが,少々疲れ気味なので,取っつきやすそうな「コンラッド短篇集」(中島賢二訳)から読み始めることにした。
収録されているのは,「エイミー・フォスター」,「ガスパール・ルイス」,「無政府主義者」,「密告者」,「伯爵」,「武人の魂」の6篇。人種差別問題や植民地支配など,コンラッドを読み解く鍵はいくつかあるようだが,従来からの私の印象は,コンラッド=エンターテイメント作家である。実際,どの作品も気を逸らせず,面白い。
ちなみに,斎藤一氏によると,「闇の奥」(1940年中野好夫が翻訳)とジイドの「コンゴ紀行」(これも岩波文庫にあり)は,いずれも西欧人自身による西欧植民地主義批判文書として当時大変歓迎されたとのこと。
岩波文庫【赤248】コンラッドとしては,
1 闇の奥
2 密偵
3 青春
4 西欧人の眼に(上)
5 西欧人の眼に(下)
6 短篇集
ほかに,戦前刊行の「颱風」がある。
幕張まで行ってきました。恒例の東京ゲームショウへ。ここのところ,皆勤賞ですな。
息子はキッズコーナーでロックマンやソニックに夢中なので,その合間にオトナコーナーを・・・と思ったのですが,やはり大変な人出で,プレステ3やXBOXを体験している時間が無く,やむを得ず,コンパニオンのお姉さんと記念写真を撮ったりしていました。
記念品の袋や帽子,ウチワなどを沢山リュックに詰め込んで帰ってきましたが,こういうのは教育上いかがなものなんでしょうね。息子は,電車男面白い・・・と言っている小学3年生なんですが。
今週はずっと青森へ出張していました。新幹線で東京から3時間・・・近くなりました。学生時代は,夜行急行でごろ寝して,早暁の青函連絡船で函館へ渡ったのですが,それも昔話に。
残念ながら,彼の地の書店事情など調べている時間も無かったので,旅の途中でポツポツ読んでいた新潮文庫の新刊「お江戸吉原ものしり帖」(北村鮭彦)を紹介。青森とは全然関係ありませんね。
本書は江戸時代,とくに文化・文政・天保初期の全盛期の吉原について,その日常の姿を詳細に描いたもの。吉原に関する本はあまたあるが,「見てきたような・・・」というリアルさがウリ。学術的な雰囲気ではないが,決して下品にならず,丁寧に注をつけて,わかりやすく解説している。
解説にもあるように,落語ファンの基礎知識として最適。元本は昭和62年刊の六興出版「吉原ホログラフィー」。
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「ペテン師と空気男」を読みました。昭和33年から36年頃の作品を集めたもの。第25回配本となる。
さすがにここまでくると乱歩先生,手慣れてはいるものの,格別のアイデアや毒々しさがあるわけではなく,少年探偵団を全面に出して子供向きにまとめてみました・・・という感じです。
少年もの以外では最後の作品となった表題作について,乱歩自身は「前例のない風変わりなもの」と言っている。冗談ばかりで人を驚かせていた男が新興宗教の教祖になってしまうのだが,その間,親友である「私」もすっかりハメられてしまうといった,確かに風変わりな作品ではある。
しかし,トリック云々ということを話題にするような作品では無く,木々高太郎が「乱歩の作品の中で一級の傑作」と褒めているのは釈然としない。物忘れの大家で空気のようにたよりない男といわれ「空気男」の呼ばれている「私」のキャラは好きなんだけれどね。
岩波文庫のアンデルセン「即興詩人」が今月復刊されますね。原典訳である大畑末吉訳の方です。
ご承知の通り「即興詩人」には森鴎外訳(緑帯)と大畑訳(赤帯)があります。両者の比較については,以前書いたとおりですが,最近は神西 清訳も電子ブックとして販売されているようです。
いずれにしても,鴎外訳の華麗なイメージがあまりに強すぎて,ほかの訳に馴染めないのが正直なところですが,いにしえのイタリア旅行記としても面白いので,未読の方にはお薦めします。
また,名高い鴎外訳にチャレンジしてみたいという若い方には,ちくま文庫版(写真)があります。
池澤夏樹による「星の王子さま」の新訳が集英社文庫から出た。単行本と同時発売。400円という廉価版だ(本文図版はモノクロ)。
池澤氏といえば,ずっと前に「Dr.ヘリオットのおかしな体験」や「虫とけものと家族たち」の訳を読んだことがある。本書も優しい訳で,王子さまや「僕」が,ずいぶん若返った感じ。とくに「ぼく」は,過去を回想しているにしては幼い語り口なので,少々違和感あり。これは本作の詩的な要素に着目したという訳者の視点に関係しているかもしれない。横組みの本文も,一層易しい感じを与えている。
最近刊行されたほかの訳本については,星の王子さまファンクラブを参照。
「本を読んでる君が好き」・・・第59回読書週間(10月27日~11月9日)の標語は「本を読んでる君が好き」に決まった。
さるさる日記に,これまでの標語一覧が載っており,それによると1960年頃は「そろって読書 あかるい家庭」,「読書でつくろう 明るい社会」,「きょうの読書はあすへの希望」といった希望の時代,70年代は「本との出会い 豊かな時間」といった豊かさの時代,80年代は「読書はあなたの無限の宇宙」,「読書は新しい発見の旅」といった個人の時代,そして90年代は「風もページをめくる秋」,「秋だからちょっと夜ふかし あと1ページ」,「本を読んだね! いい顔してるよ」,「読みたい本を読めばいい,読みたいように読めばいい」といった迷走あるいは暗中模索の時代,といった感じ。
今年の標語も含めて,最近は社会全体へというより若者への読書のすすめが主眼となっているが,「本を読んでる君が好き」などど言われて喜ぶのは我々中年世代のセンスじゃないかしら。
「弁論家について」に続いての刊行。「弁論家について」は興味を持って読んだものの,さすがに面白かったとは言えなかったのですが,本書はとっても「面白く」読むことができました。
収録されているのは,「カティリーナ弾劾」,「アルキアース弁護」,「ピーソー弾劾」,「マルケッルスについて」。キケローの弁論の巧みさ・立派さは,それぞれの事件の経緯に疎くても十分感じられますが,先に丁寧な解説を読んでおくと一層楽しめます。訳文も平易で読みやすいものです。
とにかくあらゆる策略を用いて悪事を暴き,目の前にいる相手をめちゃくちゃに貶しながら,自らの功績をこれでもかと言い立てるわけですから,キケローは相当に嫌なやつだと思われますが,国家転覆をもくろむカティリーナの陰謀を暴き反乱を未然に防いだことにより,キケローは「国父」と呼ばれる英雄となりました。
岩波文庫の新刊「嬉遊笑覧(四)」(喜多村いん庭)を読みました。
江戸時代の風俗を百科事典風に整理し考証したもの。ぽつぽつと拾い読みしてもよいのですが,なにせ刊行が年に1冊のペースなので,5冊完結までずいぶん時間がかかっています。
本巻では,「忌諱」(厄落・物忌・福など),「方術」(呪の師・口寄・辻占など),「娼妓」(局・男寵など),「言語」(都の言葉・咄・瓜姫など),(酒宴・甘づら・茶など),「火燭」(廻り灯籠・香・煙草など)といった面白そうな項目を集めています。
しかし,ほかの吉原評判記の類のガイドブックや守貞漫稿のような絵入り本とは違って,文章ばかりで学究的・真面目な本なので,気楽に読む・・・という訳にはいかないのですね。
引き続き,岩波文庫の新刊「文楽の研究」(三宅周太郎)を読みました。
本書は演劇評論家である著者が,大正から昭和初期にかけての文楽の世界について,名人の生い立ちや修行の話,芝居小屋での奇談・珍談など豊富なエピソードを交えながら,わかりやすく解説しています。文楽人形や人形浄瑠璃と歌舞伎との関係など語り口が巧みで,普段文楽に縁のない私でも,最後まで興味を持って読むことができました。
ちなみに本書は昭和5年の刊行以来,6度目の版にあたり,戦前の春陽堂,創元選書(改修),戦後の創元選書(新編),創元文庫(定本),角川文庫に続くもの。岩波文庫版は角川文庫を底本としており,角川文庫は創元文庫の紙型を買い取ったものだそうですから,3種の文庫版は内容としては同じものといえます。
文楽に関しては,人形浄瑠璃文楽が参考となります。
料理に関する蘊蓄を次から次へと捲し立てられるので,読んでいて面白いと思いつつ,かなり疲れがきます。弦斎の主張は,なにがなんでも正しい食生活,とくに家庭料理の推進なので,得体の知れない外食なんてもってのほか(もちろん明治時代の外食だから現在とは状況が違うのですけれど)。
ここでの弦斎は,「食通」というより食文化と公衆衛生の啓蒙活動家といった感じですが,七輪を利用したオーブンなど実践的なアイデアも盛り込みつつ,とにかく大変な鼻息です。
子供の夏休みの宿題の読書感想文(というより紹介文)。最近ずっと読んでいたドリトル先生と,もう一冊は何にしようか?と悩んでいる。ポケモンフェスタなんて行っている暇があるのなら,宿題やれと言いたいが,まあ遊べるのも今のウチということで。
岩波文庫8月の復刊は,
・「孤客 (ミザントロオプ)」 モリエール/辰野 隆 訳(1950年9月5日発行)
・「真空地帯 全2冊」 野間 宏(1956年1月9日発行)
・「精神指導の規則」 デカルト/野田又夫 訳(1950年8月20日発行)
・「蓼喰う虫」 谷崎潤一郎/小出楢重 画(1985年9月17日発行)
の4点。
「蓼喰う虫」は新潮文庫版が現役で出ているが,「真空地帯」は新潮文庫,講談社文庫ともに絶版。さすがにこれを読もうという人はかなりの年輩ではないかと思うし,そういう人が今更あらためて買うのかしら?
クラフト・エヴィング商會の新刊「アナ・トレントの鞄」を読む。
映画『ミツバチのささやき』に触発されたクラフト・エヴィング商會は,新たな仕入れの旅に。記憶の中にある「アナ・トレントの鞄」を探しているうちに,またまた怪しげで懐かしい品々が次々と登場。
いつもながらのシンプルで美しい装丁がよい。書店のカバーを掛けてしまっては意味がないが,汚すのももったいないから・・・時々そっとめくって眺めてみようか・・・という本。まあ,今回は少々シンプルすぎて読みでがない,というのは贅沢な不満か。
今年の12月,ちくま文庫創刊20周年を記念して,品切れ本の復刊アンケートを実施中。既刊1900点のうち,品切れ本758点のリストあり。赤瀬川原平,井狩春男,南 伸坊,小林信彦,種村季弘などみんな品切れだったとは。
当然ながら,現役本より品切れ本の方に面白そうなものが多数あります。アンケート実施期間は8月末までなので,関心のある方はどうぞ。ちなみに,ちくま学芸文庫は対象外です。
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「地獄の道化師」を読む。
昭和14年,だんだんと出版に関する締め付けが厳しくなり,乱歩も「芋虫」が全編削除になるなど,将来に対する不安が高まってきた時期の作品を集めている。明智小五郎としても戦前最後の活躍だ。暗い気分に覆われてはいるものの,意表をついた犯人の創造という乱歩の意図がよく伝わり,力のこもった作品ばかりで,引き込まれるように読んだ。
このシリーズ,9月末日締め切りで,完全復刻少年探偵団B.D.バッジをプレゼントとのこと。
猛暑が続いている。電車読書もいまひとつ気分が乗らないので,倉橋訳星の王子さまを,読み返してみた。
本書を手にするまでは,内藤訳に慣れ親しんでいただけに,きっと新しさとともに,違和感を感じるものとばかり思っていた。ところが実際に読んでみると,内藤訳で少々気になっていた時代がかった耳慣れない言い回しが無くなり,ずいぶんすんなりと物語の中に入っていけた。
本書を読むと,大人は自らの内なる子供のこころに気づかされる。だから読み手が成長すると,ますます王子さまの世界への懐かしさが募る。もちろん気恥ずかしい後悔の気持ちも・・・。
ここのところ実演は聴きに行っていないものの,私の好きなピアニスト仲道郁代さんの新しいDVDエッセイ集「至福のピアノ」(講談社)を購入。
本書?はいわゆるメイキングビデオのようなスタイルで,月の光やトロイメライ,ショパンのノクターンなどを解説,演奏しています。最近では,ベートーヴェンのソナタ全曲録音などに取り組んでいる仲道さんですが,ここではお気に入りの小曲をリラックスした感じで聴かせてくれます。
お嬢さんもウチの息子と同い年の筈(カミサンのお腹が大きいときに,やっぱりお腹がすごく大きかった仲道さんと一緒に記念写真を撮ったりしたので)。相変わらず若々しくて良いですね。
待望の新訳ですね。全体の印象は,内藤訳に対して,引き締まった感じがして,一言で言えば大人っぽい雰囲気になっています。倉橋氏があとがきで述べている通りです。『世の中には,「童話」と称して大人が子供向きに書いた不思議な作品がありますが,これはその種の童話ではありません。そのことは作者も最初に断っているとおりで,子供にように見える王子さまが主人公だとしても,だから子供向きのお話だということにはならず,これはあくまでも大人が読むための小説なのです。私もそのつもりで読んで,そのつもりで訳しています』。以前話題となった内藤氏に対する謝辞も記載されていました。
倉橋氏の遺作となってしまいましたが,「大人のために書かれた悲しい物語」星の王子さまの世界が広がったことを嬉しく思います。これからも幾つかの訳がでる予定ですので,楽しみにしています。
さて,月と六ペンス。岩波文庫の旧版は阿部知二(1970年)なのだが,こういう場合,新しい訳者はお世辞でも旧訳に負うところが大きいなどというものだが,あとがきで中野・瀧口の良訳から学ぶところが大きかった・・・と記してあったのはちょっと違和感があった。阿部訳が好きなせいもあるが(オースティンも)。
バタバタしていて捗らないでのですが,岩波文庫の新刊「月と六ペンス」(モーム,行方昭夫訳)を読んでいます。学生時代,旧版の阿部知二訳を読んで以来,久しぶりの「月六」(とは言わないか)です。
本書はゴーギャンを思わせる主人公が,ある日突然,家族と仕事を捨て,画家になるべくパリへ旅立ちます。パリでは,理解ある友人の妻との関係などを交えながら,舞台はタヒチへ。現地人の娘と結婚した彼は,絵の制作に没頭しますが病に冒され,死の間際まで小屋の壁に描いていた絵は,娘の手により小屋とともに燃やされます。
本書の冒頭で,モームは自作が盗作と非難されたことについて,作家が他の作家の作品の一部を利用したからといって非難されるのはおかしい,結果として優れた作品になるのならそれでよいという自らの考えを述べています。この辺,もう少し事情を知りたいと思い,モーム,盗作で検索したら,モームス,安倍なつみが大量にヒットしてしまい,見つかりませんでした。
夏休み第一弾として3日間,伊豆の伊東に行ってきました。当地から車で2時間弱。子供の頃はともかく,大人になってからは伊東に泊まった記憶など無いなあ・・・といった感じですが,懐かしい雰囲気で楽しめました。まあ,子供連れでなけりゃ,ずっと行くことが無かったかもしれませんが。
そんなわけで,読書の方もしばしお休みでした。岩波文庫の新刊「月と六ペンス(新訳)」と「高麗史日本伝―朝鮮正史日本伝2」は買ってあるので,あしたからまた読みたいと思います。
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「怪人と少年探偵」を読む。第23回配本。
晩年(昭和35~37年)に少年誌などに掲載された少年探偵団シリーズ4編(表題作は単行本未収録)と内外の作品にあらわれたトリックを分類解説した「探偵小説の『謎』」を収録。「超人ニコラ」は,少年探偵シリーズ最後の作品であり,また乱歩最後の創作である。
もちろん,お子様向けなので,おどろおどろしい場面があるわけではなく,目新しいトリックも出てこない。それでも,ここまで乱歩が育ててきた二十面相や明智探偵に対して,いろいろとご苦労であった,とひと言ねぎらってやりたい,という気分になる。
設定はそれほど古くさい感じはしないので,ウチの息子にも読ませてみようか。
いよいよ最終巻(6冊セット箱入りも出た)。ハワイ諸島から北米太平洋岸を北上し,アラスカからベーリング海峡を抜けて北極海へ向かったクック船長。ハワイ諸島に帰還したクック船長は,はじめ神のように崇められるも,住民たちとの小競り合いのなか,殺害されてしまう。
クック殺害の理由については諸説あるようだが,『キャプテン・クックという稀有な運命―その「歴史」的な現実は,ある物語の「構造」に還元される。その物語とはハワイ島の人々に伝わる「ロノ神」の神話である。マカヒキと呼ばれる収穫の季節,ロノ神はまず土地の人びとに犠牲を要求するが,世界が次の段階に転じると,ロノ神は自らを犠牲として人々に捧げることになる。1778年末にハワイ島にやって来たクックは,マカヒキの祭りが想定するロノ神に擬せられ,島の人々の特別な歓待を受け,翌年の2月初め、無事に出帆していった。だがその直後,嵐のためクックの船は島に引き返すことになる。このとき神話的世界の符号がマイナスに転じ,今度はクックが人びとの生贄の対象となり,殺されてしまったというわけである。』
『クックの船が帰ってきたことを聞いて,現地の王カラニオプウは不機嫌な様子だったという。またクックの船に対するハワイ人たちの「盗み」―その行為を盗みと考えるのはクックたち,西欧人の表象だが―が増えていく。出帆の前,クックはあたかもロノ神のように特別待遇を受けたように見えたが,今や事態は異なっていた。ビーグルホールは,クックの船が損傷を受けて帰島したことに言及し,「神の船はそもそもダメージなど受けるべきだったのだろうか。ロノの威信もダメージを受けてしまったのだろうか。人々は実際にはクックをロノの化身と信じてなどいなかったのだろうか。それとも,最初は信じたものの,一週間経って,彼らあるいは有力な酋長たちはそのように信じなくなったのだろうか」と書いている』(内田隆三氏による)
わが家に9年ぶりに牛がやってきた。Gatewayのノートパソコン7430JP。
未だ現役で活躍しているPenPro200のデスクトップが,ほとんど1年中稼働していながら9年間ノートラブルだったので,(世評はともかく)愛着のあるGatewayをもう一度迎えてみましたという気持ち。末広町にあった小綺麗なアンテナショップも懐かしい。それが量販店のNojimaや上新扱いだもんね・・・。ちょっと寂しい。
ウチの職場もDELLが主力で,愛想のないマシンばかり。アメリカの農場生まれの手作り感のある高性能牛柄パソコン。もう少し長い目でイメージ作りをしていたら,絶対ウケていたと思うんですよね。カワイイ系でもよかったんだし。エプソンやSotecになんか色気あります? ほんとに残念。
9年前に購入したのは,ちょうど長男が生まれたときで,出産祝いがパソコンに化けたと未だにカミサンからは非難を浴びているが,今回はちゃんと小遣いで買った(それだけ安くなったということですね)。
ちなみに,モバイルAthlon 64 3700+とRADEON9600,無線LANも内蔵で,いまのところサクサク動いています。
岩波文庫の新刊「食道楽(上)」(村井弦斎)は,とにかく面白い。
料理上手なお登和嬢が,食材,調理法の蘊蓄を傾けつつ,和洋中600余りの料理を作る。そこに彼女に惚れた大食の独身男大原や,その許嫁,友人たちも絡みつつ,当時の衛生状態を考慮した啓蒙的な話題を織り込みながら,楽しくためになる明治のグルメ小説となっている。本書は明治36年「報知新聞」連載され大ベストセラーとなったとのこと。
私の出身地,平塚市は,食い道楽の印税で広大な土地を買い,菜園や鶏舎などを設けて,グルメな日々を送った村井弦斎ゆかりの地で,最近,市内のレストランが弦斎のレシピを再現する「弦斎まつり」なども行われている。
詳しくは,本書の解説者でもある黒岩比佐子著「『食道楽』の人 村井弦斎」に詳しい。
革製品を扱っているHOT-Cで,新しく新書判のブックカバーを作りましたとの案内がきていました。文庫判の革製ブックカバーはよく見かけますが,新書判(あるいはコミックス判)としては,ちょっと贅沢ですが,なかなか良いのではないかと思います。
私は,ここのバイブルサイズのシステム手帳を愛用しているのですが,価格の割にはしっかりした造りだと思いました。
廣済堂出版の新刊「さらば,ライカ ~アナログ派のためのデジカメ活用術」(田中長徳)を読む。
著者曰く,「誤解されると困るのは,これは「グッドバイライカ」ではなく「デジカメ結構,されどライカも使おう」という内容の書である」。 本書は,長徳ファンには楽しい本ではあるが,デジカメへの転向声明でもなければ,アナログ一穴主義宣言でもないので,著者が何を言いたいのか,通りすがりの読者にはよく分からないだろう。そもそも,ライカ(銀塩)は趣味,デジカメは実用と最初から割り切っているのだから,「さらばライカ」というタイトルは著者流の「誇大広告」なのだ。
最近はデジタル一眼レフが普及してきたので,それに乗り換えようと思っている人も多いだろう。そのとき知りたいのは,デジタルカメラでもレンズの違い(味)が分かるのか?という一点のみ。これについて著者は,現今のデジカメにはレンズの味を求めるようなゆとりはない,レンズの味とはレンズの欠点すなわち癖玉のことである,そういう癖玉をあえて使いたい数奇者にはレンズ交換式デジカメが向く,レンズの選択如何でレンズの味わい三昧は思いのままである・・・結局どうしたらいいんだぃ。
エイ文庫の新刊よりもう一冊,「時を超えるカメラ」(松本賢)を読む。
仕事カメラはもちろんデジタル,だけど子供の頃あこがれのカメラだったオリンパスペンが忘れられない著者は,ついにペンFTを衝動買い。だけど,見た目は綺麗だったそのカメラの中身はジャンク品....。それからはコンディションの良いカメラを探しては,器用さを武器に部品を組み替えながら,自分だけのFTを作り上げていく。
オリンパスペンは,我々の世代には懐かしいハーフサイズ一眼レフカメラ。本書は,そのハーフサイズという特徴を活かした撮影テクニックやメカニズムの解説など,マニアじゃなくても楽しめる話題がたくさん。これも物欲をそそられるので,お金を持っているときに読むのは危ないかも。
岩波文庫2005年夏一括重版 30点35冊(7月22日発売予定)
■ 与謝野晶子評論集 鹿野 政直,香内 信子 編
■ 金子光晴詩集 清岡 卓行 編
■ サテュリコン― 古代ローマの諷刺小説 ペトロニウス/国原 吉之助 訳
■ モル・フランダーズ(全2冊) デフォー/伊澤 龍雄 訳
■ 幽霊船 他一篇 メルヴィル/坂下 昇 訳
■ 美と芸術の理論― カリアス書簡 シラー/草薙 正夫 訳
■ 地霊・パンドラの箱― ルル二部作 F.ヴェデキント/岩淵 達治 訳
■ ブッデンブローク 家の人びと(全3冊) トーマス・マン/望月 市恵 訳
■ 講演集 ドイツとドイツ人 他五篇 トーマス・マン/青木 順三 訳
■ タルチュフ モリエール/鈴木 力衛 訳
■ プーシキン詩集 プーシキン/金子 幸彦 訳
■ ゴーリキー短篇集 上田 進,横田 瑞穂 訳編
■ 日本イデオロギー論 戸坂 潤
■ 日本の民家 今 和次郎
■ 新編 綴方教室 豊田 正子/山住 正己 編
■ ナポレオン言行録 O.オブリ 編/大塚 幸男 訳
■ 三国史記倭人伝 他六篇― 朝鮮正史日本伝1 佐伯 有清 編訳
■ 十八世紀パリ生活誌― タブロー・ド・パリ (全2冊) メルシエ/原 宏 編訳
■ ガレー船徒刑囚の回想 ジャン・マルテーユ/木崎 喜代治 訳
■ 岡本一平漫画漫文集 清水 勲 編
■ クセノフォーン ソークラテースの 思い出 佐々木 理 訳
■ 怒りについて 他一篇 セネカ/茂手木 元蔵 訳
■ スピノザ 知性改善論 スピノザ/畠中 尚志 訳
■ ラモーの甥 ディドロ/本田 喜代治,平岡 昇 訳
■ 天才の心理学 E.クレッチュマー/内村 祐之 訳
■ ヴィーコ 学問の方法 上村 忠男,佐々木 力 訳
■ フランス二月革命の日々― トクヴィル回想録 トクヴィル/喜安 朗 訳
■ 近代国家における自由 H.J.ラスキ/飯坂 良明 訳
■ 宗教生活の原初形態(全2冊) デュルケム/古野 清人 訳
■ マッカーシズム ロービア/宮地 健次郎 訳
以上
エイ文庫の新刊「少年カメラクラブの時間」(藤田一咲)を読む。
「写真の時間」シリーズも第6作。いきなり日光写真か~。これは懐かしい。子供の頃,よく遊んだからね。おじいさんがカメラ好きだったから,昔のわが家にも何台かカメラが転がっていて,そのひとつを小学校の遠足に持って行って友達や先生を撮ったりしたのだ(昭和40年頃)。モノクロの写真は,いまでも結構鮮明に残っている。
本書のメインはオモカメ。おもしろカメラ&おもちゃカメラ。オトナでもオモカメを持てばみなカメラ小僧に逆戻りだ。ピンホールカメラ,ホルガ,ポラロイド,ハーフカメラなどなど物欲をくすぐられるものがいっぱいだが,デジカメに鞍替えしたんだから,少々我慢と我が身に言い聞かせる。
自ら脱力写真と呼ぶ著者の緩めで暖かい写真も楽しい。
日韓併合から95年。韓国には今でも日本統治時代の建物が残っている。終戦と共に破壊されたものも多いが,米軍を通じて払い下げられ,普通の韓国人が生活の場としているところも少なくない。
日本が韓国に残したのは,建物だけではなく,地下鉄,街路,港などいろいろあり,もちろん年配の人は,子供の頃,日本語での教育を受けている。
祥伝社新書「韓国の「昭和」を歩く」(鄭 銀淑)は,若い韓国人の著者が,これら残された「昭和」(明治,大正も含まれるが)を求めて,各地を巡り,地元の人々の思い出話を聞いたもの。
日韓の歴史に突っ込んだ話ではなく,ガイドブックとして使えるほど地理的に詳しいものでもないので,やや中途半端な感じはするが,戦後生まれの日本人にとって「未知の世界」を知る手がかりにはなる。
NHK生活人新書の新刊「旧字力,旧仮名力」(青木逸平)を読む。
ここのところ岩波文庫もすっかり新字に切り替わってしまい,旧字に接する機会が希になってしまった。本書の著者は,私と同世代の編集者。ということは,旧字・旧仮名には縁のない学校生活を送ったはずで,本好きであったとしても,旧字・旧仮名については,本を読む上ではあまり抵抗無く読める,せいぜい,雰囲気があって嬉しいかなぁといったところが普通のセンスであろう。
しかし,表記にこだわる著者は本書で,「旧字力」と題し,なぜ旧字と新字があるのか?,新字のなくしたもの,旧字の問題点,人名用漢字が生みだした新字と旧字,書き換え字について,新字体のようなウソ字の氾濫-拡張新字体,平成16年の人名用漢字追加について,など旧字というより新字の抱える問題を中心に,わかりやすく解説。これまで何となく旧字に接していた人も,そういう仕組みだったのか,とあらためて参考になるところが多い。
第2章では,同様に「旧仮名力」として,旧仮名遣いと新仮名遣いの違いを解説。著者曰く『旧字旧仮名は手書きでのアプローチをお勧めします。漢字の字源を体得し,旧仮名遣いはあなたの文体を豊かなものにするでしょう。そして,新字新仮名が断ち切った,過去の日本語と文化との絆をよみがえらせてくれるはずです。』
岩波書店のホームページの編集部だよりっていうのは,時々読んでいますよね?
かのフランス書院にも編集部発最新情報っていうのがあるのですが,そこに面白いことが書いてありました。
6月刊行された「美少女文庫」は,Legend~聖杯の女騎士,隣りのランドセル,いもうとウエイトレスの3点だそうで,それはよいのですが・・・
『編集担当Mです。ライバル某社の人員が10名になりました・・・。一方,あたしゃ,Xコミックスの進行も管理しております・・・。そのうえ,なぜか,秋葉原の書店営業も兼ねております・・・。咳をしても一人 by 種田山頭火』
『書店様へのおねがい・・・今月刊行の『隣りのランドセル』ですが,帯をとったほうが目立つかもしれません。某秋葉原のあるお店では,それで売り上げが伸びているということです・・・(というか,しくじったぁ! 帯巻いたら、このデザインにした意味ないじゃん) どうかよろしくお願いします』
陰ながら応援していますよ。
新潮文庫から「ジャズ・アネクドーツ」(ビル クロウ)が出た。
自伝「さよならバードランド-あるジャズ・ミュージシャンの回想」に続く,村上春樹訳文庫版クロウの2冊目。もっともこちらの方が先に書かれたもの。
自伝も楽しかったが,ジャズ・ベーシストのクロウは,作家としてなかなか達者で,たくさんの往年の名プレーヤーの楽屋話,裏話を面白おかしく描いており,それを村上春樹がノリのいい訳で引き立てる。
ルイ・アームストロング,マイルズ・デイヴィス,デューク・エリントンなどのミュージシャンはもちろん,名物マネージャーやエージェント,アレンジャーまで登場しての大騒ぎ。ケンカやクスリばかりでなく,ときには人情味ある逸話にホロリとさせられる。
さすがにクロウらしく楽器や奏法など,音楽に関する話題も豊富で,ジャズファンならずとも大いに勉強になり楽しめる本。
クロネコヤマトのブックサービスが初の赤字決算となり,7月1日より料金が改定となった。
新料金は,送料全国一律300円(税込)で,1回の注文金額が1500円(税込)以上の場合に送料無料(1500円以上無料はAmazon,bk1と同じ,bk1は1500円以下送料250円)。代金引換決済の場合は,代引手数料200円(税込)となる。
サン・テグジュペリ「星の王子さま」。著作権・翻訳出版権切れのため,今年続々と新訳が出ている。
「星の王子さま」は1943年に出版され,53年内藤濯訳が岩波少年文庫に入り親しまれてきた。すでに日本での著作権保護期間50年を経過しているが,第2次世界大戦中に著作権が機能しなかった期間が「戦時加算」として加わるなどして10年以上延びたとのこと。
新訳は,6月の論創社,宝島社,中央公論新社に続いて,8月には集英社が出版予定。
問題は,いずれの新訳も題名に「星の王子さま」を使っていること。これは,故内藤氏のアイデアだと岩波書店や内藤さんの長男初穂さんが反発しているのだ。
朝日新聞によると,岩波書店は新訳本を出した論創社に対し,本の扉裏やあとがきに「星の王子さま」の書名は岩波版の翻訳者の内藤濯氏の考案であることを,重版分から明示することなどを求める要望書を出したとのこと。
ちなみに著作権法によると,タイトル(題号)は「思想又は感情の創作的表現」である「著作物」にはあたらないため,著作権による保護は与えられないと考えられている。よって岩波書店の主張も法的なものというより先人の功績に敬意を表して欲しいということなのだろうが,そうであるなら,古くから邦訳のある著名な翻訳書の大部分がそれにあたりそうだ。
岩波文庫の新刊「弁論家について(下)」(キケロー)を読みました。
本巻ではまず,弁論術における「ユーモア」についての対話があります。気の利いた言い回しや,引用法など,興味深い話はあるのですが,そもそもギリシャ語の例文を引いてきているわけですから,日本語訳で読んでもピンとこないのは致し方ないところ。
続いて,適切な構文,リズム,比喩など,実践的な弁論術の講義となります。よくよく読めば,至極もっともなことを言っているな,と思えるところもあるのですが,なんといっても難関は,日本語訳の難しさで,
『このとき,この上ない賢者ならみなそうであるのをしばしばわたしはこの目で見て知っているように,クラッススもまた,常よりは入念な準備をした上で何かを語れば,かならずと言っていいほど,かつてこれ以上見事な弁論を行ったことがないという印象を与えずにはおかなかった人であったとはいえ,当時万人の一致して評価したところ,他のすべての人を常に凌駕してきたそのクラッススが,あの日は,自身で自身を凌駕したと思われる,それほどの見事な弁論を行ったということであった。』
私の頭が悪いんでしょうが,こういう文章が延々と続くので些か参りました。
なかなか出ないので,気を揉んでいた光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊,第30巻「わが夢と真実」を読む。最終巻だが,まだ最終配本ではない(第22回配本)。
前半は,「わが夢と真実」。乱歩が長年にわたって,さまざまな雑誌や新聞に寄稿したもののうち,生い立ちに関する記事を,誕生から現在までの順に,自らまとめたもの。掲載記事をすべて収集していた乱歩ならではの企画。
後半は,「海外探偵小説作家と作品」。早川ポケミスの解説を担当(昭和28~30年の3年間で62冊)執筆していた乱歩が,自分より適任者がいるのだが・・・といいつつも,博識ぶりを十分に発揮し,91名に及ぶ作家を無味乾燥にならず個性的な紹介をしていて楽しめる。当時の我が国における探偵小説の嗜好も興味深い。
※乱歩のふるさと 名張市
※関連資料が豊富な乱歩の世界
※江戸川乱歩の草稿はいかが
夏になると文庫フェアっていうのをよくやりますね。私には,在庫一掃フェアとしか思えないのですが,帯を替えて,書店の場所取り合戦・・・ということで業界的には,熱い戦いがあるのでしょうね。
『この季節,文庫担当は大変です。角川書店と集英社と新潮社がこぞって,100冊の文庫フェアをやるからです。』というのは,書店員である「のべるのぶろぐ」の管理人さん。
ちなみに,ゲーマーズはフェアだらけ。そのなかで,「閃光!電撃文庫フェア」っていうのを6月10日からやっています。期間中に電撃文庫を買うと特製しおりが手に入るというもの。しおりの絵柄は電撃文庫6月新刊12タイトルぶんがあり,そのうちランダムで1種類をプレゼント。栞ファンのかたはどうぞ。・・・ゲーマーズのポイントカードは使えるのかいな。
中国の艶本(好色小説)は,150種ほどあり,明代から清代にかけてが全盛期でしたが,多くは禁書となったため,中国本土よりも,むしろ日本や西洋各国に伝えられ残されたものが多いとのこと。
本書は,遣唐使がもち帰った「遊仙窟」(岩波文庫にもあります)をはじめ,古くから日本で親しまれた艶本について,漢代以降の艶本の歴史と代表的な作品(如意君伝,痴婆子伝,金瓶梅など)を解説。著者独自の研究による「リアルな」訳で楽しませてくれます。
著者はこの手の本を沢山出しており,徳間文庫には「房中秘記-中国古典性奇談」,「房中悦あり-中国性奇談」,「秘本尼僧物語-中国性奇譚」。文春新書には「道教の房中術-古代中国人の性愛秘法」があります。徳間文庫には,中国古典笑話(野末陳平)というのもあったけれど,これは絶版かな。
集英社新書の新刊「古本買い十八番勝負」(嵐山光三郎)を読んだ。
以前書店でパラパラめくってみたとき,単なる古書店探訪か・・・と思い戻してしまったのだが,昨日あたらめて買ってきた。著者とその仲間たちが,銀座,青山,渋谷,神保町などひとつの街の古書店を巡って,だれが一番の掘り出し物を見つけることができるかを競い合う。実際には趣味がバラバラなので,順位は付けようがないけれど,それぞれの店の雰囲気や店主のこだわりがよく描かれていて,古書店ガイドとしても役立つ。
普通の古書マニアによるガイドと比べて,著者の編集者としての視点が独特で面白い。懐かしい作家との思い出話も出てくるし,生原稿を横流しするような編集者のモラルを嘆いたりもする。
文章が男っぽくて少々品のないところも,また持ち味か。
岩波文庫の新刊「世の習い」(コングリーヴ,笹山隆訳)を読みました。
ウィルアム・コングリーヴは1700年頃イギリスで活躍した劇作家。当時のイギリスは,王政が復活し,フランスへ亡命中にフランス演劇に親しんだ貴族たちにより,演劇も復活。女優が出現し,現在のような屋内型劇場もあらわれるなど,中世以来の伝統的な演劇が大きく変わった時期。「世の習い」は,その王政復古期の喜劇の中でもっともよく知られているもので,社交界での男女の恋の駆け引き,結婚や財産を巡るトラブルを面白おかしく描いています。
一読し,本作の歴史的な意義を抜きにして,初演以来300年を経た日本の読者に「風習喜劇」の面白さが味わえるかというと,かなり難しいのではないかとの印象。もちろん,ところどころには機知に富んだ会話のやりとり,イギリス流のユーモアにニヤリとすることはあるのですが,退屈であることは否めませんでした。
本書には戦前の福原麟太郎による「世間道」,1992年角倉康夫による「世のならわし」という先訳があり,笹山氏によるといずれも疑問点多く「遺憾」とのことですが,私としては福原麟太郎の超訳?を読んでみたいですね。
結局,帰りに光文社文庫「江戸川乱歩全集」の新刊,第30巻「わが夢と真実」(海外探偵小説作家と作品)も買ったのですが,最近はこのくらいの厚さの文庫本でも,驚かなくなりましたね。電車の中で読むときに,持ち疲れすることには変わりありませんが,これも京極夏彦のあのバカバカしいくらい分厚い文庫本のせいかしら。「絡新婦の理」や「鉄鼠の檻」など1400ページだからね。(これは分冊化されたそうです。kenskishさんのページにありました)
ユクスキュルの続き。動物を巡る世界に関するさまざまなエピソードとその解釈が面白く,一気に読んでしまった。本書については,松岡正剛氏が,このユクスキュルの考え方を丁寧に説明していて参考になった。
※7月に岩波文庫から村井弦斎「食道楽(上)」が出ます。その解説を担当しているHisakoさんの古書の森日記は,明治期の家庭婦人のための実用書などがよく取り上げられていて楽しいページです。
岩波文庫の新刊「生物から見た世界」(ユクスキュル)を読んでいる。
書店に行ったら,岩波文庫の新刊と光文社文庫「江戸川乱歩全集」の新刊が出ていたので,どれにしようかと悩んで(一度に買えばいいのに・・・),岩波文庫の新刊から,これとコングリーヴの「世の習い」を買ってきた。
動物がこの世界をどのように眺めて(感じて)いるか,というのはとても興味深い話で,たとえばウサギは視野がほぼ360度あるかわりに,立体視できるのは正面の狭い範囲だけといわれている。しかし,嗅覚はとても発達しているから,ウサギの感じる世界というのは,人間からすればとても歪んだ世界だと思われる。ましてや,虫や魚などは我々とまったく違った世界を見ていると想像出来る。
それは人間も同様で,我々の見ている世界というのは,人間という動物の感覚で解釈された世界である。著者は,生物たちが独自の知覚と行動でつくりだす認識可能な世界を環世界と呼び,生物の行動は外界からの刺激に対する単なる物理的反応ではなく,ある環境のもとでの行動であると考えた。
祥伝社の新刊「手紙手帖-あの人は,どんな手紙をくれるかしら」(木村衣有子)を読みました。
著者は,若いけれど「京都カフェ案内」や「東京骨董スタイル」などを書いた,ちょっとレトロ趣味な人。本書は,手紙の基本的なマナーに始まり,伊東屋や鳩居堂,月光荘などこだわりの手紙グッズ,友人知人からの手紙紹介,手紙についての本あれこれ,といった内容。
とりたてて達筆をひけらかすわけではなく,しかも別に急ぎの用件でもない手紙。それでも,手書きの文字を見ていると,ほのぼのとした気持ちになれます。
東京の立原道造記念館で開催されている開館8周年記念特別展「立原道造が求めた形象[かたち]自装詩集を中心として」が6/26で終了する。
この特別展は,立原が遺した7種の詩集(そのうち手づくりの詩集『さふらん』『日曜日』『散歩詩集』『ゆふすげびとの歌』4点,公刊された自装詩集『萱草に寄す』『曉と夕の詩』2点,残りは未刊の『優しき歌』),関連詩稿,草稿,山本文庫を含む蔵書,関連資料などを集めたもの。
(以前の展示会で,稀少な山本文庫がほぼ全点並んでいて吃驚しました。これが記念館の蔵書だったのかは???)
詳しくは,立原道造記念館をご覧下さい。次回企画は「立原道造が綴った真情-往復書簡を中心として」とのこと。
9月にポプラ社が「月刊PSIKO」を創刊。30代,40代の悩める女性の魂に訴える・・・というニュースが。内容は,『毎号,旬のテーマを特集。読者の関心のあることを掘り下げます。例えば「トラウマ」「純愛」「ストレス」「うつ」「ひきこもり」「嫉妬」「ファン心理」「虐待」など』。執筆陣は,『精神科医の和田秀樹,きたやまおさむ,香山リカ,斎藤環,消費文化研究家の三浦展,家族社会学の山田昌弘,社会心理学の渋谷昌三など現代の心の問題のエキスパートが多数登場』。
でも,PSIKOって冬樹社の心理学雑誌じゃなかったっけ。で,この雑誌をめぐって,怪しい事件があったこともご承知の通り。
※冬樹社が発行する「プシコ」が名誉毀損による損害賠償請求を求めて訴えられた。同誌第5号(2001年2月発行)に掲載した連載ルポ「松本恵雄の世界」のなかにある記述が,いわれのない誹謗中傷に当たるというのだ。訴え出たのは,深見東州氏,ワールドメイト,たちばな出版の3者である。松本恵雄氏は能楽師で人間国宝である。また,冬樹社とともに能楽評論家・大河内俊輝氏も被告となった。
あまり近づきたくないような話なのだが,そのプシコがポプラ社へ引き取られた事情,だれか御存知の方は教えて下され。
25周年といえば,講談社の児童書「青い鳥文庫」も今年創刊25周年を迎えた。
その記念企画として,人気作家総登場短編集「おもしろい話が読みたい!」を7月に刊行。登場作家は,あさのあつこ,阿部夏丸,石崎洋司,楠木誠一郎,倉橋燿子,名木田恵子,那須正幹,はやみねかおる,松原秀行,令丈ヒロ子の10名。青龍編・白虎編の2冊にわかれて,おもしろい短編を執筆する。
また,「青い鳥文庫25周年記念展」として,7/20~8/28に講談社ショールームで,作家直筆色紙・イラスト原画展や作家出演VTR上映などを行う。ほかに全国縦断サイン会なども実施。
詳しくは,青い鳥文庫のHPで。
2005年秋に,河出文庫は創刊25周年を記念し,カバーデザインを新しくするとのこと。
『「文庫」という器の持つスタンダード性と,河出文庫ならではのユニークさを融合させた新デザイン。背に統一色と著者別色を配すことによって,その存在感・一体感を誇示するのと同時に,棚での読者の選びやすさを考慮いたしました。最新の文芸思潮から,あらためて世に問う不朽の名作までを網羅した河出文庫にふさわしいデザインを実現することに成功しました。新フォーマットのデザイナーは小社雑誌『文藝』アートディレクターを務める新進気鋭のデザイナー,佐々木暁氏。全体に和紙のような風合いのテクスチャを複数使用した斬新なデザイン。ハンドメイドな雰囲気がナチュラルな温かさをかもしだしています。さらに、PP加工仕様なので美麗な状態を長く保てます。』
私が大学生の頃に創刊された河出文庫。いまだに,各社文庫の中では「新顔」というイメージがあります。これも私が歳をとった証拠かも。
昨夜は「ドリトル先生の郵便局」を息子と読んでいました。いつも半分寝ながらなので,どこまで分かっているのだろうと思っていたのですが,結構ヘンテコな動物の名前も覚えているようで,私がこれ何だっけ?というと,そんなことも知らないの?といった感じで教えてくれます。
岩波少年文庫は創刊55周年記念とのことで,6月16日に新刊が5冊出ます。そのうちの1冊が,「モモ」(ミヒャエル・エンデ)。『時間に追われている現代人に「時間」とは何かを問う,エンデの名作です。町はずれの円形劇場あとに,不思議な少女モモがまよいこんできました。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと,なぜか幸福な気もちになるのでした。そこへ,「時間どろぼう」の魔の手が忍び寄ります・・・。イラストもミヒャエル・エンデ。巻末に,エンデ夫妻と親しかった佐々木田鶴子さんのエッセイをつけました。』
また,岩波書店の新しい児童書目録(2005年版)の希望者は,住所,氏名を記入の上,ファクス(03-5210-9435)またはHP上の「愛読者の窓」にて連絡を。
※週末は暑苦しかったので,庭で初「花火」を。去年の残りものだったので,湿気っていて,ちょっとショボかったのですが,いよいよ夏の気分になってきました。
もう一つ文房具の話。絵本調の造りが和む,沢野ひとし「さわの文具店」(小学館)。
切手ぬらし器や紙縒など,ちょっとレトロな50の文房具についてのエッセイ。蘊蓄話ではなく,子供の頃の記憶や旅の思い出など,著者の日常生活が見えてくるような淡々とした書き振りが心地よい。もっとも,沢野少年の実家は,文房具屋ではなく洋服屋だったのだが。
奥さん(なかなかのこだわり文具ニスト)もしばしば登場し,自宅に勝手に大きな銅版画プレス機など持ち込んだ亭主に嫌みを言っている。
著者曰く,手帳はシャープペンシルに限る。それは,つい油断してやたらなことを書いてしまい,あとで奥さんに尻尾を捕まれないようにするため。たしかに,私も手帳を隅々まで見られたら,結構まずいんじゃないかと思う。証拠隠滅したくても,もっぱら万年筆で書いているので,それもかなわない。ここは男らしく開き直るしかなさそうだが,とにかく手帳は肌身離さず持っていることが肝要。

文具といえば,7月7~9日に東京ビッグサイトで第16回国際文具・紙製品展ISOT2005が開催される。ウチの事務所にも招待券が届いていたので行こうかなぁと思ったのだが,私の場合,これを業務出張とするのは,ちょいと難しそうだ。
先の本と似たようなものだが,「ザ ステーショナリー-銀座・伊東屋100年物語」(ピエブックス,2004年11月刊)を読む。
これも伊東屋で扱っている文具の紹介。「文房具の達人」?という売場担当者が,文房具の蘊蓄を語る。ほかに,伊東屋の歴史も「伊東屋と銀座の100年物語」として詳しく紹介されている。
本のつくりは綺麗なので,文具好きの人にはお薦め。
「ステイショナリー・ワンダーランド-伊東屋の文房具たち」(プチグラパブリッシング,2004年10月刊)を読む。
創業100年を迎えた銀座・伊東屋。創業当初から,“和漢洋文具専門店”の看板を掲げ,珍しい舶来文房具を扱っていた。本書は,伊東屋の魅力,手紙,オフィス,プレゼントなどの逸品,伊東屋的な人びと(社長&スタッフの文房具拝見),商品開発ストーリー,そして伊東屋アド&ヒストリーといった内容。
一種のカタログ本で,掲載されている商品はおなじみのものも多いが,文房具系のムックに比べて,読みではある。大橋歩さん始め,文房具好きの人々のコラムもあり。
銀座店は我が事務所から歩いていけるところにあるが,閉店の7時までには,なかなかたどり着けないので,私にとっては近くて遠い店。
幻冬舎の新刊『「この字いいね」と言われる字が書けるようになる本』(進藤康太郎)を読む。
宮沢賢治,浅田次郎,黒澤 明,松井秀喜,高橋尚子,原 辰徳など古今の有名人の書いた個性的な(決して達筆ではないが)字をみながら,人を感動させる自分らしい字を書くにはどうしたらよいかを考えようという本。一応,ペンの正しい持ち方などというレクチャーもあるが,お手本を真似しながら綺麗な字を書こう!というペン習字の本ではない。
確かに,最近はプリンターで打ち出した文書ばかり見ているので,たまに自筆の書状がくると,とても目立ちますな。字の上手下手に関わらず,わざわざ手書きで・・・ということが有り難がられる時代。自信が持てなかった自分の字でも,自分らしさの現れとして,堂々と書いてみようという主張は共感できる。
まず書くことから始めよう。
岩波文庫新刊で残っていたキケロー「弁論家について」(上)を読む。先に岩波書店から出たキケロー選集所収のもの。
キケロー(前106~前43)は,ローマの政治家,弁論家,哲学者。法廷弁論で有名となり執政官となる。カエサルと対立し,カエサルとポンペイウスの対立ではポンペイウスを支持。後にカエサルに帰順したが,カエサル暗殺後アントニウスと対立して暗殺された。本書「弁論家について」は,前55年に完成したが,行方がわからず,1422年に完全な写本が発見された。
熾烈な政治闘争と動乱の時代にあって,重要な「武器」の一つとなった実質的かつ説得力のある弁論術を追究したのが本書。訳はほかの岩波文庫版キケロに比べてわかりやすく。もともと4歳年下の弟クイントゥスに与えた書という体裁なので取っつきやすいのだが,注をいちいちめくりながらこの量をこなすのはさがに骨が折れる。
※土曜日は恒例のホタル鑑賞会へ。保護テントの中は,あまり光っていなかったのでガッカリしたのですが,外の小川の周りは,手が届きそうなところをユラユラとホタルが飛び交っていて,子供たちも大喜び。ただ虫のお尻が光っているだけなのに,なんであんなに嬉しくなるのでしょうね。
岩波書店では,小冊子『読書のすすめ』 第10集を配布中です。文庫判88頁。執筆者は,池澤夏樹,角田光代,鎌田 慧,佐伯彰一,筑紫哲也,西川祐子,宮田毬栄,リービ英雄の面々。
希望者は,お近くの書店,または岩波書店販売部「文庫・小冊子」係にご請求ください。
101-8002 東京都千代田区一ツ橋2-5-5 岩波書店販売部「文庫・小冊子」係
メールでの申し込みはkbc@iwanami.co.jpまで
2005年<春>岩波文庫フェアは,「時代の証言-ノンフィクションを読む」と題して,60点70冊が刊行されました(5月25日)。*は今回復刊されたものです。
日記・書簡
■ 紫式部日記
■ 更級日記 菅原孝標女
■ 芭蕉書簡集
■ 蕪村書簡集*
■ 松蔭日記
■ 仰臥漫録 正岡子規
■ 摘録 断腸亭日乗(全2冊) 永井荷風
■ ISIKAWA TAKUBOKU ROMAZI NIKKI (啄木・ローマ字日記)*
■ 漱石・子規往復書簡集
■ 漱石日記
■ ジェイン・オースティンの手紙
■ 福沢諭吉の手紙
■ 暗黒日記-1942-1945 清沢 洌
■ モーツァルトの手紙- その生涯のロマン(全2冊)*
伝記・回想録
■ 幼少時代 谷崎潤一郎
■ 新編 おらんだ正月 森 銑三
■ フランクリン自伝
■ アンデルセン自伝 大畑末吉訳
■ 新訂 海舟座談
■ 新訂 福翁自伝 福沢諭吉
■ 代表的日本人 内村鑑三
■ 湛山回想* 石橋湛山
■ 雨夜譚-渋沢栄一自伝*
■ 真の独立への道- (ヒンド・スワラージ) M.K.ガーンディー
■ 古代への情熱- シュリーマン自伝
■ うるしの話 松田権六
■ 聖アウグスティヌス 告白(全2冊)
■ トロツキー わが生涯(全2冊)
旅行記・滞在記
■ 斎藤茂吉随筆集
■ アンデス登攀記(全2冊) ウィンパー
■ アルハンブラ物語(全2冊) アーヴィング
■ ノア・ノア* ポール・ゴーガン
■ 古寺巡礼 和辻哲郎
■ イタリア古寺巡礼 和辻哲郎
■ 倫敦!倫敦? 長谷川如是閑
■ 一外交官の見た明治維新(全2冊) アーネスト・サトウ
■ コロンブス航海誌
■ 紫禁城の黄昏 R.F.ジョンストン
■ さまよえる湖(全2冊) ヘディン
■ 北槎聞略 桂川甫周
■ 東京に暮す-1928~1936 キャサリン・サンソム
■ 日本アルプスの登山と探検 ウェストン
■ 娘巡礼記 高群逸枝
ルポルタージュ・記録
■ 北越雪譜 鈴木牧之
■ カタロニア讃歌* ジョージ・オーウェル
■ 森の生活- (ウォールデン) (全2冊) ソロー
■ 蘭学事始 杉田玄白
■ 日本の下層社会 横山源之助
■ 女工哀史 細井和喜蔵
■ 谷中村滅亡史 荒畑寒村
■ 新版 きけわだつみのこえ-日本戦没学生の手記
■ 武家の女性 山川菊栄
■ 忘れられた日本人 宮本常一
■ 原爆の子-広島の少年少女のうったえ(全2冊)*
■ 極光のかげに-シベリア俘虜記 高杉一郎
■ 山びこ学校 無着成恭編
■ ガリア戦記 カエサル
■ タキトゥス ゲルマーニア
■ インディアスの破壊に ついての簡潔な報告 ラス・カサス
以上
天気もよくなりましたので,新橋駅前で開かれている恒例古本市を覗いてきました。
岩波文庫はワゴン一つほど,そのほかの文庫本にも,とくに見るべきものはありませんでした。ただ,雑誌「文庫」復刻版(1997年)10冊揃いが1万円(定価2万1千円)で出ていました。
『雑誌『文庫』は,岩波文庫の愛読者を組織したブッククラブ《岩波文庫の会》の会誌として刊行された。1950年代の10年間,ここに登場する執筆者数は500余名(延べ820名)を数え,当時の日本の学界,文学界,言論界に指導的役割を担った錚々たる顔ぶれである。今や「幻の名雑誌」となった全117冊を,岩波文庫創刊70年を記念して,一括復刻』したもので,これはお買い得かも。
品切れになっていた「ジャズ地獄への招待状」(1992年刊)を図書館で借りてきた。
ジャズ評論家岩浪洋三,ジャズ喫茶のマスター寺島靖国,元ジャズ誌編集長中山康樹というおなじみの面々によるエッセイ集。
曰く,ジャズ評論家は信用するな,ジャズはオーディオで聴け,ジャズはライブだ,ジャズはレコードだ,ジャズ喫茶はこわくない,ジャズはムードで聴け,アナログはエライ,CDの功罪,コレクターは変態だ,名盤はこうして探せ,コレクションへの道,中古盤屋にだまされるな,ジャズ喫茶のマスターになる方法,ジャズ雑誌編集者になる方法,ジャズ評論家になる方法・・・。
そして最後は,お互いを批評しあった岩浪洋三論,中山康樹論,寺島靖国論。みんなけなし放題だが,3人の個性がよくあらわれていて,これは面白かった。
引き続き,新潮社の新刊「写真の歴史入門-第2部「創造」モダンエイジの開幕」(東京都写真美術館)を読む。
本書の帯には,「写真は芸術なのか」大書されているが,写真の芸術性に関する問題は,写真が登場してまだ十数年しか経っていない1850年代初頭から議論されていたそうだ。
本書では,「芸術性」をテーマに,第一章「創造 絵画との出会いと別離」では,ピクトリアリズム,自然主義とリンクト・リング,フォト・セセッションを,第二章「回帰 写真の眼」では,ストレート・フォト,バウハウスからシュルレアリスムまでを取り上げている。
東京都写真美術館の収蔵作品として,アジェ,マン・レイなどのほか,日本の作家も数多く掲載されており楽しめたが,やはりこれも企画展を見てから・・・といったところか。
きょうは新橋駅前で「古書の日」の即売会が開催される予定でしたが,大雨で残念。
新潮社「写真の歴史入門 第1部「誕生」新たな視覚のはじまり」(東京都写真美術館)を読む。
東京都写真美術館蔵品による写真の歴史書第一弾。1839年フランス人ダゲールにより発明された写真の技術。それが遠く幕末の日本にまで,驚くばかりの速さで伝播されたことを考えても,当時の社会にどれだけ大きなインパクトを与えたのかがわかる。
本書は,開館10周年を迎える東京都写真美術館の特別企画展「写真はものの見方をどのように変えてきたか」と連動して企画されたもので,4冊のシリーズとなる予定。その第1部は,写真の誕生から,ダイレクトプロセス,ネガ・ポジプロセスの発明,当時の日本が写真を通じてどのように世界に知られていったか,などを解説。
あくまで概説であり,新しい知見というのはないのだが,実際に開催中の企画展に行って読めば楽しそうだ。
ネコの額ほどの裏庭とはいうものの,なんとか有効利用出来ないかと,ここのところ改造工事をしていました。その第1期工事が出来上がったので,さっそく息子はテントを張って,一晩外で過ごし,我々は優雅にお茶など飲んでおりました。第2期工事は・・・予算を使い果たしてしまったため,残念ながらいつになるかわかりません。
本書は,1763年,グラスゴウ大学の道徳哲学教授だったスミスの講義を学生が筆記したもの。経済学では「国富論」を残したが,法学ではまとまった著作のないスミスの貴重な記録。手稿は1895年に発見され,1947年に日本評論社から邦訳が出た。「アダムスミス・グラスゴウ大学講義」。これは現在古書価が高い。
訳者の水田洋氏といえば,子どもの頃から日の丸や君が代嫌い,最近では名古屋オリンピックや愛知万博に反対し,旧訳「国富論」などの誤訳論争でも有名である。本書の評価も楽しみなのだ。
今朝は東海道線の信号機故障で,通常45分位の辻堂~新橋が180分(3時間!)という恐ろしい事態に。
再読しようと鞄に入っていた文庫本「それでも終の住みかを買いますか」を2回通読しても,まだ着かない。こんな時こそ岩波文庫の出番なのですが,最近帰りが遅くて買えないのですね。
鯖書房さんは,すごい。
前世紀に初版の出た岩波文庫を全点レビューするとのこと。前世紀といったって,岩波文庫の大部分は前世紀刊だから,5千冊以上になるかな。
現在のところ13冊・・・今世紀中に実現できるか? レビューはユニークで楽しめるのですが,これは大変ですね。
ペット本をもう一冊。「ぜったいに飼ってはいけないアライグマ」(さとうまきこ,理論社)を読んだ。
仕草がかわいいので,穏和で人懐っこい動物なんだろうな。でも,その割に捨てられたアライグマ繁殖し,各地で被害が出て,害獣よばわりされているは何でだろう?と思っていた。
本書は,児童文学の作家である著者が,アライグマ・ラスカルのイメージでペットショップで衝動買いしたアライグマの成長記録。といっても,見かけによらず凶暴なアライグマと著者一家との長年にわたる流血戦がメイン。これを読むと,ペットショップのオヤジさんが言った「ネコみたいなものですよ」は,大嘘だったことがわかる。
そもそもアライグマは,人に慣れないのだ。牙も爪も強力なので,ゲージの中で育てない限り,人・家ともに大被害を受ける。「ぜったいに飼ってはいけないアライグマ」というタイトルは,冗談めかしているわけではなく,野生動物をペットとして飼う意味を問うている。著者の無知を非難することはたやすいが,現実に(現在のところ)ペットに相応しくない野生動物,エキゾチックアニマルが,たくさん売りに出され,飼育されているのだ。
文春新書の新刊「動物病院119番」(兵藤哲夫,柿川鮎子)を読みました。
ここのところお世話になることはなかったのですが,わが家の近隣でも本当に動物病院が増えましたね。やたらに飼犬が多い土地柄もあるのでしょうが,実際,人間の病院よりも目につくほどです。
当然気になるのは,どんな病院を選んだらよいのか,費用はどれくらいか,ペットが亡くなってしまったときは・・・そんな疑問に開業40年のベテラン獣医がわかりやすく答えています。犬猫中心なので,エキゾチックアニマル系の方には物足りないかもしれませんが。
今時ペットを飼うには,かなりの経済的な負担がかかることを皆承知していると思います。それでも捨てられる犬猫があとをたちません。著者はその里親運動にも長年取り組んでいます。
岩波文庫の新刊「高麗史日本伝(上)朝鮮正史日本伝(2)」(武田幸男)を読み始める。高麗王朝(918-1392)の紀伝体の正史「高麗史」の中から,日本に関係する部分を抜粋したもの。
日本でいえば,平安中期から鎌倉時代を通り越して室町時代にわたる長期支配となった高麗王朝。日本とは正式な国交を持たなかったが,元寇や倭寇はもとより,非公式の通商は絶えず行われていた。
はじめ少々取っつきにくいと思ったが,わかりやすい注釈がついており,つらつらと読んでいるうちに,楽しくなってきた。ちなみに朝鮮正史日本伝(1)は,「三国史記倭人伝」。続きはまた。
講談社文庫の新刊「バ・イ・ク」(柳家小三治)を読みました。各地で落語会を開きながらツーリングを楽しむ落語家バイク集団「転倒蟲」の記録。
ベテラン,若手,オカミサンたちまで巻き込んでの面白可笑しい珍道中の裏にある小三治師匠のバイクへの情熱と真摯な態度に感心。何ごとも前向きな方なんですね。もちろん,今だから笑えるけど,仲間が事故で吹っ飛び九死に一生を得る・・・といったハプニングもあります。
何でも直ぐに文庫化されるご時世ですが,本書は「落語仲間泣き笑い行状記」を21年ぶりに大幅改訂したもの。師匠自身は病気のため,最近はバイクに乗っていないとのことでさぞかし無念でしょう。
山根一眞の「スーパー書斎の仕事術」。久しぶりに読んだのだが,当時のワープロ事情とかが思い出されて,面白いですね。もっとも,なんで今更「スーパー書斎・・・」なのかというと,「スーパー手帳・・・」と間違えて借りてきてしまったからなのです。残念。
もう1冊,東海林さんがらみで,椎名誠さんとの対談集を。講談社文庫の新刊「やぶさか対談」。
発奮忘食対談,ビールうぐうぐ対談,太っ腹対談につづいて,4作目かな。今回は,すき焼き屋の蘊蓄から始まり,各界のゲストを迎えて,大いに勉強させて頂きましょう,といった趣き。
そのゲストとは,ケンカ王・田嶋陽子,実演販売王・川口隆史,文学王・大江健三郎,カリスマ・沢野ひとし,発明王・ドクター中松,ラーメン王・大村明彦,美白王・鈴木その子。いずれ劣らぬ,ちょっと怪しげな面目。世の「おじさん」の関心事をよく捉えていますな。ただ,5~6年前の連載なので,ネタはちょっと古いです。
続いているといえば,こちらも23冊目。東海林さだおの丸かじりシリーズ新刊「ホットドッグの丸かじり」(朝日新聞社)を読む。
東海林さんのエッセー,最近は文庫版やら総集編やらで,何を読んだのか読まないのか定かではなくなってきた感もあるのですが,毎回似たような食い物ネタを取り上げながらも,持ち前の「文章力」で飽きさせず読ませてしまうのは,さすが。
本巻では,鯛茶漬け,お新香,別盛りカツ丼,100円うどん,肉まん,おのろけ豆,人参,スパゲティ・ナポリタン,ウイロウ,パエリアなどなどの秘密を追及。ピーナッツに煎餅の衣をつけた丸いお菓子,あれを「おのろけ豆」っていうの,知ってました?
カオスだもんね!」(水口幸広)の最新刊,マニアック編を読む。
週刊アスキーへの連載をまとめたこの社会派レポートまんが?シリーズもいよいよ13巻目。もちろんすべて読んでいるが,今回は,ROBO-ONE(自作ロボット格闘競技会),シャドウベイン(多人数参加型オンラインゲーム),懐かしい「人生ゲーム」,これまた懐かしい「初代ファミコン」などなど,マニアックな話題をたくさんとりあげている。
これを読むためだけに週刊アスキーを買うという時代が長く続き,いまは立ち読みですませて単行本化を待つという,著者にはありがたくない読者である私だが,公私ともにさまざまな障害を乗り越えて,十数年に及ぶ連載を続けてきた水口画伯の粘りはお見事。
もう一つ,エイ文庫の新刊「旅,ときどきライカ」(稲垣徳文)を読みました。デジタルカメラ時代になっても,あいかわらずライカ本の出版は盛んですね。
本書は,赤道から南極まで,ライカ片手に世界を旅する著者が,撮影のエピソードとカメラマン生活のつれづれを語ったもの。モノクロにこだわった作品も多数収録。中国やシルクロードを得意とする稲垣カメラマン,話題がちょっと貧乏くさいのも持ち味でしょうか。
ちなみに夫人は学生時代の後輩,テレビ朝日の野村華苗アナですな。
著者はカメラ雑誌の審査員などでおなじみ。写真の先生というイメージがあるけれど,本書はお気に入りのスローカメラ(ライカ中心の機械式カメラ)を片手に,東京谷根千,豊橋の路面電車,イタリアへの旅。
ゆっくり写真を撮る・・・とはいうものの,著者の行動は素人から見れば用意周到で,プロカメラマンとしての気遣いのポイントがわかって面白い。もちろん掲載された写真も美しいのだが,何となく期待通りというか,教科書写真的に見えてしまう。やはり先生のイメージが・・・。
岩波文庫5月の復刊を見ていたら,「ノア・ノア」(ポール・ゴーガン)が出ていました。これは岩波文庫の中でも古株のひとつで,1932年の刊。学生時代に読んだ懐かしい本です。
後期印象派の画家ゴーガンは,若い頃は株式仲買商人でしたが,35歳で画業に専念。ゴッホとの共同生活を経て,1891年に家族を捨てタヒチへ向かいます。
本書ノア・ノアはタヒチ語で「心地よい香り」というような意味で,ゴーガンのタヒチ紀行であり,制作メモでもあります。ゴーガン作の版画も沢山収録されており,タヒチのエキゾチックな姿に憧れましたね。
※ねこの額ならぬウサギの額ほどの我が家の庭ですが,第二期改良工事?が始まりました。今回は天気のよい日はオープンカフェスタイルで,という目標の下,水回りの整備とタイル貼りをします。ボーナス前にできあがっちゃうと工事屋さんへの支払いが苦しいので,適当に雨が降ってくれれば・・・。
ウサギっていうのは飼ってみると,可愛くておとなしい少々お間抜けな動物・・・ではちっともなく,とてもきかん坊で神経質,そして意外に頭が良い。犬や猫とは全然違う不思議な生き物だと実感します。
で,初めて育てるときの注意などはどんな飼育書にも載っているので,それを読めばいいのですが,飼い主が本当に知りたいことは,この本に書いてあります。メディアファクトリー「Dr.野村のウサギに関する100問100答」(野村潤一郎)。
このシリーズ,これまで犬,猫,フェレット,ハムスターと出ていますが,Amazonではウサギが一番売れているようです。やはり,飼い主は,ウサギの不思議さに惹かれるのでしょうね。
ウチのカミサンなど,わが家のウサギに,この子はホントにバカだねー・・・などと言ってますが,著者によるとウサギはみんなが思っているより10倍は賢く,ネコよりちょっとバカなくらい・・・だとか。ウサギが聞いたら嬉しがるかどうか。
「ついてきたりなめたりするのに抱っこだけは必死に拒みます」「なぜハムスターのように餌を両手でもって食べないのですか」「うさぎとネズミの仲間の決定的な違いは何ですか」「ささいなことで驚いて大暴れです。どうしちゃったんでしょうか」「うさぎに嫌われるのはどんな人ですか」・・・ウサギに興味のある方にはぜひ。飼ってみたくなりますよ。
(我が家のウサギ。家の中を弾丸のように駆け抜け,ときどき誰かに蹴っ飛ばされています。チビだった頃はこちら)
▼ポイントカードによる本の販売中止を求める 2005年 4月28日
出版物は、文化的配慮等から、出版社が小売価格を決定できる再販売価格維持行為を独占禁止法によって許されている法定再販商品であり、これに基づき出版社、取次店、書店は再販契約を結び、その遵守を約している。現在、問題となっているポイントカードについては、これまで公正取引委員会は値引きと判断しており、その「ポイントカードの提供が、再販価格維持行為について定めた事業者間の契約に反するかどうかについては、当該事業者間において判断されるべき問題である」(大脇雅子参議院議員の質問主意書に対する2001年7月31日付け小泉内閣総理大臣の答弁書)として、国は出版社、取次店、書店相互の協議決定にまかせるとしている。
これを受け、これまで関係当事者は、ポイントカードが再販契約に違反する値引きであることを表明するとともに、再販契約を結んでいる書店がポイントカードを提供することは、①他の再販契約を遵守している書店を一方的に不利な立場に追いこみ、契約を守り 法律を守る「正直者が馬鹿をみる」結果となっているだけでなく、甚だしくは被 害書店を廃業にまで追い込む ②ポイント率の競争=値引き競争が結局は本の値上げを惹起し、読者の利益=消費者の利益を侵すことになる としてその中止を求めてきた。
ところが、公正取引委員会は低率のポイントカードを容認し、ポイントカード実施書店に対する関係当事者による中止要請活動が共同行為にあたるなどとして圧力をかけ、再販制度の実質的切り崩しを図ってきた。
出版流通対策協議会は、改めてポイントカードが再販売価格維持契約に反する値引き行為であることを表明しその中止を求めるとともに、会員各社の出版物の販売について、ポイントカード実施書店におかれてはポイント対象商品から除外する措置をとられることを要請し、知の伝達物である出版物の定価販売への読者=消費者のご理解をお願いするものである。
久しぶりにシステム手帳を復活させてみると,PDAなどと比べて全然進化していないところに逆に安心感がある。書店でも手帳関係の本があるとパラパラめくっているのだが,その中で「仕事で差がつく手帳の技術」(長崎快宏)を読む。
著者が長年使い込んでいるSD(システム・ダイアリー)を中心としたシステム手帳の実践的使い方ガイドといったものだが,蓄積したデータの整理法が重要というところがポイント。まあ,この手のビジネスマン向け手帳の活用法は,みんな似たり寄ったりで,基本的に上昇志向に欠けていると自認する私にとって,ハァそうですか・・・といったことになりがちだが,本書は一世を風靡し,最近は目にすることが少なくなったSDを取り上げているので,SDとは何ぞや?という方にお薦め。
今年のゴールデンウィークは,好天に恵まれ,初夏のような陽気ですね。子どもは友達のところに遊びに行ってしまいましたし,カレンダー通りの出勤となる私は,遠出する予定もないので,もっぱらガーデニング(雑草取りと庭のイスやテーブルのペンキ塗り)に精をだしています。
本棚も掃除し,埃まみれの本の面倒も・・・と思うのですが,果たして時間があるかどうか。
ハーレクイン社によると,ハーレクインシリーズのベストセラーを文庫化した「ハーレクイン文庫」を5月15日に創刊するとのこと。
初回は,超人気作家作品を一挙4点ということで,「ささやかな背徳」(ジャクリーン・ネイヴィン),「シャーロットの冒険」(デボラ・シモンズ),「ジャスミンの罠」(エマ・ダーシー),「秘密」(リン・グレアム)。
当然,私の知らない作品ばかりなのですが,『放蕩の限りを尽くした伯爵に余命1年が宣告された。跡継ぎを残すためだけに花嫁探しを始めた彼の前に,美しく芯の強い,理想の女性が現れて・・・』というストーリーだそうで(ささやかな背徳),読むと意外にはまったりして。
7月以降は毎月2点,奇数月に歴史もの,偶数月に現代ものを発行予定。
岩波文庫の新刊「クック太平洋探検(5)第3回航海(上)」を読み始める。
ヨーロッパからアジアへ抜ける北極海経由の航路を調査するため,1776年,クックは3回目の航海に旅立つ。レゾリューション号は,ケープタウン,ニュージーランド,ハワイを経て,ベーリング海峡に入り,北緯70度まで達したが,結局航行可能な北西航路は存在しないことがわかった。ほかに,部族間の争いによる人食や,原住民の女性をめぐる男たちと乗組員たちとの関係など,当時の興味深い風習も詳述されている。
1779年,本航海の帰路,補給のために寄港したハワイ島ケアラクアで原住民と衝突し,クックは亡くなるのだが,それはまだ先の話。
ラルボー(1881-1957)はフランス・ヴィシー出身。昔,旺文社文庫で「めばえ」というのを読んだ記憶あり。というか,読んでみたら同じじゃないですか(訳者は違います)。旺文社版は入手しにくくなっているので,今回の新訳は歓迎すべきでしょうね。
ただ,そもそもラルボーの作品,ねられた文章の割には,煮え切らなさ,ぬるさを感じてしまいます。作者の育ちの良さからくるのか,評論家的な態度からくるのかは,わかりませんでしたが。「解説」によると,ラルボーの穏やかさは,自ら「裕福な愛好家」という立場にこだわったことにもあらわれているようです。
私は結構読み通すのに忍耐が必要でした。
最後にもう一冊。枻出版社の最新号「趣味の文具箱 vol.3」を読みました。
今回は,モンブランの146,モンブラン2桁シリーズ,ペリカン万年筆カタログ,デルタのドルチェビータ,パーフェクトペンシル,その他最新モデルなどを特集。
インクの方は,ブルーインクの特集で,各ブランドの青系インクを紹介。私自身インク好きでいろいろ試した結果,トラブルがなかったモンブランのロイヤルブルーとパーカーのウォッシャブルブルー(モンブラン以外の万年筆にはこれ)に落ち着いているのですが,そもそもインク自体,入れるペンや周辺環境,使い方で印象がまったく変わってしまうので,こればかりは試してみなければわからないところ。最近はカクテルインクなど,ユニークな色のインクも次々と出てきているので,楽しみ。
というわけで,印象に残ったのはもっぱらインクのカラーチャートということになりました。
またまた文房具関係で一冊。ブルースインターアクションズ「文房具と旅をしよう」(寺村栄次,浅井良子)。
文房具好きな著者ら(スコス ステーショナリーズ・カフェ)は,素敵な文房具を探して,北欧,イギリス,フランス,オランダまで行ってしましました。封筒や切手,ダンボール箱など郵便関係のグッズ中心ですが,それぞれのお国柄は,スーパーのレシートや郵便局の順番待ち番号札など細かいところにもあらわれています。
一応,旅行ガイド風にはなっていますが,実用性よりカラフルな文房具を目で見て楽しむ本です。(最後のオマケ,不忍池「鴨 ライフ」っていうのは,べつに文房具とは関係ありません)
私の好きな文房具本をもう一冊。片岡義男「文房具を買いに」(東京書籍)。
本書は,著者が好きなノートやメモパッド,筆記具などを自ら写真に撮り紹介したもの。別に長年使い込んだものをご披露というわけではなく,現在文房具屋で手に入るものが大部分だが,やはりステーショナリーという言葉がぴったりとくるアメリカンな味わいがあるところに彼らしさが。
最近おつきあいのあるエクステリア関係のデザイナーは,最初の打ち合わせの時,ほぼ日手帳を持っていたので,あらあらと思っていたのだが,次にはロディアも持ってきた。私のように分厚いシステム手帳を抱えている人は,めっきり少数派になってしまったが,モールスキンやリーガルパッドなどがどこでも手にはいるようになり,さりげなくオシャレで使いよいものを,という人は増えている。
片岡義男さんの独特な言い回しは,20数年前の学生時代にはあこがれ,その後は少々敬遠していたが,最近ようやく「これはこれで」と思えるようになってきた。そういう人に,内容造本ともにさっぱりした本書はお薦め。
新刊と勘違いしていたのだけれど「万年筆スタイル」(ワールドフォトプレス)を購入。
これまでのカタログ本と違うのは,「ワタシ,万年筆の味方です。」と題して,各メーカーや代理店の販売担当者が万年筆への思いをそれぞれ語っているところ。なかには,こういう人が売ってるからこのブランドは・・・といいたくなるところが全くないとはいえなくもないが,とにかくこの手のムックとしては,多少読みどころがある。室井滋さんのオーダー万年筆「猫万年筆と金魚万年筆」や中山蛙さんのイラスト版「ピカピカ万年筆」などユニークな企画も楽しい。
ショップとしては書斎館のほか,新装なった丸の内丸善の売り場も紹介されているが,この間行ったときは夜の7時頃なのに客が一人もいなくて,居心地が悪かった。ディスプレイは綺麗なんだけれどね。
光文社文庫江戸川乱歩全集「化人幻戯」の最後,「海底の魔術師」。
お宝を積んだまま沈んだ船の引き揚げをめぐって,鉄の人魚やおばけガニなどメカロボット(というより張りぼて)を繰り出す敵と,明智率いる潜水夫たちとの海中決戦。薄気味悪さよりも人の良さや間抜けさが目立つ敵はもちろん,あの人。
「帝都を震撼させた怪物との大海戦」といううたい文句からすると,ずっと暢気な感じはするが,子供の頃読めばそれなりにワクワクしたのかも。
光文社文庫江戸川乱歩全集「化人幻戯」より表題作を読みました。
「化人幻戯」は還暦記念作として企画されたもので,例のごとく無理して書いたので,評判は余り良くなかった,などと乱歩自身次のように書いています。
『29年は私の還暦に当たり,東京会館で盛大な祝賀会を開いてくださったのだが,その席で私は調子にのって,江戸川乱歩賞基金100万円を探偵作家クラブに寄与することと,還暦を機会に若返って,来年(30年)は必ず小説を書きますと宣言したのである。・・・30年には私としては相当の仕事をしたわけである。その中では「化人幻戯」に最も力を入れたはずであったが,長篇構想の下手な私は,書いているうちに筋や心理の矛盾が無数に現われてきて,例によって,そのつじつまを合わせるために,毎月毎月苦労したのだが,トリックにはほとんど創意がなく,犯罪動機には新味があったけれども,万人を納得させる必然性に乏しく,私のすべての長篇と同じく,これもまた失敗作であった。』
それでも,戦後の代表作といわれているとおり,ストーリーはそれなりにまとめられていて,主人公である若き元侯爵夫人の妖艶な美しさもなかなか魅力的。個々のトリックに目新しいものは無いし,50歳になる明智探偵もカッコつけすぎの感はあるが,楽しく読むことができた。
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「化人幻戯」を購入。さっそく,鉄塔の怪人,凶器,悪霊物語を読む。
少年向きの物語「鉄塔の怪人」は,怪人二十面相が少年たちを誘拐して,山中に人間カブトムシ王国を築くというヘンテコな物語。誘拐した少年を前に,二十面相がカブトムシの着ぐるみをかぶって,ちょこまかとカブトムシらしい動きを伝授する。これはかなり情けない。最後には鉄塔から墜落して,どう考えても二十面相一巻の終わり,という感じなのだが,その後「海底の魔術師」で何ごともなかったように復活してしまう。
「凶器」は,殺人事件に使われたと思われる先のとがった両刃の凶器が見つからない。窓の外には窓枠が落ちて粉々になったガラスが・・・室内には金魚鉢が・・・おなじみのアレですな。
「悪霊物語」は怪奇探偵リレー小説の発端編を乱歩が担当したもの。このあと角田喜久雄,山田風太郎が書き継いで完結した。妖しい人形師のもとを訪れた小説家に,裸体のモデルからそっと渡された手紙には・・・。リレー小説の中では比較的良くできていると言われているが,前の二人の持ちネタ明智小五郎と加賀美課長を登場させて頑張った山田風太郎の功績が大きいようだ。
万年筆専門店フルハンターさんの情報によると,枻出版社から「趣味の文具箱 vol.3」が4月19日に発売されるとのこと。
内容は,以下の通り。万年筆など文具のお好きな方はどうぞ。
・MONTBLANCマイスターシュテュック146魅力の真髄,往年の「モンブラン2桁シリーズ」のすべて,モンブラン2005限定モデル「ユリウスⅡ世」
・Pelikanペリカン万年筆のすべてがわかる最強カタログ,「ピアッツァナボーナ」と新215シリーズ,オレンジの誘惑「大人気M320研究」
・いますぐ欲しい!ブランド別最新モデル230
・デルタ「ドルチェビータの誘惑」
・無敵のボールペン「フィッシャー」
・趣味と実用の「シャープペンシル」
・ブルーインク全100色最新カタログ
・「パーフェクトペンシル」が“完全”な理由
・万年筆の使い方・メンテナンス入門
・大人気「モールスキン最新モデル」
・ナガサワ文具センターの魅惑グッズ
・完成!「趣味の文具箱ロゴ入り万年筆」
新潮文庫の新刊「オトナ語の謎。」を読みました。
おなじみ糸井重里さんが中心に展開している「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気連載企画に加筆し,文庫化したもの。「オトナ語とは何?」という方は,まずこちらをご覧下さい。
サラリーマン生活20余年,当たり前のように使っている会社言葉を,あらためてこうして文字にされると,思わず笑ってしまいます。もちろん新入社員にはきわめて実用的?な本。
単行本で出た時は,カバーを取ると書店カバー風の表紙が現れるという凝った体裁になっていましたが,文庫版はふつうの新潮文庫仕様。ところで,その新潮文庫にも秘密がある・・・ということで,背の色とブドウマークについての蘊蓄は「新潮文庫のささやかな秘密」にてお楽しみ下さい。
対訳詩集シリーズ「イギリス詩人選」としては,シェイクスピア,ジョン・ダン,ワーズワス,ブレイク,コウルリッジ,テニスンについで7冊目。岩波文庫には,ほかに「キーツ書簡集」(先頃復刊された)と「エンディミオン」があります。あとは冨山房百科文庫の「詩人の手紙」(田村栄之助訳)が目につくくらいで,意外に文庫化されていませんね。
キーツは若いときに両親を失い,15歳で医者の徒弟になるなど,厳しい環境にありながらもスペンサーやハントを読み,10代の頃より詩作を始めました。本書の冒頭にある「はじめてチャップマン訳のホーマーを披見して」には,17世紀初頭に書かれたチャップマン訳に感動したキーツの浪漫的な感覚が現れています。
その後,シェークスピアに親しみ,大作「エンディミオン」を発表するも,健康の悪化と経済的な困窮に苦しみ,25歳で早世。我が国では,蒲原有明や水上夕波など明治期の作家の訳により,早くから親しまれてきましたが,今回の岩波文庫版は,日本語訳がかなりクラシック且つ重厚な感じなので,あまり違和感なく読むことが出来ました。
作家小川洋子さんは,先年,老数学者を主人公とした「博士の愛した数式」を執筆する際,数学者藤原正彦先生を訪ねた。その縁で数学の美しさについての二人の対談が実現し,それを元に本書が書かれた。
藤原先生の主張は,真理は美しいものであり,それを表現する数学の数式や定理も美しいものであるはず,ということで,古今の数学者の例を引きながら,美しい数学とは何かを説いていく。素人でも十分理解できる易しい話となっているが,それは小川さんの話の引き出し方の巧さによる。ちなみに,藤原先生は新田次郎氏と藤原ていさんの息子だ。
数学に興味のある中学生,高校生にはぜひ薦めたい。
いや,ホテルに泊まったんですよ。それで夜中に,「食べた食べた・・・」なんてヨロヨロと帰ってきて,エレベータに乗り,部屋の前まで行って鍵を差し込むと・・・鍵はちゃんと入るのになぜか回らない。それまでもなんとなく引っかかりのある鍵だったので,調子悪いなぁと思いつつ,ガチャガチャガチャと何度もやってみるが,やっぱり回らない。
しょうがない,フロントに行くか・・・と思いつつエレベータに戻ってボタンを押そうとして気がついた。階が違っている!
申し訳ない。もしあの部屋に泊まっている人がいたならば,夜中にガチャガチャやられて,さぞかし不安だったことでしょう。謝るわけにもいかないので,速攻で逃げ帰ってしまいました。いやいや吃驚した。
秦野の○○ホテルでのお話。
今月,岩波文庫「コロンブス航海誌」が復刊されます。
コロンブスの第1回航海の記録で,1492年8月3日の出港から,バハマ諸島,キューバ島等を探検し,翌年3月15日帰港するまでの航海日誌。
本書の原本は失われて,ラス・カサス神父(1474~1566)が要約編集した写本だけが残っています。ラス・カサス神父は,16世紀スペインによる中南米の植民地化事業における残虐行為を,何十年にもわたり内部告発した人。そのため,聖人とあがめられる一方で,スペインでは売国奴と非難する者が今でもいます。岩波書店「ラス・カサス伝-新世界征服の審問者」を参照。
伝統ある丸善京都河原町店が9月末で一時閉店。
丸善は,京都河原町店の現店舗と土地を3月31日付で売却。売却の理由は,「財務体質の改善と設備投資資金の確保のためで,全社的に進めている店舗のスクラップ・アンド・ビルドの一環」とのこと。地元の仏教書店,其中堂さんによると,「これで,河原町通り四条~御池間に残る書店は,ブックファースト(元・駸々堂)とふたば書房のみとなりました。京都書院イシズミ店,京都書院,駸々堂コミックランド,サワヤ書房,オーム社,文祥堂書店(移転),河原書房はもうありません。ブックファーストのビルも阪急東宝グループが近々にシネコンに建て替えるので,長期閉店の予定です」。
京都河原町店が現在地で開店したのは1940年。最近では京都市内で大型店舗の出店が相次いでおり,手狭な京都河原町店では競争力を保てないと判断した。同社では,場所をかえて出来るだけ早く京都に戻ってきたいとしている。
岩波書店によると,『本年2月刊行の岩波文庫「カンディード 他五篇」(赤518-1)の第1刷で518ページの記述が脱落したものが一部生じました。深くお詫び申し上げます。不良本につきましては,誠にお手数ですが,送料着払いにて,下記「岩波書店営業局販売部読者係」宛お送りくださいますようお願い申し上げます。お取り替えいたします。101-8002 東京都千代田区一ツ橋2丁目5番5号』とのこと。
518ページというのは,訳注の最後のページであり,全く気づきませんでした。ええ,私のも白紙だったのですね。
今週はずっと東海大学へ出張していました。まだ桜も咲かず,肌寒かったのですが,仕事の方は無事に終わりホッとしました。
この間ホテルで読んだのは,集英社文庫「娼年」(石田衣良)のみ。大学の傍の書店で山積みされていたのですね。
20歳の大学生リョウが,バイト先のバーにあらわれた女性相手の高級地下クラブのオーナー御堂静香から誘われて,「娼夫」の仕事をはじめる。客である年上の女性との関係や,静香の娘や同級生の女の子も絡んだ異色の恋愛小説・・・。これは著者が主人公と同年代ではなく,私と同年代(すなわちそう若くはない)であるところに意味がある,ひとつのファンタジーですな。
角川文庫の新刊「うさたまのホストクラブなび」(中村うさぎ,倉田真由美)を読む。
日本全国ホストクラブ行脚の記録。「王子様をさがせっ!」っていうより,ホストクラブの駄目さ加減を楽しむ本。けなしものでもサイバラ本のような盛り上がりはなく,脱力気味。ホストクラブとはなんぞや?というひとには役立つ本。その他のひとには暇つぶし用としてお薦め。
中公新書ラクレの新刊「ミニチュア庭園鉄道 カラー版(3)」(森 博嗣)を読む。
このシリーズも3作目。これでひとまず(この形でのレポートは)完結とのこと。今回は,「庭園大工事」と題して,大幅なレイアウト変更と線路の延長工事(全線180mになる),植栽の整理,ますます見事な腕前となった?車両製作などなど,盛りだくさん。NHKのテレビ取材もやってきた。
鉄道模型と,飛行機や船やクルマなどの模型との違いは,たとえ走行していないときでも常にレールの上にあって生きているところだ,というのが著者の考え。ほかの模型は,遊び終わると,飛行場や水場やサーキットから引き上げられてしまうからね。実際の機関車や列車も,解体されるまで一生をレールの上で過ごすわけだ。
庭園鉄道の最新の状況は,著者の「浮遊工作室 機関車製作部」で見ることができる。
彼女の父親は医者で,まずまず裕福な家に生まれたが,生来病弱だった。飛び抜けて秀才だった兄とくらべて,絶望感を感じたこともあったが,優秀な成績で学校を終えた。子供の頃から虐げられている貧しい人々に関心を持ち,彼らの気持ちを理解しようと鉄工所や自動車工場で労働などしてみた。スペインの市民戦争にも義勇兵として参加したが,すぐに負傷して帰国。トロツキと親交があり,ロシア革命の行く末には悲観的だった。
イタリア旅行を機に,それまで遠ざけていたカソリックについて考えるようになり,市民運動から離れて内省的な生活にはいる。ユダヤ人である彼女は,パリ陥落の際にフランスを脱出し,アメリカを経てイギリスにわたった。そこで,自ら病床にありながら,戦禍にある人々のことを思い,1943年,34歳で絶食して餓死した。
さてこういう若い女性,すなわちシモーヌ・ヴェイユをどうとらえたらよいのだろうか。1960年あるいは70年であったら別だが,いまは2005年である。
岩波文庫の新刊「自由と社会的抑圧」は,若き日の彼女の思想がわかりやすくまとめられている。つねに真摯な人というのは,やはり立派なのだろうね。
文元社では,絶版となった社会思想社の教養文庫を,オンデマンドで復刊しています。『◆教養ワイドコレクション
「現代教養文庫」がオンデマンドで甦る! 「知」の多面体、百科文庫・・・様々に評された『現代教養文庫』。多くの読者、ファンの要望に応えて、50年の歴史を、装いを新たにここに凝縮。その名著・名作を新ジャンルで括り、目にやさしい読みやすいワイド版でシリーズ化。出版イノベーションが可能とした本の新世界。人類の英知が問われる21世紀に遺したい<知の遺産>!』ということで,100タイトルほどがラインナップされています。
明治大正期の風俗を扱った「明治・大正ものセレクション」に面白いものがあるほか,「異色作家傑作選」では牧逸馬以外の作家も取り上げて欲しいところ。
気になるお値段は,3000円台が中心。元版の教養文庫が古書店でまだ見つかりそうですが・・・。
西遊記(3)を,まだ読んでいます。ようやく沙悟浄が出てきたところ。面白くないことはないのですが,二度目三度目の通読となると,ちょっと飽きますな....。読んでみようかな,という方には,中国御伽草子西遊記が参考になります。
また,毎日読む小説「西遊記」(邱永漢著/藤城清治影絵)はこちらで全文を読むことができます。
手帳といえば,エイ出版のムック「趣味の文房具Vol.1, 2」が眺めて楽しい本だが,もう少しこだわりたい方のためには,「文房具を楽しく使う(ノート・手帳篇)」(早川書房)がお薦め。
とりあえず著者和田哲哉さんのサイトを見てみよう。とくに,書庫には,著者こだわりの文房具に関するエッセイがいろいろある。
和田さんは,学校卒業後,メーカー勤務を経て,家業の電機工場を継ぎ,会社経営の傍ら,機能とデザインの優れた文房具を紹介するサイト「ステーショナリープログラム」を1997年に開設。さらに1999年,自らセレクトした文房具を販売する「信頼文具舗」をオープンした。
九州の地震には驚きましたね。さて4月は新入社員の季節・・・というわけで,あらためて「手帳200%活用ブック」(日本能率協会)を読む。(価格1000円(税込)と書いてあるが書店では999円であった)
本書はもっぱらベンチャー企業やセールス関係で活躍する人々の,手帳の使い方を見てみようというもの。私のように,ずぼらな人間からすると,なんと皆さんマメなこと・・・と思うが,世間ではこれが当たり前なのかもしれません。とにかく,100の仕事があれば100の手帳スタイルがあるということですね。
私自身は,システム手帳,能率手帳,PDAを経て,またシステム手帳に戻ってきています。90%が自分のデスクでの仕事なので,スケジュールはもちろん,電話のメモから思いつきまで,散逸しないようにとにかくシステム手帳のレフィルに書いておき,あとで入れ替えたりまとめたり捨てたりと,じっくり整理。それでも,忘れてはいけないことに限ってメモしていなかったり・・・。サラリーマン生活二十余年,いまだ試行錯誤は続いています。
文庫本の特装版,というのはときどきあるが,こういうのは珍しいのではないか。「終戦のローレライ フィギュア付きBOXセット」(講談社文庫)。
限定1万セットで,海洋堂のフィギュア3体「UF4」「ナーバル」「パウラの胸像」付き。文庫本自体は,カバーが通常版と異なる。
しかし,回天という文字を久し振りに見ましたね。回天は人間魚雷。靖国神社に展示されているものを見たとき,その意外な大きさに驚いたが,史実の重さに対して,物語自体はSFっぽく思えてしまう。宇宙戦艦ヤマトみたいなものと考えればよいのか・・・。
近所の書店に,岩波文庫の新刊が並んでいたので,まず新訳「西遊記」(3)を購入。
シモーヌ・ヴェイユの方が,先になくなってしまいそうな気はしたのですが,とりあえず今日の帰りの電車で読む本を確保しなければいけない・・・というせっぱ詰まった気持ちで。
さて,どうしましょうか。岩波文庫の新刊「西遊記」第3巻と第4巻。
第3巻は新訳だから,もちろん購入。第4巻からが問題で,すでに持っている中野訳の改版だ。岩波書店によると,『がらりと変わるということはありませんが,旧版の4巻は活版印刷で,今回の「改版」で「目にやさしい」版面となっており、続けてお読みいただければ幸いです』とのこと。
活版よりオフセットの方が目にやさしいかはともかく,さほどくたびれてもいない旧版を買い直すのは,ちょっと躊躇。まあ,現物をみて決めようかと思う。
ちくま文庫の新刊「B級グルメ大当りガイド」を読む。著者は,「東京B級グルメ」でおなじみ,B級グルメ歴30年の田沢竜次氏。
B級といえば,カツ丼,牛丼,立ち食いそばに,スパゲッティー・ナポリタン,学生食堂,居酒屋。もちろんファストフードやコンビニおにぎりも。人によって程度は違うだろうが,生来怠惰で食事にこだわらない私にとって,これらは主食である。
食事にはこだわらないが味にはこだわるので,田沼氏同様,旨いカツ丼があると聞けば,遠路はるばる出かけることはやぶさかでない。本書は首都圏中心のガイドなので,新橋,神田,神保町を徘徊している私には実用的。店の紹介とは全然関係ない桑田乃梨子さんのかわいいイラストもご愛敬。
ちくま文庫の新刊「チリ交列伝 古新聞・古雑誌,そして古本」(伊藤昭久)を読む。
チリ交というのは,ちり紙交換のことだが,最近はまったく見かけなくなった。名古屋大学の武田先生のページに紙資源のリサイクルに関するその辺の事情が書かれており,なるほどと思うことも多いのだが,本書は,未だチリ交華やかなりしころの人物列伝。
チリ交の元締めであるタテバに集まるのは,いずれもワケありな人々。話を聞けば,全共闘くずれ,ギャンブルで身を滅ぼした商社マン,ミカン売りからの転身組など,前歴もさまざま。著者はタテバの所長から古書店主となった。チリ交は,貴重な古本の供給源なのである。
チリ交の内情は詳しいが,肝心な古本にまつわるエピソードが少ないのは物足りない。もっとも,これはあまり声高に言えるようなことではないのだろう。
共同通信によると,ジェームズ・バリー(1860~1937年)の名作「ピーター・パン」の公式の続編が、英国の女性児童文学作家ジェラルディン・マコリアンさん(53)により書かれることとなった。
バリーの遺志でピーター・パンの著作権を持つロンドンの小児病院が続編の粗筋を募集,応募してきた世界中の作家ら100人以上を審査して執筆者に選んだとのこと。ゆえに「公式」。続編の題名は「キャプテン・パン(パン船長)」と決まっている。
ちなみに,岩波文庫には,本多顕彰訳「ピーター・パン」(1933年),石井桃子訳「ピーター・パンとウェンディ」(1957年)がある。最近は,ネバーランドというと,マイケル・ジャクソンを連想してしまうが・・・。
先週はいよいよ春到来,といった感じでしたのに,昨日は一日中雪模様。今朝も道路が凍り付いていました。そんな中,光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「ふしぎな人」を読みました。もう第20回配本になります。
本書は,犯人あて新聞連載「妻に失恋した男」,『少年クラブ』連載「奇面城の秘密」,『少年』連載「夜光人間」,『少女クラブ』連載「塔上の奇術師」,『面白倶楽部』出題編の「秘中の秘」,同じく「魔王殺人事件」,『たのしい二年生,三年生』連載「ふしぎな人」,『たのしい一年生,二年生』連載「かいじん二十めんそう」(2編)を所収。
昭和30年代前半の子供向け作品で,明智と二十面相の戦いがメイン。さすがに,この歳になって楽しく読みました・・・とは言えませんが,私よりもう少し年長の子供たちが夢中になって読んだであろう,その時代の雰囲気はよく伝わってきます。
そういえば,この週末,ケーブルテレビで「巨人の星」が連続放送されており,たまたま巨人軍入団テストの回を見たのですが,いやぁ,興奮しました。当時リアルタイムで見ていた思い出がよみがえり,魔送球を投げてしまうところでは,思わず涙でしたね。一緒に見ていた息子の方は,ふーん,といった感じで,あまり関心がなさそうでしたが。
今まで使っていたシステム手帳のバインダーがヨレヨレになってしまったため,バイブルサイズ25mm径の新しいバインダーを買ってきました(Cカンパニーのもの)。
普段はPDA(CLIE)が中心で,紙の手帳はその補助的な使い方をしているのですが,PDAのパソコンとの連携しやすさと紙手帳の一覧性のよさとの比較や,そもそもCLIEシリーズが打ち切りになったことなどを考え合わせ,当面,紙ベースのシステム手帳が必要と考えたから。リフィルが自作しやすくなったということもポイント。
結局,頭の中が整理されていない自分にとって,とりあえず何でも一カ所にメモしておかないと,何がなんだかわからなくなってしまうのですね。
つづいて,えい文庫の新刊を読む。「バイクの島,マン島に首ったけ」(小林ゆき)。
1本のレンタルビデオから始まったマン島への憧れ。モーターサイクルジャーナリストになった著者は,夢に見た聖地を,トライアンフにまたがり訪れる。ここで行われる世界最古の公道レースを見るために,毎年世界中からバイクファンが集まってくるのだ。
この時期,小さな島にはバイクがあふれ,一般の家々もホームステイする観客で一杯となる。島の中を巡る1周60kmのコースは,公道だが速度制限はなく,レースのない時間には観客や地元のライダーたちがものすごい勢いで飛ばしていく。
2週間にわたるレース期間中は,学校が休みになる子供たちをはじめ,島の住民が総出でこのレースをサポートしている。イギリス連邦であっても歴とした独立国であるこの島,伝統あるレースを受け継いでいることが人々の誇りである。
もちろん,ホンダを始めとする日本のメーカーは,このレースの歴史に大きな足跡を残している。著者は何度もマン島レースを取材するうちに,地元の人々や世界中からやってくるライダーたちから,バイクを通じて日本への愛情を感じると同時に,バイクやレースはもとより,スピードそのものに対する彼我の文化の違いを痛感する。
えい文庫の新刊がなかなか出ないなぁと思っていたのですが,私の勘違いで,奇数月の10日発売だったのですね。
昨夜書店に並んでいた,えい文庫の新刊より,まず「花と写真の時間」(藤田一咲)を購入。さっそくパラパラめくってみました。
本書は,いろいろなシチュエーション別に,花の撮り方を指南しているものの,具体的に役立つテクニックを解説しているわけではなく,多くの作例を見せながらの思い出話,といった気楽な雰囲気で書かれています。
どうも「花の写真」というと,やたらに気合いの入ったお年寄りのカメラ愛好家たちが,周囲の迷惑顧みず・・・といったネガティブな印象が強いのですね。しかし,著者は,旅先での美しい花との出会いや,桜の蘊蓄話なども交えて,まず花を愛でる,といった姿勢なので,楽しく読むことができました。
ちょっとびっくり。japan.internet.comのニュースより『見える検索エンジン「MARSFLAG」サービス開始』。
株式会社マーズフラッグは,検索エンジン「MARSFLAG」を3月9日よりサービス開始すると発表した。MARSFLAG は,同社が開発した「画像収集クローラー」「人口知能型 検索アルゴリズム」「有害サイト認証システム」の3つのテクノロジーをベースに構築された。
とのことで,実際に検索してみると,各サイトのトップページが一覧できるので,とてもわかりやすい。また,従来の検索サービスに比べて,SEO の影響を受けにくい,人の利用動向に基づいた検索ができる,などの特徴があるという。
社長の武井氏は,「MARSFLAGでの検索結果はサイトが中心となるため,利用形態としては情報の検索というよりもサイトの検索が主体になり,ブログなども検索結果で表示されにくい。利用方法次第では他の検索サービスを使ってもらったほうが良い」とした上で,「今後はGoogleやYahoo!のようなロボット検索も予定している。他社の数十分の一のコストパフォーマンスでそういった検索サービスも実現したい」との展望を示した。
最近,気になっているのはメイド喫茶。あれは,四十男が一人で行っていいものなのだろうか? まんが喫茶まではOKでも,そこまでは・・・と自分でも思う。
そこで,その方面のガイドブックの新刊,「もえるるぶ東京案内」を読む。なんと,JTBのるるぶシリーズの1冊だ。買うのに勇気の要る表紙だが,カバーを外せば,普通のガイドブックっぽく見えるのがポイント。もちろん,普通の東京ガイドと違って,秋葉原・新宿・池袋の三聖地がメイン。
流行り廃りの激しい世界ゆえ,ガイドブックというより,「時代の証言」として手元に置いておこう。(森伸之さんの女子高制服図鑑のときも,そういって買った覚えが・・・)
ライブドアとニッポン放送はどうなるんでしょうね。ライブドア株の大幅安で,予定していたパソコンや自転車の買い換え!がピンチとなっている私ですが,明日の一発逆転はあるのでしょうか・・・。
それはともかく,3月10日,フランス書院より新しい文庫シリーズ『結城彩雨文庫』が創刊になります。
『鬼才・結城彩雨氏のことはご説明する必要もないでしょう。我が国で右に出る者がいない肛虐小説の巨匠。弊社ではこれまでフランス書院文庫,ハードXノベルズで発刊してまいりましたが,氏の膨大な肛虐著作を,SM雑誌掲載時のイラストとともに皆様にご堪能いただきたいとの願いから,このような文庫シリーズを企画いたしました。・・・天才絵師・楡畑雄二氏が描く迫力のイラストが満載の当シリーズ,格調高く豪華なカバーデザインとともにまもなく発刊です。ご期待ください。』(わけあってカバー写真省略)
なんともわかりやすいご説明をありがとうございました。
2月の岩波文庫新刊は,長いものが5冊だったので,読み終えてホッとしています。3月は, 「対訳 キーツ詩集」,「西遊記 3」,「西遊記 4」,「自由と社会的抑圧」の4冊。
シモーヌ・ヴェイユは1909年パリ生まれの哲学者。労働階級の境遇を分かち合おうと工場や農場で働き,1936年スペイン内戦では人民戦線派義勇兵に志願。42年米国に渡り,その後ド・ゴールの自由フランス軍にレジスタンスとして参加。戦争の悲惨さ,残酷さに抗議してハンストを行い,43年34歳で無くなる。
兄のアンドレ・ヴェイユ(数学者)とともに,これまで私の中では悪い印象しか無かったので(生真面目さと狡さと),今回,よく読んでみたいと思う。
「古本よみた屋」さんの,従業員のための仕事マニュアルが面白い。一部を紹介。
○文庫の値段の付け方
*単位は50円 店内の棚に出す本の最低価格150円
・日本エンターテイメント
話題の本→定価の半額程度~定価の2/3
表紙に下着の絵が描いてあるもの→定価の半額程度
きれいなもの→定価の半額より少し安く
くたびれたもの→50円均一
・時代物
定価の半額程度
くたびれたもの→50円均一
・海外エンターテイメント
話題の本→定価の半額程度~定価の2/3
きれいなもの→定価の半額より少し安く
くたびれたもの→50円均一
ひどく余る本→50円均一
・日本文芸
きれいなもの→定価の半額程度
くたびれたもの→定価の半額より少し安く
・岩波文庫、講談社学術文庫
絶版→相場
新刊で入手可能なもの→現在定価の2/3
・現代教養文庫、京都書院AC、旺文社文庫、改造文庫等:相場
・サンリオ文庫:価格表を参考
・SF 絶版は500円以上 新刊で入手可能なものは、付いている定価の半額程度
・雑学、ビジネス書的なもの 50円均一
・昭和40年代以前のもの 海外の翻訳小説で貴重なものあり注意
・学術書的な内容のもの(筑摩学芸文庫など) 現在定価の1/2~2/3
・絶版調べをするのは
1.「文庫のプレミア著者一覧」に記載のある作家
2.岩波文庫、講談社学術文庫など、特殊な文庫
3.早川文庫と創元推理文庫の「SF]
☆朝から大雪。というわりには交通機関に影響がでなくて助かりました。
BRUTUSの最新号は「COFFEE AND CIGARETTES」特集。
コーヒー好きの人たちが,行きつけの喫茶店やカフェを紹介したり,スタバやタリーズなどの飲み比べ。
私の場合,家ではマキシムか香味焙煎のインスタント。外では毎日,ベローチェのラージ。1日10杯は飲んでいるかな。カミサンはインスタントなんて飲めない,というけれど,喫茶店>カフェ>インスタント>家でのレギュラー>コーヒー牛乳>缶コーヒーという順に好きなのだ。
ちなみに,飲み比べ記事では,SEATTLE’S CAFEがNo.1。たしかに美味しいが,近くにないのが残念。
「橋掛かり風流合戦」で文庫本チラシコレクションについて書いてありました。
文庫本に限らず出版物のチラシコレクターという方もいるわけですな。たしかに,全集もののチラシや月報などは,あとになって貴重な情報源となる場合もあると思いますが,文庫本チラシ収集というのは考えたことがありませんでした。
まあ,文庫本に挟まっているものは,たいていそのままにしてあるのですが,古本屋に処分するとき,とりあえずチラシは取っておく,という手はありでしょうね。
岩波文庫の新刊「田中正造文集」第2巻「谷中の思想」を読みました。
11月に第1巻が出て,今度は第2巻となっているので,第3巻もあるのか,というと全2冊で終わりなんですな。それなら(上)(下)で出せば・・・と思うのですが,岩波文庫にはこういうのがよくあります。
本書には,日露戦争開戦(1904年)から,亡くなる(1913年)までの,書簡,日記などが収められています。足尾銅山の鉱毒処理のため水没・廃村に追い込まれようとしていた谷中村に移り住んだ田中正造。谷中村の一農民として,鉱毒問題に取り組みましたが,1906年土地収容法の適用による住民の強制退去や民家の強制破壊により谷中村は合併消滅。その後は,谷中村復興を図るとともに,各地の河川調査を続けました。
田中翁が亡くなったとき持っていたのは,1個の袋と菅笠だけ。その袋には「憲法」と「新約聖書」と「日記」が入っていたそうです。
※関連書籍として,岩波文庫に「谷中村滅亡史」(荒畑寒村),岩波新書,岩波ジュニア新書に「田中正造」があります。