12月27~31日
さて,今年もいろいろありましたが,まずは無事に年が越せそうです。休みに入り, 子供と一緒にラジコンのツーリングカーなど組み立てながら,岩波文庫「近世風俗志」の第5巻を読んでいます。この最終巻には,食べ物(みそ, 醤油,酒から天ぷらや菓子まで),食器,傘,履き物(草履や下駄),駕籠,芝居などが収録されており,江戸庶民の生活百科として, あちこち拾い読みしているだけでも面白い。来年もまた良い年でありますように。一年間ありがとうございました。
12月26日
角川文庫の新刊「ベトナム怪人紀行」(ゲッツ板谷ほか)を読む。「2年前,オレはベトナムに完敗した・・・」。苦い思い出を胸に, ゲッツ板谷とカメラマン鴨志田,なんとなく弱気な現地コーディネーター鈴木の3人が,ベトナム各地で大暴れ(前作はベトナム乱暴紀行)。 不味い食事とサービスのかけらもないホテル,貧しいが意地っ張りでプライドの高いベトナムの人々。やる気のないだら~んとした空気の中に, なぜか常に漂っている哀愁。同じ民族同士で激しく戦った北ベトナム,南ベトナム,ベトコンの兵士たちも,いまは歳をとり, ともに市中で生活している。しかし,乱暴なインタビューで彼らの重い口を開けさせると, そこにはまだフランス植民地時代からつづく戦争の傷跡が色濃く残っており,いつもは傍若無人なゲッツ板谷も,さすがにシュンとする場面あり。
12月25日
角川文庫の新刊「できるかな」(西原理恵子)を読む。ご存じサイバラが,自作検知器を持っての事故後「もんじゅ」訪問, タイにいる旦那の現地マンション購入レポートやそのご近所生活,気持ち悪さ満杯の釣り紀行,過激な岸和田だんじり体験,怪しいロック・ コンサートのライブなどなどを過激マンガで描く。元本は1998年に読んだが,文庫本で二度読みしても笑える本。
12月24日
朝日文庫「遁げろ家康」(池宮彰一郎)の記述の一部に,故司馬遼太郎「覇王の家」(新潮社) と類似した部分が複数個所あることが分かり,池宮氏は「家康関係の資料と先輩作家の作品が混ざってしまった」 と司馬さんの遺族に謝罪文を送った。朝日新聞社は25日付で絶版とし,自主回収するとのこと。朝日新聞社によると「今年9月, 類似点が多いとの読者の指摘を受け調査していたが,登場人物の発言や場面の描き方で似ている部分が相当数あった」という。「遁げろ家康」 は97年週刊朝日に連載され,単行本が約9万部,文庫本は約8万部出版されている。
12月21~23日
3連休ではありましたが,天気が悪かったこともあり,床屋へ行ったり,写真を現像に出したり,近所の焼き肉屋へ行ったりと, 地味に過ごしていました。クリスマスのケーキはすでに食べてしまったし, プレゼントも用意したし....あとは無事に年が越せることを願うのみ。今年は「討入り」から300年目とのことで,忠臣蔵?という人には, 岩波文庫「元禄快挙録」(全3冊,福本日南)をお薦めします。浅野内匠頭の刃傷から赤穂浪士の吉良邸襲撃・切腹まで, 忠臣蔵事件の全貌をまとめたもので,講談調の忠臣蔵に馴染めない方でも興味を持って読めること請け合いです。
12月20日
岩波書店によると,2002年の文庫売り上げベスト10は,(1)「武士道」(新渡戸稲造),(2)「君たちはどう生きるか」 (吉野源三郎),(3)「ハムレット」(シェイクスピア),(4)「子規を語る」(河東碧梧桐),(5)「法然上人絵伝」(上),(6) 「回想 子規・漱石」(高浜虚子),(7)「こころ」(夏目漱石),(8)「ドーミエ諷刺画の世界」,(9)「論語」,(10) 「ヘルダーリン詩集」,とのことです。ちなみに,本年度の私のベストは,(1)「新編 みなかみ紀行」(若山牧水),(2) 「パロマーの巨人望遠鏡」(ウッドベリー),(3)「新編 作家論」(正宗白鳥),(4)「新編 春の海」,(5)は,「回想 子規・漱石」 (高浜虚子)と「子規を語る」(河東碧梧桐)をあわせて,といった感じでしょうか。次点は改版された「怪談 牡丹燈籠」(三遊亭円朝) と刊行途上の「デイヴィッド・コパフィールド」(ディケンズ)ですね。
12月19日
今年もあと2週間。たまには書棚の整理を,と思ったのだが,ここのところ旧岩波文庫に巻いてあるパラフィン紙の風化? が急速に進んでいることに気がついた。購入してから20年以上経ったものが,べつに傷を付けたわけでもないのに, そこここに穴があき始めている。この辺が寿命なのか,と思うが,なんとなくうらぶれた感じの書庫になってしまった....。
12月17~18日
集英社新書の新刊「天才アラーキー写真ノ時間」(荒木経惟)を読む。最近の作品をライブ(というより咆哮)風に, 撮影状況や狙いをアラーキー自らが解説。「普通は,モノとかにピントを合わせるってよく言うじゃない。 あたしはコトにピントを合わせるって言うけどさ。・・・」,「写真は顔だから,うまいかどうか見るときに,顔を撮らせれば分かりますよ。 顔を撮れてるヤツはほとんどいないだろ。・・・」なにか言い放題ヤリ放題てな感じもするけれど,夫人を亡くして以降, 荒木氏の心境の変化が伺える本。
12月16日
岩波文庫「近世風俗志」(守貞漫稿)の第5巻が12月に出て,ようやく完結。6年越しの刊行だったので, この前はいつ出たのか忘れてしまった・・・。第5巻には,80ページをこえる詳細な索引が付いているとのことで, あらためて面白そうな項目を,じっくりと読んでみたいと思います。
12月13~15日
日曜日には,子供の友達がたくさん集まって,我が家でクリスマスパーティ。まあ,親も子供もたいへんな騒ぎでありましたが, これも1つの気晴らしにはなりますな。文春新書の新刊「ウィーン・フィル 音と響きの秘密」(中野 雄)を読みました。この手の本は, 昔から聞き飽きたような話を偉そうに書いてあるだけ,ということが多いので,書店でちょっと躊躇しましたが,これはお薦め。 小澤征爾の音楽監督就任で話題となっているウィーンフィルの歴史や,過去の指揮者達との関係を, 新旧の楽員達からの聞き書きにより描いており,演奏家ならではの示唆に富んだ話が多く,楽しんで読むことができました。
12月12日
朝日文庫の新刊「東海林さだおの大宴会」を読む。ご存知「丸かじり」シリーズの傑作選第3弾。 とうぜん中身は読んだことのあるものが多い。それでもまたまた楽しく読めてしまうのが,東海林さんの芸の力。もちろん,丸かじり・・・ を未だ読んだことのない人には,分厚いけれど入門編としてお薦め。
12月11日
もう1つ,えい文庫の新刊「あの時代,オーディオへの憧れを今再び 憧れ探求隊編」を読む。 1970~80年代に名器とうたわれたスピーカー,アンプ,ターンテーブルなどを写真入りで解説。JBL4343をはじめ, Mcintosh,Accuphase,Luxmanなど,オーディオ少年のあこがれだった懐かしい機器にご対面。憎いことに, 現在の中古価格も書かれていて,当時夢でも手に入らないと思っていたものが,今ならどうにかなりそうな気にさせてくれる・・・。 衝動買いのクセのある方,ボーナス貰ったばかりの方は,心して読まなければならない。
12月10日
えい文庫の新刊「ライカとモノクロの日々」(内田ユキオ)を読む。月刊カメラマン誌に連載していたフォトエッセイをまとめたもの。 デジタルカメラの隆盛で,フィルムカメラ自体の存続が不安な現在,モノクロフィルム(とライカ)で撮ることにこだわる著者が, 自らの写真歴と,モノクロ作業ならではの暗室作業の楽しみを語る。私自身は最近,モノクロを使うことはほとんど無いが,これを読んだら, また撮りたくなってきた。モノクロでのほのぼのとした暖かみのある写真は,眺めるだけでも嬉しい。
12月9日
東京は珍しく本格的な雪で,我が家でも子供が小さい雪だるまをいくつか作っていました。そんな中,岩波文庫の新刊「新編 春の海― 宮城道雄随筆集」を読んでほのぼのとした気分に。「水の変態」や「春の海」などの箏曲で知られる宮城道雄氏は,西洋音楽にも造詣が深く, その要素を邦楽に導入することによって,新しい日本音楽の形をつくり,現代邦楽の基礎を築きました。琴の大家,というイメージとは別に, 本書には冗談好きで賑やかなところが好きだったという著者の人柄がよく現れていて,楽しく読むことができました。 戦前の林 芙美子との対談もおさめられています。
12月6~8日
週末は箱根の温泉へ。我が家から箱根湯本まで電車で1時間弱,そこから登山電車とロープウェーで桃源台のホテルまで行ったのですが, あいにくの雨模様で,ロープーウェーは文字通り五里霧中。夕方からは雪となり,紅葉に降り積もる雪を眺めながらの露天風呂は, なかなか風情があって良かったです。
12月5日
書店で「村山槐多耽美怪奇全集」(学研M文庫)が出ているのを見かけて,その分厚さに驚く。槐多は,放浪と退廃的な生活の末, 1919年22歳で夭折した画家。詩人や伝奇作家としても多くの作品を残した。この一巻本選集には, 津原泰水による槐多の生涯を描いた中編小説も併禄されているのでお薦め。ちなみに槐多の「悪魔の舌」,「殺人行者」は,青空文庫で読むこともできる。
12月3~4日
ずっと風邪気味で,読書欲が減退気味。せめて食欲増進に,という訳でもないが,新潮文庫の新刊「東京名物」を読む。団子,たいやき。 佃煮など,江戸情緒を残す東京の名物78点と,東京の社寺の楽しい「縁起物」13点を紹介。映画監督でもある著者・早川 光氏は, 東京土産の安易なカタログではなく,マイナーでも職人のこだわりが感じられる逸品を選んでおり,ちなみに団子では, 羽二重団子でも言問団子でもなく,千住の槍かけだんご,が取り上げられている。
12月1~2日
今月岩波文庫で復刊される「アイヴァンホー」。騎士道物語好きな人にとっては,ワクワクする物語です。アイヴァンホーは, ノルマン支配下のイングランドで,サクソン王家の復興を熱望する大地主セドリックの一人息子として生まれた美しい青年騎士。 サクソン王家の血を引くロウィーナ姫と恋仲になったため父に勘当されたアイヴァンホーは,敵のノルマン・リチャード1世(獅子心王) に仕えて十字軍に参加し,数々の武功を立てる。巡礼に身をやつし,何くわぬ顔で父の邸に入ってもてなしを受け, ロウィーナと言葉を交わしたりしていたが,槍試合の日に勝者となったことから正体がばれてしまう。この試合で大けがを受けた彼は, 美しいユダヤ娘レベッカに介抱されるが,ロウィーナへの思いは絶ちがたく,やがて勘当が解かれ, ロウィーナ姫と末永く幸せに暮らしました....というめでたいお話。獅子王リチャードが変装する黒衣の騎士や,ロビンフッドなど, とにかく騎士道精神あふれるカッコいい人ばかり出てくるので,クリスマスに読む本としてもお薦め。
えい文庫の出版元であるえい出版社は,(株)ライダースクラブと(株)
東邦出版社が平成12年に合併してできた新しい会社である。ライダースクラブはその名の通り,
バイク関係の専門出版社,東邦出版社は,かつては社会主義的な本も出していたと記憶しているが,合併以降は,
趣味本に専念している。
出版点数は,毎月5~6点で,2002年10月の創刊から,これまでに70点ほどを刊行している。バイク, 自転車を中心に,カメラ,インテリア,グルメなど,いわゆるムックを文庫化したようなビジュアル重視の本作り。 それでも好きこそものの上手なれ,決して有名な執筆者ではないが,ユニークな企画と, 小型化されても読みにくさのない巧い本作りで,売れ行きは好調とのこと。各書店でもマイナーな扱いながら, よい場所を確保しているようだ。
最近,レストランやスクールなど多角経営にも乗り出しているが,この文庫シリーズは長く続けて欲しいもの。
11月28~30日
土曜日,息子のベッドが届く。琵琶湖のほとりに工房を構える金属造形作家・茗荷恭介さんに特注したもので,海外での個展の合間を縫って時間を作って貰い,ようやく完成。感謝。我が家の狭い部屋に置いた感じは,ベッドというより,どんなことをしても壊れない「大きな鉄の造形作品」。立派だが,ちょっと笑える「一生もの」。
写真家・大西みつぐ氏の新刊「デジカメ時代のスナップショット写真術」(平凡社新書)を読みました。タイトルは,デジカメ時代の・・だが,中身はスナップショットとは何かという考察と基本的な技法です。作者によると,『これはデジタルカメラの使い方についての本ではありません。デジタルカメラで撮る「写真」がなんともスナップショット的で,案外ここに出発点があるのではないか,それでは「スナップショット」とはなにか,さらにスナップショットはなにを映し出してきたのか,そしていったいどのように撮ればいいのか,銀塩,デジタルという垣根を乗り越えて,スナップショットの面白さを解説しました』とのこと。
スナップショットにおけるデジカメの有利さは,第一にコストを気にせずにどんどん撮れるということで,一連の撮影の流れの中で的確なショットを選ぶ,というスナップショット術には適した機材だと考えられています。フィルムカメラの場合はここは何枚も押さえておきたいと思っても,フィルムの残りやコストを考えて,この程度でよいだろう,と思ってしまうことが多いのですね。
11月27日
いとうせいこう・みうらじゅん「見仏記 親孝行篇」(角川書店)を読む。「Hot Wired Japan」のCULTUREコーナーで連載中の「見仏記」がもとになっているが,シリーズ4作目になる本編は,おなじみ仏友二人っきりだけではなく,タイトル通り,親孝行プレイを実践している見仏旅行なども収録されている。このご両親あってこの息子達あり!という感じで,ユニークで楽しい仏像見学の旅。笑っているうちに知らず知らず仏像の知識が身に付く,お役立ち本でもある。
11月25~26日
静岡大学へ出張。出版科学研究所によると,10月の書籍売上は「ハリー・ポッター」の影響で前年同月比18.4%増だという。それは確かにすごいが,全国書店組合の理事会議事録を読むと,『ハリー・ポッター第4巻について,「買切り商品なのに委託と同じ普通正味ではおかしい」という意見があがり,東京組合青年部からも抗議声明が出されたことが紹介された。
下向取引委員長は「静山社から7月に発表があり,この間の日書連理事会は9月だけだった。日書連の中で議論を深めたい」と説明。萬田会長は「買切りでもいいから本を送ってという中小の声もある。流通委員会で責任販売制の議論に入っており,検討を続ける」としたほか,藤原流通改善委員長は「買切りのリスクを負うなら正味安は当然だが,具体的な数字になると意見が別れる。次回までに静山社と取次に経緯を聞いて報告する」と述べた。』とあった。
11月22~24日
週末は寒い中,七五三でまだ賑わっている写真館で記念写真を撮りました。息子は,タキシード姿で相当緊張していたようですが,普段とは違う雰囲気で,なかなか良かったです。結構な出費ではありますが,まあ,何十年かして,多少親の気持ちもわかってくれれば....。一方,親しくしていた叔母が亡くなり,水曜日にお通夜の予定。最近身近でお悔やみをいう機会が多く,なんとなく意気消沈。
11月21日
神田神保町のスターバックスでボケッとしているうちに,コパフィールドを読み終わったので,近くの三省堂で,買い洩れていたカメラジャーナル109号と最新号を入手。寒空のせいもあるが,活気があるのはスポーツ店ばかりで,古書街はなんとなく閑散としているような。
11月20日
電卓を買った。ソーラー式の関数電卓。普通の経理用の電卓なら,いくらでも転がっているのだが,我々電卓第一世代(小学生の時,カシオの3桁電卓に衝撃を受けた世代)にとって,プログラマブルの関数電卓は,夢の電卓なのだ(マイコンが出るまでは....)。私はいまだにそれを引きずっていて,今となってはほとんど用なしの関数にこだわっているわけです。実用的にも,数式通りに計算できる関数電卓の方が,慣れていて使いやすいのですね。
岩波文庫の新刊,ディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」(3)を読んでいる。いまは,スペンロー家の令嬢ドーラとの秘密の婚約と,旧友スティアフォースと幼なじみエミリーの駆け落ちの場面。引っかかりのないスムーズな訳なので,200page/h程度ですっ飛ばしていても,充分に感動できる。あ,またあまり早く読んでしまうと,次のが待ちきれないな(第4巻は1月予定)。
11月19日
『東京創元社文庫復刊フェア』 東京創元社の恒例〈文庫復刊フェア〉,今年は,証拠が問題(ジェームズ・アンダースン),ガーデン殺人事件(ヴァン・ダイン),マギル卿最後の旅(クロフツ),動物好きに捧げる殺人読本(パトリシア・ハイスミス),心憑かれて(マーガレット・ミラー),彼方(ユイスマンス)以上推理文庫。地の果てから来た怪物(マレー・ラインスター),未確認原爆投下指令(ユージン・バーディック),究極のSF(E.L.ファーマン編),20億の針(ハル・クレメント),一千億の針(ハル・クレメント)以上SF文庫。ちなみに編集部によると,「今回復刊されたもののうち売れ行きのよかった著者は来年の復刊フェアでまたお目見えする可能性大」とのこと。なんだ!と思うが,この中で私自身の注目は,ユイスマンスかな。
11月18日
新しい通勤靴を買ったのはいいが,やっぱり靴ズレが....。ニフティーはbk1と提携し,オンライン総合書店「@niftyBOOKS(アット・ニフティブックス)」を開設した。12月25日までオープニング記念の送料無料キャンペーン中。特徴は,『国内最大200万タイトルの書誌データベースと2万本を超す独自の書評データベースを備え,約3万タイトル100万冊の在庫を保有する一方,取次5社と在庫データを共有化し,お客さまのご要望にお応えする出荷体制を整えております。コンビニ決済やクレジット決済など,一般的なお支払い方法のほか,@nifty IDとパスワードで支払う「iREGi(アイレジ)」が使えます。すでに@niftyのIDをお持ちの方は,その@nifty IDでお買物ができますので,クレジットカード番号入力の手間も送信の不安もありません。お支払いはアット・ニフティに届けた金融機関からとなり,万が一の不正利用でも最大10万円まで補償もついて二重の安心です。@nifty IDをお持ちでない方は,月額基本料無料の@niftyIDを登録することで利用できます』とのこと。通常1500円以下で250円の送料(Amazonは240円)と在庫量の豊富さとの兼ね合いだが。
11月15~17日
週末は寒かったですね。幼稚園で恒例のバザーがあり,狭い園庭に父母や近所の人が詰めかけ, なかなか盛況でした。我が家では,これにクッキーを出品したため,ここしばらく,おやつは試し焼きのクッキーばかりでした。
集英社新書の新刊「「明星」50年601枚の表紙」を読む。おなじみ,といっても最近は全然見たこともないのですが,月刊「明星」がこの10月号で創刊50周年を迎えたそうで,本書はその表紙601枚をすべて収録したもの。各年代ごとの特徴を,橋本 治氏が解説しているのだが,パラパラと表紙を見ていけば一目瞭然。1950年代映画スターの時代から,テレビ時代,アイドル時代,ふつうの女の子時代を経て,いまはジャニーズの男の子達100%である。我が青春の70年代前半は,篠山紀信氏がインパクトのある表紙写真を撮っていた頃で,山口百恵,桜田淳子,郷ひろみ,とアイドルの黄金時代であった。もちろん,八千草薫,美空ひばり,西郷輝彦,橋 幸夫など,往年のスターの若き日の写真も満載なので,老若男女問わず楽しめる。
11月14日
集英社新書の新刊「歌声喫茶灯の青春」(丸山明日果)を読む。歌声喫茶とは何ぞや?という人は,ここへ。著者は,昭和30年,歌声喫茶第1号として開店した「灯」の創立メンバーで歌唱指導者であった丸山里矢さんの娘。本書は,母親の若き日のことを何も知らなかった著者が,ふと見つけた一枚の写真をきっかけに,歌声喫茶界の人気者として雑誌にもしばしば取り上げられていた母親の過去を知るべく,当時の「灯」関係者を訪ね,聞き書きをまとめたもの。当時を知る人にとっては(きっと)懐かしく,私のように縁のない世代にも,歌声喫茶に渦巻いてきた今の若者達とはまったく違う熱気が感じられる楽しい本。
11月13日
岩波文庫の復刊がそろそろ書店に並ぶ頃だと思うが,今回は古いところで,「珊瑚集-仏蘭西近代抒情詩選」(永井荷風訳)や「西東詩集」(ゲーテ),「朝鮮民謡選」(金素雲訳編),「春夫詩抄」(佐藤春夫)など詩歌集が面白い。「珊瑚集」は,ボードレールやヴェルレーヌなどフランス近代詩人の作品を,荷風が美しい日本語で訳出したもの。華麗な上田 敏の「海潮音」や,ハイカラな堀口大學と比べて,着流しの詩人風の粋で優しい文体が心地よい。
11月12日
えい文庫の新刊「湘南の暮らしと家」を読む。ビーチ・サイド・スタイルと副題にあるように,海の近くで生活する人々(サーファーやヨットマンが中心だ)の家を,そのライフスタイルとともに取材したもの。ビーチフロントで暮らす,古い家での新しい暮らし,地元建築家・ホームビルダーが建てた家,湘南のドリームハウス,湘南で暮らすということ,の各章から成り,なぜ彼らが海にこだわるのか,決して便利ではない湘南の魅力はどこにあるのか,を解説。
『家よりも外という外向き志向の時代を経て,生活の基礎である家の重要さが見直される時代を迎えている。そして,生活の中心を家と考えるのであれば,周辺の環境も大切にしたいと思うのは当然である。もちろん,それが湘南でなければならないというわけではない。『湘南スタイル』を手にした読者が,「今日は外で飲むのはやめにして早く家に帰ろうかな」と思ったり,「今度の週末は家で家族と一緒に過ごそう」
と感じてくれたらというのが,この企画のもうひとつのテーマなのだ』 皆さんの家はいかがですか?
11月11日
新潮文庫の新刊「精神科に行こう!心のカゼは軽~く治そう」(大原広軌,藤臣柊子)を読む。ストレスがたまって,辛くなったとき,どのようにしてそれを解消するか。ある人は飲酒だったり,ある人は暴力!だったり...。雑誌編集者である著者は,27歳の時に突然パニック障害の発作を起こし,その後,針や飲尿などさまざまな治療を試みるが長く効果が続かず,最後に思い切って精神科の門をたたく。そこは,それまで思っていた暗く恐ろしいイメージとは違って,明るく楽しく役立つところだった。パニック・ディスオーダーの体験や治療法など,実用的な情報もあり,「誰にでも役立つ」本なのだが,精神科に集う人々や,患者達のクスリ自慢まど,体験者ならではの話題が豊富。うつ病で同じく精神科に通っている漫画家・藤臣柊子のマンガも楽しい。
11月9~10日
幕張メッセへ行って来ました。子供に大人気のベイブレード・フェスティバル2002。ドラシェルV2が先行販売されるというので,朝早くから出かけ,これも先行販売されたラジコン式のベイブレードが早々と売り切れになるのを横目に,入場待ちの長い列に。
普通の子供向けのイベントだと,母親と子供というのが多いのですが,さすがにこの日はほとんどが父親と一緒で,出場する小学生選手を熱く応援。わが息子は,まだ出場資格もないチビなので,さっそく買ったドラシェルV2を組み立て,会場の内外でところかまわず回しまくり,みんなの迷惑となっていました。ラジコン式のRCベイブレードも体験したのですが,自由自在に加速や逆回転させることができるのには感心しましたが,これはもう「ベーゴマ」じゃないですな。帰りはポケモンセンターにも寄って,ご機嫌で帰宅したところ,カミサンは,テレビゲーム完全クリアの挑戦真っ最中。我が家は,なんなんだ。(写真は我が愛機バーニング・ケルベロス)
11月8日
誕生日,だが一つ歳をとっただけで,何もないのだ。何もないのが無事な証拠か。中公文庫の新刊「野球は言葉のスポーツ」(伊東一雄,馬立 勝)を読む。絶版となっていた新書の文庫化だが,これが野球ファンじゃなくても面白く読める。大リーグの歴史を彩った名選手・迷選手たちの名言をもとに,野球では言葉によるイメージ作りがいかに大事かをわからせてくれる。近年,なにかとサッカーに押され気味の野球だが,まだ球場からの実況中継ができなかった昔,ラジオ局のスタジオに待機したアナウンサーの元に,球場から一球ごとに電報が届けられ,予め録音された球音や歓声ともに放送されていたことなど,サッカーでは真似できないんじゃないかな。ちなみにトラブルで電報が不通になってしまったとき,アナウンサーは,復旧するまで打者にファールを打たせ続けたという....。
11月7日
もう一点,宮嶋カメラマンの新刊文庫「不肖・宮嶋 踊る大取材線」(新潮文庫)を紹介。自ら報道カメラマンのためのバイブル?と呼ぶ「踊る大取材線」が文庫化された。子供の頃,初めて撮影した写真,鉄道写真に命をかけていた頃,赤尾 敏に死ぬまで密着し,オウム真理教の信者にはどつかれ,金丸 信は秘書まで追いかけ回し,リクルートの江副社長の得意満面な新入社員歓迎ダンスをスクープ。フォーカスや新聞社の記者やカメラマンとの鬩ぎ合いや連帯感。取材裏話満載の楽しい本。
11月6日
新潮文庫の新刊「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」(村上春樹・村上陽子)を読む。以前,平凡社から出たものの文庫化。シングルモルトウィスキーの本場,アイラ島とアイルランドの訪問記である。ウィスキー好きにとって,蘊蓄話としては物足りないだろうが,ボウモアやラフロイグなどよく知られている蒸留所の人々とのふれ合いが興味深い。夫人の撮影による写真からも,厳しくも美しい自然と,ウィスキーとともにある人々の暮らしが感じられる。私のパソコンの横には,いつも封を切られた何本かのウィスキーが置かれている。ゆったりとした時間の感覚を味わえるのは,ウィスキーならではだ。アイラ島については,ここが詳しい。
11月5日
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(静山社)が,11月13日配本分で5刷300万部を超えるとのこと。ええと,3800円×300万部は・・・。恐ろしいことですな。今回,下巻の表紙(ダン・シュレシンジャー画)は,一切公表されていない。ストーリーの重要な部分を描いており,買った人だけのお楽しみ!というわけですが,さて我が家の本で確かめてみようと思ったら,カミサン,まだビニールも破ってないや。
11月1~4日
不肖・宮嶋のネェちゃん撮らせんかい!3連休中,近所の湘南工科大学と東海大学の大学祭に行ってきました。といっても,目的はお勉強ではなく,フリーマーケット。それも遊戯王とポケモンカード...。湘南工科大学では,子供の要らなくなったカードがかなり売られていて,息子はひとりご機嫌でした。この間,いま最も有名な報道カメラマン宮嶋茂樹氏による「不肖・宮嶋のネェちゃん撮らせんかい!」(文春文庫PLUS)を読みました。宮嶋氏の今回の任務は,ボスニアへ赴き,いまだ硝煙けぶる各地で「美女図鑑」の撮影を敢行すること。不謹慎きわまる抱腹絶倒の美女撮影記でありますが,男達は戦争で傷つき,食糧不足に悩みながらも,綺麗に化粧をし,
センスの良い服を着る女性達。ひとけのないホテルのレストランで生演奏と共に出てくる高価なフランス料理。我々の知る戦時下の生活,すなわち太平洋戦争当時の日本からは想像できない現代の都市戦争の姿がここにはあります。宮嶋氏はそれを,腐っても文明国は文明国。カンボジアなどとは違う,と言うのですが。
10月31日
「図書」11月号を読みましたが,巻末に岩波文庫の赤・黄・白帯の在庫一覧が掲載されています。ざっと見たところ, 450点くらいが現役ですか。ロシア文学が28点しかないというのも寂しいですね。「岩波文庫目録」の最新版ができたようですから, 詳しくはそちらをどうぞ。同じ号に収録されている丸谷才一氏による岩波新書創刊にまつわる話も面白い。
10月30日
カメラジャーナルBOOKS(6)「GR読本2-21ミリ欧州大決戦編」を買いました。写真撮影に関しては素人である編集長と, 写真評論家の石原 俊氏とがヨーロッパへ行き,GR21というちょっと高級なコンパクトカメラで写真を撮ってみる,という趣向。はたして, ちゃんと撮れるのかどうか。『いつも作例を撮っている田中長徳氏の写真がうまいのは当たり前なので,それを見ても,読者の皆さんは 「いいカメラですねえ」と思うよりも,「さすがプロだ,うまいなあ」と思ってしまうのではないか。つまり,カメラの本当の性能は, プロではなく素人に撮らせてみたほうが分かるのではないか。この仮説を実証すべく,私たちはルフトハンザでヨーロッパに飛んだ。はたして, GR21は「プロにしか使いこなせないカメラ」なのか,「素人でもいい写真が撮れることのあるカメラ」なのか。結果については, 読者諸兄のご判断におまかせする』ということで,それらの写真に対する長徳氏の評価は, 『かなりのちゃんとした写真が撮影できたことには驚愕』。長徳氏による広角レンズを使用する際の注意,は実際的で参考になります。
10月29日
やっと買いましたよ,「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」。昨日までの品切れが嘘のように,近所の書店に山積みされていました。 買うときは気が付かなかったけれど,これは不自然な2分冊なんですな。いや,上下に分かれていることは知っていましたが, そもそも定価が2冊セット3800円しか設定されておらず,事実上分売不可なわけです。2冊セットでビニールパックされていて, 下巻のカバーに定価3800円。さすがに強気ですね。岩波文庫だったら,箱入りセット販売のものでも,書店に並ぶと分売されて歯抜け状態, ということが多いですから....。
10月28日
高校時代,世界史を選択しなかった私の知識は中学生以下なので,高校の先生が世界史の授業を再現した「世界史講義録」で勉強中です。 実際にこれだけの授業をやるのは大変だろうなぁ,と感心すると同時に,せっかくこれだけの情報量があるのだから, もう少し読みやすいレイアウトなら,なお楽しいのではないかと感じました。
10月25~27日
前日準備の際にはちょっと雲行きがあやしかったけれど,27日は快晴に恵まれ,延び延びになっていた運動会が行われました。 去年に比べて,出番は少なかったものの,騎馬戦なんて,二十数年ぶりにやりましたね。バイクやカメラなど趣味のムックで知られる 「えい出版社」より,『趣味の世界を応援する雑誌,ムック,書籍を刊行し続けてきた弊社だからこそ作れる文庫。それが「えい文庫」です。 既存文庫の枠にとらわれないカラー頁をふんだんに使用し趣味に特化した新しい文庫のスタイルを「えい文庫」は提案します』ということで, 新しい文庫シリーズ「えい文庫」創刊(えい=木へんに世)。とりあえず,「絶対ニコン主義!-なぜ僕たちはNikonに魅了されるのか」 を読みましたが,やはりこれは読むのではなくて眺める本ですな。大きなムックを抱えなくてよいので,電車読書には役立ちそうです。 オールグラビアで680円というのも良心的か。
10月24日
「デイヴィッド・コパフィールド」(2)を読み終わってしまったので,なにか物足りない気分。かといって, 昔読んだ新潮文庫を探し出すのも癪なので,まあ続刊を待つことにしましょう。気分を変えて,講談社+α文庫の新刊「絵を描きたいあなたへ- 道具の選び方からスケッチ旅行のノウハウまで」(永沢まこと)を読みました。これは,How To本というより, 絵を描くことの楽しさを語ったもので,確かにこんな気分で描ければ楽しいだろうなぁ,と思わせてくれます。
10月23日
ハリーポッターの新作。カミサンは,帰りに買ってきてよ!なんて言いましたが,こちらの本屋じゃ, 予約していなけりゃとても手に入りません。しかし,上下合わせて3800円の本が,こんなに売れるとは....。デイビッド(2)は7割方, 読み終わりました。
10月22日
「デイヴィッド・コパフィールド」(2)を読んでいます。話はいよいよ面白くなってきましたが,睡魔には勝てず, 電車読書は捗りませんでした。そういえば,話題の「ハリー・ポッター」主役ダニエル・ラドクリフ君。デビュー作はデビッド・ コパフィールドなんですな。DVDも出ています。
10月21日
「読書力」お薦め文庫本百選が,岩波書店のホームページにあります。 さすがにメジャーな作品ばかりなので,読んだことのあるものが多いのですが,町田康『くっすん大黒』(文春文庫)は知りませんでした。「・・ ・「腐れ大黒」の置物が出てくるが,どうにもバランスが悪いらしく,何回起こしてもいつの間にか倒れてしまう。 本人はこれが気になってしょうがない。そのうち我慢できなくなって捨てようと思うのだが, さて不燃ゴミなのか粗大ゴミなのかが気になってしまう。そもそもこんなものを捨てて,これを見た者がどう思うかまで考えてしまい、 どうにもうまくいかない・・・」読んでみようかと思います。
きょう発売の週刊アスキー,「ニュースの海を旅する」で後藤弘茂さんが,子連れでゲームショウは死ぬほど疲れる, だけど子供の視点になれるから新鮮な驚きがある....と書いていることに同感。 世の中プレステ全盛だけれど小学生の世界はゲームキューブ中心にまわっているとか,今度のGBAのポケモンは苦戦しそうだとか, 遊戯王って神のカードがゲームについてきたとき終わっちゃたよねとか....なんか私の感覚も小学生まで下がってきていることがよくわかりました。
10月18~20日
日曜日は朝方雨模様だったので,運動会も早々と延期となってしまいましたが,その後は夕方まで薄日が差すほどで,ガッカリ。 近所の公園でサッカーをしたり,自転車に乗ったり,のんびりと過ごしました。その間,岩波文庫の「清沢洌評論集」を読んでいて, 戦前の日米関係についていろいろ知ることができました。清沢は,16歳で労働移民として渡米し,当時の米国における日系移民への偏見・ 迫害を体験しながらも,アメリカ社会における理想主義を愛し, 皇室を尊敬する愛国者であるが故に排外主義を批判し国際協調をあくまで主張した国際主義者でした。清沢は,いわゆる円満な人格者ではなく, 独学・独行が育んだ強烈な自負は,狷介や野心的態度に通じ,リベラルであることは協調性の欠如を意味しがちでした。軍国主義に反対し, 経済的合理性と国際協調を重視した清沢の主張は,戦後の日本で実現されましたが, もし清沢が敗戦直前に急逝することなく戦後も活躍していたら,おそらく彼は,非武装中立や経済主義を批判し, 安全保障上の国際協力を強調したでしょう。リベラルであることは「順境にスポイルされないこと」でもあるのです。(北岡伸一『清沢洌― 日米関係への洞察』による)
10月17日
11月より,河出書房新社「河出文庫大活字文庫」が刊行されます。第1回配本は「中国故事物語」シリーズ3冊。 判型は従来の文庫本と同様とのこと。ところで,株式会社大活字の大活字文庫(本文22ポイント) というのは知っていますか?(文庫判ではないけれど)
10月16日
駅前のひっそりとした古い旅館をみると,なんで営業が続けられるのか,と思っていませんでしたか? 「駅前旅館に泊まる・・・」 を読むと,今でも商人宿としての役割を果たしていることがわかります。廃業するのは,もっぱら後継者難だとか。続いて, 東海林さだお丸かじりシリーズの新刊「ゴハンの丸かじり」を読む。なぜカンピョウ巻きは4つ切りで鉄火巻きは6つ切りなのか, 100円ショップで買った食べ物で定食を揃えてみたらいくらになるか,おせち料理の食べ方作法,我が家だけのニラ丼,など, またまた楽しい食エッセイが満載。丸かじりシリーズは,なんと20巻目。
10月15日
ちくま学芸文庫の新刊「駅前旅館に泊まるローカル線の旅」を読む。著者によると,『「駅前旅館」と聞くと,井伏鱒二の小説「駅前旅館」 を思い出す年配の人もいると思います。井伏鱒二が描いたのは,1950年代の東京・上野の駅前旅館です。 旅館の番頭の思い出話の形で描かれたこの小説は,三木のり平,森繁久弥主演の喜劇映画としてヒットしました。1996年に出版された 「駅前旅館は生きている」(本書の元本)は,井伏鱒二以来の駅前旅館の本として(一部で)注目されました。「関東甲信越ローカル列車の旅」 というサブタイトルにあるように,この本は,駅前旅館を訪ねる鉄道旅行記です。ぼくはこの本で新たに「鉄道民俗学」という分野を(勝手に) 確立しました。しかし,今,この本は古本屋でしか見つけることはできません。出版社である「のんぶる舎」が自己破産してしまったからです。 ぼくは,のんぶる舎から,「峠を越えたヤマメはイワナになった」,「サケはシロザケ,ヤマメはサクラ」,「風は僕の案内人 (人と甲州街道と中央本線)」,「クマの村へ行った3年2組」を出版していたのですが,出版社在庫本はすべて流失してしまいました。幸い, 「駅前旅館は生きている」は,加筆分を含めた改訂版を「駅前旅館に泊まるローカル線の旅」 として筑摩書房から文庫本として刊行してもらえることになり,すでに校了,10月12日ごろには書店に並ぶ予定です。』
10月11~14日
3連休ということで,町内会の運動会に出場(来週は幼稚園の運動会だ),日曜大工の真似事などバタバタ。 あまり休んだ気がしませんでした。この間,古い文庫本以外で読んだ本といえば,マーカス・フィスターの絵本 「こわくないよ にじいろのさかな」。にじいろのさかなシリーズの最新作で,重病のこぶうおを救うには悪魔の谷の赤い海草が必要。 でも悪魔の谷にはいろんな怪物魚がいて,海で一番怖いところ。にじうおと小さな青い魚は決死の冒険に出発しますが, そこで見たものは....。最近人気の「にじうお」シリーズ,絵は綺麗だけどストーリーは馴染めないとの批判もあるが, 本書はスッキリとしたお話で子供受けも良かったよう。
10月10日
講談社は,昨年12月より旧石器捏造問題により刊行をうち切っていた「日本の歴史」01巻の改訂版を11月中旬刊行。 旧版読者には無償交換を実施とのこと。この問題では,内容見本に推薦文を寄せた作家の丸谷才一氏が,毎日新聞で 「01巻の回収を勧告し不明を詫びる」と題した異例の文章を発表し, 「こんなひどい本を含むシリーズを世にすすめた責任は到底のがれようがない」と謝罪した上で,出版社と編集者に対し回収と絶版を求めた。 また,朝日新聞「天声人語」も丸谷氏の文章を取り上げ,「回収と絶版とは,著者,シリーズの編集委員,出版社の責務であり,良心の問題だ」 と記していた。
10月9日
岩波文庫別冊「読書のたのしみ」で,漫画家の坂田靖子さんによる「吾輩は猫である」の紹介がとても面白かったので(ほかの人のは, もっぱら自分の読書遍歴の披露ですな),坂田さんのホームページを見に行ってきました。 オフィシャルページにしては,手作り感満載!ですが,なかなか話題豊富で,立原道造や小川未明についてのエッセイも。この人, ホントに紹介上手であります。
10月8日
岩波書店ホームページの岩波テーマ館「本を読もう」を眺めていて,岩波文庫「詩を読む人のために」(三好達治)がまだ「生きて」 いることを知った。1952年,52歳の詩人は,若い人々に『詩を読み詩を愛する人はすでにして詩人であります』と語りかけ,藤村,泣菫, 白秋,朔太郎,中也など近代詩人の作品について,丁寧な解説を試みている。本書は優れたアンソロジーであるとともに, 『詩は一本立ちの孤独な心でよむべきものです』という詩人の楽しい「詩の読み方教本」でもある。
10月7日
新橋駅前の大古本市では,岩波文庫もいくらか出ていましたが,戦前あるいは★値段表示の古いものは目に付きませんでした。 国立図書館の近代デジタルライブラリーが開館。 画像ファイルなので見づらいものも多いですが,書名だけ知っていてこんな本だったのか,というものもたくさんあって,なかなか楽しいですよ。 版権の関係があり,今のところ明治期のものだけです。
10月4~6日
7日~10日に新橋駅前で恒例の大古本市があり準備が進んでいましたが,ここのところ毎回雨に祟られておりますね。 とりあえず文庫本の出品状況はチェックしてきます。
カメラジャーナル114号を読みました。カメラメーカーは,銀塩カメラ(フィルムを使うカメラ) からデジタルカメラへの移行は既に終了したと考えており,あとはいつ生産を止めるかだけだ....ということで, かつてのレコードからCDへの移行と同様,急速に転換が進みそうな感じです。たしかに, 普通のサービスプリントの品質さえ今並みに確保されれば(すでにほとんどクリアされていそうです), 取扱いが面倒なフィルムを使う理由はなく,従来の資産としてのカメラをどうするか,といった問題が残るだけですね。もっとも, デジタルカメラは,デジタルビデオカメラと同様,撮影者が何もできない,という点が,最大のつまらなさではありますが, それは実用性とは関係がない話ですし。
10月3日
別冊宝島の新刊「僕たちの好きなガンダム 全キャラクター徹底解析編」を読んでいる。アムロやシャアといった主役級から, たったひと言のセリフしかあてがわれなかったエキストラまで150余名を紹介。「ガンダム」を人間のドラマとして捉え, 「ガンダムが人生の比喩なのではない。人生がガンダムの比喩なのだ」・・・ガンダムへ少しでも思い入れのある方にはお薦め。
10月2日
岩波文庫の新刊「西欧紀行 祖国を顧みて」(河上 肇)を読んでいる。およそ90年前の洋行だが, これは紀行文というより西洋文化に対する日本論である。かの地で出会った島崎藤村が「もはや私は自分の皮膚の色も,自分の髪の毛の色も, そんなことは忘れて暮らすようになった」というようにパリの生活に馴染んでいたのに対して,河上には「日本には日本固有のですね, まったくヨーロッパと違った優秀な文明があると考えなければ,私共の立場はなくなります」といった東洋対西洋の意識があらわで,藤村が 「小さな反抗心は捨てようじゃありませんか。もっとヨーロッパをよく知ろうじゃありませんか」と言うと,「愛国心を忘れないでください」 と河上から叱られたという。
10月1日
本好きには馴染みのある葦書房でとんだ騒動が。(毎日新聞)『地方出版界の雄として知られる福岡市の「葦書房」社長, 三原浩良氏が社主(前社長の元妻)に社長職を解任され,反発した従業員8人全員が30日限りで退社することになった。新社長は社主が務める。 この混乱で,同社の前途を危ぶむ声もある。同社は有限会社。関係者によると,出資金は前社長の故・久本三多氏から3人の子に譲渡されたが, 久本氏の元妻がこれを譲り受け,法的な社長の選任権は社主である元妻にある。三原氏は8月,社主から一方的に解任を言い渡されたという。 葦書房は久本氏らが70年に創業。ヤマ(炭坑)の絵で知られる故・山本作兵衛画文「筑豊炭坑繪巻」(73年),上野英信ら監修の 「写真万葉録・筑豊」全10巻(84~86年)などを出し,九州の近代史発掘に力を注いだ。94年に久本氏が死去。 親交があった三原氏が社長となってからも,水俣病研究会編「水俣病事件資料集」(96年,毎日出版文化賞),渡辺京二「逝きし世の面影」 (98年,和辻哲郎文化賞)など意欲的な本づくりで地方出版界をリードした。最近は「近世紀行文集成」(全6巻) 刊行を始めるなど年間約50点を刊行。経営は比較的順調だったという。三原氏は「残念な結果になった。 著者や関係者の方にご迷惑をかけないよう,葦書房が続くことを願っています」と話した。一方,社主は「経営が悪化している」と主張。 「来年以降も改善される見通しがないので,私なりに経営改善したい。社員が辞めることについては予想もしない事態で,引き止めようもない」 と話している。』
9月30日
残った夏休みの宿題をやってるような気分で,岩波文庫「回想 子規・漱石」(高浜虚子)を読む。松山の中学生だった高浜虚子が, 当時大学生であった正岡子規や,松山中学に赴任してきた夏目漱石に出会った時の思い出話とその後の交流をまとめたもの。虚子は明治7年, 松山藩士の四男として松山市に生まれる。尋常中学校で同級の碧梧桐を通じて正岡子規に師事し,明治30年創刊の『ホトトギス』に寄稿。 子規の死後は『ホトトギス』を継承した。のちに碧梧桐の「新傾向」に対し,「守旧派」として対抗した。「虚子」とは, 本名の清をつめて子規が命名したもの。子供の健康上の理由で明治43年より鎌倉由比ガ浜に居を構え,寿福寺にお墓がある。
「岩波文庫解説目録」(在庫目録)の2002年版は,9月末に出来上がります(今年からは年1回の発行になります)とのこと。 出来たかな?
9月27~29日
週刊アスキー連載「カオスだもんね」の最新刊第8巻を読む。ガンプラ製作から始まって, 自家製ビールやバチンコの秘密など2年位前のネタを収録。このころは,著者水口画伯の家庭問題?,担当編集者アカザー氏の事故など, カオスチーム激動の時期であった。そんなわけで,いまとなってはちょっとツライ話もあるが,再起した画伯に今後も期待。
9月26日
岩波書店から「デイヴィッド・コパフィールド」の刊行について,『なにぶん長い小説であり,今回は新訳ですので, 毎月刊行というわけにはなかなかいきません。石塚先生にも頑張っていただいていますが,ひと月おきの刊行が精一杯というのが実情です』 というのは,ずいぶん正直な。『第2冊目では,愛のむずかしさ・すれ違いがテーマのひとつとしてあるようにも思えます。ベッツィ伯母さん, エミリー,マーサ,アニー,ミス・ダートルといった女性登場人物のそれぞれの愛のあり方が, たがいに暗示的に関わり合ってそれを浮かび上がらせているように感じられるのです。それから,ユライア・ヒープ,ミス・モウチャーといった, ひどく印象に残るキャラクターも登場します。ぜひ,ご一読ください』 ぜひ読みましょう。
〈全国書店新聞〉【井狩春男の必殺まるす固め】が面白い。『年に1度のオバケが出る。10月23日発売予定の『ハリー・ ポッターと炎のゴブレット』上・下(静山社)だ。これは,絶対に売れてくれなければ困る。万にひとつ, 半分も売れなかったら業界は大打撃を受ける。書店さんに予約を取るようにお願いし,その分については,部数は満額回答する。買切だけど……。 静山社が考えたこの販売方法は結果オーライだった。200万部も予約が集まったと聞いている。ホントでないにしても, 近い数字であることはマチガイないところだろう。人は,予約することに慣れた。・・・』以下は こちらで。
9月25日
「ヨーロッパホラー&ファンタジー・ガイド」を読み終わったのだが, やはり印象に残るのはルードウィッヒ2世とカプチン教会のカタコンベ。有名なロザリア・ ロンバルドの遺体にまつわる話も。新しいズーム(Nikon AF-S24-85)で撮った写真がいくつか出来上がってきましたが, 以前使っていた24-120や28-135(これはSIGMAだ)に比べてハッキリクッキリな写りに満足。
9月24日
講談社+α文庫の新刊「ヨーロッパホラー&ファンタジー・ガイド」(荒俣 宏)を読んでいます。青ひげ城,怪物ゴーレム, 狂王ルードウィッヒ,ドラキュラなど,ヨーロッパ各地の「怪しい場所」を巡るかなり実用的な観光案内。写真が豊富で嬉しい。 ちょっと気持ちが悪くなるものもあるが,こんな怪奇ツアーがあったら楽しそうだ。
9月20~23日
連休続きで,調子が狂っていますが,21,22日と幕張メッセの東京ゲームショーに行ってきました。いやあ, 土日それぞれ6万人ほどの人出だったようで,人気ブースの前は通り抜けるのも大変といった感じ。私は,子連れのみ入場でき, 比較的空いているキッズコーナーに常駐し,そこからときどきメイン会場へ出撃していました。相変わらずコスプレな人も多数いて, 息子はブラックマジシャンガール(みたいな人)がいた!とか結構面白がっていたようです。私はもう少し, コンパニオンのお姉様方ともお話ししたかったのですが....。3日前から並んでいた人もいて, 会場周辺には討ち死にし路上で眠り込んでいる人多数。お疲れ様でした。
9月19日
「どこへ行っても三歩で忘れる鳥頭紀行―くりくり編」(西原理恵子,ゲッツ板谷,鴨志田 穣)について。「サイバラりえぞうが, ゲッツ,カモちゃんを引き連れて,ミャンマーで出家し,九州でタコを釣り,ドイツへハネムーンに飛ぶ!悟りを開いたりえぞうが、 人生相談もしてくれて…。」ということなのだが,「鳥頭紀行ぜんぶ」や「ジャングル編」にくらべて,今ひとつ毒がない。まあ, 結婚式にはある種の?感動はあるが,本書はゲッツに頼りっきり。これからは子供を含めてぜひ家庭内のゴタゴタをふたたび....。
9月18日
前から気になっていた「レンズ汎神論」(飯田 鉄,日本カメラ社)を読む(最近,文庫ばかり買っている身には, 税込2940円がちとこたえる)。「カメラに装着されたレンズというのも不思議で,様々な眺めの光は通すが, 通したことの痕跡はレンズには残らない。レンズは幾多の光景を眺めたかもしれないが,目前には大きなレンズの局面があるだけだ。」 なかなかいいことを言いますね。有名なクラッシックレンズから,ジャンクとして売られているようなレンズまで, 豊富な作例と共に記憶に残ったさまざまなレンズを紹介。たしかに,大口径レンズの得も言われぬ輝きを見つめていると, 引き込まれそうになります。最近の枚数ばかり多くてレンズが小さくて何処にあるのかわからないようなズームには, 愛着が湧きませんが....。
9月17日
bk1では,村上春樹新刊「海辺のカフカ」刊行記念の 書評コンテストを実施中です。応募は10月3日まで。大賞1名にbk1ポイント10000ポイント,優秀賞2名に5000ポイント, 参加者全員に新潮社特製ブックカバー(革製・文庫用)をプレゼントとのこと。文字数は,600~800字です。「海辺のカフカ」公式サイトもあります。
9月12~16日
先週後半より,福島へ出張していました。一人で長時間電車や飛行機に乗る際,何を読むかというのは難しい問題ですね。 なかなか駅構内の書店では読みたいものが見つからないし(さすがに上野駅では岩波文庫も一通り揃っています)。 今回は身軽に行きたかったので,雑誌など数冊抱えてパラパラ眺めていたのですが,この間出た「読書のたのしみ」(岩波文庫編集部) など持っていけばよかったかなと反省。
9月11日
チョートク氏といえば,ここ数ヶ月,新橋駅近くの文教堂に,彼が主筆を務める月刊「カメラジャーナル」 のバックナンバーが増えたなぁ,と思っていたのですが,「カメラジャーナル」の書店紹介みたいな企画の中で,ここを取り上げていたのですね。 まあ,入手しやすくなったのは歓迎。
光文社文庫が創刊18周年を迎えた。はじめは,あのギラギラの帯にビックリし,その後もポツポツと出る「趣味本」 を手にしてきた光文社文庫だが,今回イメージキャラクターに「チャールズ・チャップリン」を起用して新たなスタートを切るという。 『光文社文庫の最大の魅力は,なんと言っても,高いエンターテインメント性です。そこで,その魅力を体現するシンボルとして相応しいのは, 「上質なエンターテインメント」の象徴と言えるチャールズ・チャップリンしかないと考えました。堅苦しくなく,でも, 流行りモノのキャラクターとは異なる,時代に媚びない普遍性を持ったシンボル。しかも,身軽で自由気ままなイメージのあるチャップリンは, 光文社文庫にピッタリです。今回のキャンペーンで登場するチャップリンは,必ず光文社文庫を手にして現れ, その豊かな表情の変化を見せてくれます。チャップリンは,かつて「自分の最高傑作は?」と聞かれ,「次回だ」と答えたそうです。残念ながら, 偉大なるチャップリンの次回作が発表されることはもうありませんが,チャップリンも夢中になる(?) 光文社文庫の上質なエンターテインメントが,皆さまにとっての「最高傑作」になれることを願っております。』 まあ,チャップリンが, 迷惑だ,ということももう言えないわけだが....。
9月10日
皆さんは,初めて自分で撮った写真を覚えていますか。私は写真好きだった祖父のカメラを, いろいろ小さい頃からいじくりまわしていたのですが,一番古い「作品」として残っているのは, 小学校の遠足で小田原城や同級生などを撮ったもの。もちろん30数年前のこと,モノクロで距離も露出も目測でしたが, 今見てもなかなか良い出来で,あのセンスは何処へいってしまったのだろう....ということはともかくとして,それ以降, つねにカメラは私の傍にありました。現在のスタイルは, オートフォーカスのカメラと超音波モーターの高速ズームレンズという軟弱の極みではありますが,隙あらば這い出そうとする, かつてのマニュアル操作の喜びを,もっぱら経済的な理由で押さえ込んでいるのです。今日読んだ岩波アクティブ新書の新刊「考えるピント」 (田中長徳)は,私のようなカメラファンに,自分でピントを合わせて撮る楽しみ思い出そうと呼びかける本。チョートク本に馴染みの人には, いつもながらの節回しを確認するだけで,あまり役には....。
9月9日
岩波文庫新刊「サキャ格言集」。著者サキャ・パンディタのサキャは土地の名で(チベットのラマたちは,自分の出身の寺や屋敷の名前, 地位などを名字のようにして使う習慣がある),本名はクンガ・ゲルツェン。サキャ派(Sa skya)は,クンチョク・ギェルポ (1034~1102)が在家の密教道場として創建したサキャ寺を本拠とする宗派で,クン氏を施主とし,妻帯して後継者を設けた。サキャ・ パンディタは4代目。1182年に生まれ,幼くして顕密の教えを学び,23歳の時進んだ学問を求めてインドに赴いた。 そこで厳しい学習を通じて五明を修得し,学位を得てチベット随一の智者となった。1239年にモンゴル族の元がチベットに侵攻してきた。 元軍は引き上げるに際して,使者をよこすように言い残し,その使者に選ばれたのがサキャであった。サキャは,まだ幼少だった甥のドゴン・ パクパ(5代目)を伴い交渉に赴き,チベットはなんとか持ちこたえることができた。その後,ドゴン・パクパは元朝のフビライの帝師となって, チベット支配を代行することになる。サキャは1251年,金剛杵と金鈴を胸部で交差させた姿で亡くなった,その時, 金色の光が四方に広がり大空には吉兆が現れたという。火葬にした際に煙は渦を巻いて虹と化し, 葬儀に参列した人々は聖なる音楽が鳴り響くのを聴いた。その遺灰は多くの仏舎利となったとされる。昨年,敦煌の莫高窟北区洞窟でバスパ文 「サキャ格言」発見という報があり,それによると,「サキャ格言」は,元代にはすでにモンゴル語訳本が出され,その後, 数種類の言語に訳されて出版されると同時に,バスパ文,回鶻モンゴル古文,タタール・モンゴル古文で印刷されて伝わり, モンゴル民族に多大な影響を与えて広まった。敦煌本「サキャ格言」は厚手の宣紙に印刷されており,幅25cm,現存する長さは17cmで, もとの文献の中ほど部分で,出土した時は形がばらばらの3枚の紙だった。注意深く合わせた結果,印刷された文字が13行あることが判明, うち11行が読み取れた。完璧なのは2行のみで,あとはそれぞれ傷んでいるとのこと。
9月6~8日
夏休みも終わったというのに,結局また週末は近所のプールに連れ出され,最後の一泳ぎを楽しんできました。その合間,新宿へ行き, 使わなくなったレンズ数本を売り,新しいコンパクトな標準ズームレンズを購入。ここ20年ほど本は売ったことはありませんが, カメラやレンズは結構売っています。資金さえあれば全部抱え込んでいるところなのですが....。ついでに秋葉原へ行き, ソフト屋でゲームボーイアドヴァンスの「遊戯王」激安品を発見。それまであそこにつれてけ,ここにつれてけと言っていた子供が, これ買ったらもう用がないから電車で家へ帰ろう....だって。
9月5日
モーパッサンについて,荷風門下の小門勝二が,「モンソー公園には,荷風の私淑したモーパッサンの石像が建てられていた。 この静かな高級住宅街の中にある公園を,モーパッサンが生前愛したように,荷風もまた好んで散歩をし,有名は「モーパッサンの石像を拝す」 を書いた。・・・わたくしも荷風の教えにしたがって,モンソー公園に朝の散歩をこころみた。そしてそれを繰り返しているうちに, 一つの発見をした。それはモーパッサンの石像が,エッフェル塔にそっぽを向いて建てられていたことだ。 モーパッサンのエッフェル塔ぎらいは有名で,彼はそのためパリから逃げだした。それで設計者は,彼の目にエッフェル塔が映らないように, たとえ石の目とはいえ,心をくだいたにちがいない。へそまがりを,死んだあとまで,へそまがりとして通させるところに, フランス人気質があふれていて,わたくしはそれに感動した。荷風は四十数日間,パリの町を歩きまわったのであったが,その間, いちどもエッフェル塔にはのぼらなかった。モーパッサンの心情を踏襲したからであった。」と書いている。
9月4日
岩波文庫新刊「モーパッサン短篇選」を読む。モーパッサンの作品は,岩波文庫創刊の昭和2年に「水の上」が刊行されて以来, 早い時期から多くの短篇,中篇が取り上げられてきた。今回久しぶりの新訳,新編集での登場。当然ながら,爽やかな読後感とはならないが, 一度読み始めると止めることはできない。モーパッサンの執筆活動は1880年代の短い時期であったが,日本ではすぐに翻訳され, 明治期に230点もの翻訳発表があったという。岩波文庫では現在,戦前訳の「脂肪の塊」しか在庫がなく,古書店でも「モントリオル」 がなかなか見つからないと言われている。
モーパッサンの翻訳では,青柳瑞穂が有名。甲州に生まれ,骨董蒐集の楽しさを語った随筆「ささやかな日本発掘」で読売文学賞を受賞。 戦前から戦後にかけては,阿佐ヶ谷にあった青柳の自宅に井伏鱒二,太宰治らが出入りし,「阿佐ヶ谷会」と呼ばれる文壇サロンとなっていた。 夫人と共に裕福な家に生まれ,フランス小説の翻訳や骨董を趣味としていた青柳の仕事は,当時翻訳に対する評価が低かったこともあり, 文学者として正当な評価を得られなかった感がある。しかも,青柳は骨董蒐集の金を稼ぐために, 本来自分の好きでもない作家のものまで翻訳するようになっていた。戦後の翻訳ブームのなかで,印税はどんどん入ってくるが, すべて骨董につぎ込んでしまう。ついに夫人は「もう疲れた」といって自殺。青柳は,若き日の澁澤龍彦と共訳で「怪奇小説傑作集・フランス篇」 を翻訳するなど,怪奇・幻想文学に対する志向があったようで,美しい文体の裏には,モーパッサンと同様の狂気が潜んでいそうだ。
9月3日
続けて,中公文庫BIBLIOの新刊「日本の星 星の方言集」(野尻抱影)を読む。 抱影が30年余りかけて各地に伝わる星の和名700種を収集し,その語源を求めたもの。一瞥,普通の星の名もあやしい私にとって, 取っつきにくい本かと思われたが,次第に各地方の生活感あふれるユニークな星の名に惹きつけられ,読み通してしまった。圧倒的に多いのが, 農業や漁業に関わる名前で,星が人々の生活の中に活きていた時代が偲ばれる。
9月1~2日
中公文庫BIBLIOの新刊「星三百六十五夜 秋」(野尻抱影)を読む。中公文庫BIBLIOは,「モダンでクール」 と自讃するように,なかなか瀟洒なデザインで,表紙も柔らかく手に馴染むのは好感。野尻抱影(のじり・ほうえい 1885~1977) は横浜に生まれ,早大で同級の相馬御風主宰「白百合」に翻訳を載せたのが文学者としての出発。星に関する夥しい著作がある。 作家の大仏次郎は実弟。本書は9月から11月まで,1日1話の星に関わるエッセイをまとめたもの。 78年初版の中公文庫版を一部改版したものだが,元文庫とは体裁も構成も異なるのに,奥付に初版78年, 改版02年とのみ記されているのはちょっと違和感あり。
8月28~31日
夏休みも最後の連休,私は子供連れで連日プール通い。帰ってきたら肝試し大会(夜,近所の公園や空き地に私が目印を置いてきて, 子供が懐中電灯をもってそれを探して取ってくる遊び?)。さすがに疲れがたまっているなぁと感じてはいますが,ここが頑張りどころ!
新潮文庫の新刊「喜遊曲,鳴りやまず 齋藤秀雄の生涯」(中丸美繪)を読みました。 齋藤さんはサイトウキネンオーケストラや小澤征爾さんの先生としてよく知られていますが,わが国のオーケストラ育ての親の一人で, 指揮法の確立に力を注ぎました。その妥協を許さない一徹さで,オーケストラの楽員たちから敬遠され, 退団を余儀なくされたこともありましたが,子供達への音楽教育の重要さを説き,桐朋学園音楽学部の創設に尽力し, 多くの世界的な演奏家を育て上げました。本書は当時の団員,関係者,学生達からの証言をうまくまとめており, 齋藤さんの異常なほどの音楽に対する情熱とこだわりが読み手に強烈な印象を与えます。 日本でプロのオーケストラの首席チェロ奏者をつとめながら, ドイツで名手フォイアマンの門をたたいたとき子供並みの初級コースで学ばねばならなかった屈辱, 大戦当時ドイツから日本へ亡命したユダヤ人名指揮者ローゼンシュトックの厳しい教え。朝比奈隆氏の,「齋藤秀雄亡き後, 日本には指揮の指導者がいなくなった」との言葉。子供への音楽教育で重要なのは,「一に教師,二に教師,三に親で四に子供」....。 あらためて齋藤氏の果たした大きな役割を痛感するとともに,なにか読んでいるうちに勇気が湧いてくる本でもあります。
8月27日
9月号の「図書」は,岩波新書新赤版800点刊行記念号ということで,座談会や過去の注目されるべき書目について, いろいろ書かれている。「新書」という叢書名は,創刊(1938年11月20日)の二ヶ月前に決まったとのこと。以来,赤版101点, 青版1000点,黄版396点,新赤版800点の合わせて2300点が刊行されました。岩波新書については,十方土の資料集に詳しい説明あり。
8月26日
小学館文庫の新刊「鬼六の将棋十八番勝負」(団 鬼六)を読む。鬼六先生は,先に出た「真剣士 小池重明」 など一連の将棋書でもおわかりの通り,アマ六段の実力を誇る作家棋士。その鬼六先生が,飛車落ちで羽生善治,大山康晴, 升田幸三らトップ棋士達と戦い,平手で谷川治惠や高橋 和ら女流と五番勝負。その詳しい自戦記なのだが,面白いのは, 棋譜よりも対戦した棋士達を肴にした独自の棋士論。将棋などわからなくても楽しめる。その将棋への情熱には感服。
8月23~25日
夏休みもあと一週間。とっくに学校とは縁が切れてしまったこの歳になっても,なんとなくこの時期,焦燥感があります,私の場合。 ゆく夏を惜しむべく,土曜,日曜と海浜公園のプールへ。お盆時期に比べると半分の人出といった感じですが,最後まで頑張るつもり....。。
腕時計の販売が不振だといわれています。携帯電話の普及によるところが大きいのですが,それに反して, 書店では腕時計雑誌やムックの売れ行きは好調です。必要に迫られて腕時計を買うことがほとんどなくなったいま,腕時計を買う意味, こだわりがどこにあるのかを,光文社新書新刊「腕時計一生もの」(並木浩一)は語っています。 『自分だけにふさわしい機械式腕時計をじっくり選ぶ―そんな贅沢を実現するガイドブックの決定版!』ということで,腕時計の歴史, メカニズム(とくに機械式),ブランドイメージなど,ごく初歩的な内容ですが,現在の腕時計事情がよくわかります。高価な時計というと, 宝石で飾られた成金趣味を思い浮かべることが多いですが, ほんとうに高級な時計は高度なメカニズムとそれを実現する職人芸によって造られているのです。
8月23日
岩波文庫新訳「デイヴィッド・コパフィールド」を読みました。以前読んだ「旧訳」が出たのは昭和25年だから,50年ぶりの登場。 まだ第一巻しか出ていませんが,この新訳はとても読みやすくなっているので,もう一度読んでみる価値があると思います。ストーリーは, ディケンズ・ フェローシップ日本支部のページに詳しいほか,松岡正剛の千夜千冊にも情報あり。
8月22日
みなさん,クーパーの「開拓者たち」は読み終わりましたか? 残暑厳しき中,私は遅々として進んでいません。 これから面白くなるのだろうか....。本書はアメリカの西部開拓時代初期の物語で,舞台はまだ森や湖,そして動物たちと, 大自然にあふれていたニューヨーク州クーパーズタウン。西部劇のハシリみたいな感じで,ドーデの描いた「タルタラン・ド・タラスコン」 は本書を愛読していたらしいです^^;;。野球発祥の地として知られるクーパーズタウンは,その名の通り,著者の父親が開拓したところ。 アメリカのスコットとも呼ばれるジェームズ・フェニモア・クーパーは,大地主の息子だったわけですね。本日現在のクーパーズタウンの様子は, こんな感じ。「レザー・ストッキング物語」 という5部作の第1作目で,映画ラスト・オブ・モヒカンの原作である第2作「モヒカン族の最後」はハヤカワ文庫から出ています。
8月21日
終戦直後,長野県立松本深志高校教諭であった古田武彦氏によると,『わたしはその頃,週2時間の「国語(乙)」で, 1年間の大部分を使って「ソクラテスの弁明」(岩波文庫)を教科書代りに使った。戦後,未だ発刊なく,松本市内の印刷所で全版の複製を作り, 教科書代りのみに使用することの許可を岩波書店に求めたところ,直ちに快諾の返書が来て感銘した』とのこと。ちょっといい話....。
8月20日
「鳴雪自叙伝」を読み終えたので,新潮文庫「美と共同体と東大闘争」(三島由紀夫,東大全共闘)を読む。
三島由紀夫自決の前年,学生運動真っ盛りの1969年5月13日,東大教養学部で行われた三島由紀夫と東大全共闘の討論会の記録。
そのテーマは,時間と空間,解放区,美と芸術,天皇など雑多で,進行も混沌としているが,「美を現実の中で完結させたい」
という三島に対して,それを醜悪とする全共闘。両者の真摯な姿勢には,一種感銘と隔世の感を覚える。
その伝説の討論本が一昨年30年振りに文庫として復活したのだが,あまり話題にならなかったよう。
当時の雰囲気をよく伝えているものの,私を含み,今の若者がこれを読んでも,まず唖然とした感じを持つのではないか。以下覚書。
○全共闘とは・・・1968年頃から各地で学園紛争が盛んになり,多くの大学でバリケード封鎖やストが起こった。日大,
東大では全学共闘会議(全共闘)が結成され,セクトに属さないが政治的意識を持ったノンセクトラジカルと呼ばれる一般学生らも多く参加した。
1969年1月東大安田講堂での攻防戦を前に,
東大全共闘から主要な建物の死守を任されていた革マル派が機動隊導入前に逃亡するという事態が起こり,
もともと他派から煙たがられていた革マル派の孤立は決定的となった。結局「安田城」は落城するが,1969年9月,民青と革マル派を除く,
8派が参加して日比谷野外音楽堂で全国全共闘連合が結成された。これには,逮捕拘留中の山本義隆・東大全共闘議長が議長,秋田明大・
日大全共闘議長が副議長に選ばれたが,この連合は全く性格の違うセクトが連合した不安定なものであり,翌年には山本議長が辞任し,
セクト色が強まったことで,一般学生から離れていき消滅してしまうことになる。
○解放区とは・・・お茶の水駅を中心とする神田地区に解放区が現れたのは1969年1月18日と19日のこと。
ちょうど東大の安田講堂で学生と機動隊の攻防が行われた日である。解放区の主力は地元の日大,中央大,明大の2000人あまりの学生。
彼等は機動隊が東大に集中している隙を狙い,お茶の水駅周辺を制圧した。路上にバリケードを作り,交番を襲う。
明大学生会館において解放区放送も始まった。学生達は解放区の中の無警察状態の中で思うままにデモを行ない,演説をし,集会に拍手を送る。
それまでは機動隊に取り囲まれた中での半ば規制されたデモしかできなかった。そのため解放区の中で学生達は警察権力から解放され,
それまでの気分を爆発させた。それは東大攻防戦を終らせた機動隊によって神田解放区が制圧された20日午前0時まで行われた。神田解放区は,
また神田カルチェ・ラタン闘争とも言われる。カルチェ・
ラタンとはフランスの学生街の意味で1968年5月にパリ大学を中心に街頭バリケードをくみ,警察との衝突が繰り返し行われていた場所だ。
それを日本でも行おうとしてできたのが解放区だった。
8月19日
岩波文庫「鳴雪自叙伝」を読む。著者・内藤鳴雪は,1847年松山藩士の長男として江戸藩邸で生まれた。明治22年常磐会 (旧松山藩主久松家が旧藩子弟の育成のために作った)宿舎の監督になってから,20歳歳下の正岡子規らの文学グループに接し,俳句に熱中。 「馬方の馬に物いふ寒さかな」など,洒脱な句風で知られた。子規からも翁と尊称され,各地の句会にも出かけ親しまれた。本書は,晩年の翁が, 江戸で生まれ,松山・京都での少年時代を回想したもの(実際は維新,子規との出会いまで語っているのだが, まだここまでしか読んでいないのだ)。地方藩のそこそこ名のある家に育った子供の目から見た当時の士族の生活が, 幕末の揺れ動く藩政とも絡んで,とても面白く描かれていて楽しめた。ちなみに明治期に出た大学館の文庫シリーズ俳句入門叢書(鳴雪の 「俳句独習」や「芭蕉俳句評釈」を所収)については,奥村氏の「文庫パノラマ館」に解説あり。
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8月13~18日
夏休みも真っ盛り。私は(ほとんど定期券で行けるほど近いのにもかかわらず)息子と泊まり込みでTDL, お台場方面へと行ってきました(毎年同じパターンのような気もします)。先週,カミサンと息子でTDLに行ったときは,ドナルドの 「スプラッシュ」が強風のため中止でがっかりだったらしいですが,木・金曜日は天気に恵まれ,バッチリ楽しませてもらいました。しかし, あの猛暑の中,国内国外からTDLに集まった皆さん,本当にご苦労さん。そこここに横たわっている討ち死にした?お父さんは, 無事に家に帰れたでしょうか。私も夜ホテルに戻ったら,さすがにグッタリとしていました。それでも, 土曜日は国際展示場の鉄道模型フェアを覗いたあと,お台場内でのんびり。ヴィーナスフォート仮設のエアすべり台などでしばらく遊んでから, ゆりかもめに乗って帰ってきました。我々が子供のころは,せいぜいクレヨンや色鉛筆で描く絵日記くらいしかありませんでしたが, 幼稚園からもらったのは,チケットや写真,シールなどをべたべた貼り込むスクラップブックのようなもの。これは, ずいぶん賑やかになってきました。
8月12日
河出書房新社は,9月4日刊行の「河出文庫」から1年間,帯のマークを「とり・みき」書き下ろしの漫画に。 12回で完結するストーリーになるとのこと。とり・みきさんは,1958年熊本県生まれ。79年少年チャンピオン新人マンガ賞入選。 エッセイ的な物や,シリアスなSFマンガも手がけるが,非常にマニアックなネタを使う生粋のギャグ漫画家であり,ギャグの特徴として, ギャグを発したコマがそれまでの時間の流れを一瞬止めてしまい,その連続でマンガが成立するという「微妙にはずした」表現を持ち, スタイルとしては往年の吾妻ひでおにも通ずるセンスをもっている数少ない「理数系ギャグの使い手」の一人である(これは受け売り)。 代表作は,「クルクルくりん」,「るんるんカンパニー」,「吉田さん危機一髪」など。ほかにエッセイ集として,「とりの眼ひとの眼」, 「とり・みきの大雑貨事典」がある。
8月8~11日
わたしは子供の頃,親から本を読んでもらった記憶があまりない。それでもいろいろ本がまわりに転がっていたので, 自然に本に親しむようになった気はする。父は昔から,皆に読書家だと思われていたようで,それで私も本好きになったのかな, などと親戚のおばさん達から言われたこともあったが,少し大きくなると,自分の読みたい本と親の持っている本は全然趣味が違う, ということに気付くのだ。だから,読書一代。わたし自身も,いくら本をため込んでいたとしても, 子供がそれを喜んで読むなどとは思っていない。ところが逆に,いま子供に読みきかせてやっている童話や絵本は,とても面白いのだ。 こういう本をなぜ小さい頃に読まなかったのだろう,と残念に思う。たとえば,有名な「いやいやえん」(昨日読んであげたのだ)。 幼稚園で読んでもらって面白かったので,家でも読んで欲しいという。『チューリップ保育園に通うしげるは,なんでも「いやいや」。 いつも我がままを言ってはお母さんを困らせてばかり。赤い車がいや,お姉ちゃんのおさがりの洋服がいや, サンドイッチじゃないおべんとうはいや,そして保育園に行くのもいやいや。そこでお母さんは,しげるを「いやいやえん」 に連れて行くことにする。そこは,嫌なことはしなくてもよいという不思議な保育園なのだが....」。ちょっと教訓的ではあるけれど, 空想と現実がごっちゃになった話は確かに面白い。そして,読んでいて気が付くのは,これがずいぶん前に書かれた話らしいということ。 ご不浄とか,お十時とか,いまでは聞かれないことばがいろいろ出てくる。クルマでお出かけというのもないし, もちろんテレビゲームやパソコンも出てこない。奥付を見ると,1962年初版。ここに書かれている子供の生活は, 私の子供の頃そのものなのだ。そんなお話が,いまの子供にも違和感なく受け入れられているのが,また面白い。
8月7日
日本で一番昆布好きなところは,富山と沖縄だという。関東の味付けは鰹節メインで,関西は昆布というのもご承知の通り。ところが, 昆布はほとんど北海道でしかとれない。なんで遠く離れたところで昆布がさかんに使われるのか? といった謎を取り上げているのが, 講談社文庫の新刊「どうころんでも社会科」(清水義範・西原理恵子)。ほかに,知多半島はそんなに田舎か?,リアス式海岸の由来と歴史, ダムとコンビナート,などなどちょっと懐かしい地理や歴史の話題を大人の目であらためて振り返ってみた楽しい本。
8月6日
人気殺到で,図書館でも1~2カ月待ちと言われていた菊池寛全集所収「真珠夫人」。最初は,復刊ドットコムで投票が集まり, 新潮社からオンデマンド出版(5500円!)されることになった,という話でしたが,7月に扶桑社(ノベライズ版)とコスモブックス, 8月に文春文庫(当然?)と新潮文庫から立て続けに刊行されてしまいました。放送が終わって2カ月も経つのに,商魂たくましいというか, 岩波にも見習って欲しいというか....。大正期(1920年)の新聞連載小説で,「船成金の荘田は金の力で父親の男爵を借金地獄に陥れ, 真珠のような美貌を誇る瑠璃子を後妻にする。しかしその日から, 他人の前では媚態を振りまいても裏では頑なに処女を守り抜く瑠璃子の復讐が始まった。エゴイズムと奸計, 横恋慕と真情が綾なす男女の復讐劇を,当時の風俗を丹念に取り入れながら描いた人気絶大の大衆小説」といった内容。 この人気には菊池寛もニヤリでしょうね。
8月5日
講談社+α文庫の新刊「将棋名勝負の全秘話全実話」(山田史生)を読む。読売新聞の観戦記者として知られる著者が,古くは大山, 升田時代から,最近の羽生へのインタビューまで,棋士たちとの長年の付き合いから得られたエピソードをまとめた書き下ろしの一冊。 とは言っても,その手の「いい話」は,すでに知られているものが多いので,またあれかという感じもするが, 竜王戦誕生の経緯や新聞社間での駆け引きなど,読売記者ならではの興味深い話も多い。同文庫には「名棋士81傑ちょっといい話」もあり。
8月2~4日
夏本番ですね。週末は猛暑の中,ポケモンハッピーラリーなるものに参加してきました。これは, 山手線内の駅を巡りながらポケモンカードをゲットし,ゴール駅を見つけるというもの。ま,JRの親子取り込み作戦というわけですな。 我々がスタートした品川駅は比較的空いていましたが,新宿駅や澁谷駅,ポケモンセンタートーキョーは大混雑でした。 帰りはついでに久しぶりに秋葉原をぶらぶら。子供は電気街というのが面白かったらしく,「ゲーム・プレステ・ニンテンドー」 という看板を見つけるたびに,その中に吸い込まれていきました^^;;。
8月1日
椎名-東海林対談をもう一つ。文春文庫「シーナとショージの発奮亡食対談」。内容は過去の対談の寄せ集めなのでちょっと古いが, その分シーナさんも十分に若く(ビールのCMに出始めた頃ね),最近の二人とは変わった趣があり楽しい。ここでは, ショージ君得意の丼ものや魚をネタに,しょうもない話を延々と繰り広げる(魚の世界が会社だったら,社長は?,専務は?,支店長は? 興味のある方はぜひ)。旧表題は「人生途中対談」。40代半ばで脳細胞の流失を嘆き,残った人生に何をなすべきか,「真剣に」 考えている....。
7月31日
文春文庫「ビールうぐうぐ対談」(東海林さだお,椎名 誠)を読む。どこに共通点があるのか極めて疑わしいと思っていた二人なのに, 最近いくつか出た対談集を読むと,妙に気があっているのが不思議。今回は,缶ビール,料亭,屋形船,芸者遊びなど「飲む」 に関わる話題がメイン。ゲストとして,おなじみの「よかちん踊り」のヘビ専務,岸田 秀,ワニ眼沢野画伯も登場。結局,うぐうぐ,だかんね, とまとまりのなさが魅力。気楽に読もう。
7月30日
残念ながら社会思想社の現代教養文庫の発行が終了することとなりました。以下,社会思想社によるご挨拶。『(株)社会思想社は, 1947(昭和22)年12月24日に東京都千代田区内幸町2の21幸ビル6Fの一室にて,社会思想研究会出版部として事業を開始しました。 社会思想研究会は,戦時下,軍部ファシズムを批判したため東京帝国大学の教壇を追われ,戦後,リベラリストとして再評価された河合榮治郎 (1944年死去)の門下生によって設立され,その思想の啓蒙・普及を目的としたものでした。出版部は,R・ベネディクト『菊と刀』,A・ J・トインビーの『歴史の研究』などの翻訳出版権をGHQのオークションで取得,出版活動の基礎を築きました。 1951年には現代教養文庫を創刊(角川文庫創刊など,第二次文庫ブームの時期)。1962年には,社会思想研究会から独立, 株式会社社会思想社と社名を改め,教養文庫と人文・社会科学を中心とした総合出版社として再出発しました。1977年にはA・ヘイリー 『ルーツ』を,84年からは「ゲームブック」を刊行,前者はテレビ放映とのメディアミックスとして, 後者はコンピュータゲーム登場の先駆けとして,ともにベストセラーとなりました。しかし,文庫創刊ラッシュによる競合の激化や, コンピュータゲーム機の登場による〈アドベンチャー・ゲームブック〉シリーズの陰りなどによって業績が下降し始め, 89年の消費税導入による旧定価本の返品の影響により翌期の売上を大幅に減少させたことがその後に尾を引くこととなり, 1997年からの出版不況のなかさらに厳しい運営を強いられるようになりました。昨年秋には,17000円という高定価本である 『ベトナム戦争全史』が重版となり,一昨年10月より,「日本之下層社会 他」をかわきりに発刊しました『横山源之助全集』 は定期購読受注をじわじわと上乗せし,ニッチを捉えた適正部数設定の「全集もの」の最近の健闘が,「見込み生産」 におちいりがちな出版傾向の転機となるのではないかと見られていただけに,その完結を果たせず誠に残念です。 私どものルーツともいえます河合榮治郎先生が労働問題・社会政策を志されたきっかけは,農商務省刊行の『職工事情』(明治36年) との出合いが大きかったといわれておりますが,その調査に横山源之助がたずさわっていたということに思いをめぐらせば,本全集の刊行は, 弊社出版活動における機縁と言えなくもありませんでした。なお,弊社事業停止が報道されまして以来,連日読者の方々から惜しむ声や, はげましの声をお寄せていただいております。大変ありがたく出版社冥利につきることと感謝しております。お寄せいただいた声のうち, 弊社の本をなんとか入手したいというご希望が多数寄せられており,弊社としましても,お応えする方法を模索しておりました。 書店ルートに載せることができないため,ある程度まとまったご注文には,郵便の代引きによって発送させていただきます。 本ホームページで書名を検索いただき,ご注文は, メールないしファックス(03-3813-9061)で送信いただければ幸いです。 『菊と刀』他のロングセラーを選りすぐった「現代教養文庫の200冊」 というセットもご用意できますので,お問い合わせいただければ,詳細についてご説明申し上げます。なお,現代教養文庫 (既刊約1800点)他を引き継いでいただくための努力は尽くしてまいります。永きにわたる皆様のご厚誼に衷心より御礼を申し上げます。 2002年7月』
7月29日
「鳥頭対談」の元ネタ?ということで,文春文庫新刊「ヒヨコの蠅叩き」(群ようこ)を読む。群ようこって, 結婚願望の抜けた林真理子みたいな感じを受けるが,それは,父親に対する感覚の違いが関係しているのかもしれない。 母親に文句をいいつつベッタリなところは,男にはちょっと馴染めないと思うが,男の読者も多いのかな? 内輪話でも下品にならないところはよいが,私にとっての初「群ようこ文庫本」,続けて読むかは?
7月26~28日
週末はお台場とTDLへ。二日続けてのポケモンフェスタ2002はさすがに疲れた。それなのに,グッタリして帰ってくるとすぐに, 仕入れてきた新しいポケモンカード対戦の相手をさせられる。子供のパワーは底なしですな。
朝日文庫「鳥頭対談」(群ようこ・西原理恵子)を読む。私は正直に言うと,群さんの本は一冊もちゃんと読んだことがない....。 ということで,このお互いのファン取り込み作戦にはまった一人な訳ですが,身内の悪口(とくに一日のうちに何百万円も使いまくる群母や, タクシー10日間貸し切りで四国八十八カ所巡りをする西原母など,かつては堅実地味だった母親にいかに稼ぎを吸い取られているか) を元気よく語り合っています。一種爽快な気分の味わえる本。
7月25日
角川文庫新刊「タイ怪人紀行」(ゲッツ板谷)を読む。金髪デブ(金角あらためゲッツ板谷)と兵隊ヤクザ(鴨志田氏,サイバラ夫) がタイ一周の旅で大暴れ。美人オカマや裸じゃなかった裸族,死体博物館, 麻薬更生寺などでのタイの怪人たちとの出会いやバトルに大笑いしながらも,そのタフさと強引さに感心。 うんざりするような暑さにめげそうな人には,最適の本。ゲッツ板谷の公式ページというのもつい最近できました。 メール送ってみる? おぉ,1日1冊読む日が続いているな....緑陰読書の季節,爽快爽快。
7月24日
「鳥頭紀行-ジャングル編」(西原理恵子)が文庫化されました(角川文庫)。サイバラ,ホモカメラマン・勝ちゃん,変人・ 西田(虫)博士ら酔っぱらい5人が「アマゾンで巨大魚を釣る!」ために集結。サイズの関係で字が読みにくいのが難ですが, とにかくその滅茶苦茶わがままな旅に大笑い。アマゾン川の旅に備えて酒を買い込みすぎ, 酒用に船をもう一艘チャーターするほどの飲みっぷりにも感心。 いまや2人の子持ちとなったサイバラがプロポーズされた記念すべき旅でもありました。
7月23日
岩波文庫新刊「パロマーの巨人望遠鏡」(下)を読む。いよいよ巨大反射鏡ができあがり,本体の製作,鉄道での輸送,取り付けなど, 工事も佳境に入る。天文学者の目的は高邁な星空への憧れであるとしても, ここに描かれているのは巨大な鉄やガラスの塊と格闘する技術者たちの姿だ(原題は,The Glass Giant of Palomar) 。前代未聞の巨大で,かつ壊れやすいガラスを鉄道輸送するために,ルートの選定に苦心し,何日も列車とともにその警護にあたる鉄道関係者, その列車が通過する町の学校は休校となり,その科学の偉業に対して賞賛を惜しまない子供や大人たちの姿が感動をよぶ。 それは単に一望遠鏡の技術に留まらず,第2次大戦前のアメリカが,ニュートンやガリレオを始祖とするヨーロッパの観測技術に「借りを返す」 べく,必死に努力する姿だ。このように人々に驚異と喜びもって迎えられる技術の時代は,いまとなっては何とも懐かしい。 アポロ計画の月面着陸以降,科学技術に対する熱狂はなくなってしまったように私は思う。
7月22日
講談社文庫「辛口ジャズノート」(寺島靖国)を読む。著者は吉祥寺でジャズ喫茶「メグ」を経営しながら, JAZZエッセイを書き続けており,本書もJAZZのお薦めディスク紹介や試聴記なのだが,面白いのはJAZZ喫茶がらみの話。 JAZZ喫茶のマスターは,我こそ日本最後のJAZZ喫茶店主になりたいという希望を持ち続け,他店が閉店となれば喜び, 命をかけたオーディオを@「音が悪いね」の一言で片づけられては激怒する。単行本が出てから時間が経っているので内容的には若干古く, 著者の主張は「ジャズはテーマで聞け」,「アドリブ無用論」,「ジャケ買い」といったちょっと変わり者路線ですが(マイルス嫌いも含めて), JAZZ通でなくても独特の語り口が楽しめる本。
7月17~21日
ちょっと早い夏休みを取っていました。朝から近くのプールへ出かけ,一日遊んでいたのはよいのですが, さすがに日焼けで真っ赤になり息子ともどもヒーヒー言っています。岩波文庫夏の復刊の中で何か一つ,と思ったのですが, 今回はあまりインパクトがなく悩みます。夏らしいところで,吸血鬼譚,ゴーチエの「死霊の恋・ポンペイ夜話」などいかがでしょうか。 吸血鬼の物語といえば,ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」が有名ですが,本書はそれ以前に書かれた女吸血鬼物語で,エリザベス・グレイ 「骸骨伯爵,あるいは女吸血鬼」,ル・ファーニュ「カーミラ」などと並び,『ヨーロッパでもっとも傑れた吸血鬼小説の一つ』 と言われています。教養文庫の「吸血女の恋」がなくなりそうな感じなので,岩波版の復刊は歓迎。
7月16日
光文社新書の新刊「昆虫採集の魅惑」(川村俊一)を読む。子供の頃,あれだけ昆虫好きだったのに,大人になるといつのまにか昆虫嫌い, あるいは無関心となってしまう人が多い中で,ずっと昆虫への情熱を失わず,夢を追いかけている人がいる。虫取り少年だった著者も, 学生時代から南洋の珍しい蝶を追い求め,資金難に苦しみながら,次第に採集家として名をあげ,現在では標本商として世界中を飛び回っている 「蝶の狩人」。蝶の生態や東南アジア各地での採集体験談,有名な標本コレクターたちとの交流,人工交配による珍種の創製など, 学術的というより商売がらみであるだけに,リアルで面白い話が多い。珍しい蝶のカラー図版も付いていてお薦め。
7月15日
兵藤ゆき「ぶんちんタマすだれ」を読む。旦那の仕事の関係で心ならずもニューヨークに住むこととなった兵藤ゆきのエッセイ。 英語はダメ,日本食オンリーだった著者が,幼稚園児を連れて奮闘。子連れならではの視点が面白い。版元のアップフロントブックスは, 音楽プロの出版部門らしい。これはカミサンに頼まれて買った本。
7月13~14日
行ってきました,新しいポケモン映画。公開初日のプレゼントもあり,なかなか賑わっていました。日曜日は,今年初めてのプール。 天気は今ひとつでしたが,子供達はみな元気。はやくも日焼けでヒリヒリしていますが,ようやく夏気分が盛り上がってきました。
7月11~12日
図鑑を買ったのです,久しぶりに。小学館の新しいNEOシリーズの昆虫篇。私が子供の頃 (1960年代)の図鑑と比べると,イラストが写真になり,その写真も抜群に綺麗。これで2000円じゃ申し訳ないような気もする。 懐かしくなって,昔の図鑑を実家で探してみたが,1970年頃刊行された学研のシリーズは出てきたものの,それ以前に, ボロボロになるまで愛読していたシリーズが見つからない。天文と気象の図鑑,岩石と鉱物の図鑑,などがあったと思う。 インターネットで探したら小学館らしいが,なぜか記憶が定かでない。
7月10日
岩波文庫「パロマーの巨人望遠鏡(上)」を読む。私が子供の頃,一番有名な望遠鏡といえば当然パロマー山の200インチで, 宇宙や天文図鑑には必ずその巨大な姿が描かれていた。本書は,200インチ望遠鏡製作の中心人物であったヘールと,これに関係した天文学者, 技術者,工場の職人など多くの人たちの活躍をまとめたドキュメンタリー。学術的な創造はもちろん, いままでにない巨大な望遠鏡のレンズや反射鏡の製作にチャレンジし,挫折と成功を繰り返してきた技術者たちの苦闘の物語が感動を呼ぶ。 とくに詳細に書かれている新種ガラスの製造に関しては,卓抜なアイデアとそれを実現した職人芸との融合の産物といえる。久し振りに, 下巻が待ち遠しい書。
7月9日
集英社新書「超ジャズ入門」を読む。著者・中山康樹氏は元「スイングジャーナル」編集長で「マイルスを聴け!」や「マイルス・ デイヴィス完全入門」,「マイルス・デイビス自叙伝」(訳書)などがある有名なマイルス男。本書は 「ジャズを聴きたい全ての人におくる画期的な入門書」。ジャズファンとしてどこまでいけばいいのか,何から聴いて何を集めればいいのか, などジャズを織り・聴き・集めるプロセスを具体的に語っている。超CDコレクション術(100人の100枚」より「ひとりの100枚」)は, マイルスかブルーノートを100枚集めて聴けば,ジャズの全てがわかるという明快なお話。
7月8日
岩波アクティブ新書「高木ブーの楽しくウクレレ」を読む。元ドリフターズというよりマルチなミュージシャン・ 高木ブー氏によるウクレレへのお誘い。コード表や練習曲もちょっと載ってはいるが,教則本ではなく,ウクレレとの楽しい付き合い方や, 製作者・フラダンサーなど,ウクレレにまつわる蘊蓄話がメイン。ブーさんには,別にテレビでウクレレ教室をやったときの教則本があるので, 今回はテクニックについてはさらりと流しているが,それゆえ寄せ集め的で中途半端な印象も。バンド時代の思い出話 (ドリフターズ時代の話も少し出てくる)や,最近のウクレレ奏者としての活動の方が知りたかった。
7月7日
今月は,ディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」の新訳が岩波文庫から出ます。本書は,サムセット・モームの「世界の十大小説」 にも選ばた,ディケンズの自伝的物語。旧訳を読んだのはずいぶん前になると思いますが,私自身は, あまりディケンズとは相性がよくないようで,ピクウィック・クラブにようなものを除いては,二都物語もオリバー・ ツイストも好印象がありません。今回は心機一転,新たな気持ちで読んでみたいと思っています。
7月4~6日
いやはや,一気に真夏の気分ですね。図書館まで自転車で飛ばしていったら,着いたときには大汗でよれよれ。 カメムシやバッタの図鑑を借りて,またヨロヨロと帰ってきました。岩波アクティブ新書の「高木ブーの楽しくウクレレ」 がまだ書店に出ていないので,待ち遠しいなぁと思いつつ,Tea for Twoなどポロポロ弾きながら,はやくも夏休み気分です。 来週からは近くの県立海浜公園プールもオープンするので大変大変。
7月3日
岩波文庫「子規を語る」(河東碧梧桐)を読んでいます。河東碧梧桐は,松山市生まれ。中学時代から正岡子規の師事, 同級の高浜虚子らとともに俳句革新運動に加わり,子規の提唱した「写生」を忠実に守り,俳壇の主流を占めました。その後一転して 「新傾向俳句」に走り,それを宣伝するための全国遍歴(俳句行脚)を行うなどして,,「花鳥風詠」の虚子と対立。定型や季題にとらわれない 「自由律」の句を作りはじめ,昭和8年には,「ホトトギス」で俳壇を支配していた虚子に対して, 還暦祝賀会の席上にて自ら俳壇引退を表明しました。本書では,書簡や聞き書きを交え,子規をめぐる人々を生き生きと語っています。
7月2日
もう一件,文庫本関係のサイト。 「文庫本ファンサイト」は,書店員のうめさん(女性)が,文庫本にまつわるあれこれ,お薦め文庫本, 書店日記などを楽しく綴っているかわいいページ。文庫担当者の1日,なんていうのもあります。
7月1日
文庫本専門のオンライン書店「文庫本ネット」 の販売が始まったとのことで,覗いてみた。もともとソフト開発の会社が副業でやっているような感じで,総点数も2600冊ほど。 そのうち岩波文庫は16冊。これが社長の蔵書処分であれば面白いのだが....。
6月28~30日
ワールドカップも終わってしまいました。この一ヶ月間,熱心に見ていたからといって,明日からはJリーグだ・・・ とはならないのがにわかファンの所以。新潮文庫「さよならバードランド」を読みました。渋いベース奏者ビル・クロウの回想録で, ジャズ界の大物の楽屋裏話も満載。マイルス自伝ほどのアクの強さはなく,人柄の良さが漂ってくる楽しい本。ベニー・グッドマンに関しては, かなり辛辣に書いているけれど。村上春樹の訳と,和田 誠の絵も雰囲気がよく出ていてます。おまけで, かつてジャズ喫茶をやっていた村上氏推薦のレコードリストも。
6月27日
「社会思想社事実上の倒産」というNEWSにビックリ。6月25日に不渡りが発生し,事実上の倒産に。かつては「菊と刀」や「ルーツ」 ,また,最近ご無沙汰気味ですが,学生の頃はいろいろお世話になった現代教養文庫の版元として親しんできただけに残念。祈再起。
6月26日
鬱陶しい日が続いていますね。昨夜は,子供が夜中に吐いて,大騒ぎ。べつに吐くのは大したことではないのですが, その前に納豆をガンガン食べていたからね。おかげで寝不足。書店で新潮文庫の「さよならバードランド」(ビル・クロウ著,村上春樹訳) を探したのだが見つからず。というか,村上春樹のところを探していたからなかったのかも。海外文学の棚も見てみよう。
6月24~25日
岩波文庫新刊「新編 作家論」(正宗白鳥)を一気に読んだ。自然主義の代表的作家といわれる正宗白鳥が,きわめて率直に明治, 大正文学の流れと,その時代の作家達を語っている。同時代にパリにわたった荷風と漱石の感覚の違いからはじまり,『明治の日本は, あれほど欧州を尊崇しながら,その感化の下に,自国の清新な情緒や意志を具体化したすぐれた芸術を産出し得なかった』とし,その結果, 『昔読んで面白く思った明治の小説も,今日読むと,大抵は詰まらなくなった。本当にすぐれた作品が乏しかったためだ』という。そんな中で, 鴎外の「即興詩人」は,明治文学史上に最も燦爛たる光を放っていると考え,正宗自身,それを胸にイタリアを訪れたほど。もちろん, 自然主義に関する緒論も興味深いが,実感に満ちた各作家論が,とにかく面白い。
6月20~23日
カミサンの都合により,週末は子供の相手やなにやらでバタバタ。岩波アクティブ新書の新刊「いい音が聴きたい」(石原 俊)を読む。 「実用以上マニア未満のオーディオ入門」と副題にあるとおり,ウォークマンやラジカセで良い音を聴くにはどうしたらよいか, ミニコンポやセパレートシステムの構築法,パソコンや中古オーディオ機器の活用など,実践的なワザを取り上げている。 著者はオーディオ=使いこなしであるとし,現在あまりにマニア指向となってしまったオーディオを身近なものにしたいとのこと。たしかに, 以前多くの家庭でどーんと応接間に置かれていた「ステレオ」がなくなり, 音楽はウォークマンやラジカセなどきわめてパーソナルなものでのみ再生され, 家族揃って音楽を聴く機会などすっかりなくなってしまったことは確か。
6月19日
「作家論」もカバンの中に入っているのですが,まだ「マイルス」を読んでいます。「マイルス」の文章はよいのですが, 組みの関係なのか,非常に目に負担がかかって長く読み続けられないという変な本です。
6月18日
6月14日に福音館文庫が創刊されました。『福音館書店の50年にわたる出版活動から生まれた数多くの作品の中から, よりすぐった作品を集め,子どもたちと本との幸福な出会いがひとつでもふえることを願っています』とのことで,岩波少年文庫のイメージかな (サイズはちょっと大きい)。初回刊行は15点。大きな森の小さな家(ワイルダー),木かげの家の小人たち(いぬいとみこ),魔女の宅急便 (角野栄子),宝島(スティーブンソン),イギリスとアイルランドの昔話(石井桃子),人間だって空を飛べる(ハミルトン),幼ものがたり (石井桃子),くまのパディントン(ボンド),トンカチと花将軍(舟橋克彦),二年間の休暇 上・下(ベルヌ),砂の妖精(ネズビット), ロシアの昔話(内田莉莎子),少年動物誌(河合雅雄),小さな反逆者(ニコル)。創刊記念のセットケース入りもあるようです。
6月17日
いまごろになって,と自分でも思うが,宝島社文庫「マイルス・デイビス自叙伝」を読む。90年同社刊の自叙伝,完本につづいて, ようやく文庫化された。上下巻で750ページととにかく長いが,幼い頃の思い出,家族との確執,たくさんのミュージシャンとの出会い, 挫折と復活....興味深い話をインタビュー形式で引き出し,うまくまとめている。マイルスについては,詳しいページがいろいろあり, だいたいこの自叙伝から年譜を作っている。それだけマイルス情報の宝庫だということ。中山氏のスッキリした翻訳も良く, なんといってもマイルスのカッコ良さにほれぼれする。
6月14~16日
筑摩書房新刊「文章読本さん江」(斎藤美奈子)は,『文章読本と呼ばれる一連の書物自体に光をあててみよう』ということで, これまで批評の対象になりにくかった「文章読本」(谷崎潤一郎,三島由紀夫,丸谷才一,井上ひさし,本多勝一,清水幾太郎) を論破していくもの。著者曰く,『ワシがカタキをとってやる,という気持ちは確かにありました。たまたま読んだ「文章読本」 に書いてあった規範が,神聖な掟みたいに見えて,トラウマになっちゃうことってないですか? 私はああいう本のそう熱心な読者だったわけでもないのですが,それでも何かの拍子に読んでしまった直後は,必ず筆が萎縮する。「文章読本」 はどうしたって抑圧的なんです。ですから,呪縛を解きたいというか,みんなもっと自信を持て,といいたかったのは事実です。 文章読本は書き方のテクニックを教える本だと思っていましたが,奥深くであがいているうちに, その裏にはかなり歪んだ文章イデオロギーが潜んでいるんじゃないかと気がつきました。文章読本を読んだことのある人には「あの感じ」 がわかってもらえると思いますし,読んだことのない人は「未知との遭遇」を楽しんでほしいです。個人的には文体模倣というか, 文章のパスティーシュをするのが楽しかった。がんじがらめの文章規範から,少しでも自由になれる読者が増えれば本望です。』
6月12~13日
ようやくADSLが復旧。またがんばります。原因は,モデムの故障だと思い,モデム交換もしたのですが,, どうも一時的な回線不良かな....といった感じ。
6月11日
今月復刊されるピエール・ロチの「氷島の漁夫」。ずっと前に読んだ本ですが,なかなか泣かせる話なんですね。ピエール・ロチは, フランス海軍軍人として,世界を周遊し,長崎にも半年ほど滞在。その時の体験による「お菊さん」,鎌倉や日光, 赤穂義士の墓などを詣でた時の印象を綴った「秋の日本」などで知られています。「氷島の漁夫」は,『19世紀末の北仏ブルターニュの漁村。 せつない長年の誤解もとけ,想い想われる男と女が結ばれてわずか6日のち,氷島(アイスランド)近海へと出漁していった夫は, ふたたび生きて帰ることがなかった……。大海に生きる人びとの苛酷な宿命を, 印象派の画家をおもわせるタッチで描きあげた19世紀フランス文学の名作』(岩波書店)ということで,この機会にぜひ。
6月10日
ようやく関東地方も梅雨入りの気配。今月の岩波文庫新刊では,正宗白鳥の「作家論」をまず読まなくては,などと思いつつ, あちこち覗いていたら,豚の戰爭というページに行き当たった。最近読んだ本や, これから買うべき本をマメに記録していて感心。ちょっとピンクの画面は目に厳しいが^^;;。で,正宗白鳥は, 明治12年岡山生まれの小説家,評論家。内村鑑三らの影響を受け,明治30年に受洗したが,次第に教会から遠ざかる。 島村抱月の指導で評論を書き始め,読売新聞社に入社。記者生活のかたわら小説の筆をとり,自然主義作家として知られるようになった。 昭和に入ると評論に活動の主力をおき,小林秀雄が読売紙上に発表した「作家の顔」に関して,「思想と実生活」論争を展開し注目された。 白鳥の作品としては,創元文庫「作家論」,講談社文芸文庫「内村鑑三・我が生涯と文学」,新潮文庫「生まざりしならば・入江のほとり」, 中公文庫「思い出すままに」,「今年の秋」,岩波文庫「何処へ・泥人形」,「入江のほとり」がある。
6月6~9日
9日はワールドカップ日本の初勝利で盛り上がりましたね。この暑い中,少し涼しげな文庫ということで,新刊「近代建築再見」 (エクスナレッジ)を読みました。雑誌「建築知識」に連載された全国各地の特徴ある近代建築訪問記,再編集したもの。東日本29, 西日本28の民家,商家,農家など身近な建築物を取り上げ,写真や図面と共に紹介しています。 もともとプロの建築家のための雑誌に書かれたものなので,素人には説明が詳しすぎる嫌いはありますが, ふだんあまり目にする機会がない建物が多く,興味深く読むことができました。2分冊で各1400円というのは,ちょっとHeavyでしたが。
6月4~5日
狐物語も読み終わり,順番からいくと「ヘルダーリン詩集」なのだが,訳詩から『天上的とも類えられる境地』を感じるのは, なかなか難しく,これはおいておくことにして,河出書房新社の新刊「ジャズ喫茶に花束を」を読む。私と同世代でジャズ喫茶好きである著者が, 全国のジャズ喫茶9軒を訪ねて,ジャズへのこだわりはもちろん,店の歴史や客層など, 客として気になるところを店主にインタビューしてまとめたもの。我が家のすぐ近くにある「響庵」も取り上げられている。じつは,目立たない 「HIBIKI-AN」という看板を出しているその家が何であるのか,ずっと疑問に思っていたのだが,神田神保町で30年近くジャズ喫茶 「響」をやっていた店主が店を閉め,湘南の自宅で開いた店だと初めてわかった。各店主が30枚ずつ選んだジャズCDも紹介している。
6月3日
岩波文庫新刊「狐物語」のどこを探しても改訳改版の文字がないのを不思議に思ったが,ぱらぱらと後書きを読んで勘違いに気付いた。 狐物語の日本語訳は,文庫本では,ちくま文庫にしかなく,関係するものとして,岩波から「ラインケ狐」が出ている。 これと一緒になってしまったよう。間違いついでに言えば,狐物語から派生した「ラインケ狐」はドイツ中世文学で, そのまた流れを汲むゲーテの「ライネケ狐」もあることから,「狐物語」もドイツ文学かと思うと,これは12世紀のフランス文学なのでした。 内容は,さまざまな作者によって書き足されていった悪狐ルナールの物語。敵役の狼イザングランとの戦いを描きながら, そこに当時の宮廷や町民,農民たちの生活を織り込み,人々の滑稽な様子を皮肉な目で笑いとばしている。岩波文庫版は1/3ほどの抄訳。
6月1~2日
もう6月ですね。残念ながら,ADSLは接続不能のまま,当分復活しそうにないです....。週末は30℃近くになり, 海ははやくも水着だらけ。普段Jリーグなど見たこともないのに,ワールドカップは熱心に観戦。その合間を縫って,「少林サッカー」 という香港映画を見てきたのですが,アホらしいと思いつつ,結構笑えました。2chの「古本にはさまれている物」 は,なかなか面白くお薦め。
5月31日
雑誌フラウの別冊 「ゴージャス」 を買って驚いた。まずその厚さと重さ。山本容子のポストカードセットをはじめ,さまざまなブランドの小冊子が綴じ込んであるので, ページを開くのも大騒ぎ。こんなに読みにくい雑誌は珍しいな。あ,読まずに切り離して「使う」のか。 それにしてもこれだけの雑誌が880円というのには,またまた吃驚。フラウのホームページは楽しいが,カミサンがこんなの愛読していたら, 怖いな^^。
5月30日
改版された「牡丹燈籠」は1955年初版。今回は新字に組み替えただけなのだが,久しぶりに通読したので面白く, 帰りの電車を乗り過ごしてしまった。牡丹灯籠といえば怪談話なのだが,幽霊がでてくる場面はごく一部。幼き頃父を斬られ, その復讐のため剣の達人・飯島平左衛門の使用人となる孝助。 平左衛門の妾お国とその愛人源次郎が示し合わせて平左衛門を亡き者にしようとのたくらみを知り,主君を守るべく,ある夜, 源次郎を襲い槍で突くが,これが源次郎に扮した平左衛門であった。平左衛門は,孝助がかつて斬り捨てた男の息子であることを知っており, 自ら孝助の仇討ちを果たさせるべく突かれたのだ。お家再興を孝助に言い残し果てる平左衛門。隣家,相川家の婿となった孝助は, 平左衛門の仇を果たすべく,お国と源次郎を追って旅に出る。その後,孝助の生き別れになった母との再会, その母が後妻に入った家の娘がお国だったなど奇縁が続き,ついに孝助は本懐を遂げて戻る....というのがお話の中心。いかにも勧善懲悪, 義理人情の世界であるが,10日間にわたったという円朝の口演は劇的な展開が見事で,感嘆させられる。
5月29日
ウチのADSLがずっと不通。メールは転送して読んでいますが,不便でしょうがない。回線が死んでいるのか,モデムの故障なのか, よくわからないし,はやくどうにかしてくれ。
5月28日
職場の近くなので,たまに寄っていた丸善(日比谷プレスセンター店)が閉店し,そのあとにジュンク堂書店が入った(20日)。 丸善のときは,文具売り場を含め,結構広い印象があったが,ジュンク堂は効率第一,めいっぱい詰め込みましたという感じで, すれ違うのもちょっと窮屈。場所柄ビジネス書が多く,目新しいものはないが,池袋店からの取り寄せは迅速にやるとのこと。 ジュンク堂というとやはり神戸の印象。社長の工藤淳氏(後ろから読むと....)は,喜久屋書店を経営しながら新東宝の役員も兼ねていたが, 労働争議で新東宝を退社。化粧品店や雑貨屋の前にスタンドを置いて雑誌を売るというおなじみの商売を始めた。次に, 小学館の百科事典をスクーターに積んで売りに行くことを始めこれも当たる。これが後のチャイクロ(子供向け百科事典の月賦販売) につながり折しもベビーブームと重なって月販3万セットというヒット商品となる。その後,専門書中心の書店を目指すが, 阪神大地震に見舞われ神戸店が閉鎖。店員の職場確保のため大分,姫路,鹿児島と3店舗を出店。マスコミにも取り上げられ, 吉本興業から出店要請が入る。この吉本ビルの天井が高かったことを利用し,天井一杯まで本棚にしハシゴをかけた。これがまた話題となり, 現在本店となる池袋に出店。専務曰く,「旭屋や紀伊国屋に対抗するためには同じ売り方をしていたのでは勝てない。 1000~3000部という出版界を支えているミニコミ中心の専門書をそろえることで違うところを出す。 それが利用者の支持につながったんです。」 書店内にイスやテーブルを置くというスタイルもここが流行らしたもの。 「ナンバ店のイスと机はヤマサキの家具メーカーに無理言って作ってもらったんですよ。それもずいぶん値切ってね。 メーカーもあきれてましたよ。専門書って重くて厚いのが多いでしょ,そんなものを見るために机が必要だから用意したんですよ。」
5月27日
岩波文庫今月の復刊は,アーヴィングの「アルハンブラ物語」。5年前に出たばかりで,もう復刊かとびっくり。 『グラナダの丘に今もその姿を残すアルハンブラ宮殿,アーヴィングはアメリカ公使館書記官としてスペインに赴き, 偶然の幸運からモーロ人の築いた城に滞在した。宮殿の華麗かつ荘厳な姿とそこに暮らした幻想的な日々が, 処々に伝わるさまざまな物語を織りまぜて,詩情豊かに綴られる。』 アルハンブラにまつわるさまざまな伝説を織り込んだ美しい本。 古今東西を問わず,これを読んでアルハンブラを目指した旅行者は数知れず(らしい)。いまだにアルハンブラを訪れたことのない人 (わたしのこと)は,身もだえするのみ。お薦め。
5月23~26日
しばらく振りに,文庫本の整理をしました。といっても,散逸している続き物の文庫を集めて,紙の帯で巻いておくという簡単な方法。 本棚から,文庫本を引っ張り出し,床に並べ,続き物が出てくるたびに重ねて,全部揃うと帯で巻く,という手順です。 ほとんどのものは揃ったのですが,一部職場に置いてあったり,その他行方不明があったりと,なかなか順調にはいきませんでした。
週末,金曜日は息子の遠足のおつき合いで小田原の公園へ。母親以外の家族でも一緒に行ってよい, ということだったので行ってみたのですが,父親の姿はちらほら。少々恥ずかしかったのですが,普段なかなかわからない友達との関係や, 他の母親の様子などを見ることができ,とても有意義に過ごせました。土曜日は,引き続いて退職した幼稚園の先生の結婚式で, 大磯プリンスホテルへ。我が家から近かったので,子供の頃はプール,大人になってからは身近なレストランとしてよく通ったこのホテル。 ここのところ訪れる機会がありませんでしたが,とにかく幸せそうな様子を見るのはいいものです (ワールドカップで来日中のナイジェリアチームも見てしまいました)。
日曜日は図書館で,ガーデニング関係数冊,昆虫図鑑,林望「書斎の造り方」を借りてきました。イギリス調紀田順一郎といった風の林氏。 ここでの主張は,結婚した後も個人としての居場所を家の中に確保しよう,仕事上の付き合いには深入りせずに,自分の世界を作ろう, ということ。本をどう集めるかとか,整理の仕方は,といった蔵書家を対象とした情報は,あまり取り上げられていませんが(名著は捨て, 稀覯本だけとっておく,というアイデアはあり),家庭で少しでも創造的な作業をしたいという人にとっては,具体的なアイデアが示されていて, 役に立ちそうです。
5月21~22日
岩波文庫「哲学者と法学徒との対話―イングランドのコモン・ローをめぐる」(ホッブズ)を読む。「リヴァイアサン」 理解のための必読書ということだが,リヴァイアサンを理解しようなどという大それた考えを持たない歴史音痴にも, 対話形式によって17世紀の裁判制度が丁寧に説明されているこの本は,面白い。もっとも現代の英国の裁判制度も知らないのに, それが何の役に立つのか,といわれればそれまで。まあ知的好奇心(または自分自身に対する見栄か?)が満たされた, ということで許して貰いたいと思う....。訳注も豊富に付けられている。コモン・ローや制定法について, 基本的な事項の説明があるともっとよかったが,それは私が「想定される読者」じゃないということかも。
5月20日
北海道岩見沢市は6月上旬に,市民向けに岩波文庫電子書籍の閲覧サービスを開始する。当初は109作品を用意し, 同市立図書館内に設置されたパソコンで自由に閲覧できるようにする。順次500作品まで拡充するとともに, 平凡社の東洋文庫についても提供を予定している。将来的には,図書館外での利用も可能となるよう計画も進めている。 岩波書店の大塚信一代表取締役社長は今回のプロジェクトについて,サービスの公共性に共感した「損得抜き」の参加であるとコメント。一方、 EBIでは岩見沢市の導入事例をきっかけに他の自治体からの引き合いがあると見込んでおり,電子図書館システムを事業に発展させたい考え。
5月17~19日
週末は近所の県立公園のお祭りに行きました。今月の岩波文庫新刊「怪談 牡丹燈籠」(三遊亭円朝)は改版もの。 『旗本の美しい娘の死霊が,燈籠を提げた侍女を連れて恋しい男の許をたずねるという『怪談牡丹燈籠』は,芝居や映画, 落語の怪談噺など様々な形でひろく知られています。これは,中国明代の小説『剪燈新話』にある「牡丹燈記」の翻案として『伽婢子』 に収録された一篇に,天保年間牛込の旗本の家で起きた話を加えて円朝が創作したものです。(「牡丹燈籠」を含む『伽婢子』の30篇は, 7月半ばに重版予定の『江戸怪談集』(全3冊)の中巻に収録されています。) ここに描かれている世界は江戸時代ですが,三遊亭円朝 (1839-1900)の口演を,当時もちいられはじめた速記法で書き取り,これを刊行したのは明治17年のことであるので, 岩波文庫では緑帯の近代日本文学に分類しています。今回の改版では旧字・旧かなの表記を改めたほか,会話体の部分を改行して読みやすくし, 新しく注を加えました。』(岩波書店) この口述筆記を行った若林坩蔵について。彼は,明治15年に上京し, 速記符号の発明者田鎖綱紀が開いた第1回「日本傍聴筆記法講習会」に入会して筆記法を学びます。翌年, 郵便報知新聞社の依頼で同社と自由新聞との論争を速記し,この記録が郵便報知紙上に掲載され,速記実用化の最初の速記者となりました。 明治17年,埼玉県会の要請で議事を速記しますが,それは地方議会議事録への最初の速記導入となりました。また, 当時寄席随一の人気を博していた三遊亭円朝の「怪談牡丹灯籠」を速記にとり出版し,講談速記本流行のきっかけを作りました (15日間楽屋へ通い,二人がかりで聴き取ったといいます)。この本には速記符号も併載されていたので, 速記のPRにも大きな効果があったほか,円朝人情噺本は,新しい文体を模索していた二葉亭四迷,山田美妙らに格好の見本となり, 言文一致体小説の誕生に影響を与えました。(「彩の国の偉人」ほかによる)
5月16日
「鉄道旅行案内」はまだ残っていたので,買ってきました。昭和51年発行の復刻版で,ページをめくると,パリパリ音のする新品。 東海道線が御殿場経由だった時代の,全国の駅周辺の見所を簡単にまとめたもの。印刷はあまり綺麗でないが, カラー図もふんだんに入っています。朝鮮,中国への連絡も載っており,古き良き時代ののんびりとした旅の雰囲気が,なんとも嬉しい。 ちなみに各地の観光図は,吉田初三郎の筆によるもの。吉田初三郎は,京都に生れ,鹿子木孟朗に弟子入りし, 「大家が広告も描くフランスのように,民衆の為の芸術を仕事としてはどうか」との勧めを受け,大正後期から昭和前期を中心に, 鉄道網の発達に伴う旅行ブームの中で,全国各地を調査して500種以上の観光案内地図を作りました。
5月15日
新橋駅前の大古本市を覗いてきたのですが,文庫本関係では収穫無し。綺麗な春陽堂少年文庫が目に付いたので,おっ!と思ったのですが, 復刻版でした(それでもかなり古いもの)。やたらに多かったのは「サライ」。古本屋の売れ線なのかしら。あとは美術本や実用本。有名な 「鉄道旅行案内」(鉄道省,大正10年)の復刻版を2500円で売っていたので,どうしようかしばし佇み,結局手ぶらで帰ることに。
5月14日
集英社Be文庫が5月16日に創刊。「あなたの暮らし・生き方を豊かにする」女性向き文庫とのことで,
第1回は,浜美枝「正直な作り手の味」,エミール・シェラザード「変えられます!恋する女の強運・凶運」,はな
「はなのとっておきスウィーツBOOK」,所ジョージ「所さんにまかせなさい」,久島優子「いま『手作り』が気分です!」,
横森理香「愛しの筋腫ちゃん」,阿川佐和子「今さらながらの和食修業」,吉行あぐり「あぐり95年の奇跡」の8点。こういうのが,
女性向き・・・らしいです。
5月13日
勁文社が民事再生手続き開始を申請-負債25億円。(株)勁文社(資本金8000万円,東京都中野区本町3-32-15, 代表加納将光氏,従業員45人)は,4月19日に東京地裁へ民事再生手続き開始を申請した。勁文社は,1960年(昭和35年)8月創業の総合出版社。 「ケイブンシャ文庫」などの書籍を主力に,月刊誌「デ・ビュー」(公称30万部)などの雑誌,「スーパーロボット大戦」 「デジモンアドベンチャー大百科」などの大百科シリーズ,ゲーム攻略本,写真集などを手がけていた。特に,70年代に手がけた児童出版物 「原色怪獣怪人大百科」がベストセラーとなるなど,子供向け娯楽情報書籍に強みを持ち, 97年9月期には年売上高約28億7100万円を計上していた。近年は出版業界不振の影響を受け販売部数が落ち込み, 目立ったヒット作も無いことから,2001年同期の年売上高は約23億900万円にとどまっていた。最近では, 金融機関からの新規融資が得られずに返済元利金の増額を求められていたうえ, 書籍取次店からも支払条件の変更を申し入れられるなど資金繰りがひっ迫。今後の業況改善の見込みも立たないことから, 民事再生法による再建を目指すこととなった。
5月10~12日
梅雨のような鬱陶しい日々が続いていますね。月曜日からは新橋駅前で恒例の古本市なのですが,また雨に祟られそうです。この週末は, ポケモンセンター東京とTDLへ行き,意外に空いていたのでビックリ。TDLのハニーハントも20~30分待ちで,1時間で3回連続搭乗? という新記録を打ち立ててきました。
5月9日
岩波文庫に続いて,新潮文庫も全作品目録を7月に刊行。戦後発行の全5601書目を日本作品と海外作品に分け,著者50音配列とし, 各書175字前後の解説文を付す。同一著者の作を発行年月順に配することで,文庫化の変遷も映す。戦前編は, 大正3年創刊より3期にわたる戦前新潮文庫全557冊の各期別刊行記録リスト。紀田順一郎氏による創刊事情と後の変遷を考察した『 「新潮文庫」出版史』。執筆者別書名総合索引,書名総合索引つき。CD-ROM付きで6000円。CD-ROMには, カバーの写真まで入っている。う~む,これは欲しいかも....。詳しくはここで。
5月8日
今月,岩波文庫「王朝秀歌選」が重版されます。平安から鎌倉にかけてつくられたたくさんの詞華集 (万葉集や古今集などの勅選集から珠玉歌を選りすぐって編んだ小歌集)より,後鳥羽院「時代不同歌合」,俊成「三十六人歌合」,定家 「百人一首」,藤原公任「前十五番歌合」・「三十六人撰」など8種の秀歌選を収めたもの。20年ほど前に出たときから, 私のお気に入り本の一つ。注も詳しいのでお薦めです。
5月7日
出版労連より,連休中の『少年マガジン』合併号中止についての抗議声明が出ました。
例年,5月連休時は多くの週刊誌が通常の発行体制を変えて合併号を発売してきたが,今年,講談社は『週刊少年マガジン』
の5月連休時の合併号を取りやめ,通常発売を行った。講談社は,売上げ増をめざし,「業界への貢献もできる」とし,また,
この増売方策は取次経営者も歓迎と報道されているが,はたして業界活性化につながるのか。
私たち出版・印刷関連に働くものとして,今回の合併号取りやめがこれまでの経緯に逆行するものであり,さらに他誌への拡大や,年末・年始,
夏休み期間への拡大につながることを危惧し,出版・印刷関連業界全体がこの動きに同調しないよう要請したい。
1950年代の中ごろから60年初めにかけて,出版界では男性週刊誌をはじめ,女性週刊誌やコミック週刊誌など,
週刊誌の創刊があいついだ。その週単位の進行や大量部数の発行を可能にしたのは,印刷業界の合理化・
技術革新による大量印刷体制の確立にあるが,それを支えたのは,出版,印刷,製本,取次,書店での「週刊誌体制」
といわれた過酷なまでの労働実態であった。版元から書店にいたるまで,週単位・分刻みの進行で,
休日返上や残業は当たり前という状況がつくられ,出版関連産業はこの大量生産・大量販売で60年代の高度経済成長期をひた走ってきた。
私たちは,このような労働実態を改善しようと,週休2日制実施や労働時間の短縮に取り組んできた。また,出版・印刷関連業界も,年末・
年始,5月連休,夏休み時期の進行対策の一つとして,年間いくつかの合併号発売という形で休刊日をつくり,定着させてきたのである。
そして,週刊誌の創刊から30年近くたった1989年末から90年にかけて,大量の出版物の生産がこなせず,
一部月刊誌や週刊誌が販売日に間に合わないという事態が起きた。この「本が危ない」という事態に直面し,出版・印刷関連業界は,
その改善策として,印刷・製本単価を見直し,単価引き上げ運動を行った。一方,私たち労働組合は,このような状況の背景には,印刷・
製本や出版社の人員不足,印刷・製本の低労働条件などの問題があると考え,各産業の労働条件向上や格差是正に取り組んできた
私たちは,今回の連休中の通常発売は,これまでの労使の努力のうえに積み重ねてきた現在の発行体制をなし崩しにすることであり,
いずれまた「本が危ない」状況を生み出していくものと言わざるを得ない。講談社は「作家や編集部も超ハードなスケジュールで進行しており,
労務面でも難しい面が多々ある」と業界紙の取材にこたえているが,決して作家や編集部だけがきついスケジュールを負うのではなく,印刷,
製本,取次,書店に働く多くの労働者をも巻きこむものである。
現在でも,出版,印刷,製本の現場では過労死や労働災害が多発しており,
光文社の週刊誌編集者であった脇山さんの過労死も本年はじめに労災認定されたばかりである。厚生労働省が労災認定基準を改め,
時間外労働の軽減への取り組みを強め,労働基準監督署を通じて各企業への指導を行っているように,
社会全体が労働時間短縮の方向に動いていることをあらためて認識すべきではないか。
私たちは,出版不況を背景にした経営再建や業界活性化の名のもと,
一方的な労働者へのしわ寄せを強いるリストラ解雇や労働条件引き下げに断固反対するものである。また,活字分野をいかに守り,
発展させていくかは,出版,印刷,製本,取次,書店に働く労働者の雇用の安定,生活向上なくしてはあり得ないことを確認して,これからも,
企業・業界を越えた取り組みをさらに強めていくものである。
5月2~6日
連休はいかがでしたか? 私は,自宅で休養,というか出かけるところもなかったわけです。そんななかで, 相変わらずイスやテーブルのペンキ塗り,大判のトレーシングペーパーとフィルムルックス(粘着式の透明書籍カバー) でせっせとムックや本にカバーを掛ける,という地味な日々でした。このカバー掛け,まとめてやると結構集中できて面白いんですよね。 問題としては,最近フィルムを掛けて保護したいほどの大切な本を買っていない,ということです....。
5月1日
「三色ボールペンで読む日本語」(斎藤孝)が売れているらしい。「まあ大事」な部分を青,「すごく大事」は赤,「面白い!」 は緑で線を引く。青と赤は,段階を付けた客観的視点,緑は主観的視点の意味がある。赤線を見ると読後の感動度の指標となるし, 緑線は自分の感性の発露となり,愛着が湧く。カチャカチャと色を切り替える音が, 主観と客観と矢継ぎ早に脳を切り替える役にたつと著者は言う。私は,本に線を引くのは嫌いだ。蔵書印を押したり, 余白に書き込んだりするのには抵抗がない(というより,古書店でそう言う本があるとつい買ってしまう)。だが,線はダメだ。 何より美しくないし,大事な本が受験参考書のように見えてしまう。まあ,この著者が対象にしている本が, どこかの社長か政治家が書いたビジネス書や処世訓であれば,どんどんおやりなさい,と言えるのだが....。
「嬉遊笑覧(1)」は電車の中での拾い読みに良いですな。連休で多少ラッシュも緩和されているので余計に捗る感じ。
10年ほど前に貰った万年筆が出てきた。セーラーのDAKSシリーズで,ブルーブラックのインクが入れたまま。当然,ペン先一帯は固着していてインクが流れない。ぬるま湯につけ込んで,少しずつ溶かしだしているが,まだ数日かかりそうだ。
最近,万年筆を使っている人を見かけなくなったが,私は悪筆ながら万年筆好きで(ボールペンだと下手すぎて自分でも読めない....),宅急便や銀行の伝票以外は万年筆で書くようにしている。万年筆の出荷最盛期は,昭和40年代前半だそうで,我々はたぶん,「最後の」万年筆世代なのだろう。中学生になったときは,記念に貰ったし,父が帰国したときの土産も,シンガポールあたりで買ったパーカーやヒーロー
(懐かしいですな)だった。
万年筆のページというのもある。
すっかり連休モードに入ってしまい,ちょっと気合い不足。この間,27日は自転車で図書館へ行き,午後は息子のサッカー教室のおつき合い。28日は,久しぶりに東京ディズニーランド。連休中日なのにそれほどの混雑もなく,ちょっと拍子抜け。29日は,カミサンの命令で庭の植栽の手入れと,テーブルやイスのペンキ塗り。読書とは縁遠い連休前半でした。
四国の雑誌発売日2日目発売に改善-香川・愛媛・高知の雑誌発売日が6月11日発売分から2日目地区に繰り上がることが決まった。瀬戸内海をはさんで岡山・広島と1日の差,首都圏と2日の差は,今後首都圏と1日差に縮まる。これにより,従来は水曜発売だった『週刊現代』『週刊ポスト』が火曜発売になるなど,週刊誌23誌で発売日が早くなるほか,一般誌も発売日が1日繰り上がる。幼年・幼児誌,少年誌などの計画誌については現状でも発売日の遅れはない。また,四国4県のうち徳島県は,従来から2日目地区になっていた。(書店新聞)
岩波文庫「ウィルヘルム・マイスターの遍歴時代」が完結した。
前回,関泰祐訳(マイステル,でしたな)で出たのが1964~5年だから,約40年ぶりの新訳となる。なかなか最後まで興味を持ち読み続けるのは厳しいが,これも教養小説らしい試練だと思えば....。
岩波文庫の新訳「リチャード三世」を読む。もとより原文と逐一あたるわけではない自分にとって,シェークスピアの訳の良し悪しは,読んでいて違和感を感じるかどうかにかかっている。その点,この木下順二訳は,かなり自然に読むことができた。
木下順二は,昭和11年東京大学英文科に入学し,中野好夫のもとでエリザベス朝期の演劇史,なかでもシェイクスピアを専攻。在学中は東大YMCAのメンバーとして活躍し,その指導をしていた女優・山本安英の影響で演劇に関心を持ち,その後戯曲創作に専念。
リチャード三世の文庫本には,新潮文庫に福田恒存訳,角川文庫に福原麟太郎・大山俊一(旧訳)と三神 勲(新訳),旺文社文庫に大山俊一訳がある。
「リチャード三世」は,明解なストーリーで,歴史的な背景が分からなくても楽しく読めるが,この時代の薔薇戦争については。「文学・歴史の20」か,「英国の歴史」が参考となる。
この週末は天気が今ひとつで残念。ドリトル先生問題のその後....。
『故井伏鱒二氏の翻訳で親しまれてきた「ドリトル先生物語」の「差別的表現」が議論になっている。岩波書店は昨年9月,最新の「岩波少年文庫」版に「ニガー川」「つんぼ」など黒人や障害者への差別表現があることを市民団体に指摘され,回収を求められた。担当者が見落としたためらしいが,岩波書店は「故人の作品の根幹に手を加えることは,適切な態度とは思えない」と回収せず,読者へのお断りで対応することを決めた。
「ドリトル先生」は,動物の言葉を話せる医師が,動物とともに繰り広げる物語。岩波書店によると,英国出身の作家ヒュー・ロフティングの原作を井伏氏が翻訳し,51年に「ドリトル先生アフリカゆき」を刊行した。その後も刊行を重ね,全12巻の全集版と,文庫版にまとめ,00年に新版の文庫版を出した。
市民団体「黒人差別をなくす会」が点検したところ,「めくら」「気ちがいじみた」などの表現が約100カ所見つかった。アフリカ西部を流れるニジェール川を,黒人を蔑視(べっし)する「ニガー」という言葉を使って「ニガー川」と表記した部分も23カ所あった。原文そのものに,そのような表現があった部分もあるが,井伏氏の翻訳で「差別的表現」になったところもあるという。ニガー川については井伏氏の誤訳とみられ,次の印刷時点で改める。
すでに全集,文庫版合わせて約4万冊(2001年10月時点)が市場に出回っている。岩波書店は協議の結果,本は回収せず,「ニガー川」以外の表現については,改めるかどうかを検討するという。その代わり,この作品が掲載されている全集や文庫版に,「読者のみなさまへ」と題する文書を差し込む。
文書では,侮辱されたと感じる人がいる以上,「その声に真剣に耳を傾ける」と断ったうえで,「故人の作品の根幹に手を加えることは,古典的な文化遺産をまもっていく責務を負う出版社として賢明ではない」ともしている。時代を超えて読みつがれる作品の場合,時間とともに読者が表現に違和感を持つことは少なくない。手を入れるべきかどうか,どういう表現がふさわしいのか,悩むこともあるという。
これに対し,黒人差別をなくす会副会長の有田利二さん(大阪府堺市)は「ドリトル先生シリーズのこれまでの改訂でも差別表現を別の表現にかえてきた。問題があることは知っていたはずだ。子ども向けの本には細心の配慮をすべきなのに,問題に気づいていながら出版を続けてきた姿勢に強い憤りを感じる」と話していた。(朝日新聞より)
ちなみに,ニジェール川の語源は,遊牧民ツアレグ族により,この川がニエジーレンn'egiren「川」,またはエジーレンegiren「川」と呼ばれていたことによる。これがフランス人に伝えられ,ニジェールと転訛した,とのこと(牧英夫編著「世界地名ルーツ辞典」)。
古い記事なので,消えてしまう前に転載(東京新聞より)。
88/02/20 東京夕刊 社会面 『今なぜ「ローマ帝国衰亡史」 復刊岩波文庫が異常な人気 数千セット増刷中』
岩波書店(東京・一ツ橋)の復刊文庫本「ローマ帝国衰亡史」が異常な人気を呼んでいる。10冊セットで5700円するが,1万セット近くを予定していた同書店は相次ぐ注文にあわてて数千セットを増刷中だ。物質文明が成熟したあと,やがて衰亡に向かったローマ帝国。高度に物質社会が発達しながら「先行きの見えない」現代日本。その似たような世紀末特有の雰囲気が共感を呼んでいるのではないかと分析する学者もいる。購買層は四十代以上。本離れが言われるさ中のうれしい誤算に,同書店では「良い本を求めようとする読者はまだまだ多い」と意を強くしている。
今,なぜローマ帝国なのか-。
◆現代日本とソックリ?◆ 「ローマ帝国衰亡史」は,昭和26年から34年にかけ,英米文学者の故村山勇三氏の訳で1セット全10冊が刊行されたが,50年の重版を最後に絶版となった。同書店では,岩波文庫発刊60周年を記念して昨年,絶版となっている文庫本の復刊を計画。7月に文庫本2300点総目録を出版した際,復刊希望を調べるリクエストカードを折り込んだところ,昨年暮れまでに約9000通が寄せられた。その中で「ローマ帝国衰亡史」の希望カードが約300通でトップだった。これを受けて同書店では,昨年11月の第1回復刊(34点)に続いてこの2月,2回目の30点を復刊した際に,「ローマ帝国衰亡史」を売り出した。
「有名な作品だが,全10冊という長大さからあまり売れないだろう」。同書店はそう予測し,他の復刊本並み以下の1万セット弱を刊行した。ところが,東京・八重洲ブックセンターが「500セット用意してほしい」と注文したのを皮切りに,丸善からも「400セットを」と続き,全国の店頭でも,並んで10日もすると売り切れが続出,取次店からの注文が殺到して応じ切れなくなった。岩波ブックセンターでは発売当日,約100セットが売れたという。
購入者のほとんどは40歳以上の男性だった。岩波書店では現在,3回目の増刷中で,復刊合計は1万数千セットになる。鈴木稔編集部課長は「完全な誤算。なぜこんなに人気があるのか,こっちが教えてもらいたい」と肩をすくめる。全巻の完訳はこの文庫本しかないという事情も影響しているようだ。
「今は古典がよく読まれている。先行きがよく見えない現代人が,昔の人の知恵に学ぼうとしている表れだろう。『ローマ帝国衰亡史』もその一環と言える」と分析するのは木村尚三郎東大教授(西洋史)。木村教授の説はこうだ。現代には,大きな思想がないうえ,低経済成長時代で五年先もよく見えない。一方では物質生活は豊かだが,超電導やバイオテクノロジーが開花するのはまだ先。「未来を開くカードがない手詰まりの状態」が現代だという。
「古代ローマも物質文明が成熟した。行きつくところまで行き,それから先,良くなるという期待感がない。現代も,経済活力のダウン,高齢化社会の到来が予測されるなど,未来は進歩発展より衰亡への不安が強まっている」古代ローマ帝国はローマに人口が集中,3,4世紀になると年間の半分は労働を休み,ぜいたく,飽食がはびこった。「そんな古代ローマと現代日本を見比べると,日本はどうすればそうした衰亡から抜け出せるかわかるかもしれない,という意識が読書熱につながっているのではないか」と木村教授は分析する。鈴木さんは「絶版になってから十数年。この間,読者の需要が少しずつ高まってきて,一気に爆発したのでしょうか」と異常人気の背景を自分ながらに結論づけている。
同書店では3回目の増刷で,一応,「ローマ帝国衰亡史」の復刊を打ち切るという。
朝起きたら24℃....暑くなってきました。4月の新刊「法然上人絵伝」について。
本書は,平安時代の終わりに浄土宗を開いた法然上人の伝記を絵巻であらわしたもの。法然上人は,1133年に岡山県の地方武士の家に生まれ,父親亡き後,その遺言で出家して都に上り,比叡山で修行しました。そして戦乱の続く時代の人々を救うためにはどうしたらよいかを考え,「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」という念仏(ねんぶつ)を唱(とな)えることによって,阿弥陀如来(あみだにょらい)に救われ,極楽(ごくらく)に生まれ変われるという浄土の教えを広めました。法然上人は,念仏の教えを嫌う人たちの圧力によって,一時讃岐国に流されましたが,そのほかはずっと京都にいて,1212年に亡くなるまで,都の貴族や民衆に浄土の教えを広めた人です。
この法然上人絵伝のように,仏教の新しい宗派を開いたお坊さんや,徳の高いお坊さんの伝記をあらわした絵巻を「高僧伝絵」と呼びます。高祖伝絵は鎌倉時代にとても多く作られました。この時代に新しく始められた宗派では,宗派を開いた宗祖に対する信仰が強く,新しく信者を獲得するためにもそのお坊さんの伝絵を作ることが重要であったのです。特に法然上人の始めた浄土宗では伝絵を作ることに熱心で,
いくつもの違った種類の法然上人絵伝があります。本書は,そのうち知恩院に伝来しているもので,その誕生から入寂に至る行状のほか,法語,消息,著述などの思想もあらわし,さらに門弟の列伝,帰依者(天皇,公家,武家)の事蹟までをも含んで48巻に構成している日本の絵巻のなかで最も巻数の多い絵巻として有名なものです。
後伏見上皇の勅命で,比叡山功徳院の舜昌法印(知恩院九世)が徳治2年(1307)から十余年をかけて制作したと伝えられています。高僧伝絵は,宗教的な意味あいから作られたものですが,現代の私たちにとっては,絵画として楽しむことができますし,また,昔のようすを知る貴重な資料にもなっています。
そろそろ4月の新刊が書店に並ぶ頃だと思うのですが,今月は「嬉遊笑覧(1)」(喜多村いん庭;いんは竹冠に均)が面白い。
江戸風俗の百科事典と呼ばれ,ネタの宝庫。居所,容儀,服飾,器用,書画,詩歌,武事,雑伎,宴会,歌舞,音曲,玩弄,行遊,祭祀,慶賀,方術,娼妓,言語,飲食,火燭,商売,乞士,禽蟲,漁労,草木,付録の各編からなる。編集部によると,『今回の文庫版では,静嘉堂文庫蔵の自筆稿本を底本にしました。自筆稿本は巻一を欠いているため,これまで活字になっていなかったものです。(巻一は,東洋文庫蔵の写本を底本にしました)。なお,第二冊以降の刊行予定はまだ立っておりません。あらかじめお詫び申し上げます。』
あらあら....。現在入手できるのは,名著刊行会版(上下各600頁ほどで明治期刊行本復刻版25000円)と,日本随筆大成版(吉川弘文館,全4巻各巻2800円)がある。江戸百科といえば,「守貞漫稿」も有名だが,時代的には「嬉遊笑覧」の方が古く,出典が明記されており,資料的な価値は高い。ただ,イラストが豊富な「守貞漫稿」に比べて堅苦しいのは確か。
四季とはいっても,季節の風物を語ろうとして書かれたものではなく,アランが地元の新聞に,折に触れて書きつづった事々を,あらためて四季にちなんで編んだもの。つらつらと読んでいると,これがもしこのまま我が国の新聞に載っていたら,果たして読む人がいるのだろうか?と疑問に思った。それが翻訳の問題なのか,フランス人の哲学に関する感覚が我々と違うのか....。とにかくスッと心に入ってこないのが残念。
「アランの言葉」も参考になります。
新しい新書シリーズ・PHPエル新書が創刊された。特徴は,各界の著名人がそれぞれの得意な分野について執筆。女性や若い世代も読者ターゲット。従来の新書版より横幅の広い判型。装丁は各企画にあわせて1冊1冊異なるデザイン。表紙・本文にはカラー写真やイラスト。活字は読みやすい14級にした,とのこと(栞の片面が罫線だけというのも面白い。感想でもメモしたらよいのか)。
さっそくその中の一冊「生活骨董。」を読む(モー娘じゃないのにこの。はなんだ?)。著者・麻生圭子といえば作詞家だったのに,いつのまにか京都に移り住んで,京都生活評論家になっているらしい。プロフィールによると,1957年生まれ。大学在学中に結婚し3年で離婚,ベルリンへ渡る。26歳で作詞家デビュー。小泉今日子,吉川晃司などのヒット曲を800曲以上手がける。96年再婚を機に京都に移り,現在は,新聞・雑誌のほか講演など多方面で活躍中。
本書は,「骨董というと,一般的には高くて,知識が必要で,高尚なイメージがあり,興味はあるが買うには腰が引けてしまうという人が多いのではないでしょうか。しかし,この本で提案する「生活骨董」は,けっして敷居の高いものではなく,鑑賞や蒐集を目的としない生活のための骨董であり,些細で質素な道具たちを実生活に取り入れ,使いこなしていくものです。ガラクタ呼ばわりされている古道具でも職人の手によるものであれば,その職人の心が感じられ,使い心地が違うものです。」
しかし,あまたある骨董指南書よりもスノッブな感じがして,なんとなく無理があると感じてしまうのは,
こちらの僻みか。
4月12~14日
岩波文庫新刊「雍州府志―近世京都案内」(上)を読む。1684年に歴史家・黒川道祐がまとめた山城国(京都府南部)の地誌。雍州は,唐の都長安のあった州名で,それに比して都のある地の意。道祐は洛中洛外を実地踏査し,京都とその近郊の地理,寺社仏閣,土産物,陵墓などをつぶさに調べ,この「京都百科事典」を完成させた。上巻には概説と神社,寺院の部を収録。文庫以外では,臨川書店版(1997年,6500円)あり。
4月11日
岩波文庫新刊「みなかみ紀行」(若山牧水)を一気に読む。大正期,利根川の源を訪ねて,長野県・群馬県・栃木県を巡った旅の記録。歌を詠みつつ,鄙びた温泉を訪ね歩くと,土地の人々との出会いがあり,酒と友がいる。その健脚振りと,ときには酷い目に遭いながらも,それも旅の楽しみとする牧水の大らかさに感心。かの地では,いまでも牧水ゆかりの温泉を名乗っているところは多い。中公文庫からも出ている「みなかみ紀行」については,旅のホームページも参考になります。
4月10日
新刊「書斎曼陀羅-本と闘う日々」(全2冊)を読む。講談社「インポケット」に連載された磯田和一さんによる作家の書斎訪問記をまとめたもの。本棚だけでは足りずに,床にも本を立て置きして敷き詰め,その上をこわごわ歩かされる家や,窓も階段も本で塞がれてしまった素敵な洋館だったはずの家,ドア代わりに本棚を目かくしにしたトイレのある書斎,グランドピアノの上や下まで本が詰め込まれ,鍵盤の蓋を開けることさえままならない家など,精緻なイラストと作家本人への聞き書きでリアルに再現していて面白い。
乱雑さには自信がある我が家の書棚も,これに比べれば,まだまだ子供の本棚みたいなもの....。
4月9日
以前は,新入学シーズンといえば,小学生は新しい鉛筆,中学生や高校生は新しい万年筆(中学一年生なんていう雑誌を年間購読すると,かならず万年筆のプレゼントなどありましたね)と決まっていた。最近は,普段万年筆を使っている中学生など希少だろうし,小学生でもシャープペンの方が多いかもしれない。それでも小さい子のいる我が家では,まだ鉛筆がメインだ。そんな鉛筆の歴史を要領よくまとめている文庫本として,「文房具の研究」(中公文庫)がある。黒鉛の棒をそのまま使っていた時代から,近代工業による大量生産に至るまでの技術の進歩,ファーバー・カステルやステッドラー,三菱など,著名なブランドの歩み。日頃身近にあって「こだわり」とは無縁の鉛筆にも,さまざまな蘊蓄があることが分かり面白い。日本で鉛筆の生産が始まったのは,意外に遅く明治20年代であることもわかる。もっとも,我が家での鉛筆のブランド名は,いまのところ遊戯王やポケモンだったりするわけですが....。本書の後半には万年筆の話題もあり。
4月8日
岩波文庫「耳嚢」が今月復刊されます。耳嚢(みみふくろ)は,根岸鎮衛が,天明から文化にかけて30余年間に書き継いだ随筆集で,2000を超える奇談・雑談を集録したもの。要は江戸時代のスリラー,ゴシップ集だ。根岸鎮衛は南町奉行も勤めた旗本で,自然と話の中身も武士階級のものが多いが,医術,とくに痔に関するものもあり,なかなか感心?させられる。
当時の世相を知る上で貴重な文献であることはもちろん,(スイスイと読めないのが残念であるが)怪談ものとして楽しめる。耳嚢はもともと,著者の個人的な記録だったようで,門外不出とされていた。しかし,その面白さが徐々に世間に広まり,いくつもの写本が生まれ,我々も岩波文庫で気軽に読めるという次第。
4月4~7日
新入学シーズンということで,電車も混むし,何かと気忙しい感じですが,日中は26,7℃まで気温も上がり,はやくも初夏の陽気。これからが,私の季節?であります。毎日新聞社は,昨年10月に創刊したばかりの雑誌「ヘミングウェイ」を4月4日発売の4月18日号で休刊。食,旅,住まい,カルチャーなど,50歳代の中高年層向け情報誌で月2回の発行でしたが,編集部のご挨拶によると,『「ゆとり趣味生活情報」をスローガンに,読者の皆さまに楽しんでいただける誌面づくりに力を注いでまいりましたが,諸般の事情により本号(4月18日号)をもちまして一時休刊させていただくことになりました。まだ詳細は未定ではございますが,現在,『ヘミングウェイ』の理念をさらに純化させた新雑誌の刊行を検討しております。再び皆さまとお会いできることを楽しみにしております。』とのこと。
年齢的にターゲットでない私は,ちらりと覗いただけですが,たしかに適当な記事の寄せ集めで,これでなければいった魅力はなかったように思いました。ヘミングウェイといえば,「4本のヘミングウェイ」という本がお薦めなのですが,それはいずれまた。
4月3日
創元ライブラリの新刊「文豪春秋」(いしいひさいち)を読む。文壇の長老,有名ではあるが売れない純文学作家・広岡達三を主人公とする四コマ漫画集。「わたしはネコである」と「わたしはネコである殺人事件」からセレクトし,未収録を若干加えたもの。原稿とりに必死の文学春秋社の編集者ヤスダ君や,のんきでとぼけたお手伝いさんとの掛け合いが面白く,頑固で偏屈な作家の日常がよく描かれている。いしいひさいち情報は,問題外論で。
4月2日
新刊「ザ ワークス オブ 書斎館―東京・南青山書斎館から始まるラグジュアリー・ペンの新時代」を読む。その名の通り,青山にあるアンティーク文具の専門店「書斎館」を紹介したもの。一つのステーショナリー・ショップがムックになってしまうのも驚きだが,万年筆やインクビン,雑貨など,眺めているだけでも楽しい本。
4月1日
最近は,出張がしばらく続くと,子供あてに手紙を出すことにしている。元気でやっているか,お母さんの言うことをよく聞きなさい,などと他愛もないことを,その土地の絵はがきに書くだけだが(まだ漢字が読めないのだから),それでも,自分宛の手紙がくると,結構喜んでいるらしい。いま普通の親子がどれだけ手紙のやり取りをしているか分からないが,私は父が外国航路の船乗りで,年に一度しか帰ってこないような人だったので,子供の頃よく外地から手紙を貰った。ある程度年齢がいくと,またこんなこと言ってらぁ,などと感じてはいたが,自分が父親になってみると,これも父にとって一つの楽しみだったのかなぁ,と思う。
3月31日
岩城宏之の新刊「オーケストラの職人たち」(文藝春秋)を読む。コンサートを裏で支える人々,ステージマネージャー,作曲家が書いた譜面を清書する写譜屋,ピアノやハープなど大型楽器の運送屋,世界的なピアニストから依頼されコンサート用のピアノを調律する調律師,会場で配られるあの膨大なチラシを印刷し配るチラシ屋など,岩波新書「オーケストラの風景」とダブる部分もあるが,演奏家としての視点から,興味深い話を楽しく読ませてくれる。もちろんいつもながら日本のオーケストラや聴衆の現状についての厳しい視点もあり,とくにクラッシック音楽とは何か?という考察は面白い。
3月26~30日
天気には恵まれませんでしたが,とりあえず無事に神戸から戻ってきました。前回神戸を訪れたのはずいぶん前,大震災の直前でした。あれだけの被害から,よくここまで復旧してきたと感心すると同時に,関係者の方々が口々に,神戸が活気を取り戻すのはまだまだ,と話されるのをきいて,傷跡の大きさをあらためて痛感しました。「嘘」をずっと持ち歩いていたのですが,結局最後まで読めず仕舞い。
3月25日
今週は神戸へ出張しています。また戻りましたらよろしく。
3月20~24日
久しぶりに実家の方の書庫を整理していたのですが,70年代の岩波文庫パラフィン紙の変色が著しいので,交換しなけりゃいけないな,と思いつつも,時間がないので,そのままに。学生時代は,カバー付きの文庫本でも,その上からトレペまで被せていたのに....。ちなみに,古い文庫本に被せてあったのはグラシン紙(Glassine Paper)で,昔は紙にパラフィン(ろう)を染み込ませてつくったので,パラフィン紙(Paraffin Paper)とも呼ばれていました。ケーキとかチョコレートの包装用にも使われています。
岩波から貰った付け替え用のパラフィン紙残り1000枚ほども変色しかかっているので,どうしようかなぁ。いまは,ブールジェの「嘘」を読んでいます。
3月19日
Watermanのクルトゥールという廉価版万年筆。色が綺麗なのと,書きやすさで人気があるらしい....ということで,遅ればせながらボディ色が青と茶の2本を買ってきました(本体1400円,コンバータ400円程)。たしかに,使い捨て万年筆ほどチープじゃないし,普通のカートリッジや(コンバータを使えば)インクボトルから吸い上げることも出来るので,普段使うのには便利。いわゆる「ポケモン」で見栄はっている人には,とくにお薦め^^。ただ,キャップの密閉度がいまいちで,若干書き出しが濃くなる傾向あり。いまは,WatermanのブルーブラックとMontblancのボルドーを入れています。
3月18日
キャスリーン・バトルや佐藤しのぶがよく歌っているヘンデルの"Ombra mai fu"。『緑の木陰よ 輝く陽に きらめく木の葉よ 風よ雨よ この平安乱すな すずかけの樹の 平安を この木陰で憩う 慰め 喜び 安らぎよ』というこの清浄な歌が,「緑の木陰」から聞こえてくる。ハーディといえば,「テス」や「日陰者ジュード」など,苛酷な人生とか,愛憎劇とかいった雰囲気がある。しかし,本書は,教会音楽団の愁いを帯びた旋律が通奏低音のように流れるなか,緑あふれるイギリスの田園地方で繰り広げれられる穏やかな恋物語。ということは,通勤電車の中で,多少眠りに誘われることはやむを得ない。
3月15~17日
「二人の女の物語」を読み終わり,次は復刊のうち「嘘」か「緑の木陰」を取り上げようと思ったのだが,土・日に幼稚園の終了式や卒業式などがありバタバタしていたため,まだ手がついていません。ところで,神奈川県書店商業組合は,読者が1冊本を読み終われば書店でスタンプを押し,100個たまると神奈川新聞紙上に氏名を掲載するという「読書ノート」の取組みを進めています。主催は神奈川県組合,神奈川新聞社,神奈川県図書館協会の3団体とし,県内の図書館80館にもスタンプを置いて,読書ノートに押印する。書店には3月末頃,読書ノート120冊とスタンプ1個を無償配布する。追加の読書ノートは1冊50円,スタンプは1個150円とのこと。大人は駄目なのかしらん?
3月14日
「二人の女の物語」は,進捗して中巻から下巻へ。ボビィが亡くなり,店の経営権がコンスタンスの手を放れ,息子は絵の勉強のためロンドンへ。独りぼっちになったコンスタンス。そこで突然,時間が戻され,ソファイアのパリへの出奔場面へ。パリでのつかの間の贅沢な暮らし。亭主が行方不明となり,場末の下宿屋に運び込まれたソファイアだったが,次第に経営の才覚を現し,ホテルの経営者として成功。30年振りに故郷へ戻ってコンスタンスと再会。ギロチンによる公開処刑やプロシア軍によるパリ包囲など,戦火に動揺するフランスを舞台に描かれた「女の一生」。だいぶ調子が出てきたので,明日中に読み切る予定。写真はベネットのお墓(Burslem Cemetery)。ベネットに関するサイトはこちら。
3月13日
「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(井上トシユキ,文芸春秋)を読む。かの2ch管理人ひろゆきとは誰なのか,「2ちゃんねる」の歴史,匿名性,運営上の問題点など,インタビューを中心にまとめたもの。「ひろゆきに聞いてみよう!」では,田原総一朗・糸井重里・山形浩生・宮台真司との対談があるが,なにかみんなピントがずれているように感じるね。2チャンネルは,ひろゆきというまめな管理人によって発展してきたが,フィルターのかからない当事者の生の声が聞こえるところが魅力なのだ。
3月12日
いろいろ読み散らかしているせいもあり,「二人の女の物語」が意外に進まず,ようやく上巻が終わった。話で言えば,姉のコンスタンスと番頭のボビィが結婚,新しい店の体制ができ,ソファイアと胡散臭いスケールスは駆け落ちし,いまはパリにいるらしい...というところ。しかし,こういう小説を読んでいると,まだ自分の「読書力」も無くなってはいないな,と安心しますね。学生の頃,卒業して社会人になって家庭を持ったら,本なんて読まなくなるのではないか,読んだとしても,経済だの政治だのといったビジネス本ばかりになっているのではないか,という漠然とした不安を抱いていましたので,それから20余年経って,普通の「小説」(あえて言えば,役に立たない)を楽しく読むことができるというのは,ちょっと嬉しいわけです。逆に言えば,未だ学生気分が抜けきらないサラリーマン落第生ということかも....。
3月11日
新橋駅前で恒例の「大古本市」をやっているので,帰りに覗いてみました。残念ながら文庫本はありきたりのものばかりで,古いものはほとんど無し。雑誌のバックナンバーや料理・家庭本,映画のパンフが比較的充実していますが,それでもあえて酔っぱらいの巣窟,新橋駅でやるほどのものかな,とこれは毎年思うのですが。
3月9~10日
週末は気温20℃を超えて,ほんとに暖かかった。いよいよコートなしで通勤できそうです。復刊されたベネット「二人の女の物語」を読んでいます。岩波文庫としては,戦前に出た「老妻物語」の改訳で,1963年刊,ベネットの代表作といえる本書は,「五つの町」を舞台に,仕立屋を営むベインズ夫人とその2人の娘コンスタンスとソファイアの2代にわたる女の生涯と栄枯とを描いたもの。モーパッサンの「女の一生」を凌駕すべく2人の女を主人公に据えたと著者の序にある通り,なかなかユーモラスで楽しい作品。アーノルド・ベネットは,やたらに幅広い執筆活動をしていたので,我が国で訳されているものの中には,処世術や人生訓みたいなものも多く,肝心な文学作品があまり出ていないのは残念。
3月7~8日
掲示板の過去ログを整理して,話の流れが多少分かるようにしてみました。タイムスタンプまで書き換える時間と手間がなかったため,投稿日は変になっていますが,投稿の順序は正しくなっていると思います。
3月6日
最近,掲示板の方にもいろいろ書き込みを頂き,また,過去ログも相当たまってきたので,新しい掲示板を作成中です。今度は,投稿された方が修正可能で,なお,記事検索できるような形にするつもりです。
3月4~5日
週刊アスキー連載「カオスだもんね」やミズグチJAPANで知られるイラストレーター水口画伯(本名水口幸広)ショックが冷めやらぬ....。朝,アスキーを買い,風邪で不調なので座れる電車をまち,さあておもむろに「カオス」を読むかぁ....もうそのあとはずっと涙目。あの豪快な夫人と,「付けない派」を標榜し3人もの子持ちであったミズグチ氏。子育て奮闘記を読みながら,同志として多大なる共感を得ていたのに。別に亡くなったわけではないが,詳しくは週アスで。
3月2~3日
岩波文庫新刊「ドーミエ諷刺画の世界」(喜安朗編)を読む,というより見る。オノレ・ドーミエ(1808~1879)はマルセイユ生まれの画家。風刺画家として生涯に約4000点もの石版画などを制作。当時の新聞紙シャリバリに社会諷刺画(カリカチュア)を発表。本書にはそのうち109点を収める。ドーミエの作品は,日本の美術館等でも収集しているところが多く,とくに伊丹市立美術館は,2000点を超える諷刺版画,46点の彫刻,4点の油絵を所蔵している。とにかく滑稽であったり残酷であったり,描かれた人々の生き生きとした表情が見事。
3月1日
昨日のコンドルセの件は,やはり誤りでした。岩波書店のホームページの発行年が間違っていたそうです。ここのところ,はっきりしない天気が続いていますが,これもいよいよ春の訪れということなのでしょう。相変わらず我が家の息子は,スマブラことニンテンドースマッシュブラザーズに夢中で,相手をさせられる私はいい加減勘弁して欲しいと泣いています。
2月28日
もう2月も終わりなんですね。本当に早い。「デカメロン」も快調に読み進んでいます。今週中には終わるかも。もう一つ,復刊で気になったのは,コンドルセの「人間精神進歩史」。メモによると1951年刊行の第1巻,第2巻を持っているはずなので,あらためて買うつもりはなかったのですが,第2巻は今月改版?で刊行されたばかり。つまり新刊が「即日復刊」という変な具合になっていますね。
2月27日
20年ほど前に作った岩波文庫蔵書リストを見ると,「デカメロン」の1~3に印が付いていた。思い返してみると,端本で古書店に出ていたデカメロンを1冊ずつ集めようとしたが,なかなか続きが見つからず,
そうかといって途中まで持っているのに揃いを買うにも癪なので,そのまま放っておいた記憶がある。今回復刊を機に,「箱入りセット」を購入し,あらためて読んでみた(まだ途中だけど)。この岩波文庫は,戦後直ぐの1948年に初版が出て,これが39刷。版は相当痛んでいて(今回はオフセット)読みにくいところはあるものの,訳者による丁寧な解説に始まり,話の面白さにそんなことは忘れてしまう。
2月26日
講談社+α文庫「彼女は,なぜ人を殺したか」(福島 章)を読む。死刑を言い渡された若い女性の鑑定人となった精神科医が,その犯罪の背景にある精神的,肉体的問題に迫るドキュメント。実際の精神鑑定や裁判での証言がどのように行われているのかを,具体的に描いていて興味深い。一部,教授と心理テストを担当した女子学生の関係が,小説風になっているところは読んでいて恥ずかしくなるが,これはご愛敬。心理学総合案内「こころの散歩道」
には,犯罪心理学や社会心理学など,さまざまな資料がまとめられていて参考になる。
2月25日
先月の話題ですが,店舗での使用は可で,店舗内掲示は不可というのが面白いですね。『東京地裁で,ブックオフの「図書券利用可能」掲示は違法,との判決が出た。図書券の使用中止などを求めて,日本図書普及が新古書チェーン「ブックオフコーポレーション」に対して起こした訴訟の判決が東京地裁で行われ,裁判長は,店舗内に「図書券の利用が可能」と掲示することは不正競争防止法に反するとして禁じ,ブックオフに50万円の支払いを命じた。一方,店舗での図書券使用については,民法で代物弁済が認められており,不正競争行為の問題は生じないとした。図書券は本来加盟料を払った新刊書店でしか扱えない仕組みだが,ブックオフは図書券で新古書を買えるようにし,店内に掲示。受け入れた図書券は金券ショップで換金してきた。これに対し,日本図書普及は図書券の取り扱い即時停止,店内の掲示撤去などを繰り返し申し入れてきたが折り合わず,昨年4月に訴訟を起こしていた。』
2月22~24日
風邪気味で花粉症の影響もあるのか,鼻をぐずぐずさせながら3連休。幼稚園の送り迎えをしたり,図書館へ行ったりしていました。こういう時には,鼻の通りの良くなりそうな音楽を,と思い,フォーレのヴァイオリンソナタなど流しながら,岩波文庫「フランス革命期の公教育論」を読んでいました。本書は,フランス革命を機会に,旧来の教会主導の教育から市民教育・公教育への転換が図られた時期の教育論を集めたもの。初等教育,高等教育,アカデミーの在り方,共和暦の提案にいたるまで,激動の時代に新たな教育制度を模索する様子がよくわかります。
というのも,それぞれが観念的な教育論ではなく,人口何人の町には学校がいくつ必要で,先生一人当たりの生徒は何人が適当か,といった具体的提案までなされており,きわめて短い期間に新しい教育制度をまとめあげ,とにかく立ち上げていこうという革命期の熱気にあふれているからです。そのときに創られた教育制度の一部は,いまでも受け継がれています(多くは構想のみ,または短期間で廃止を余儀なくされたのですが)。
訳も平易で,専門外の人でも興味を持って読むことができるでしょう。フランス共和暦とはこれですね。各月は30日ずつで,12カ月360日。余った5日(閏年は6日)は,年末の休日になります。ちなみに,共和暦から他の暦に変換するページもあります。
2月21日
田口ランディだからね....。『田口ランディさん,解説本から無断使用 謝罪し書き直し:インターネット・コラムなどで人気がある作家の田口ランディさん(42)が,直木賞候補作となった小説「モザイク」の一部に無断使用があると指摘され,著作権を侵害したと認めていたことが分かった。田口さんは謝罪し,作品の一部を書き換えることで合意した。問題の著書は,東京・渋谷を舞台に,問題行動を抱える人間を病院などに移送するヒロインが,彼女から逃げた少年を追い求める物語。昨年4月に幻冬舎から刊行され,直木賞の候補作になった。著作を使用されたと指摘したのは,神奈川県の整体師・片山洋次郎さん(51)。
94年に出版され,「気」と身体とのかかわりを解説した「気ウォッチング」(日本エディタースクール出版部刊)の一部が,「モザイク」に似通った表現で引き写されたとした。「気ウォッチング」では,「気」の側面から他者に共鳴しやすい人の特徴を「持久力がない(疲れやすい)」「エネルギーの集中が持続せず発散しやすい」など47項目が個条書きにまとめられていた。
田口さんは,この部分を使用。少年と主人公との共通点として「持久力がなくやたらと疲れやすい。運動会でパッとしない奴だ。エネルギーの集中が持続できず発散しやすい」などと会話の形で書いた。双方の記述が似ていることに気づいた読者が,片山さんに指摘。片山さんが出版社を通して昨年9月,見解を求めたところ,田口さんが,無断 使用の事実と著作権の侵害を認めた。
今年2月3日付の合意書で,既に刊行されている版の絶版と,該当個所の書き直しで両者が一致した。田口さんは「片山さんの作品に共感した。この程度の使用は問題ないと判断した。しかし,使用個所は片山さんの趣旨と異なってしまい,申し訳ない。指摘をいただいた個所については書き直しをすることにした」と話している。』(朝日新聞)
2月20日
ちくま文庫の新刊「古本屋おやじ―観た,読んだ,書いた」(中山信如)を読む。著者は,「古本屋「シネブック」漫歩」の著書もある映画専門の古書店主。当然,戦前のスターのブロマイドや,映画雑誌など,その方面の話題も多いが,幻となった三島由紀夫の原稿や,古書市場の様子など,市井の古書店から見た業界裏話も豊富で,楽しめる。著者の「日常」は,「古書の小径:オンライン読み物・古本屋の日常」でも読むことができる。ん?本日発売予定の岩波文庫一括復刊が,まだ岩波のWebで買えないぞ。早くしないと本屋に行っちゃうよ。
2月19日
「地獄の黙示録―特別完全版」が公開中。ということで,岩波のホームページでも,その原案,コンラッド「闇の奥」をPR中。『コンラッド自身の体験にもとづく死と闇の恐怖の描写は,原始に対する驚異と文明に対する呪詛となり,この中篇を彼の代表作にしています。この機会に是非どうぞ。』 普通だったら,戦闘シーンの派手なカバーか帯でも付けるところでしょうが,さすが岩波は奥ゆかしい。といっても,闇の奥はもちろんベトナム戦争の話ではない。映画監督長谷川和彦曰く,『馬鹿な評価ではあるが,前半120点,後半30点というのが「地獄の黙示録」を見ての率直な印象だ。空軍騎兵隊を率いるロバート・デュバルがサーフィンをさせるためにベトコン村を急襲するジャングル掃討作戦のシークエンスは,まさに戦争そのものをフィルムにおさめた初めての映画といっていい。すばらしい迫力だ。ファントムジェットが飛び交い,ワーグナーの「ワルキューレの騎行」をボリューム一杯に挙げての殺戮シーンは,人間が本能的に持っている戦争をすることの快楽を徹底的にあばき,ベトナム戦争に対するジャーナリスティックな視点とはまったく違う戦争そのものを醒めた眼でとらえ,秀抜だ。しかし,コッポラが本当に分かっていたのはこのジャングル掃討シーンまでで,マーチン・シーンがマーロン・ブランド扮するカーツ大佐に接近するに従って作家の深い混迷を象徴するかのように,ナイトシーンが多くなっていく。まるでキリストのように,そして阿片窟の廃人のように,カーツは描写 される。いかなる時でも・闇の奥・に蠢き白日のもとに現われることはない。
カーツを白日のもとに晒し,その正体を見極めようとする作家本来の視点がそこにはないのだ。いくら闇をうまく撮っても闇は闇にすぎないのであって,その視点が欠落している限り,王国そのものの存在は浮かび上がってこない。おそらく,カーツとはいったい何者なのかという疑問がコッポラには最後の最後まで解けなかったのだ。コンラッドの「闇の奥」をベースにしたことは非常に興味深いのだが,文明人が未開地に入って王国を築くという19世紀的設定をそのまま現代に移しかえることが土台無理だったのだ。
19世紀のアフリカ人たちは決してベトナム戦争を戦ったりはしなかったのだ,という事実をコッポラは忘れてしまっている。別に彼はアジア人を蔑視しているのではあるまい。単に理解しえていないだけの話だ。王国の人々が誰一人個人としては描かれず,群れとしてしか表現されていないことがそれを物語っている。牛の首を斬り落とすショットをカット・バックさせながらのカーツ殺害のシーンに至っては,今どきの映研青年でもやらないような古くさい手法でコッポラともあろう者が何をしとるのか,と信じられない思いがした。
厳しくいえばそれは代替表現以外の何ものでもなく,作家としての正当な表現の放棄に他ならない。最終的に分からないものは分からないと正直に表現することが誠意ある作家の姿勢だと思う。意味ありげな作意は映画の力を半減させるし,文芸大作風なナレーション過多はコッポラの哲学的混迷の不正直なところだ。「地獄の黙示録」はコッポラの壮大なる失敗作だが,しかしその失敗ぶりは一見に値する。』(キネマ旬報)
2月18日
熊川哲也「メイド・イン・ロンドン」が文庫化された(文春文庫)。世界的なバレエダンサーが,そのダンサーとしての歩みや,日常生活,恋愛観などを率直に語っている。プロ生活10年の節目に,英国ロイヤル・
バレエ団プリンシパルの座を捨てて,新たに自分のカンパニーを設立した時期に書かれたもので,相当の意気込みと自負が感じられ,一言で言えば生意気なのだが,彼の舞台を見ても感じる暗い情熱(バリシニコフにも似た!)がよく現れている。バレエに限らず,舞台に興味のある人に。
2月14~17日
冬季オリンピックの日本選手の成績が振るわない感じですが,我々の世代だと,札幌オリンピックの印象が強いから,ジャンプでもなんでも期待しすぎの嫌いはありますね。我が家の近くの書店が来月いっぱいで閉店とのこと。小学校の近くで,雑誌や文房具が中心というごく普通の店でしたが,周囲に郊外型の書店がいくつもできて,本の売上げは微々たるものだったようです。私自身は,小さいながらも歩いていける書店があるというのは良いことだ,と思っていたのですが残念。
2月13日
岩波文芸書初版本復刻シリーズ「道草」が出ました。「我輩は猫である」執筆当時,ロンドン帰朝の姿,
まだその心情が色濃く映し出された漱石唯一の自伝小説。大正4年初版の復刻です。菊判,434pで8600円。いかがですか。
2月12日
料理・飲食関連専門の出版社でおなじみの柴田書店が本日,民事再生手続き開始。負債金額は42億円とのこと。同社は1954年9月に設立され,料理・飲食関連専門の出版社として,定期月刊雑誌「専門料理」や「月刊食堂」など5誌のほか単行本を発刊していた。既刊本は約600点。長引く不況の影響から広告収入が減収し,資金繰りが逼迫。所有不動産の売却を含めた合理化策を模索していたが,業績回復の目途が立たなかった。
2月9~11日
3連休は,好天だったものの,寒かったですね。我が家では,バスに乗って鎌倉へ散策に行って来ました。鎌倉鶴ヶ岡八幡宮では,日が良かったのか,あちこちに白無垢姿の花嫁さんが。参道や小町通りの店も,ちょっと来ないうちにすぐ変わってしまいますが。息子は,おなじみの煎餅屋の試食を一通りかじって,おなか一杯になったと満足気^^;;。
「ピッピ」の作者で知られるリンドグレーンが,1月28日に94歳で亡くなったとのこと。『ピッピ誕生の秘話から90歳を越えてなお社会的発言を続ける彼女の生き方まで,関係者のインタビューや膨大な資料をもとにまとめた,日本ではじめての本格評伝』が岩波書店から発売。
2月7~8日
最近,日韓自動翻訳のチャットをやっているのですが,いやいや技術の進歩はすばらしいという実感です^^。丁寧に書けば,結構複雑な日本語の文章でも,うまく韓国語に訳せているらしい。タイムラグもほとんどありません。日韓ともに若い人が多いですが,中には中高年の人も混じっているので,ひとつのんびりと日韓交流などいかがですか。
2月6日
最近は厚い文庫本にも驚かなくなりましたが,光文社文庫の新刊「二進法の犬」(花村萬月)。1100ページで1100円ですよ,これ。わかりやすいといえなくもないが....。ともかく,電車の中で片手で読める人がいたら尊敬します(以前,カッパノベルズで出たときは760ページで1300円)。私は新橋から横浜まで保ちませんでした。『京大生の家庭教師が生徒として引き受けることになった女子高生。彼女の父は,武闘派やくざの組長だった』。まあ,少し頑張ってみます。
2月5日
光文社文庫幻の探偵雑誌シリーズの最終回「新青年 傑作選」を読む。「新青年」は1920年(大正9)に博文館より創刊。1950年(昭和25)に廃刊となるまで,31年間にわたり400号を刊行。創刊当初は青年修養談や海外渡航奨励の記事が主の総合誌でしたが,翻訳探偵小説の紹介をすすめ,それに刺激された江戸川乱歩の登場により探偵小説中心の雑誌として人気を博しました。
編集長に横溝正史を迎えた27年頃からは「新青年趣味」と呼ばれたモダニズムあふれた雑誌となり,戦争の影響により探偵小説は減少。一般の小説中心の雑誌となってからも,「八つ墓村」の連載など注目される探偵小説が掲載されましたが,出版不況の影響をうけ廃刊(解説より)。本書には,川田 功,持田 敏,浜尾四郎,乾信一郎など17作品と「新青年」作者別作品リストを掲載しています。
2月4日
フロンティア神代とかフェイスとかパソコン自作関連のブックマークは増える一方なのに,肝心の資金手当がつかず,いまだに旧パソでカタカタしています。"たった"8万円!ですよ(アスロン1700採用の場合)。カミサンなど,私より遙かに高いカードの限度額を使い切っているというのに....。それはだれのお金?と小一時間問いただしたいが(2ch風に),恐ろしくてそれは無理。
2月3日
ソログープも復刊。よく知らない方(私のこと)は,ここで学びましょう。もっともソログープより謎?の管理人さんの方が気になってしまいますが。
2月2日
浜崎あゆみの発言で盛り上がっていますね,2chは。私は浜崎の曲もよく知らないし,もちろん彼女のCDやコンサートとも無縁ですが,コンサートの映像を見る限りでは,誰に対して言ったとしても,感じが悪い,の一言ですね。まあ,そんなもんだったのか,と。ブールジェの「嘘」が復刊されます。ブールジェのアメリカ批判に対するトウェインの反論はよく知られており,ここで読むことが出来ます。
2月1日
買ってしまうでしょう....ということで,カメラジャーナル新書「ライカ対らいか」を読んでいます。このカメラジャーナル新書シリーズは,厚いわりに柔らかくて手に馴染み,満員電車でパラパラやってても苦にならないところがよいですね。新書のなかには表紙が硬いせいか,薄い本なのにやたら跳ねまくって片手でページがめくれないものもあり,いらいらします。
で,内容なんですが,らいかというのをかなり広くとらえ,高級コンパクトカメラまで含めて語っています。
デジカメは自己完結していないところが旧来のカメラと違う,というのには同感。そもそもデジカメで撮れるのは写真じゃなくて画像データなのだ。
田中長徳「チョートクカメラ2-ぼくのレンズたち」を読む,というより眺めました。
いまさら読まないでも書いてあることは想像がつくわけですが,それでも買ってしまうのが「趣味本」というわけですね。ちなみに近日刊行「ライカ対らいか」も買ってしまうでしょう。
『田中長徳が唱える「らいか」とは何か。ライカカメラ社がM7を出そうとしない一方で,次々と繰り出される日本メーカーによるレンジファインダー機「らいか」たち。話題のカメラについて「らいか」をキーワードに論評するカメラエッセイ集。カメラジャーナル連載「今月のカメラ」に登場した,ライカとらいかに関するものを収録する他,書下ろし評論も加える。』とのこと。
ちなみにカメラジャーナルの出版元アルファベータ社は,なかなかユニークな出版社です。
なぜか岩波書店のサイトがここのところ激重なんですが,私のところだけかしら? 2月の復刊「二人の女の物語」(全3冊,ベネット)について。
旧題は「老妻物語」。イギリスの自然主義作家ベネットの代表作で,作者の生まれ故郷「五つの町」を舞台に,この町で仕立屋を営むベインズ夫人とその2人の娘コンスタンスとソファイアの2代にわたる女の生涯を描いたもの。1931年,ベネットはパリの水を飲んでも安全であるということを証明しようとして,腸チフスに罹り死亡したといわれています。
ちなみに,アーノルド・ベネット・オムレツという料理もあり,「劇場帰りの作家や批評家たちのためにサヴォイ・ホテルが考案したもので,タラやパルメザンチーズを使い,ベネットのビクトリア朝散文のように緻密でかつおいしい。」とのこと。作りたい方は,ここを。
週末は雪が降りそうな天気。早めに買い物を済ませておこうという人で,スーパーは大混雑。結局,雨と風は強かったものの雪にはなりませんでした。
今月の復刊本「ナイティンゲール伝」(リットン・ストレイチー)。著者リットン・ストレイチーは英国の作家。フォースターやウルフらとともにブルームズベリー・グループと呼ばれる文学者たちの一人として活躍。その思想は,古い文化的,社会的伝統への反逆と個人の自由な生き方の優先というヒューマニズムに基づくもの。同性愛者であったといわれる。
先年,画家ドーラ・キャリントンとの精神的な愛を描いた映画「キャリントン」も公開されている。評伝に「リットン・ストレイチー(キャリントン)」(ホルロイド,新潮文庫)。私にとっては,冨山房百科文庫「ヴィクトリア女王」の著者として親しい。
岩波文庫2月のリクエスト復刊情報が掲載されています。
ブラッドレー「シェイクスピアの悲劇」や,ウィース「スイスのロビンソン」など40冊とデカメロンのセット6冊。デカメロンはボロボロのものしか持っていないので,この機会に購入予定。スイスのロビンソンは,最近ではディズニーランドでおなじみ(スイスのロビンソンの木)で,何度も昇っていますが^^;;,アニメ「不思議な島のフローネ」の原作本でもあります。
岩波文庫新刊「ハムレット」を読む。久しぶりの一気読みで楽しくはあったものの,今まで読んできたハムレットがごっちゃになって頭の中に入っているため,何処に新規性があるのか,今ひとつピンとこなかった。
ここで無謀にもハムレットの梗概を記す。
死んだばかりの先王(ハムレットの父)が亡霊となって毎夜現れると友人から知らされたハムレットは,ある夜その亡霊に会いに出かける。亡き父の弟である現在の王と母との早すぎる再婚に不浄なものを感じていたハムレットは,亡霊から王の死の真相は母への欲情に目のくらんだ弟による毒殺であることを知らされ,復讐を誓う。
乱心を装うハムレットを気遣う廷臣達の中で,大臣ポロニアスは,娘オフィーリアへの恋心がハムレットの狂気の原因ではないかと考える。王とポロニアスは,オフィーリアをつかって真相を探ろうとするが,ハムレットは彼女に尼寺に行けと言い放つ。
王がハムレットの気を引き立てるために呼んだ芝居一座が城を訪れる。ハムレットは王と王妃の前で,役者たちに先王の暗殺場面を演じさせる。果たせるかな王は激しく動揺した。ハムレットは,母である王妃の不貞をなじり,壁掛けの後ろで様子をうかがっていたポロニアスを刺し殺してしまう。王は事件隠蔽のためハムレットにイギリス行きを命じる。従者にはイギリス王へのハムレットの処刑依頼状を持たせて。
父の死に衝撃を受け狂乱するオフィーリア。兄レアティーズも父の復讐のため王を襲撃するが,王はポロニアスの死がハムレットの仕業であることを打ち明ける。一方,イギリスへ向かう船上,ハムレットは処刑依頼状に気づき,急遽デンマークに帰国。自殺したオフィーリアの埋葬現場に現れる。
レアティーズはハムレットに決闘を申し込む。王はこの機に乗じて毒入りの酒を用意したが,王妃が息子の幸運を祈って乾杯をするためその酒に口をつけてしまい命を落とす。レアティーズは毒を塗った剣でハムレットを傷つけ,自らもその剣で傷を負う。王の策略を打ち明け,死ぬレアティーズ。ハムレットは王を刺し,毒入りの酒を飲ませて殺害。ハムレット自身も,ノルウェー王子に王位を継がせると言い残して死ぬ。
ハムレットの文庫本は,ちくま文庫(松岡和子),岩波文庫(野島秀勝),角川文庫(本多顕彰),新潮文庫(福田恆存),集英社文庫(永川玲二),講談社文庫(木下順二),岩波文庫旧版(市河三喜,松浦嘉一)などがある。今回の野島訳は脚注が邪魔。ハムレットのように一気呵成に読ませる芝居の場合は,巻末注のほうが助かる。
「BRUTUS」最新号は,「本の特集-もう本なんか読まない!?」。活字離れをいまさらのように嘆くわけではなく,製作現場からみた本(雑誌)の現状といった感じ。編集部によると,『BRUTUSの編集工程は,基本的にタイトルや写真を含めたデザインの決定が先で,文章はそれに合わせて最後に入れる。だからライターは好き勝手な長さで文章を書くことが出来ない。』とのこと。これは文章の長さによって全体のページ数を増やしたり,記事が長すぎると写真を真っ先に切ってしまう私の仕事とは180度違うわけで,同じ編集でもいろいろあるのですね。
雑誌の校正の過程などもうまく取り込んでいて,編集に興味のある人には面白いでしょう。表紙も「レイアウト」をそのままデザインしてあり,ユニークです。『今回の特集のとっかかりは“読書はすでに癖である”ということでした。この情報がデジタル化された時代に,わざわざ手でページをめくってみたり「私の趣味は読書です」なんて言ったりするのは,やっぱりイケてないのです。でもやめられないのです。禁煙や禁酒とはワケがちがうのです。それが読書なのです。』
ちょっと変わった分野ごとに5冊ずつお薦め本を選んだ読書ガイドも付いています。
真剣な悪口というのは本になっても,気楽な悪口というのはなかなか本にならない。それは文学でも音楽でも一緒だ。JAZZの熟達した聴き手による井戸端会議「JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!」(寺島靖国・ 安原 顕,講談社+アルファ新書)は,1950年頃に活躍したジャズの大御所たちを,過去の名声ではなく,あくまで今日の視点で再評価をしようというもの。
『コールマンが1960年代に現れた時,ジャズ界,賛否両論,もの凄くかまびすしかった。40年後の今日,われわれ2人は決着をつけました。ダメ。バツ。』 新人重視の寺島氏と前衛好きの安原氏であるから,当然こきおろしが多くなるのだが,それゆえプレーヤーごとの特徴がよくわかって,初心者でも楽しめる。「スーパー編集者」として,本や映画のガイドでもおなじみの安原氏は,寺島氏の博学に感心しながらも,相変わらずの毒舌振りだ。
子供の頃から読み返し続けてきたもので,ずっと変わらぬ楽しみを与えてくれる本がある。また,読み返すたびに新たな発見があり,感動を深められる本もある。「銀河鉄道の夜」は,もう何度読んだであろうか。はじめは幻想的な宇宙の美しさに惹きつけられ,次に家族の絆を想い,いまは永遠の孤独に涙する。
岩波現代文庫の新刊「宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読」(鎌田東二)は,ただ一人の神道ソングライターたる著者の宗教者としてのアプローチだ。本書の後半には,「銀河鉄道の夜」第1稿~第4稿の全文が掲載されているので,異稿に興味がある方にはお薦め。
著者や作品の好き嫌いとは別に,本の造りに馴染めなくて読まないものがありますね。妙に軽かったり,安っぽかったり。文庫本でいうと集○社文庫とか。アクティブ新書も,最初ちょっと見たところ,行間が空いていて,最近はやりのページ数稼ぎの中身の薄い本か,とがっかりしたのですが,読んでいるうちに気にならなくなり,むしろ目に優しく読みやすいと感じるようになりました。
やはり,中高年向きの新書なんですかね。その中高年に自分も入ってしまったのかと思うと,ちょっと残念。
さて,岩波アクティブ新書創刊ラインナップの中から1冊,と思い,石田晴久「ブロードバンドを使いこなす」と田中長徳「デジカメだからできるビジネス写真入門」を候補に挙げたが,パラパラと眺めたところ,ブロードバンド・・・は隣に並んでいた講談社α新書の新刊「ケイタイ+マンガ「日本発ブロードバンド革命」」(藤原 洋)の方が面白かったのでやめにし,長徳氏の本を購入。
本書は,普通のビジネスマンが,仕事の上でこれまでプロのカメラマンに依頼していた宣材写真や記録写真を,デジカメを使って自分で撮ろう!そのためのコツを教えます,というもの。メカ的な話を抜きにした上で,銀塩写真ではなにが難しく,デジカメならなにが易しいのか,ということをわかりやすく示しており,結構実用的。それでいて,豊富な作例はライカでおなじみドイツ・ウェッツラーで撮っていたり,さりげなくアローカメラの野田社長が写っていたりと,旧来からのチョートクファンへのくすぐりも忘れない。なかなかサービス精神に富んだ本であった。
岩波アクティブ新書がいよいよ創刊されました。我がHPは文庫本のためのページですから,新書は守備範囲外なのですが,1938年の岩波新書創刊以来,64年振りの新「新書」ですから,やはり注目せざるを得ません(ちなみに岩波文庫は1927年,現代文庫は2000年創刊)。
編集長の言葉を要約すれば,「身近な人との関係を変えていくことによって,自分自身を変えるために役に立ち,なおかつ読んで楽しいHow to本」ということですね。『現代人の現代的教養を目的として・・・島国的根性より我が同胞を解放し,優秀なる我が民族性にあらゆる発展の機会を與へ,躍進日本の要求する新知識を提供し,岩波文庫の古典的知識と相俟って大国民としての教養に遺憾なきを期せんとする』という岩波新書の創刊の辞とは文字通り隔世の感があります。
詳しくは,書店で手にとってみてからご報告します(予定)。
音楽CDの売上げがここ数年漸減し,8cmCDなどは前年比25%にとどまったという。これには,レンタルやネット上での音楽データの配信や交換(違法なものも含めて)の影響が大きいといわれている。かつてFM放送をアナログテープデッキで録音していた頃は,オリジナルのレコードとは明らかに音質の差があったのだから,どうしてもレコードで持っていたい,という気持ちが働いていたのに,デジタル化の進歩によって,CDはオリジナルと遜色のないコピーが手軽にできるのだから,売れなくなるのも当たり前か。
それでも,アーティストを応援する意味も含めて,高いお金を出して買って手元に置いておきたいと思うCDがたくさんあればいいのだろうが,製作会社の熱心なPRに比べて,最近はそういう気をおこさせるCDが少ないように思える。お手軽になった分だけ,中身も薄く感じられるのだろうか。そもそも「アルバム」といった形式が馴染まなくなってきているのかもしれない。あるアーティストのオリジナル曲を10曲程度1枚のLPやCDに集めて,といった形式は,LPレコードが出てからずっと続いてきた。それでも,かつてはシングルレコード3,4枚がヒットすると,それを中心にアルバムを製作していたので,シングルはほとんど買わない人でも,まとまったので買ってみようか,という気にさせられることがあった。それがいつの間にか,シングル1枚(あるいはシングルなし)につきアルバム1枚というのが当たり前になり,アルバム毎月連続×枚リリース,などと話題作りをするようになった。そうなると,抱き合わせ販売ではないが,中身の濃い(あるいは親しみやすい)アルバムがなくなり,MDやCD-Rに自分の好きな曲だけを集めて聴くというスタイルが一層すすむことになる。
翻って,書籍の場合は,未だ電子書籍化が進まず,読むためには購入するのが普通だ。それでも最近,Web上の掲示板等をプリントアウトして通勤電車の中で読んだりしている。A4用紙をガサゴソとめくるのは面倒なのだが,文章を読むこと自体は,慣れればそれほど問題がないかな,という気もしてきた。「青空文庫」のような電子化活動が進展し,クラッシックな作品はすべてWeb上にある,といった時代がきたとき,岩波文庫は,単なる電子化のためのネタ本になってしまうのだろうか。
休みが多いというのは嬉しいのですが,編集という仕事の点からすると厳しいことも多いわけで,お察しの通りてんてこ舞いしているところです。以前,てんてこ舞い,というのはどんな踊りか?という質問があって,てんてこというのは,太鼓の音をあらわしていて,太鼓にあわせてくるくる踊るようにせわしないさま....などと答えていたけど,文字通り目が回っています....。
連休中は,遅くなりましたが近くの江島神社(江ノ島のなかにある)に初詣。ここのところ暖かいせいもあり,結構にぎわっていました。今月はハムレットの新訳などがある岩波文庫ですが,それに先だって創刊された岩波アクティブ文庫。もうご覧になりましたか。他社も含めて,最近の新書と文庫の違いは,内容ではなく判型である,という感じですが,まずは今後に期待しましょう。
光文社文庫の新刊,幻の探偵雑誌シリーズ「探偵」傑作選を読む。
このシリーズも早9冊目。のこりは「新青年」1冊となった。本書には,「探偵」,「月刊探偵」,「探偵・映画」から各々数点を収録。中心となる「探偵」誌は,昭和6年創刊。甲賀三郎,横溝正史,浜尾四郎などの豪華な執筆者を擁し,クリスティの翻訳物なども取り上げていたが,その年のうちに「犯罪実話」という扇情的な猟奇誌に姿を変えてしまった。
甲賀,横溝,木蘇穀,城昌幸,橋本五郎,角田喜久雄,海野十三などの諸作に加え,J・D・カーの密室犯罪の研究,探偵小説の本質的要件,探偵小説に於けるフェーアについて,など興味深い評論も収めた本書は,B級と開き直った勢いで,意外に時代を感じさせない。
ついでに寺島さんの新刊「サニーサイドジャズカフェが選ぶ超ビギナーのためのCDガイド」(朝日文庫)を読む。
これは,著者が店主をつとめる仮想ジャズカフェ「Sunny Side JAZZ Cafe」で連載中のエッセイを集めたもの。ジャズビギナー,とくに女性のためのお薦め盤として,ビル・エヴァンスから最近人気の小林 桂まで,お気に入りの57枚を紹介している。
とにかく明るく,自由にジャズを聴こう!という著者の気持ちが良く出ていて,ジャズ本にしては後味スッキリの通勤電車向き本。
音楽を聴くとき,私は電車の中でのポータブルのCDプレーヤーか,パソコン,ラジカセを使う程度。音にこだわる....という気持ちはわかっても,実際には寂しい限り。
JAZZ喫茶店主でオーディオ評論家でもある寺島靖国氏の新刊「JAZZオーディオ悶絶桃源郷―寺島流最強システム構築ガイド」は,そんな寂しい人にも豪華な夢を見させてくれる一冊だ。とはいえ,著者が宮殿のような家の大きなリスニングルームに巨大なスピーカーを入れて贅沢三昧,というわけではない。
写真や文章から感じられる著者のリスニングルームは,お世辞にも広いとは言えず,また整理整頓されている感じもしない。その狭い部屋に大きなスピーカーシステムを置き,大音量を間近で聴くという苦しい状況だ。そんな中で,何に贅沢をしているのかというと,ずばりケーブルである。パソコンのケーブル類にうるさい人でも,メーター110万円のオーディオケーブルや,1本25万円の電源ケーブルには唸るであろう。
求道者たる著者は,すべて自己満足の世界と自嘲気味にいうものの,外野の読者にとっても興味深い人である。
ニューヨークで最新のアートシーンを見てやろうと初めてのアメリカ旅行,タヒチでのハイテクUFO研究基地への潜入,おなじみのアジア安宿事情,シバーム沙漠の摩天楼の偉容に息をのみ,アテネで譲り受けたピーコートに旅人達の情を感じる....。蔵前仁一さんの旅行記は久しぶりだが,相変わらず夫人と二人の安い旅を続けながら,決して貧しい感じがせず,旅の苦労も気楽に乗り越えていく。
バックパッカー生活が長い人にありがちな説教臭さがなく,常に前向きなところに好感が持てる。ただ,蔵前さんに限らず,エッセイ文中で家族のことを名前で記しているのを最近よく見かけるのだが,これはどうも不自然な感じがして,私には馴染めない。
引き続いてモームの「夫が多すぎて」(岩波文庫)を読みました。
亡き夫の親友と再婚した妻のところに,戦死したはずの夫がひょっこりと戻ってきて一騒動,というとよくある話のようですが,友情のためにどちらかが泣く泣く身を引いて....とならないところが面白い。そもそも妻のわがままと浪費癖にうんざりしていた2人の夫は,友情と愛情をひけらかしながらも,これ幸いと互いに妻の押しつけ合い。ところが,肝心の妻は,彼女に言い寄る別の大金持ちの男のところへ去ってしまうというドタバタ劇。
このうち,第三幕では,不貞も暴力もない2人の夫と,いかに離婚したらよいのか,弁護士を交えて4人で馬鹿馬鹿しい作戦を練ることに。当時のイギリスの法律における,夫側が離婚を申し出るときの要件として妻の不貞だけでよいのに,妻が申し出るときには夫の不貞だけでなく暴力行為などの証拠がいる,
という不平等さを嘲笑したもの。とにかく楽しいお話でお薦め。
新年あけましておめでとうございます。我が家ではクリスマスに引き続いて,12/31から1/3まで東京ディズニーランド&シーへ出撃しました(カミサンと息子は1/5まで^^;;)。
今回の一番の目的は,ディズニーシー初めてのカウントダウン。う~ん,盛り上がってはいたけれど....格別正月らしさは....という感じ。場所取りのポジションが悪かったかな。まあ,参加することに意義がある,といった気持ちでしたから,とりあえずの満足感はありました。
私は単純なディズニーファンだから,夜のパレードが終わり,シンデレラ城の上に花火があがるとき,そこに集う何万人もの人たちとともに,世界の平和と子供達の明るい未来を願わずにはいられないのですね。