大晦日は本格的な雪となりました。遅まきながら年賀状を書いていたのですが,途中で足りなくなってしまい,買いに行きたいものの,とても出られそうもなく,困っています。今年も一年間お付き合いいただきました皆様に感謝しますとともに,2005年も引き続きよろしくお願い申し上げます。
国立国会図書館の電子展示会「蔵書印の世界」が面白い。江戸時代の各藩,勝海舟や新井白石,日本一の蔵書を誇った名古屋の貸本屋大野屋惣八など,国会図書館の蔵書に現れた著名な人々の蔵書印が綺麗な写真で紹介されています。たとえ文庫本でも,自分の蔵書印を押すと愛着がわくもので,古書店で見つけた文庫本に,前の持ち主の印が押されていたりすると,これは大事にされていたんだろうなぁと,つい買ってしまいますね。最近はシャチハタでも手軽に蔵書印が作れるようです。
筑摩書房が今年5月に完結させた「世界古典文学全集全50巻(全54冊)」。既刊の品切れ分を含めて,1月に全巻セットを販売とのこと。379,155円也。これって,私の生まれた頃から,刊行していなかったかしら(実際は1964年から)。ホメロス,論語,聖書,シェイクスピア,ルソー,ゲーテと,何でもありの全集ですが,揃った本は人を誘う(by紀田順一郎)ので,私の場合,新年会で酔っぱらっていたら衝動買いしてしまいそうなものですね。つまり素面ではとても買えないということ。
私の子どもの頃は,まだ貸本屋というのがあちらこちらにあったのですが,現代の貸本屋は,まんが喫茶ですね。このまんが喫茶,あんな低料金でなぜやっていけるのだろうか?といつも不思議に思っていたのですが,ご承知の通り,その存在を危うくする制度ができようとしています。今年改正された著作権法で,2005年1月1日より書籍・雑誌の貸与権が発効するので,その権利集中管理を行うための有限責任中間法人出版物貸与権管理センターが現在,利用者側(レンタルブック店とかまんが喫茶ですね)に登録要請をしているのですが,これがうまく進んでいないとのこと。貸与権管理センター側の条件は,「発行より3週間貸与禁止,使用料280円」なるもので,この280円のうち分けは,作家に80円,出版社・取次・貸与権管理センターに200円。低料金のレンタル店が仕入れの際に1冊280円もの上積みを認めるはずはなく,交渉は暗礁に乗り上げています。問題は,貸与管理センターの管理手数料71%(出版社と取次には使用料をとる権利がないので)と高額な点で,たとえば日本音楽著作権協会の手数料など10~15%ですから,みなそこに胡散臭い雰囲気を感じ取っているわけですね。
年末の大掃除ではないが,書棚の文庫本の入れ替えをしていたら,20年ほど前に揃えた「激写文庫」 (小学館刊,全25巻+続編5巻)が出てきた。篠山紀信撮影の文庫版写真集ですね。もしかしたら,これは意外に高価なのでは....とさっそく調べてみたら,古書店では1冊2~3000円で販売されている模様。「GORO」世代には懐かしいものなので,高くなったからといって手放すわけではないが,なんとなく自慢したくなった次第....。ついでに,大判の篠山紀信「激写135人の女ともだち」。こちらもさぞかし....と思ったのですが,残念ながら元価とそう変わらない値段で売られているようです。
当地藤沢市は,東京ほどではありませんが朝から雪がちらつき,冷え込んでいます。いろいろ買い出しに行くつもりでしたが残念。
ブックピックオーケストラは,オンライン古本屋兼ウェブマガジン。古本をもっと身近で面白いものに!とのことですが,文庫本では,秋元文庫,旺文社文庫,創元推理文庫という渋いところを取り上げています。とくに「旺文社文庫に学べ」は,なんとも綺麗な作りで感心。もちろん古書店だから売価も出ています。
【2002年1月創刊~2004年12月刊行停止】
岩波アクティブ新書は2002年1月に創刊された。1938年の岩波新書創刊以来,64年振りの新「新書」 (ちなみに岩波文庫は1927年,岩波現代文庫は2000年創刊)であるから,その行方が注目されたが, 丸3年となる2004年12月をもって,刊行停止となった。
当初,岩波書店ではアクティブ新書の誕生について,『この双書は,岩波新書・岩波ジュニア新書に続く新書シリーズで,「実用」 を企画の軸にしています。直接役立ち,しかも信頼できる本物の情報を満載した実践的新書に,どうぞご期待ください。』といい,編集長も 『これまで堅い本ばかり作ってきた岩波書店で,どんな編集者がこのような本を作っているのか,とお思いでしょうか。出身は岩波新書だったり, 雑誌「世界」の編集部だったりとさまざまですが,どの編集者も一度はこのような本を作ってみたかった,と感じています。 自分が個人的に好きなこと,自分の身のまわりにあることを企画に結びつけられるということで,みなはりきっています。 そのアクティブな雰囲気が,本を通してきっとみなさんに伝わると思います』との意気込みを示していた。
そのラインナップを見ても,サブカル指向で,写真家の田中長徳氏をはじめ,オーディオやグルメなど, それまでの岩波新書の路線とは毛色の違うものが多く,なかなか面白いと思っていたのだが,若い人々にアピールするには, 本の作りがお洒落とも言えず瀟洒とも言えず中途半端で,目に優しく読みやすい本文も,中高年向きという印象が拭えなかった。
『身近な人との関係を変えていくことによって,自分自身を変えるために役に立ち,なおかつ読んで楽しいHow to本』 を目指していたアクティブ新書は,志半ばにして消えていく。最後に編集長は,自分たちの好きなものを,自分たちで支え, 育てていこうとしたが,それが必ずしも多数派でなく目の前から消えてしまった....と語っているが, 真に価値あるものであれば損得を顧みず長い事業として育てていくという岩波書店の風土の中で,なんとか存続の道を探って欲しかったものの, ファンとしては残念な結果となってしまった。
岩波文庫「白鯨」(下)を読了。あとがきにて訳者が,138の章を物語,鯨学,劇などに塗り分けた図を示して,本書の構造を説明しているように,当時はその生態が一般にあまり知られていなかったであろう鯨の生態学や解剖学に関する長大な章と,狂ったように白鯨を追うエイハブ船長の物語の章とが交錯し,なかなか読み進むのに骨が折れる本ではある。前回読んだときは,長い鯨学の章をかなり端折ってしまったという負い目があるので,今回はとくにそこのところを念入りに読んでいったせいか,終わってみて,エイハブ船長と白鯨との死闘や,大海原で出会った百船百様な捕鯨船に関わる人々の喜びや悲しみよりも,四海を股にかける鯨たちの自由で孤独で勇猛果敢な姿に強い印象を受けた。年を越えることなく読み終えてホッとしたが,これは「白鯨」 11人目の翻訳者だという八木敏雄氏の明快な訳文にも寄るところが大きく,感謝。
今日で仕事納め。職場のみんなで昼食を取り,午後は根岸のうさぎのしっぽへ。
アンクの「スタイルシート辞典第3版」を買ったのですよ。パソコン関係の参考書など,
大昔のHTMLレファレンスブックみたいなもの以来,ずっとご無沙汰だったのですが,最近Blogに移行してみて,
いくら何でも全然知らないのは拙い,という反省があったわけです。まあ,
Webで判りやすく解説してくれているサイトもありますが,これがあれば,電車の中で2~3日は勉強できるかなと思っています。
3つのお願いなら知っているが(古いな),岩波新書は3つの提案だそうで,年末年始から新年度にかけて発売される30点には, 特製しおりが付いています。(読書手帳さんで記事紹介頂きました。ありがとうございました)


岩波アクティブ新書は,この12月をもって刊行停止となった。2002年1月の創刊以来,わずか3年での撤退だが,結局のところ,既存の岩波新書や岩波ジュニア新書などとの差別化が出来なかったわけで,編集長日記には『自分たちが好きなものなら,自分たちで支え,育てていかないと,すぐに消えてしまう危うさ。誰もが欲しくなるヒット商品ならそんな気遣いは不要だ。欲しいときに買い,野球なら見たいときに出かければよい。しかし,好きなもの・ことが個別化し,自分の趣味が必ずしも多数派でないいま,油断していると,それは目の前から消えてしまうかもしれないのだ。』との言葉が。確かにそうなのだが,「好きなもの」を商売にするのは難しかったようだ。
旧・光文社文庫の日本文学選シリーズ。二葉亭四迷の「平凡」(昭和21年)に3000円もついていたのでびっくりし,ほかの古書店を調べてみたが,おおむね500~1000円程度で安心....。というわけで,「古書のトルソーワールド」は,値段は別として,ユニークな古書店であることは確か。姉妹店?「アン・プリヴェの古書」はもっと変わっていて,『夫が本好きの為,我家は,どこもかしこも本ばかり・・・とうとう,本当に「古本屋さん」になってしまいました。そこで,私も我家にある本の中で,「私好みの」「私的趣味の」本だけを選んで「アン・プリヴェの古書」をはじめることにいたしました。どれも本の表紙画像を掲載し,本のご紹介コメント(目次・帯の言葉など)を記しております。どうぞ,お好きなお飲みものなどをご用意されてごゆっくり,ご覧くださいませ。』 商売なのかどうかも判然としません。
うっかりしていましたが,Mozilla Firefox1.0でこのサイトを見てみたら,各ページのトップバナー画像が表示されていませんでした。スタイルシートの記述がおかしいのか・・・不明。本文は画像も含めて表示されているので,読むのには問題ないのですが,調査中です。
今朝からドアの再塗装をしてもらっているので,玄関ドアが開けっ放し。寒い寒い。天気が良いので,どこか遊びに行きたいのだが,まだまだ終わりそうもないな。
「灯台へ」を読了。第3部は,灯台へ向かう小舟の中で,老いた父の意固地さに反発しながらも,その一途な生き方に感嘆せざるを得ない姉弟の姿が,鮮やかに描かれている。これは再読してよかった。学生時代,斬新な小説だな....と感じながら読んだときとは,全く印象が違う。著者の少女時代の体験が,色濃くうつしだされた物語だが,自分も親の気持ちが分かる歳になったか,となんだかしみじみしてしまった。岩波文庫の新刊「白鯨(下)」を読み始める。
家内の妹の家で,小学生の娘にサンタクロースはいないの?と聞かれ,
本当はパパとママがプレゼントを買ってあげてたのよ・・・と言ったら大泣きされた,という話しがあった。
ほんとうに私のサンタクロースは,どこへ行ったしまったのだろうか? 『サンタはそれを信じる人のところにしか来ない。だから,
いつか子供がサンタの存在を疑うときが来たら,もうサンタはやってこないのだ。それは,生まれてからずっと,
幸せを与えられてきた子供が,自分で幸せを求めなければいけないと気づいたときなのだから』 息子は大きな袋に,
せっせとプレゼントのお願いを書いて,サンタが来るのを心待ちにしている....。「灯台へ」の第1部と第2部を読み終わる。
ラムジー夫人は言う。「子供は決して忘れない。だからこそ,大人が何をいい,何をするかはとても重要で,
あの子たちが寝てしまうと,どこかホッとする。」「どうして子供たちの成長はこんなに早いのか・・・なぜ,
あの子たちは大きくなってすべてを無くす必要があるのかしら。」 8人の子供,老哲学者の夫と暮らす聡明で愛情あふれる夫人。
時は流れ,夫人は急逝,美しく成長した娘は亡くなり,賢かった息子も戦場に倒れた。あの日,
末息子のジェイムズが楽しみにしていた灯台行きは未だ果たされていない....。そして,住む人もなく,荒れ果てていた家に,
残った顔なじみの人たちが戻ってきた。いよいよ第3部の始まりだ。
岩波文庫の新刊「灯台へ」(ヴァージニア・ウルフ)を読み始める。読み進みたいという気持ちはあるが, ちょっと体力が続かず (連日の睡眠不足で),中断。雑誌「Yokohama Walker」 年末年始特集号がすでに出ていたのを知り, 代わりにつらつらと読みながら通勤。この間オープンした「江ノ島アイランドスパ」 の記事があり,面白そうだが小学生は入場不可とのこと。 残念。
近所のトイザらスに行ってきましたが,すごい人。息子は任天堂DSに興味があったようですが,実際にやってみたら,画面が二つあるだけで・・・PSPの方がよいかな,とのこと。取りあえず山積み大安売りになっていたポケモン人形からいくつか掘り出して帰ってきました。 岩波文庫の新刊「灯台へ」を購入。
岩波文庫編集部は,「年末進行」のため今週から来週は1月刊行書目の仕上げで大童とのこと。私も1月号の入稿で頑張っているところですが,岩波文庫など,焦って出すような内容じゃないのだから,意外に余裕のない製作をしているんだなぁと,これはビックリ。
池波正太郎の「男の作法」(新潮文庫)を購入。
わが家にあるはずの本書が行方不明になったせいだが,1959年の刊行以来,63刷になっていた。ご承知の通り本書は,
若い編集者を相手に,大人の男として格好良く振る舞うにはどうしたらよいかを,わかりやすく語っている。著者のいう「作法」とは,
自分も他人も気持ちよくさせること,常に気配りをすること,であり,決して堅苦しいものではない。むしろ,
半可通を気取る若い人に,正しい作法には,わけがあるんですよ・・・と諭してくれる。この歳になって読むと,自分も含め,
周りにこういう大人がいるかなぁと少々寂しくなる本。
最後に野良犬を見たのはいつだっただろうか?
少なくとも我が町内から野良犬がいなくなって何年(10年以上)は経っているはずだ。芸文社の新刊「しっぽと肉球」(福井若恵)
は,愛犬家のイラストレーターによる雑誌の連載エッセイをまとめたもの。「イラスト&エッセイでつづるおもしろ犬世界観察記」
とあるが,タイやハワイなど海外イヌ事情も描かれているものの,もっぱら登場するのはイヌ雑誌編集部の面々やイヌ好きの読者など。
身近な「イヌの世界」。ほのぼのタッチの絵で,「私はいかにイヌに癒されたか」という微笑ましい話のなか,
昭和40年代の野良犬事情など,著者と同世代の私には懐かしい話も多い。
光文社文庫乱歩全集の続き,「魔法人形」と「サーカスの怪人」を読む。「サーカスの怪人」では,怪人二十面相の生い立ちが明かとなり,本名は遠藤平吉,元グランドサーカス団の団員で,団長の座を笠原太郎と争って破れ,サーカス団を去ったことになっている。本作はその復讐譚で,骸骨男に化けて笠原団長やその子供たちを襲うものの,明智探偵や少年探偵団の活躍により捕まってしまう。北村 想「怪人二十面相・伝」(ハヤカワ文庫)など,二十面相は複数人いたという説もあり,乱歩の戦略にしろ思いつきにしろ,二十面相ファンには興味深い作品。
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「堀越捜査一課長殿」を読み始める。まず, 表題作と妖人ゴング。
ある日,堀越捜査一課長のもとへ,一通の手紙が届く。それは, かつて迷宮入りとなった現金強奪事件の犯人からの告白状であった。
最初からトリックは見え見えではあるが, 犯人とその妻とのやりとりには少し味がある。妖人ゴングは,明智探偵の弟子
「少女探偵花崎マユミ」のデビュー作だが, マユミは別段活躍せず,その身代わりとなった小林少年は散々な目に遭ってしまう。
ところで, マユミは明智の妻文代の姉の娘と紹介されているが,「魔術師」では文代に姉妹がいないと書いてある・・・。
これはあまりな錯覚なので,古来?いろいろな解釈が試みられているようです。
光文社知恵の森文庫の新刊「旅はゲストルーム」(浦 一也)を読む。建築家である著者が,
世界各地で訪れたホテルの客室を採寸し,詳細な平面図を書き上げてレポートしたもの。当然,
妹尾河童氏の同じような客室俯瞰図を思い浮かべるが,あちらは舞台装置屋,こちらは商業建築屋ということで,自ずから違いがある。
絵としては妹尾氏のディテールへのこだわりに面白さを感じるが,本書は「その部屋を設計した意図がよく分かるばかりでなく,
サービスの姿勢から民族性にいたるまでさまざまな勉強になる」という設計者の目でとらえているところに興味がわく。クリスマス,
お正月とホテルに泊まる人は,本書で蘊蓄話を仕入れていってはいかが。
随分前の本ですが,集英社文庫「トラちゃん」(群ようこ)を読む。トラちゃんは,著者の家に住み着いているネコの名前。世襲制になっているので,トラ,コトラ,マゴトラもいて,その姉妹は1号,2号,3号と区別されている。この家には,ネコだけではなく,鳥,ハツカネズミ,金魚,隣のイヌまで,次々とやってくるので,家の中は大にぎわい。よっぽど動物たちには居心地がよいのだろう。そんな家を仕切っているのが群さんの母親で,この人の豪快さ,気っぷの良さ,動物への愛情が際だっている。なんとも微笑ましく,またほろりとくる本。
近所のショッピングセンターのゲームコーナーにいくと,
子供たちが列をなしているところがある。ムシキングというバーチャルな甲虫バトルゲームらしい。子供なら,
野原で本物の昆虫を追いかけなさい・・・というのは簡単だが,実際にはさてどうやったら昆虫採集が出来るのか,
大人でも判らない人が多くなってしまった。かく言う私も,郊外に住み比較的自然に恵まれているとは思うのだが,
公園でのトンボ採りや庭にやってくるバッタや小さな虫を捕まえるのがせいぜいで,網を担いで遠くに出かける,
などというのは小学生以来,ご無沙汰だ。そんな中,御歳101歳となる昆虫界の長老が健在だ。
昆虫採集用具の開発や標本販売で有名な「志賀昆虫普及社」の創設者志賀夘助氏である。氏は,新潟から上京し,昆虫標本屋に奉公,
28歳で「志賀昆虫普及社」を創設。以来,「楽なことなどひとつもなかった」と言いつつも,昆虫一筋の道を歩んできた。
その回想記が,文春文庫の新刊「日本一の昆虫屋 志賀昆虫普及社と歩んだ百一歳」。本書には,
採集のコツや標本の作り方など実用的な情報も書かれているが,90歳を超えてなお,採集旅行にでかけ珍しい蝶に出会って感動する・
・・淡々とした語り口の中にある氏の情熱には圧倒される。
昨日は暑かったですね。12月なのに26度の夏日ですと・・・。私など半袖で自転車乗って,牧草買いに行っていました。岩波文庫今月の新刊(16日発売予定)は,40年ぶりの新編集「若山牧水歌集」,こちらは改訳となる「タウリケーのイーピゲネイア」(エウリーピデース),「灯台へ」(ヴァージニア・ウルフ),これで完結「白鯨(下)」(メルヴィル)といったラインナップです。
新刊「文庫本福袋」(坪内祐三,文藝春秋)は,文庫本にまつわる蘊蓄話で,なかなか面白そうなのですが,大部だし,昼休みでポケットに2000円しか入っていなかったため,とりあえず見送り。
岩波文庫の新刊 「浄瑠璃素人講釈(下)」を読む。相変わらず痛快な本である。と書いて岩波のページを見たら, やはり『摂津大掾・大隅太夫・絃阿弥らの描写は誠に巧みで,文章は痛快です』とある。気が合うな。
著者は,普段稽古をつけて貰っている当代の名人に対して,言いたい放題,叱り放題である。 これは素人(しかもお大尽)の強みだ。なおかつその批評は, 現代の公演で解説として使われているほど的確である。芸道を愛し,伝統の衰微を憂う, こういった批評家は貴重な存在だが,あいにく専門家揃いの現代において,どんな分野であってもそれを望むのは難しい。
週末は鎌倉での宮本文昭さんのコンサートと,横浜でのラビットショーに行ってきました。
その間,岩波文庫の新刊 「田中正造文集(一)鉱毒と政治」を読み,その足尾銅山鉱毒事件を始め様々な社会問題に対する姿勢, 使命感に燃えた姿に感銘を受けました。本書には,書簡,日記,建白書,「明治天皇への直訴状」など, 明治11年から37年までの多様な文書を収録しています。これは,現代の反公害とか抵抗運動という言葉に馴染めない人でも, それらの原点を知る意味で一読する価値のある書だと思います。
集英社新書の新刊「余白の美 酒井田柿右衛門」 は面白かった。十四代柿右衛門が語る祖父,父から受けついだ伝統芸, 柿右衛門窯の成り立ちや職人たちの技。 色絵磁器の製作工程についても丁寧に説明されており,柿右衛門とは, 単なる1人の作家の名ではなく, 多くの職人を抱える工房の師匠でありプロデューサーであることがよく分かる。
岩波文庫の新刊「クック 太平洋探検(2)
第1回航海(下) 」を読みました。
ニュージーランド,オーストラリア, ニュー・ギニアを経て,帰国するまでの記録。座礁による船の損傷や食人種を含む住民との戦いとともに, 熱病により多くの船員を失ってしまいますが,ニュージーランドの海岸線を明らかにして領有を宣言, オーストラリア大陸に上陸し東岸一帯の領有を宣言,ニューギニアとオーストラリアが地続きでないことを確認するなど多くの成果を上げました。 クックは,のちにホークワークスにより編集・ 出版された航海記録が気に入らなかったこと,同行した博物学者バンクスの方が帰国後もてはやされたことなど, いろいろ不愉快なこともあったようですが,翌年,新たな航海を目指すことになります。いずれにしても,クックのこの航海が,当時のヨーロッパ社会に与えた影響は計り知れないものがありました。
続いて東海林さだお氏の新刊「誰だってズルしたい!」 を読みました。
「オール讀物」連載のシリーズ「男の分別学」の単行本化。 世の中にはさまざまなズルがある・・・ということで,化粧,寄せブラ,イケメンなどを糾弾する一方,ニューヨークへの松井選手観戦ツアー参加記, 居酒屋メニューを英語で説明,老人の主張など,ユニークな視点のエッセイが一杯。 私は食べ物シリーズの方が無理なく楽しめるのですが,それは「オール読物」の読者層がちょっとご高齢のせいなのでしょうね。
東海林さだお氏の新刊「パンの耳の丸かじり」を読みました。ワンパターンと思いながらも,東海林さんの本は癒し効果満点です。 今回のお題は,1万円のカレー,カップめんの正しい食べ方,懐かしの都こんぶ,わたくしタマネギのファンです,カニの人柄などなど・・・ 食を愛し,数々の難問?に果敢に挑むショージ氏。その筆運びの巧さは変わらず。
仙台へ行ってきましたが,あちらは意外に寒くなく,解禁したばかりのボジョレヌーボーを味わってきました。光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「魔術師」を読了。「魔術師」と「吸血鬼」を所収。吸血鬼では,小林少年の初登場と明智探偵の結婚が明らかに。とにかく猟奇的な場面が盛りだくさんで,面白いことは面白い。なんというか,いかにも天知茂好み。
江戸川乱歩全集「月と手袋」で残っていた「黄金の虎」を読了。少年探偵団ものだが,ほのぼのとした味。続いて,新刊「魔術師」を読んでいるところ。
最近書店で,クラッシックカーや飛行機などのモデル付き解説書が毎月刊行されているのを見かけますね。パートワーク(分冊百科)出版というのだそうですが,これを手がけているデル・プラド・ジャパンと発売元の扶桑社との間で契約が突然解除となり,これらシリーズの配本ができなくなりました。
扶桑社によると,「弊社は『週刊デル・プラド コレクション』の発行元であるデル・プラド・ジャパン株式会社との間で結んでおりました販売に関する契約を,今般解除いたしました。つきましては,弊社は11月11日発売号以降のコレクションを供給することができなくなりました。ご愛読いただいておりますお客さまには,多大なご迷惑をおかけしますが,ご不明な点などございましたら,下記フリーダイヤルにてお受けいたします。」 一方,デル・プラド・ジャパンでは,新しい発売方法を検討中とのこと。
息子に新しい自転車を買ってやったら,さっそく近くの海浜公園で一日中走りっぱなし。付き合う方としては,広い園内を何周も引っ張り回されて,いい加減疲れました。6段変速で見た目は良いのですが,やはり値段相応ということで,7歳児には重くて取り回しが大変そうです。
以前から気になっていた,えい文庫「僕のマーチン君」(田村十七男)を読む。有名ミュージシャンが楽器との出会いを語る,などという企画はよくあるが,本書は学生時代からギター好きだった「無名」ギタリストの編集者が,憧れのギター「マーチン」を40歳にして初めて手に入れるまでの心の葛藤を綴ったもの。
いい歳した男なんだから,高級ギターであれ何であれ,金があるなら好きなように買いなさい,というご意見もありましょう。しかし,そこは実用というエクスキューズのない趣味物,自ずから自制心が働き,オレには未だ早い,これを手に入れてしまったら夢が消えてしまう,といった屈折した気持ちは,私のような貧乏人じゃなくても,共感できるのではないでしょうか。
マーチン・アメリカ工場見学記もあり,ギターに限らず,楽器に興味のある人にはお薦め。しかし,マーチンて意外に安かったのね。
11月8日
水口幸広「カオスだもんね!」第12巻は11月9日発売ということだったのだが,もう売ってました。今回は,スモーク作り, ツムラ入浴剤,すべり台探訪,お神輿,ソフトグライダーなど,のどかな話題多し。思えば,第1巻刊行からはや10年。著者, 関係者ともにいろいろなアクシデントがありました。いまでも一押しのレポートまんが。
11月6~7日
もうすぐ誕生日ということで,焼肉店でお祝い。急に歳を思い出したか,腰痛がひどくなり,這い蹲っています。えい文庫「ミニチュア・ ダックス ペティート」を読みました。ミニチュア・ダックスとのつきあい方をビジュアル中心に解説したもの。嫌犬家2名がいる我が家では, 犬を飼うことはないだろうが,子犬の写真は見ているだけでほのぼの。私のいまの姿もダックス並みだけれど。
11月4~5日
運転免許の更新に行って来た。更新手続きがだいぶ簡素化されていて,書類も名前ぐらいしか書くことがない。優良運転者だったので (普段運転しないのであたりまえだが),手続き,講習も含めて1時間ほどで新免許が出来てきた。かつては, なんだかわからないうちに取られてしまう印象のあった交通安全協会費も,ここ神奈川県運転免許試験場では, 払いたくてもどこで払えばいいのかわからないくらいで,これもなかなか結構。
11月3日
吉祥寺JAZZ喫茶「メグ」店主でオーディオマニアの寺島靖国氏の新刊「JAZZオーディオ寝ても覚めても四苦八苦」を読んだ。 相変わらずケーブルやレコードプレーヤーを取っ替え引っ替えしながらも退屈な日々を送っていた著者の元に,ドイツの最新鋭スピーカー・ アバンギャルド試聴の機会が。一聴驚嘆し,すぐに欲しくなってしまうも1800万円ときいてさすがに怯んだ。それでお手軽? な280万円のアバンギャルド・デュオをメグに導入。これが運の尽きで,自宅でも,あれだけ愛していたレイオーディオ6Vを売り飛ばして, アバンギャルド・トリオを購入。しかし,自宅に設置されたアバンギャルド・トリオから出た低音は無情にも「ポヨ~ン」だったのである・・・ 著者曰く,また10年は楽しめるな。
11月1~2日
岩波文庫の新刊「浄瑠璃素人講釈〈上〉」(杉山其日庵)を読む。著者は人形浄瑠璃愛好家(素人といっても旦那ですな)。本書は, 竹本摂津大掾など当代の名手から聞いた話を元に,だんだんと芸風が崩れてきている義太夫の,古典的な様式美を追究しようとしたもの。上巻は 「傾城冥途飛脚」から「近江源氏先陣館」まで50本を収めている。浄瑠璃の何たるかも知らない者が,こんな解説本を読んでどこが面白いのか, とお思いでしょうが,これが結構読めるのである。将棋を知らない人にとって手筋の解説書は難解だが,棋界の噂話や棋士評なら楽しいのと同じ? である。それでも浄瑠璃のことを全然知らないのでは・・・という人に,「人形浄瑠璃文楽」 という綺麗なページがおすすめ。
10月27~30日
相変わらずぐずついた天気で,10月は台風と地震で終わってしまいますね。文春文庫の新刊「先崎学の浮いたり沈んだり」を読みました。 120面指し(同時に120名を相手に対局)でギネスブック申請中の人気棋士,先崎八段,相変わらず文章の方も達者で,すでに著書は十数冊。 本書は2年ほど前に出た単行本の文庫化。先崎さんは,もちろんプロでもトップクラスの棋士だが,同世代の羽生さんとはイメージが違い, あくまで無頼派,博徒。もちろん恐ろしいものではなく,容貌も可愛いのだが,新潮新書「小博打のすすめ」 なる本も出している凝り性なところが肝心の将棋タイトルへの縁のなさにつながっているのか・・・。
※ 新潟中越地震で被災したうさぎたちを救うプロジェクト~S.O.S.新潟うさぎ!~※
10月25~26日
「クック太平洋探検(1)」の続き。南米からタヒチを目指しているところですが,クック船長,船員をしょっちゅう鞭打ちしていますな。 中世の英国海軍における懲罰は,『1530年ごろへンリー8世が公布した海軍規律令によると,船内で殺人を犯した場合, その者に偉業があっても,その者を生きたまま死体に縛って海中に投げ棄てる……船内で艦長を武器で突き刺した場合, その者の右手を切り落とす……船内で自分の当直中に居眠りした場合,……4度目には……その者をビール1缶, 肉1片そして磨いだナイフと一緒にカゴに入れ,バウスプリット(斜檣)に吊し,そこで餓死するか, それを切って海中に入水をするかを選ばせる……船内で酔って,船の食事を食べなかった場合……艦長は鉄製の足かせで縛って入牢させ, その者がみずからの罪を悔いるまで放っておく……となっていた。……1731年に海軍本部規則が制定された。それは, いままでの処罰を繰り返したものであったが,それを軽減しまたその手続きを詳細に定めた。死刑といった処罰は,次第に実行されなくなったが, 鞭打ち刑は19世紀中頃まで多くの軍艦では日常行事であった』とのこと。(海上交易の世界と歴史)
10月25~26日
「白鯨(中)」読了。引き続き,岩波文庫の新刊「クック太平洋探検(1)第一回航海(上)」を読んでいます。 地震続きで落ち着きませんね。
10月22~24日
「白鯨(中)」を読んでいます。まだ「白鯨」は現れませんが,当時の遠洋捕鯨の様子がリアルに書かれていて,楽しめます。 紀伊國屋書店が「ふるほん文庫やさん」と提携し絶版・ 品切文庫のネット販売を10月22日に開始。ということで見てみましたが,なんだかよく判らないページになっていました。
10月21日
しかし,驚きましたな。講談社現代新書。最近のビニールテカテカの新書群(岩波新書含む)の中にあって,長く馴染んできたデザイン, 手触りとも好感を持っていただけに,今回の改装はちょいと残念。てっきり手抜きかと思ったら,『現代新書は1964年に創刊されました。 おかげさまで創刊40周年の節目を迎えることができました。40年の長きにわたりご愛読いただいていることに深く感謝いたします。 このたび,40周年を機に装幀を一新することにいたしました。現代新書が装幀を変えるのは33年ぶり2度目のことです。・・・ 新書は新しい思想や文化や価値観や情報を,いち早く,わかりやすくコンパクトに提示できるメデイアです。 そういう新しい時代に向き合う姿勢を,今回の新装幀に託しました。新刊は,どれも新しい教養書と呼ぶにふさわしい内容です。また、 装幀も一冊一冊異なる色をほどこしてあります。ぜひ,手に取ってみてください。そして,今後とも,現代新書をかわいがってやってください』 とのこと。釈然とはしませんが,たしかに新書は中身が命。だけど,肝心な新刊も読みたいものが無く,インパクトに欠けると思うのですが・・・ 。岩波文庫の新刊「白鯨(中)」を読んでます。
10月19~20日
先日,愛子様のビデオが公開された。やはりというか,『愛子さまご愛読絵本フェア』 なるものが。『もりのこえ』『ちいさなうさぎはんしろう』ほか,ビデオに登場した本を中心にご紹介とのこと。 『うずらちゃんのかくれんぼ』はなんと全国書店売り上げ第3位だ。ビデオでの浩宮様はほほえましくてよかったが,この本は, 誰が選んだのだろうか?
10月18日
光文社文庫江戸川乱歩全集の新刊「月と手袋」を読んでいますが,鼻炎で苦しいため捗らず。本巻には「月と手袋」,「影男」, 「灰色の巨人」,「黄金の虎」を収録。新橋駅前では恒例の大古本市を開催中。覗いてみたが,古い文庫本は全然無かった。 台風は近づいているし,最近の大古本市はホント天候に恵まれませんな。
10月13~17日
風邪気味なのに忙しかったのと,読みたい本が出なかったため,先週は本棚から古い本を引っ張り出して読んでいました。そのうちに, Dr.スランプの文庫版がドサッと出てきて,最近テレビの再放送を見ている息子が,次々と読破中。今月の岩波文庫は,クックの「太平洋探検 (1)」,や先月読んだ「白鯨」の続き,改版された二葉亭四迷の「浮雲」,それから「浄瑠璃素人講釈(上)」と,なかなか楽しそう。「浮雲」 は旧版で読んでいますが,今回は語注が詳しいとのことで,もう一度読み直そうかと思っています。
10月7~12日
連休中は台風で大変でしたね。我が家でも庭木が倒れたり,若干の被害が。角川文庫「添乗員狂騒曲」(岡崎大五)を読みました。 修学旅行や熟年ツアー,代議士後援会の視察など,海外旅行のフリー添乗員である主人公が, 旅先で出会う数々のアクシデントを乗り切っていくお話。業界裏話や各国事情も少々ありますが,結局,魅力ある添乗員には, 臨機応変な決断力と厚い人情が必要ということですな。ここのところ添乗員とは縁のない私ですが,これを読むと団体旅行の面白さ, 難しさというのがよく判ります。
10月5~6日
ちくま文庫「鉄道廃墟」(丸田祥三)を読む。鉄道廃墟というのは,廃線になったり, 未開通のままうち捨てられた鉄道構造物や車両のこと。私より年下の著者は写真家だが,文中しばしば戦争にまつわる話が出てくる。 社会派風切り口なのだが,所詮,和光育ちのお坊ちゃん鉄道マニアという感じになってしまっている。もう少し淡々とした語り口にしてくれたら, 物寂しくも美しい写真が活きてくるのに,と残念。
10月4日
岩波文庫からヴェブレン「有閑階級の理論」が重版された。随分前に読んだものだが,なかなか息の続かない白帯の中で, とくに興味を持てたものの1つ。「資本主義の独占化に伴なう貸付資本の形成の中に現代の有閑階級出現の理由を見出し, 彼らの心理風俗を克明に分析していく」ということで,要は,たいして働きもしないでブラブラ遊んでばかりいるのに, なぜあの人はお金持なのか? また,これまで何で女性は男性の持ち物(失礼)のように扱われてきたのか?など, いろいろ面白い考察がなされている。やっぱり「有閑・・・」という言葉には惹かれますな。
10月1~3日
週末は小学校の運動会。新興住宅地でもないのに,息子の小学校はここのところ生徒数が増加し,1000名を突破。 冷暖房付きのプレハブ校舎を増築し,急場をしのいでいる。40年近く前,2000名を超えていた我が母校に比べれば寂しい・・・ とはいうものの,生徒たちは元気よく頑張っていました。ちなみに,私が小学校の時,徒競走ではゴム底の地下足袋を履いていましたが, 3つ違いのカミサンは運動靴だったとのこと。給食が脱脂粉乳だったことも含め, 我が世代は戦後の復興期から高度成長時代への移行期だったとあらためて感じた次第。
図書券が廃止になるという。いずれ図書カードへの移行によりなくなるとは思っていたが,カードより使いやすい点もあり残念。
おもしろいのは,時期が地域によって違うことで,山陰地方はすでに昨年11月,東北,中国,四国は今年8月で廃止となっている。もちろん,現在手持ちの図書券や他府県で発行された図書券は,今後も使えるし,500円の図書カードの販売も始まった。
夕刊フジBLOGにおもしろい記事があった。
『個性派書店として根強いファンがいた青山ブックセンターの閉店でもわかるように、書店の閉店・倒産が相次いでいる。ここ5年で約4000店も減少しているというデータもあるほどだ。ポーラ化粧品本舗グループだったブックストア談を傘下に収めるなど、大手書店として株式を上場している文教堂。その売り上げ総利益(粗利益)率は19.7%である。逆にいえば、原価は約8割。文教堂の場合は80.3%であり、これに売り上げに占める賃借料など販売費および一般管理費18.4%を合わせれば98.7%になり、営業利益はわずか1.3%ということになる。一般書店は利幅が薄い商売だということがわかるだろう。一方では、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション、まんだらけ、ブックオフなど、粗利はそれぞれ37.8%、52.3%、71.6%。一般書店と比べて驚くほど高い。たとえばブックオフの場合、古書の定価は新刊の半分程度である。新刊で1000円したものを古書500円で販売しているとすれば、粗利は360円弱。店に買い取りしてもらう側からすれば、1000円の本は140円、実際には定価の1割程度でしか買ってもらえないということ。』
新興古本屋の活躍が目立っているものの,新刊が売れなければ古本もいずれ無くなる訳だが・・・。
9月22~27日
岩波文庫の新刊「お伽草子」(太宰 治)を読む。カチカチ山,浦島太郎,こぶとりじいさんなど, よく知られた昔話を太宰流に読み解いていく。童話や昔話を深読みして,そこに秘められた意味を探る・・・というような本は,あまたあるが, これはあくまで太宰流。「こぶとりじいさん」では,『この物語には,不正の事件は,ひとつも無かったのに,それでも不幸な人がでてしまった。 それは日常倫理では測れないことであり,性格の悲喜劇というものである』といい,「カチカチ山」は, 狸の背負った薪に火を付け大やけどを負わせた上に,芥子を刷り込み,最後は泥船で沈めてしまうというウサギの異常な仕打ちを, 37